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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
334/354

4-334討伐の裏方とか

リウ達の報告後のギルドの対応は早かった

森や街道へ冒険者による偵察を増やし

『湖の街』周囲の状況を逐一確認していく事になる

それとランクB冒険者パーティーよりも先にランクC冒険者パーティー2組が街に到着し

『湖の街』の防壁の上から弓を構え監視をしていた


ランクCと言う事で『森の討伐者』と同じく実力者と言う事だが

どうやら『森の討伐者』と違い討伐依頼専門のパーティーと言う事だった

それとランクCの2組のパーティーの特徴だけが

魔法を得意としている者が少ないのかリウの目から見て魔力の多そうな者はいなかった

それは魔法も用いずにランクCの実力者と言う事と

2組とも大弓を構えているのを見て遠距離からの狙撃向きの戦い方をすると思われた


リウ達は遠目からでもランクCの冒険者達が『人食い熊』を倒せるとは思ってもいなかったが

ランクB冒険者達が『湖の街』到着までなら街を任せても大丈夫と思い

リウ達は『かまくら住居』にてポーション作成に精を出すのだった・・・


『森の討伐者』の6人はランクCの冒険者同様に『湖の街』の防壁での監視作業をし

冒険者ギルドの冒険者が交代で防壁の上での監視に従事する事になる

監視作業時の食事に関しては商業者ギルドで調理し運んでいた

『アイギス』でも食事の準備をする為にアライズ達が手伝いに向かうのだが

『湖の街』の出入り禁止の為にクラシスやリズの2人が『かまくら住居』に留守番をし

他のメンバー全員で監視作業をしている冒険者達の弁当作りをしていた

この食事の準備もギルドから報酬が出るという事だったが

報酬は仕事終わりに露店で焼串や焼鳥を購入したり

晩酌用に色々な酒をクラシス達のお土産にし

『人食い熊』の襲撃に備えるはずの冒険者にはあり得ない事だが

『アイギス』と『森の討伐者』は毎晩晩酌をするのだった

晩酌をしながらグラダとダーツは今日の防壁上の監視作業の話をしている


「それにしても監視作業をしているが『人食い熊』は本当に街を襲うのかな・・・」

「それなんだが偵察に向かった冒険者達が森の奥から凄い存在感があると話してたな」

「凄い存在感か・・・『人食い熊』なのかな?」

「『人食い熊』だとしたら森の奥で何をしているのか分からないね・・・」

「森の奥って巨大な黒犬が現れた森の事?」

「偵察に向かった冒険者の話ではそうだね、巨大な黒犬が現れた森への街道は封鎖してるから、冒険者達も森の奥へは行かなかったという話だよ」

「よりによって巨木の森へ移動してるか・・・」

「リウ達も森で反応を感じたって言ってたけど・・・巨木の森の方向じゃなかったの?」

「僕らが感じたのは巨木の森の付近であって、巨木の森の中からじゃなかったはず」

「一度は街に接近してと思ったんだが・・・巨木の森への移動か・・・あの森は魔力が溢れているから時間が経つほど危険な状況になりそうで怖いな」

「最後にリウが『人食い熊』を確認した時の姿形はどういう感じだったの?」

「数日前に見た限りでは2本足で立ち4本の腕があり巨大な黒熊かな・・・圧倒的な存在感で戦いたくないと思ったね・・・」

「巨大と言うだけでも厄介なのに、4本の腕ですか・・・それは戦いたくないな、むしろ逃げたいな」

「街への襲撃が無くてもランクB冒険者パーティーが到着したら巨木の森への討伐が始まるのかな?」

「ギルドの話ではそうだね、ランクBとCの混合パーティーで討伐に向かうらしい」

「その時は『森の討伐者』の6人も討伐に?」

「それなんだが我々は引き続き防壁上での防衛をするかな・・・」

「討伐報酬に関わるという事で『湖の街』の冒険者の同行は無いという話だった」

「ランクBとランクCの冒険者達が揃えば討伐失敗という事は無いだろうね」

「もし失敗するようなら『湖の街』の冒険者全員で討伐に向かわないといけないね」

「そうならない事を祈るよ、『人食い熊』は予想以上に強敵だから・・・」


リウ達は『人食い熊』の襲撃に備えトレーラーハウスと『ジン』の荷馬車を地下に隠し

新たに『アイギス』の宿泊場所として『かまくら住居』を作成する

これにより敷地内には『かまくら住居』が3つ並んで建っていたが

もしものことを考えて『アイギス』と『森の討伐者』全員が地下に寝室を作り

『人食い熊』襲撃時に『湖の街』が崩落しても大丈夫な作りになっていた

『ジン』や『白銀龍』『クロ』にゴーレム達も地下に避難し

もしもの時はリウは『アインス』や『ジン』と共に『人食い熊』と闘うつもりでいた

まぁ、その時はリウだけでなく『アイギス』の全員が討伐に向かうのだが・・・


「グラダさん達と一緒に監視をしていたランクCの冒険者達は大きい弓を構えていたけど?」

「あれは大弓だな、通常の弓よりも強力なんだが扱える冒険者は殆どいないと思うよ」

「あの冒険者パーティーは全員が大弓を持っていたけど・・・『森の討伐者』では大弓を使う人は?」

「「「「「いないね」」」」」

「遠距離で弓を使っての攻撃方法は我々には不要だしな」

「薬草採取をするにしても危険を察知すれば回避してたしな」


この日は深酒になる前に寝る事になるのだが・・・

どういう訳かリウ達に弁当の手配と間食用に焼串と焼鳥をお願いされた

出来れば林檎とか果物でも頬張ればいいのに・・・と、リウは思うのだった




それから数日後、ランクBとランクCの冒険者達により『人食い熊』討伐を成功するのだった

『アイギス』は監視作業の冒険者達の食事の世話をしていた

『森の討伐者』は『湖の街』の防壁上で監視作業をしているうちに討伐が終わり

春先から初夏まで続いた『湖の街』での災難は無事終わりを迎える






『湖の街』での『アイギス』の評判はゴーレムに乗り薬草採取をする冒険者から

薬草採取をし自らポーションを調合するポーション屋になり

最後にポーション屋でありながら料理上手の冒険者パーティーと呼ばれる様になる

もっともギルドとしては安定して品質のポーションを納品してくれる冒険者と思われていた

討伐と言う花形はランクBとCの冒険者の物です。

リウ達は街で料理を作り、みんなに振舞うという『アイギス』らしい裏方の仕事をするのだった。

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