0-75荷馬車と野うさぎと『アイギス』の増員とか
『氾濫』終局から2日後、『アイギス』のメンバーはこれからの事で相談をしていた
『氾濫』での報酬は冒険者一律同額が支払われた
それをもとに装備を整える者
それをもとに田舎に帰って冒険者を引退する者
また、それをもとに商売を始める者
その中で『アイギス』は、この街で生活するか、次の街へ進むか相談を始めていた
「それでリウは何を悩んでいるの?」
「んー、この辺での討伐も採取も『アイギス』は無理なくやれるようになったでしょ。それなら次の街へ行ってクエストのステップアップをしてもいいかと思ってね」
「今回の『氾濫』でみんなの魔力の向上は感じてるけど・・・、そうだね今よりもクエストのLvをあげてもいいかもね~」
リウとクラシス、リズの会話を聞いていたノノとココはリウを見ながら
「この街を離れるの?」
「『ひよこ亭』ともお別れ?」
そっか、街を離れるという事は『ひよこ亭』ともお別れか・・・
ノノとココは、この街に来た時からお世話になり、最初の宿という事と最初に頼って人達という事でいろんな思いがあるのかも知れない
「もし街を離れるとしても、急に街を離れる訳じゃないよ?」
リウはそう言いながら、ノノとココの頭をぽんぽん撫でる
それに街を離れるとしたら、キチンと「さようなら」を言わないといけないしね
「そういえば今回の『氾濫』で、僕とノノとココとジャンヌはランクが上がって、みんなでランクDに上がったけど・・・」
「それに関しては『氾濫』の時の冒険者の討伐履歴がランクを2つ上げる事が決まっちゃいましたからね~」
「ランクC以上は・・・、上がる人はいなかったみたいですけどね」
「私とクラシスはランクCのままでした」
「これで『アイギス』はランクCが2人と、ランクDが4人の中堅冒険者の仲間入りをして事になるよね?」
「そうだね~、中堅・・といえば中堅かな?実績はこれから・・・かな?」
「それでどうする?『アイギス』はこれから?」
リズからこれからの事を聞かれ、「ん~」と目を閉じながら考え
そっと目を開け、今までの事を考えながら・・・
「そうだね、この街に来てから1年以上経つけど、僕はこの世界を旅してみたい!新しい場所で、食べた事のない美味しいものを食べてみたいし、新しい採取をして新しいポーションを作成したりしてみたい!!」
「旅行かな?」
「美味しいもの?」
「世界旅行?」
「それは冒険者としては大きすぎる夢の様な気がするけど?」
「けど、面白いわね。いろんな場所へ行ったり、いろんな物を食べたり」
「そうでしょ、『アイギス』の6人がいれば、どこでもいけるでしょ」
「まぁ、今回の『氾濫』の報酬で暫らくはクエストをしなくても平気だしね」
「今日から7日間は、各自で好きな事をやってください。料理をしてアイテムボックスに保存してもいいし、野うさぎを討伐してアイテムボックスに保存してもいいし、薬草を採取してポーションを作成してもいいし、各自好きな事をしていいからさ」
「それならココとジャンヌで、野うさぎを討伐して料理を作りだめしておく~」
「「了解~」」
「私はリズと薬草を採取しますね、ポーション作成もしたいし。解毒薬のポーションの試作も作成したいし~」
「そうだね、いつでも魔法障壁で被弾無しとも行かないと思うし、解毒は考えないと」
「それじゃ、2つのチームに分かれて7日間過ごしてみよう。食事に関してもチームで食べていいからね。僕は道具屋で少し作ってもらいたいものがあるから、食事を一緒に食べれない可能性があるからさ(=_=;」
「それなら寝る時は一緒?」
「そうだね、寝る時は家に帰るから・・・一緒に寝るか?」
「「はい~」」
ノノとココはにこにこしながら声を揃えて返事をしてくる
そんなリウを見てジャンヌは
「あんまり無理をしないでね?」
「うん、大丈夫。これから必要な物を形にするからね~」
「・・・ひょっとして馬車を考えてる?」
クラシスがリウの考えている事を当ててきた!
