0-85一軒家の掃除と『アイギス』の拠点とか
この街に到着してから、半月が過ぎた頃『銀の皿』に新しいウエイトレスを雇う事が決まり、アライズ達3人は『アイギス』として活動を再開した
それと同時に、馬小屋のある一軒家をギルド経由で借りることにした
月額が多少高額だったが、宿暮らしよりは長い目で見ればイイという事で、クラシスとリズとアライズの3人で物件を確かめ、馬小屋・調理場・裏庭・倉庫など一軒家というより、小さめの倉庫や保管所のような作りの建物だった
その一軒家の場所は、街の門から見て東の外れにあり、あまり人通りの多いとはいえない場所に建っていた、そのかわり敷地は広く、庭は雑草だらけで、一軒家を囲む囲いも壊れかけていた
まず、『アイギス』の拠点となるべく、数日かけて一軒家のリフォームをメンバーでやる事が最初に仕事になった
「それじゃ、ノノとココとジャンヌは馬小屋の掃除と建物の補強をお願いね」
「「「はい」」」
ノノ達は馬2頭を連れ馬小屋へと向かう、壁を土壁で補強したり、藁などを馬小屋へストックしたり、道具屋で購入してきた餌を小屋の一室に保管などしている
「次にアライズとアリサとアンナは、一軒家の調理場を中心に掃除をお願いします。本格的にこの家での料理は家全体の掃除が終了してからなので、暫らくは馬車の調理荷台で料理をして下さい」
「任せて下さい、『銀の皿』の調理場並みに広いので、自分達の使いやすい調理場にします」
「リウさん、調理場の地下室の拡張をお願いしてもいいですか?」
アリサが調理場にある地下室の拡張をお願いしてきた、地下室は広さ的に2畳くらいのスペースしかなく、食材の置けるスペースが狭いのはリウも気にしていた
「それなら、地下室の拡張をしてから掃除してもらっていいかな?3人の意見も聞きたいし、拡張と補強くらいなら半日もあればできると思うし」
「わかりました、私達は調理場で待ってます」
そう言ってアライズとアリサとアンナは、一軒家へ向かっていく
3人は調理場までの間に、生活魔法で綺麗にしながら歩いているのを遠目で見て取れた
どうやら3人は生活魔法を修練出来たみたいだ
「最後にクラシスとリズには、一軒家を囲む塀の補強をお願いします。高さは3mで厚さは50cm、簡易陣地と同様にお願いします」
「そんな厳重にするのは、なんで?」
「まず、この一軒家には女性がいっぱいいます。やはりやりすぎと思われるほど厳重にするのはあたりまえでしょ、本当は冒険者でも雇って留守番をしても欲しいんですが・・・」
「それは、留守番というより護衛か門番かメイドの仕事ですよ?」
「普通の冒険者はメイドは雇いませんよ?」
「その辺は住んでみてから考えましょ、では、土魔法での塀の補強お願いします。僕は調理場の地下室の拡張をしてきますので~」
「はい、了解~」
「地下室終わったら手伝ってね~」
「もちろん~」
リウはそう言って一軒家に駆けていった
クラシスとリズは、「やりますか~」といいながら腕まくりで土魔法で塀の補強をしていく、一軒家の敷地の広さは、前の一軒家の敷地の2.5倍の広さになり、クラシスとリズだけでは1日で終わる長さでは無かった・・・
リウは調理場の地下室の拡張をする為に、地下室に降りどっちの向き広げるかを、アライズとアリサとアンナに話を聞きつつ、土魔法を使っていた
「それで拡張しるとしたら、階段からどっちに行けばいいのかな?」
リウが調理場から地下室に降りる階段付近で3人に聞いていた
アライズは調理室と地下室、階段の位置を確かめ
「それでは、階段を中心に四方に2mずつ拡張お願いします」
「それなら半日もかからず出来そうです~」
リウはそう言って地下室の壁に手を置き、土魔法で壁を加工していく
最初に壁を土魔法で、壁の中央に四角い穴を開け、天井・床・左右の壁を少しずつ加工し、壁を石材のような頑丈な壁に変換していく
それを階段を中心にやっていったので、地下室は四角い部屋というより、階段を中央にした、4つの部屋が出来てしまった
リウは拡張したはずなのに、階段を囲む、2mの部屋を4つ完成させてしまった事に気がつく
「おかしいな、こんなはずでは・・・」
