0-35『アイギス』夜営をする
森の深部への薬草搾取当日
『アイギス』5名はお揃いのマントを装備して森へと赴いていた
リウはMAPを展開し、ノノとココは周囲警戒をし、クラシスとリズは初めての深部での探索で緊張していた
「クラシスさんとリズさんにはスキルの危険回避を修得してもらいます。薬草採取や森の散策でも使えるスキルなので覚えておいて損は無いです」
「ノノも最初に修得した~」
「・・・ココも~」
「最初は周囲に異常が無いかを観察し、そして、周囲の草の動きや木々の気配を知り、僅かな変化を感じるんです。ノノとココもスキルを修得するのに時間はかかりましたが、今では完璧にスキルを使いこなしています」
「わかりました、周囲を警戒し移動してみます」
「森の中の観察と木々の気配ですね・・・やってみます」
「それでは隊列は僕が先頭で、次にクラシスさんとリズさん、最後にノノとココが周囲を後方を警戒して移動しましょう。野犬の気配が少ない気がするので、野犬や野うさぎに対しては逃げずに戦いましょう」
「異常があれば知らせます」
「・・・任せて警戒は万全」
「負けずに警戒します」
「負けませんよ~」
「昼までに薬草採取場所まで着くようにしましょう、今日は弁当じゃなくキチンと料理するからね~」
「「たのしみ~」」
「リウさんの料理ですか~」
「なにを食べるのかな~~」
「昼ご飯は簡単な料理になるけど、晩ご飯は期待していいからね~」
「おぉ~、やる気出てきた~」
「がんばる!」
「えへへへ、昼ご飯と晩ご飯の2回もリウさんのご飯ですか~」
「うふっふふ、楽しみが止まりませんね~」
「さぁー、楽しみは薬草の採取場所に着いてからだよ。ここからだと1時間後には着きそうだから各自『身体強化』『速度強化』を唱えて進もう」
「「はい」」
「「了解」」
スキルの影響と食べる意欲の影響か昼前には薬草の採取場所へと到着する事となる
「ノノとココは周囲を経過して、クラシスさんとリズさんは薬草の採取をお願いします。20個採取したら交代して下さい、僕は昼ご飯の準備しますから少し待ってて下さいね」
「「はい」」
「「がんばります」」
MAPを展開し、赤マーカーの反応が周囲に無い事を確認しながら食事の準備を進める
リウは4人の採取を横目に見ながらコンロを出し鍋で干し肉・葉野菜を茹ではじめる
味付けは塩コショウのみとして、簡単なスープを作り上げる
黒パンをコンロで軽めに焼きバターを塗り、露店で購入した焼き串の野うさぎ肉と葉野菜をはさむ
これで2品完成する
コンロをもう1つ使用してポットで湯を沸かし、紅茶の準備もする
食後にはバナナと林檎も購入済みなので好きな果物を食べてもらう
コンロをはさんでテーブルセットでアイテムボックスから取り出し食器を並べはじめる
「ご飯の準備できたよ~、戻ってきて~~」
「「すぐ行きます」」
「「まってました~」」
戻ってきた4人にリウは「清潔」を唱えリフレッシュさせた
4人は「はふぅ」とさっぱりした顔をしながらテーブルへと着く
4人の前にスープとパンを配る、紅茶は食後に出すつもりでいた
テーブルの真ん中にバナナと林檎を取り出しておく
「おかわりもいっぱいあるから、ゆっくり食べてね~」
「うまうま~」
「うま~、おかわり~」
「こっちもおかわり~」
「野営で温かいご飯が食べれるとは・・・」
4人には好評みたいだな
スープも干し肉からのいい出汁が出ているみたいだし塩コショウでしっかりスープになっている
焼き串の肉と葉野菜もパンに合っているな
焼き串は大量に購入した方がイイかもな~
4人とも『ひよこ亭』の食事より美味しそうに食べていた
食後の紅茶を飲み、各自果物を食べてまったりしていた
「そういえば、リウさんはランクを上げないんですか?」
「ランク上げですか・・、次はDランクだっけ?」
「ランクを上げる資格はあると思います」
「ランクを上げるのはノノとココも一緒の方がイイです」
「ノノとココはGランクだからFランクにランクアップしてから考えましょ」
「そういえばクラシスさんとリズさんはランクいくつなんですか?」
「2人ともCランクですよ、ギルド職員はCランク以上が規則なので・・・」
「うらやましい・・・」
「すごい・・」
ノノとココはクラシスとリズに羨望の眼差しで見つめていた
ノノとココをFランクにしてから一緒にEランクに上げるのが目標か・・・
まぁ、ゆっくり育っていけば大丈夫でしょ
「そろそろ薬草採取を再開しよう、僕は後片付けするから採取の方よろしくね」
リウはコンロと鍋にポットをアイテムボックスに保管し
調理器具と食器に「清潔」を唱え綺麗にする
テーブルセットもアイテムボックスに保管し装備を整える
MAPを展開し、森の深部の方面を見ていると山間部と森の間に1つ赤マーカーが鎮座しているのが見て取れた
今日向かう方向に赤マーカーの反応ありか・・・
さて、山間部へ近づくのは止めた方が好いかも知れない
一度、5人で相談してから行き先を考えよう
薬草採取は1時間もかからず終了し、休憩をはさみつつこれからの生き先について話し合いをしていた
向かう先には大きな反応があり、迂回して深部へ向かうか
反応に向かって進み、討伐なりし、反応の正体を確かめるという2つの意見に分かれた
