0-80馬車は進み、大猪は討伐するとか
『アイギス』の馬車は街道を進んでいた
5日目の夜の野犬の襲撃があったが、その後は戦闘らしい戦闘は無かった
それでも馬車の御者の席にはリウが座っていたが
リウの膝の上には、ノノ→ココ→ジャンヌと毎日日替わりで座っていた
ノノ達はリウの馬車の御者のサポートとして座っていたが
リウの操縦が上手になる事は無かった・・・
ノノ達以外のメンバーは、馬車の中でこれから先の街の事を話しあったり
リズが率先してポーション作成を指導してたりした
また、御者と助手の4人は周囲を警戒しながら馬車を走らせていた
リウもMAPを展開し、周囲の野犬などを警戒したり、薬草採取の採取場を見つけては馬車を止め、休憩をしつつ採取を行っていた
薬草に関しても、回復系のポーション用の薬草と、解毒系のポーション用の薬草を採取していた
街を出発してから10日で着くという話だったが・・・
『アイギス』の馬車は20日過ぎても街へ到着しなかった
それでもリウ達のアイテムボックスには、9人で半年以上の食料を所持していたので、あまり危機感無く馬車を走らせていた
馬車の御者をしていたリウは
「そろそろ次の街に着くと思うけど・・・、どういう街なの?」
膝の上に座っているジャンヌは
「その街から定期馬車でリウの街へ来たんですが、街の周囲にダンジョンは無いはずです、それと少しだけ冒険者のランクが高いクエストが多いと思います。全体的に中堅ランクの冒険者が多いイメージがあります」
「ジャンヌは次の街の出身なの?」
「違いますよ、街の周囲の村が出身地ですね。村の元冒険者のおじいさんから槍の手ほどきをしてもらいましたが・・・」
「それでジャンヌは槍の扱いが上手なんだね」
「はい、小さいころから槍の修練ばかりしてました」
ジャンヌはえへへと笑顔で話してたので、リウは膝の上に座っているジャンヌの頭を撫でていた
「次の街は中堅の冒険者が多いなら、装備の向上も考えた方がいいかな?」
「クエストを見てから考えても?」
「そだね、新しい街で、新しいクエスト、それと食べ物~」
隣のノノとココも食べ物が楽しみみたいでわくわくしている
前の街では、野うさぎの料理が多かったけど・・・
「そういえば、この辺に野うさぎ見ないね?」
「野犬は多い~」
「野うさぎは見ない~」
「ココのアイテムボックスには野うさぎがまだ保存してるよね?」
「もっちろん、いつでも解体可能です~」
「野うさぎの焼き串もいっぱいあります~」
そんな話をしてるとノノとココは街道横の森の方を見ながら・・・
何かの反応を感知していた、ノノとココは首を傾げながら
「何かいると思うけど・・・」
「野犬じゃないし、野うさぎよりも反応が大きいような・・・」
「多分、ノノとココが気になっている反応は、大猪かも知れません」
ノノとココの反応を見て、ジャンヌは反応を知っているみたいだった
大猪は前に森で討伐したやつかな?
「大猪はでかいイノシシ?」
「でかいイノシシ・・・?大猪は3mを超える巨体で牙があるやつです」
「それなら森で一度見かけたかも」
「大猪は外皮が硬くて、ダメージを与えるが大変ですが、ギルドの買い取りがいいので結構討伐している冒険者が多いといいます」
「大猪はおいしいの?」
「焼き肉?ステーキ??」
「大猪は美味しいので、ギルド買い取りと別に食材として解体肉を分けてもらうんです。大猪は美味しいので、アライズさんの調理でどんな料理になるか楽しみです」
それを聞いたノノとココは、リウの服を引っ張り森の方へ指をさす
「大猪を討伐しよう~」
「大猪を食べよう~」
どうやら街への到着はまだ先のようだ・・・
リウは街道そばに馬車を止め、アライズとアリサ、アンナとクラシス、リズを馬車に待機してもらい
リウとノノとココとジャンヌで森へ向かい、大猪の討伐へ向かった
リウはMAPを展開し、周囲を警戒しながら進んでいたが
ノノとココの2人は大猪のいる方向が大体分かるみたいで進んでいた
大猪に気づかれるギリギリの距離でリウ達は「身体強化」と「速度強化」を唱え、大猪に近づく、リウがノノ達の周りに魔法障壁を展開し、ノノ達はライフル杖を構え魔法攻撃を始める
攻撃と同時に大猪はリウ達に向かって駆けてくるが
ノノとココは大猪の前足の膝を撃ちぬき、頭から前かがみで地面に崩れるよう転がる
それでも大猪は這うようにリウ達に向かってくる、大猪は牙を突きたてジャンヌに向かってくるので、リウの魔法障壁で大猪の動きを封じると同時に、大猪の頭部にノノ達の魔法攻撃が炸裂する
頭部を破壊され大猪は動かなくなる
リウ達は被弾こそしなかったが、巨体で向かってくる大猪に驚き、体力よりも精神的に消耗していた
リウは大猪をアイテムボックスに保存し、馬車へと戻る
ノノ達も討伐後に疲れが見えていたので、戻り道は静かに戻るのだった