リウは『馬車』を当てられ・・・
「正解~、少しだけ大型の馬車か、馬車の荷台を2つ連結した形を作りたい」
「大きい馬車は何で?」
「それは『アイギス』の6人の寝泊まりも兼ねて大きい馬車が良いでしょ?」
「なら、荷台を連結は・・?」
「1台めに寝る場所を、2台めに調理場を作りたい。どうせ色々な場所にいくなら、自分たちでも調理したいし食べたい!」
「調理場・・・」
「ねぇ、リウは『ひよこ亭』の3人を『アイギス』に誘うつもり?」
「ダメもとで誘ってみるつもりだよ。僕はアライズさん達と離れるは嫌だからね」
「その辺の事は私たちに任せてもらえないかな?リズと2人でアライズさん達と話してくるからさ」
「ならクラシスとリズに任せるよ。僕はこれから道具屋へ行くからさ。それじゃ、みんな無理しないで好きな事やってね!」
「「「はい」」」
「「任せて!」」
そう言ってリウは一軒家を出て道具屋の方へ向かっていった
一軒家ではノノ達が、これから7日間の野うさぎ討伐と調理について考え
クラシスとリズは『ひよこ亭』の3人をどうやったら誘えるか考えていた
「ノノ達は『ひよこ亭』の3人が『アイギス』に参加するのは賛成?」
「「賛成!!」」
ノノとココは即答か、ジャンヌも「賛成です!」と少し遅れて応えてくれた
それを見てクラシスとリズは顔を合わせ、「そうだよね」と思ったみたいで
「それじゃ、『ひよこ亭』の3人をスカウトしてきますか~」
「そうだね、寂しがり屋のリウの為だしね~」
そのリズのつぶやきで、『アイギス』のメンバーは声を上げて笑っている
『アイギス』のメンバーはリウを中心で回っていたので
リウの為なら多少無理な問題でもやる気でいた
「それじゃ、いきましょ」
「そうね、『ひよこ亭』の3人を口説きに~」
クラシスとリズは『氾濫』の時以上に緊張した感じで一軒家を出ていった
一軒家に残っていたノノとココとジャンヌは、もし旅に行くとしたらの事を考えていた
まずは、食料の野うさぎをアイテムボックスに保存する事と、露店での焼き串と焼き鳥の保存、それと新鮮野菜と干物と干し肉など、それと果実と大量の調味料の購入
「もし、『ひよこ亭』の3人が加入するなら調理はしないで、野うさぎで保存した方がいいかな?」
「そうだね、アライズさん達の方が料理上手だし、その可能性もあるから保存だけにしましょ」
「ノノとココと私で1日5匹の野うさぎを討伐しましょ。野犬の討伐は・・・ギルドで買い取りをしてもらえれば、露店での買い物も出来るし、多少は調味料も買えるでしょ」
「目標は野うさぎが5匹!!」
「いきましょ!」
「装備はいつも通りでいいか~」
ノノとココはライフル杖を背負い、片手棍と右手に持ち
ジャンヌはライフル杖を背負い、槍を右手に持ち
3人揃って無理へ駆けていった
その頃、リウは道具屋で馬車の注文をしていた
最初に場所の中古を見せてもらい、次に新品の場所を見て
値段よりも馬車の大きさと荷台の広さについて、道具屋の店主と話をしていた
「荷馬車はありますか?」
「ありますが、荷馬車は作りは頑丈ですが、屋根が無いものもが一般的ですが?」
「それなら荷馬車に屋根をつけてもらっても大丈夫ですか?」
「可能ですが、ちなみに見た目重視の馬車にしますか?それとも、機能重視のばしゃにしますか?」
「機能重視でお願いします。出来るだけ頑丈に、それと故障しても直せる様に交換部品もお願いします」
「荷馬車に屋根・・・、馬は2頭でぎりぎりかな?交換部品はアイテムボックスに保存すれば10回は故障に耐えれるだろう」
「それと、荷馬車に連結して小さい荷馬車を作ってもらいたいんですが・・・」