それを見ていたアライズとアリサとアンナは、地下室に降りて来て、壁を触り頑丈な作りに満足し、4つの部屋に何を置くかを相談し始める
「リウ、ありがとう。この地下室なら崩落の心配も無いし、4つの部屋は助かる~」
「それに壁が石というか岩なので雨水などの浸水も心配しなくていいし」
「ねね、階段に手すりをお願いしていいかな?」
最後にアンナが階段に手すりのリクエストがあったので、話を聞きながら手すりを階段の両側に設置する
クラシス達3人は手すりにつかまりながら階段の上り下りをし感触を確かめ、満足したのかリウに地下室の完成を告げる
「地下室に保存する食材は、保存食とお酒類になるから、後でリズにお願いします」
「了解です、午後にでもリズと一緒に食材の保存をお願いします」
「それじゃ、調理場の掃除をしますね~」
「今日のうちに1Fの掃除もするので、リウは家の外の掃除をお願いね~」
アライズ達は思い思いに調理室に生活魔法で掃除を始める
長い間使われてなかったためか、掃除すると本来の壁の色になり、見違えて綺麗になっていくのは見ていて気持ちのいいものだった
リウは綺麗になっていく部屋を見つつ、クラシス達の仕事の手伝いに向かう
クラシスとリズの土魔法で塀を作成していたので、リウはクラシスとリズに休憩をしてもらい、1人で土魔法で土壁を作成していく
暫くすると、ノノ達が馬小屋の掃除も終わったみたいで、リウ達の所まで戻ってくる
昼までには時間があるので、ノノ達に仕事の休憩をする様にアライズ達に知らせてもらう
裏庭にコンロで紅茶の準備をし、メンバー全員が揃ってから休憩をし、各掃除状況を聞きつつ紅茶を飲む
今日からこの一軒家で生活するんだけど、家の中は掃除も終わって無いので、食事は裏庭で馬車と調理荷台で行う事と、寝るときは馬車に寝る事になる
せめて、浴槽とトイレは掃除し、今日から使用できるようにする事を決める
森の中じゃないので、焚き火や火の番などは不要になるので、馬車の中なのにゆっくり寝れそうな事にリウは喜んだ
休憩後はアライズ達とノノ達は、一軒家の各部屋の掃除をお願いし、昼ご飯は串焼きとパンの軽めの食事とし、昼寝をしつつ、午後の仕事に励む事になる
午後からは3人で土壁で一軒家を囲む作業をなんとか終え、一軒家の門にはダンジョンで使用した扉をそのまま使用する事になる
この扉は、馬車が通れない大きさになっているので、馬車の盗難防止という事で使う事にした、馬は馬小屋の中だけで泊めておくのは可哀想という事で、裏庭に柵を設置し、ノノ達が馬に乗れるようにした
裏庭で、馬に乗るノノとココはにこにこしながら嬉しそうだったので、馬の走れるスペースを拡張してもいいのかもと思いはじめていた
その日の夜は、馬車と荷馬車を前にコンロを置き、久しぶりにアライズ達の手料理を食べる事になる、アイテムボックスの大猪はそのままあるのだが、露店で大猪の肉の塊を購入し、角煮やシチューをコンロを囲んで食べる事になる
料理と一緒にリズはアイテムボックスからお酒を取り出し、みんなのカップに注いでいく
「今日からここが『アイギス』の拠点になるけど、必要な物があれば購入していいからね、それと部屋の掃除が終わるまでは、馬車で寝るし、クエストも明日からみんなで実施するからね~」
「「は~い」」
ノノとココは嬉しそうに返事をし、ジャンヌはちびちびとお酒を飲み話を聞いてないみたいだった、クラシスとリズはお互いに酒を注ぎ飲み合っている
「それで最初は薬草採取でもやるの?」
アライズは明日のクエストが楽しみなのか明日の予定を聞いてくる
隣のアリサとアンナも同様で、わくわくした顔で話を聞いている
「そうだよ、まずは、薬草採取をして薬草を覚えてもらいからね~。それから薬草をポーションにしたりするのも修得してもらうから、覚える事いっぱいだよ」
「やっと私達も冒険者生活が始めると思うとドキドキしますね~」
「大丈夫ですよ、うちのメンバーは森の散策に関しては、中堅冒険者よりも上手にやれると思うので」
「そうですか、私達もリウ達に早く追いつきたいので、朝の修練はもう少し長めでやってもらいたいんですが・・・」
