4-348『エルフの集落』からの手紙と船の動力とか
リウ達は『エルフの集落』から届けられた手紙を読み
『アイギス』が春に船での旅にエルフ数名が同行すると書かれていた
「手紙には春の船旅に同行者があると・・・?」
「まぁ、平たく言えば・・・そうなのかな」
「同行者とだけ書かれてあるけど誰が来るかわ・・・詳細不明かな」
「知り合いとは限らないし何より『エフルの集落』からの手紙と言うだけでエルフが来るとは限らないか・・・」
「『龍の巫女』が同行する可能性が濃厚??」
「なんにしても船の旅だけど『アイギス』メンバー全員が乗り込み同行者数名が乗り込むとして・・・トレーラーハウスと荷馬車も搭載すると考えて・・・『魔力船』を二倍は船内を広げる必要があるか・・・」
「・・・あの船をもっと大きくするの?」
「・・・大きくしすぎると浮かないんじゃ?」
「・・・船としてのバランスが破綻するんじゃ?」
「・・・動力の『魔石』は足りる?」
「そういや、船の動力はどうなってるんだっけ?」
『エルフの集落』の手紙の話題からリウの『魔力船』の話になっていた
『アイギス』のメンバーは『魔力船』の作成を手伝っていたが
『魔力船』は『浮遊』で海上に浮かせており移動に関してはメンバーの誰も知らずにいた
「『魔力船』の移動に関しては考えている事があるけど・・・」
「考えているという事は移動に関しては・・・これからって事?」
「そそ、海上だからね一般的には『帆船』にするか・・・、ゴーレムを動力として活用するか・・・」
「『帆船』って「帆」に風を受けて動く船だっけ?」
「そそ、港にある船はこの『帆船』だね」
「それでゴーレムを動力にするって?」
「馬車を引く馬の様に、海でも自由に動けるゴーレムに船を引いてもらうか・・・」
「ゴーレムって水に浮くの??」
「魔石に『浮遊』スキルを付加すれば平気じゃないかな」
「ゴーレムの形状は魚類とか?」
「今考えているのは『亀』かな・・・『海亀』型にしようかと思う」
「『海亀』・・・見た事無いけどリウは知っている魚?」
「『海亀』は魚じゃないけど知ってるよ~」
「それじゃ、『魔力船』の建造と『海亀』のゴーレム作成は同時進行で進めるの?」
「『海亀』ゴーレムは一度商業者ギルドに相談に行くよ、港に停泊する必要もあるしね」
「『海亀』型ゴーレムに敵対意識を持たれても困るしギルドに相談は必要ね」
リウは『エルフの集落』からの手紙をアイテムボックスに保管し
テーブルの上に土魔法で作った『粘土』で『海亀』型ゴーレムを作り出す
リウが『粘土』でゴーレムを作るのをクラシス達は晩酌しながら見つめ
『赤の弓矢』の『クロス』は林檎を頬張りながら
リウの手の中の『粘土』が形を変え『亀』になるのを『おぉ~』と声を上げ驚いていた
『赤の弓矢』の5人にもゴーレム作成の初歩的な事を教えるつもりでいたが
『魔力船』を作り始めた事により『赤の弓矢』の指導を疎かになりつつあった
リウは『海亀』を作り身体と腕のバランスを調節をしながら
「『赤の弓矢』のみんなにもゴーレム作成を教えるんだよね?」
「冬期間に突入したら教えるつもり~」
「それなら野営の護衛役のゴーレムか馬車を引くゴーレムが良いかもね」
「犬型ゴーレムか馬型ゴーレムか・・・教えがいあるね」
「冬期間はクエストも少なくなるし、それまで活動資金を貯めるのが一般的な初心者冒険者の暮らし方なんだが・・・」
「『赤の弓矢』は『かまくら宿屋』があるし宿泊費の心配は無いけど、今年は僕らがいるから良いが来年からは自分らで生活費を稼ぐ必要がある・・・」