「ノノとココも山間部にいる反応に気がついてるね」
ノノとココは山の方に指をさし
「前の狼の時と同じ感じがする・・・」
「戦いたくないかも・・・」
2人は反応の大きさを緊急クエストの時の狼かそれ以上だと感じていた
MAPで見ていても動きは無いみたいだな・・・
クラシスとリズは何か思う所があるのか・・・
「冒険者ギルドへ知らせた方がいいかも知れませんね」
「緊急性の事案ではないと思いますが、近づくのは止めた方がいいと思いますね」
ノノとココの反応を見て、戦うのは得策ではないと考えたみたいだ
山間部への接近は危険なので、今日の夜営場所はこの場で行うことにした
「それじゃ、深部への進行は中止してこの場での夜営を実施します。クラシスさんとリズさんは簡易陣地を築く場所を探してください。ノノとココは枯れ木を集めて焚き火の準備をしてください」
「簡易陣地は大木を囲んでいる方がいいのかい?」
「それと杭とロープで囲む作業も同時作業で進めます」
クラシスとリズは薬草採取場所から見て街側の方へ陣地を構え始めた
採取場所から少しだけ離れているので採取場所を荒らさずに済みそうだ
ノノとココはアイテムボックスに枯れ木を大量に集めてきた
森の中で一夜を明かすという事で一晩中焚き火をすることを決めていた
クラシスとリズは簡易陣地の場所を土魔法で高さ1mの幅50mの土壁で陣地を囲んでいた
簡易陣地は12畳くらいの広さでテントと焚き火、コンロを並べていた
土壁の外側にも土壁から2m離したところに高さ50cmで杭とロープで囲っていた
簡易陣地としては1mの壁が野犬の侵入を防ぎ
もしもの時は土壁を高く厚くすればイノシシの侵入も防げそうだ
「それじゃ、早いけど晩ご飯の準備するからノノとココは手伝いして、クラシスさんとリズさんはテントの設置と焚き火の準備をお願いします」
「「はい、まかせて~」」
「テントは1つしかないけどイイの?」
「一緒に寝ます?」
「あははは、マントに包まって焚き火の前で寝ますから大丈夫ですよ」
「一緒に寝てもいいのに・・・」
「なら焚き火の前で一緒に寝る」
「リウさんはモテモテだね~」
「天気もいいから、みんなで焚き火の前で寝てもいいかもね~」
「さぁー、コンロに鍋の準備しますよ~。干し肉と野菜を煮込み、焼き串も入れてボリュームアップ」
コンロに鍋をのせ、干し肉と野菜を煮込んでいく
隠し味で生姜を入れているのは内緒
「ノノとココは野菜と焼き串をカットしてください。今日は大量に作りますからいっぱいカットしてくださいね。焼き串は大きめにカットしてね」
リウは煮込んでいる鍋の前で黙々と灰汁をを捨てる作業をしている
ノノとココがカットした野菜を鍋へ入れ
パンを半分のカットし片面にバターを塗りフライパンで焼いていく
灰汁取りも終え鍋が完成したころには
テーブルに4人が座って待っていた・・・
周りを見ると簡易陣地は完成しており、焚き火もついていた
陣地はロープでも囲まれており侵入は困難な装いをしていた
テントも建ってはいるが4人ともマントを焚き火の傍に置いてるところをみると
外で寝る気満々だな・・・
「それじゃ、晩ご飯にしようか~」
「「お肉の鍋です~」」
「リウさんなんで料理できるんですか、ずるいです」
「今回の鍋も美味しいです」
クラシスさんとリズさんは泣きながら食べている・・・なぜに泣く?
ノノとココも野うさぎの鍋が気に入ったみたいでいっぱい食べている
「おかわりもあるから、いっぱい食べて~」
晩ご飯を食べながらリウはMAPを展開し、山間部の赤マーカーの動向を見つめていた
5人は何杯もおかわりをし、食後の紅茶を楽しんでいた
「紅茶を飲みながら出いいから話を聞いてね、山間部の反応は動きは無いけどノノとココは動きがあればみんなに知らせてくれ、クラシスさんとリズさんは2人の反応を見て土壁の補強をお願いします。狼単体なら魔力障壁で動きを封じて4人で攻撃すれば討伐も可能だけど・・・無理な戦闘は避けたいのでそのつもりでいてね」
「攻撃されたら反撃するけど、こっちからは手を出さないという事?」
「それと防衛はするけど深追いはしないと?」
「ココと交代で反応を観察します」
「・・・反応をしっかり見てる」
「では、交代で見張る事にしよう最初にノノとクラシスさんが見張りをお願いします。次にココとリズさんで見張りをし、最後に僕が見張ります。見張りの時は『身体強化』『速度強化』を唱えて万全の態勢で見張ってください。それと何かあればすぐに起こしてね」
「リウさん心配しすぎです。周囲警戒は万全です。クラシスさんもいますから不安はありませんよ」
「そうです、夜は長いんですから。しっかりお休みください」
「わかりました。先に寝ますが、武器は手元に置いておきます。それと屋食用に林檎を出しておくので食べてくださいね」
ココとリズさんもマントに包まり「おやすみ~」と焚き火の傍で横になった
リウもマントに包まり「おやすみ~」と横になる
『アイギス』として森の中での長い夜営の始まりであった
ノノは山間部の嫌な反応を注視していた、クラシスさんは土壁を部分的に補強を施し
焚き火を前で周囲警戒を行っていた・・・
夜営してます
ご飯担当はリウです




