4-346森の中の『赤の弓矢』とか
『アイギス』による『赤の弓矢』の指導教育は新人教育から専門的な指導に移行していた
薬草採取から乾燥薬草に加工したりポーションを調合したり
野犬や黒犬討伐から黒熊や大猪討伐に対象を変えて戦い方を学び
そして、獲物の解体を覚え少しでも食糧を自ら得る事を覚えていく
食糧の確保から次は調理を覚え『かまくら宿屋』の調理場の管理を
『アイギス『ひよこ亭』』から『赤の弓矢』に交代していく
最近では焼串や焼鳥といった晩酌料理から
角煮や煮込み料理といった手間のかかる料理まで調理可能になっていた
焼きたてパンや麦ご飯などは手間と材料の関係上教えてはいなかったが
リウが料理をする時に必ず、『白米のご飯』が食卓に並んでいたので
『赤の弓矢』のみならずギルドの受付嬢達にも『白米のご飯』は好評だった
『北の港町』では一部の露店で販売していたが一般的に普及している訳じゃなく
少しだけ高級品と言う位置づけで『かまくら宿屋』では
リウ達が収穫した『米』をマジックバック数個分調理場の地下貯蔵庫に保管してある
それ以外にも麦など穀物もマジックバック数個分地下貯蔵庫に保管してあり
『かまくら宿屋』には通常の宿屋や露店よりも食糧の備蓄を確保していた
酒類も『赤の弓矢』で飲めるのが『テレサ』のみであったが
ギルドの受付嬢達が毎日の様に酒瓶を持ち込んでおり少なからず地下貯蔵庫に酒があった
この日は『赤の弓矢』は草原へ薬草採取へ赴き
ノノ・ココ・ジャンヌが相棒のゴーレム達と一緒に護衛役として出掛けていた
ノノ達は常時周囲を警戒しゴーレムに騎乗しながら『赤の弓矢』の後ろを移動していた
『赤の弓矢』の中で『カムロ』『クシム』が周囲の警戒の範囲が広く
草原や森を移動中は全員で周囲を警戒してはいるが
先頭を『カムロ』で最後尾を『クシム』で移動する陣形で歩き進めるのだが
『ヴィータ』と『クロス』が『魔法障壁』をいつでも展開出来るようにし
『テレサ』は移動中も弓を構え野犬や黒犬の遭遇に備えている
その様子をノノ達は少し離れた位置で『遠見』スキルで確認していた
『テレサ』達の周囲には野犬や黒犬の反応は無く
『カムロ』はリウの地図を頼りに採取場所へ移動している
「『テレサ』の指揮なのか全方位警戒を怠っていないな」
ココは『赤の弓矢』が慎重に森の中を闊歩しているのを感心している
ノノは『赤の弓矢』が警戒し過ぎている気がし
「『カムロ』が後方を無視して進軍してる気がするけど・・・」
「それは『ヴィータ』や『テレサ』が離れずついているのを感じているんじゃない?」
「『カムロ』は周囲の警戒がメンバーの中でも優れていたね・・・」
ノノやジャンヌは『赤の弓矢』のメンバーが思ったよりも成長しているのを確認し
『北の港町』の周囲の草原や森では安全に活動できそうだ
問題があるとしたら・・・
「『赤の弓矢』の戦闘力はどれくらいあるんだっけ?」
「前に野営時に野犬の群れに襲われた時は『ボルト』の無駄撃ちはあったけど・・・無事殲滅できたはずだし」
「野犬の群れしか遭遇した事無かったかな?」
「黒犬や黒熊とは・・・いずれ戦わせてみたいな・・・」
「それなら『アイギス』の荷馬車で遠出でもしてみる?」
「んー、リウ屋クラシス・リズと相談かな・・・」
ノノ・ココ・ジャンヌの3人が話しているうちに『赤の弓矢』は採取場所へ到着し
『テレサ』と『クロス』が周囲を警戒しながら
『ヴィータ』『カムロ』『クシム』の3人が薬草採取を始める
「『テレサ』と『クロス』は採取場所を土壁で囲みながら弓を構えてるね」