「いいですが、すぐに強くなる事は個人の負担にもなります。それでなくてもアライズ達3人は成長していると思いますよ。明日の森の散策で実感すると思うので、あせらないで大丈夫~」
アライズ達は毎日の朝の修練での成長を実感できていないみたいだ
こればかりは実戦で確かめてもらうしかないので、明日の散策はいい経験になるかも
そう思いながらリウは酒のカップの飲み干す、周りを見るとノノとココは眠そうにしていたので、生活魔法で綺麗にし馬車へ連れて行き寝かせてあげる、ジャンヌはカップを持ちながらイスに深く座り寝落ちしていた、リウはカップを外してやり、生活魔法を唱えてからノノの隣に寝かせてあげる
アライズとクラシスとリズは、酒を飲みながら明日の薬草採取について話し合っているみたいだ
アリサとアンナはお腹がいっぱいになったのか、カットした果物を食べながらお酒を飲んでいた、2人ともお酒が弱いみたいで甘めの果実酒を飲んでいた、最初の頃の2人はウエイトレスとして働いていたのだが、最近は朝の修練でいっぱしの冒険者のような感じになってきていた
「そういえば、アリサとアンナは接近戦と遠距離戦、どっちをやってみたい?」
「みんなと一緒に魔法で攻撃がいいです~」
「私は魔法障壁でみんなを守りたいです~」
「それなら寝る前に魔力の操作をしてから寝た方がいいかもね」
そういいながらリウは2人も目の前で、魔力の操作の仕方を教え始める
魔力の圧縮と維持を重点に教える、2人は目の前で行われる動作を見ながら自分達も魔力操作を始めているみたいだった
「この魔力操作は、ノノとココとジャンヌの3人も最初にやった修練だから、毎日やったほうがいいよ~」
「「はい」」
真剣な顔で手の中の魔力を操作し始める、10分もしないうちに2人は魔力の枯渇でぼんやりしてきたので、リウは2人を支え馬車へと連れていく
あまり体験した事のない魔力の枯渇に驚きつつも、リウの介護に嬉しそうな2人は馬車に寝かせてあげる
寝る前に2人に生活魔法を唱え、綺麗になったのを確認し、頭を撫でてから馬車を出る
馬車から戻り、ノノ達の席を片づけ、クラシス達の酒盛りに参加する
クラシス達3人は、酒を飲みながら、露店で購入した肴を食べ比べていた
ドライフルーツっぽいのもあれば、干物っぽいものや、何の肉かわからない角煮など、色々なものがテーブルに並んでいた
「この干物おいしい~」
少しだけコンロで炙ってある干物は香りも良く酒にある気がする
ご飯よりも酒に合うのは、肴としては優秀だな
野営用に大量に購入したいな~♪
「これも美味しいよ~」
クラシスはドライフルーツをリウの前に置き、何かの果物を勧めてくる
リウは一口食べてみる、するとドライフルーツのほのかな甘みと酸味が口の中に広がる
「これはすごいな、疲れた時に食べたい食材だ。歩きながらでも食べれるし、いっぱい欲しいな」
前の街では、こういう食材は露店でも販売してなかったし、街が変わればこれほど変わるものかとリウは思いはじめる
そんなリウを見つつ、リズとアライズは嬉しそうに酒を飲んでいる
これほど豊富に食材があるなら、野営の前に露店巡りをして食材の大量購入をしたい気持ちでいっぱいだった
「この干物やドライフルーツは地下室で保存できるかな?」
さっき食べた食材を指さしリウはアライズに聞いてみる
アライズは少し考えて、「大丈夫よ」と教えてくれた
「どっちも長期保存が出来る様に加工してるから、地下室でなら半年以上は大丈夫じゃないかな?」
「ならクラシスとリズとアライズで、酒と保存可能は食材の購入をお願いします。新鮮な食材は、リズとココと僕がアイテムボックスに保存出来ますが、それ以外の食材も確保してあった方が安心できるからさ」
「了解~、任せて~」
3人はにっこりしながら、お酒や食材を肴に飲みはじめる
リウは寝落ちする前に馬車へと戻る事になる
その後、クラシス達の酒盛りは夜中まで続き、後日地下室には大量の酒の樽と木箱に入って保存食が一軒家に届く事になるが、それは食卓が豊かになる事なのでメンバーはにこにこしながら地下室へと運ぶのだった
一軒家を借りました、馬小屋も完備
街の外れに借りたので治安に不安なり