馬車に戻ると、アライズ達が晩ご飯の準備をしていた
クラシスとリズは馬車を囲む土壁を作成し、簡易陣地を築きつつあった
リウ達は馬車へ戻ると、リズが生活魔法で清潔にしてもらう
さっきまでの緊張していた雰囲気が一気に消え、少しだけリラックスできた
「大猪は討伐してきたけど、僕ら4人で1匹が限界かも~」
「大猪強かった~」
「一撃で倒せなかった~」
「それでも無傷で倒したんですから、喜びましょうよ~」
リウとノノとココは大猪の強さとすぐに倒せなかった事を気にしていたが
ジャンヌは大猪を相手に無傷で倒せた事を喜んでいた
大猪の解体はクラシスとリズも知らないみたいなので
次の街で冒険者ギルドで解体を修得するつもりでいた
ノノとココは休憩中の馬の世話に出かけ、リウとジャンヌは晩ご飯の為にテーブルとイスを土魔法で作成する
今日の夜の為にコンロに焚き火を熾し、いつでも紅茶を飲めるように、お湯を沸かす
リウとジャンヌはイスに座りながら、ぼんやりと焚き火を見ていた
暫くすると、アライズ達が晩ご飯をテーブルに運んでくる
簡易陣地を作成し終えたクラシス達もイスに座り
馬の世話を終え、馬の食事を済ませたノノ達も戻ってきた
テーブルの各席に料理を並べ、一緒に紅茶も並べていく
「そろそろ晩ご飯にしましょう」
「それじゃ、料理も並んだので、みんな席について・・・いただきます」
リウは手を合わせ、「いだたきます」というとメンバーも手を合わせ
「「「「いただきます」」」
といって晩ご飯を食べはじめる、もはや、『アイギス』での食事開始の挨拶なのだが、誰ひとり不思議に思う人がいないみたいで、『アイギス』内で浸透していった
今晩の食事はリズのアイテムボックス内にあった食材で調理されており、干し肉や干物と野菜をふんだんに使用した料理となっていた
それとカットした果物もテーブルに並べれおり、さっきまでの討伐での疲れも取れた気がしていた
リウは食後の紅茶を飲みながら、MAPを展開し、周囲を警戒していた
MAPを拡大して街道を南に進めてみると、街を確認できたが・・・
距離的に2~3日で到着する距離みたいだ、それも途中で馬車を止めなきゃの話だが・・
今日も馬車の周りは簡易陣地を形成し、2mの土壁で囲ってある
これで野犬などの警戒は万全だが、大猪みたいな中型の生き物に耐えれるかは不安が残るな、寝る前に土壁を厚くした方がいいかもな
「次の街までもう少しだけど、前よりも強めの生き物が多いみたいだし、コンロで焚き火をしながら警戒をしようと思う」
「それならリウとノノ達で火の番する~」
「それじゃ、私とリズでアライズ達の護衛として馬車で寝るわ」
「2人に守ってもらっていいのかしら」
「アライズとアンナとアンナはこれから強くなっていくはずだし、今はクラシス達を頼って大丈夫だよ。僕たちはアライズ達にすげー助けてもらってるんだから!」
そういうとアライズとアリサとアンナは今まで以上に料理の腕をふるうのだが、その事に気がつく事は無かった、なぜならいつも美味しい料理を提供してもらっていたので、いつでもクオリティーの高い料理が普通になっていた
リウは紅茶を飲み終え席を立つ
「それじゃ、女性陣はお風呂を先に入ってね。僕は大猪が突っ込んできても大丈夫なように、土壁を補強してるからさ~」
「それならお風呂までに手伝います」
「「私も~」」
リウの後にノノとココとジャンヌも席を立ち土壁の補強に向かう
アライズ達は晩ご飯の後片付けをし、クラシスとリズが先にお風呂に向かっていく
どうやら、最初にクラシスとリズ、次にアライズとアリサとアンナ、次にノノとココとジャンヌ、最後にリウの順でお風呂に入るみたいだ
土壁の補強は、ノノ達のお風呂の順番までに終了し、焚き火の前のイスに座りながら小茶を飲んでいた
暫くすると、お風呂上がりのアライズ達がノノ達を呼びに来て、ノノ達3人はお風呂へと向かっていった
リウは紅茶を飲みながら、MAPを展開し、周囲を警戒していく
街道の周囲は赤マーカーの反応は無く、街道の向こう側の森の奥に多少の反応があるだけだった
次の街までは、街道沿いは安全なのかもしれないが、少しでも森の奥に行くと大猪が少なからず存在していた
次の街では、大猪討伐のクエストは少なからずあるのかもしれない
それにしても、今日の大猪の正面で魔法障壁を展開していたから、怖かった後ろにノノ達がいたから逃げる事も出来ずに戦ったが・・・、あんまり良い戦い方とは言えないわな
リウは大猪の戦い方を考えながらお風呂の順番を待つ事になる
その考えた事を焚き火をしながら、話し合うのも面白いかもなぁ
リウはこんな事を思いながら、冷めた紅茶を飲み、焚き火に薪を投入するのだった
街を離れ20日後、街到着までもうすぐ、大猪を討伐
大猪の戦い方を考え始める『アイギス』