『赤の弓矢』は現在『アイギス』の指導の元『かまくら宿屋』で一緒に住んでいる
それは今年限りで来年の春には『北の港町』を離れる事になる
『テレサ』にだけは教えていたが『ヴィータ』と『クロス』は不安そうにリウを見つめ
「春にはお別れなの?」
「春からご飯はどうするの??」
『カムロ』と『クシム』は薬草採取でも周囲警戒でも初心者冒険者よりも優れた成長を見せていたが
『アイギス』の指導が残りわずかと聞き
「春までしかないのか・・・」
「まだ教えてもらいたい事があるのに」
「それでも覚える事が多すぎる・・・」
『赤の弓矢』は『テレサ』以外が混乱していたが
「時間はまだあります、春までに覚える事をしっかり覚えましょ」
「「「「・・・はい」」」」
「それに分からない事はギルドで『エコリス』さんに聞けば大丈夫だし、今は薬草採取や野営を繰り返して不安や不明な事を理解しましょ」
「幸いリウさんに薬草採取の地図があるし・・・これがあれば薬草採取とポーション作成で生きていけます!」
「ポーション作成の『調合』スキルの向上は必須かな~」
「私はアライズさんに料理を教えてもらわないと・・・」
「『かまくら宿屋』での食事も自分たちでやっていかないといけないし・・・」
『赤の弓矢』の話し合いは『テレサ』がメンバーをまとめ
『カムロ』と『クシム』が冒険者としての仕事の心配をし
『ヴィータ』と『クロス』は毎日の食事の心配を始める・・・
そんな様子をギルドの受付嬢達はニコニコしながら
「料理の試食は任せて~♪」
「『赤の弓矢』のみんなが『かまくら宿屋』を引き続き営業してくれれば安心ね~」
「それに『アイギス』が街を離れた途端『かまくら宿屋』が閉店とかは嫌ですよ?」
「それよりリウさん達がいなくなったら『かまくら宿屋』が『かまくら女子寮』になりそうね」
「『かまくら女子寮』になったら皆さん利用しますか?」
「それは食事次第かな・・・美味しいなら宿屋を解約して住む可能性があるね♪」
「「「わたしも♪」」」
どうやら『赤の弓矢』は冒険者で生きていくより宿屋としてもやっていけそう・・・?
まずは『ひよこ亭』の料理を覚えるところから始まるのだが
現段階で『かまくら宿屋』の4割は『赤の弓矢』のメンバーが調理しているのだが
受付嬢達からは料理の味が変わったとか聞かないので
『ひよこ亭』の料理は確実に『北の港街』に浸透していると感じていた
後日リウは商業者ギルドへ行き『海亀』型ゴーレムの作成と港への停泊許可を貰うのだった
『海亀』型ゴーレムは『魔力船』よりも巨大でリウの所有する魔石をふんだんに使用し
『海亀』型ゴーレムと『魔力船』を結合し運用してみると
港に停泊している巨大船よりも2倍の大きさになり商業者ギルドの冒険者が所有する船では最大の船舶と言う事だった
それよりも商業者ギルドでも冒険者ギルドでも気になるのは『海亀』型ゴーレムの事だった
姿形は『海亀』によく似ていたが・・・違う点は『亀』の甲羅の部分に木々が生えている事だった
林檎の木や柑橘系の木々があり収穫期には色とりどりの果実が期待出来た
商業者ギルドから海の魔物と間違われない様に亀の甲羅にギルドの旗を掲げる事が決まった
それは『海亀』がギルド関係者と言う意味も込め、外敵じゃない事知らしめることに成功するのだが
なんにせよ『海亀』は『魔法障壁』を付加した魔石を搭載しており
海上で襲われても障壁を展開し逃げ切る性能が『海亀』型ゴーレムにはあった
「それで『海亀』型ゴーレムと『魔力船』の名前は?」