「採取中でも『赤の弓矢』の5人は周囲警戒をしているみたい・・・」
「薬草採取も丁寧だし・・・キッチリ薬草を束にしてる」
「森の向こうから野犬の群れ・・・野犬4匹接近中!」
「今の位置で『狙撃』準備!」
「『赤の弓矢』に危険が及ぶようなら狙撃します!!」
ココが森の奥から『赤の弓矢』に接近する4つの反応を感知した
ノノ・ココ・ジャンヌは『遠見』スキルで『赤の弓矢』のメンバーを目視で確認し
いつでも『魔法弾』を放てるように警戒している
『カムロ』と『クシム』は周囲警戒の範囲内に接近した4つの反応を感知し
「森の奥から反応4つ!」
「『ヴィータ』と『クロス』は土壁と『魔法障壁』を展開!『カムロ』と『クシム』は『ボルト』を放てるように!!私も『ボルト』の準備!!アイズと共に『ボルト』を一斉に撃ちます!!!」
「「「「了解!!」」」」
『赤の弓矢』5人の周囲を囲む様に土壁が作りだされ
土壁を補強するかのように『魔法障壁』が土壁を囲む様に展開していく
この時には『赤の弓矢』の全員が接近する4つの反応を感知し
『テレサ』『カムロ』『クシム』の3人が『ボルト』を放つ為に魔力を練り上げていく
野犬が20mまで接近し『テレサ』が目で『カムロ』と『クシム』に合図を送り
「カウントダウンで『ボルト』放て!!5・4・3・2・1『撃てぇぇ!!!』」
ドゥドゥドゥ!!!
瞬時に3発の『ボルト』が野犬の群れに放たれる・・・
4体の野犬に『ボルト』が命中するが今の攻撃で全弾命中したのだが
野犬3体に命中し倒したのは野犬1体で野犬2体が足に被弾し負傷はしている
無傷な野犬は『ヴィータ』と『クロス』の土壁と『魔法障壁』に体当たりをしている
『テレサ』や『カムロ』『クシム』は『ヴィータ』『クロス』の土壁と『魔法障壁』を信じており
野犬の攻撃で破られるとは思ってはいなかった
負傷した野犬2体と無傷な野犬は土壁を『魔法障壁』に執拗に攻撃を仕掛ける
『再度『ボルト』放て!5・4・3・2・1『撃てぇぇぇ!!!』」
ドゥドゥドゥ!!!!
『テレサ』達の放った『ボルト』は野犬の頭部に命中に息絶えるのだった
剣や矢による攻撃じゃないので野犬の身体にはキズが無く
野犬は頭部破損による致命傷で4体を仕留める
『テレサ』は周囲に危険が無い事を確認し
「警戒解除、引き続き薬草採取します」
「「「了解~」」」
『ヴィータ』はマジックバックに野犬4体をすぐさま保管していく
今回は日帰りの薬草採取なので昼ご飯は自分たちで調理した
練習中の角煮や煮込み料理に加え焼串や焼鳥を用意していた
食事中も『ヴィータ』は土壁を展開し安全第一で森での活動をしていた
ノノ達3人は『遠目』スキルで『赤の弓矢』を遠くから護衛していたが
予想以上に安定して野犬の群れを倒し薬草採取をしていた
食事は焼串や焼鳥を葉野菜をパンではさみ頬張っている
食後の紅茶は無いがノノ達はアイテムボックスから林檎を頬張り
「そういえば・・・この距離は『カムロ』『クシム』には感知できる範囲外だよね?」
「多分そのはず・・・森に入ってからこちらを見ていなかったし」
「周囲警戒の範囲は・・・50m以内という感じかな?」
「森の中なら木々が邪魔で20~30m以内じゃないかな・・・目視で確認してから『ヴィータ』が声をかけてたし」
「それなら森や草原で薬草採取をして周囲警戒の感知範囲を広げる必要があるな」
ノノ達が話しているうちに『赤の弓矢』は食事が終わり土壁内で昼寝を始めていた
土壁で4方を囲み安全確保をしているとはいえ5人全員が寝るとは・・・
「1人くらい監視役がいればいいのに・・・」