「荷馬車を連結して小さい荷馬車を繋げる?何のために??」
「暫らくしたら旅に出ようと思いまして、荷馬車で寝どまりして、小さな馬車で調理して行こうと思いまして・・・」
「そっか、おまえさんたちも街を離れ、異国の地へ行っちまうのか~」
「その為の力を貸してください、お願いします!」
リウはそう言って、道具屋の店主に頭を下げる
「そんな頭を下げるは辞めてくれよ、あんたにはいろいろ教えてもらってこっちが助かったんだからさ」
「それじゃ、荷馬車の事お願いしてもいいですか?」
「おぅ、任せとけ。そのかわり、おまえさんの考えは特殊すぎるから、馬車の設計には立ち会ってくれ。これから馬車を作る職人を紹介するから一緒に『職人横丁』に行こうか~」
「はいよ、今日は設計と僕の考えを職人に教えないと!!」
「その意気その意気~」
リウはその後、『職員横丁』で荷馬車の完成まで通う事になる
荷馬車の金額は道具屋の新たな商品の誕生になり、無償で手に入れる事になる
この世界初、荷馬車=コンテナ車と調理場荷馬車=移動販売車となる
道具屋に注文した荷馬車は、通常の荷馬車よりも広く、過ごしやすい作りになっていた
また、荷馬車を購入に伴い、馬の扱いもリウは修練し覚える事に成功していた
馬の扱いは、『アイギス』のメンバーはリウ以外は修練済みなのだが、りうが知るのはかなり後になってからである
ノノとココとジャンヌは、7日間の間に野うさぎを狩りまくり
合計40匹の野うさぎをアイテムボックスに保存した
また、一度だけ大猪を討伐しアイテムボックスに保存した
野犬は30匹をギルドへ売り渡していた
その売上金で焼き串と焼き鳥
それと果物と干物、干し肉を購入し7日間を終える
クラシスとリズの2人は、『ひよこ亭』の3人のスカウトに行ったのだが
最初に『アイギス』の街を離れる事を知らせると
『ひよこ亭』の3人は『アイギス』についていきたいとお願いしてきたので
クラシスとリズはリウの馬車が完成するまで『ひよこ亭』での喫茶店での生活をお願いした
どうやら宿屋としては『ひよこ亭』は機能していないみたいで、いつでも店をたたむ事が可能といっていた
リウの7日間の自由行動の最終日の夜、『アイギス』の6人は『ひよこ亭』で晩ご飯を一緒に食べていた
食べながらノノ達の討伐の話を聞き、野うさぎの数と大猪を教えてもらい驚愕し
リウの渾身の荷馬車の完成をみんなに教え、明日お披露目する事を教えて
ノノとココとジャンヌが楽しそうに笑顔で話を聞いている
クラシスとリズは7日間にポーションと解毒ポーションの作成に成功していた
そして、『ひよこ亭』の3人の『アイギス』加入が決まる
リウはアライズさん達のパーティー加入で嬉しくてアライズさんに抱きつく
それを見たアリサさんとアンナさんもリウに抱きつき
ノノとココも負けじとリウに抱きつき、リウは体制を維持できず店内で転がるのだった
それを見ていたジャンヌとクラシス、リズは「しょうがないわね」という顔でリウを見ていた
リウは転がりながらもアライズさん達に
「これからもよろしくお願いします」
それを聞いたアライズさん、アリサさん、アンナさんは
「もちろんです、一緒にどこまでも!」
と声を揃えてみんなに宣言するのだった
リウ達『アイギス』は総勢9人になり、パーティーよりのファミリーの様な構成になりつつあった
それでも攻撃よりも守り重視、守り重視よりもポーション作成というみたいに
一般的な冒険者というより職人よりのパーティーになりつつあるが
それを指摘する人はこの中にはいなかった
『アイギス』が9人になり、荷馬車が完成
次回、街脱出とか?




