4-333新しい『かまくら住居』は別名『ひよこ亭』とか
リウ達が『人食い熊』の反応を巨木の森付近で感じた事をギルドに報告する
それと同時に『湖の街』から巨木の森までの地図をギルドに提出した
もっとも地図には街と街道と森の位置を書いてあるだけの簡素な作りになっていた
それでもギルドの所持している地図よりは細かに書き込まれており
両ギルドのギルド長やギルド職員からは驚きの声が聞こえる・・・
「斥候と言う事で『人食い熊』を目視確認してませんが、地図の印を付けた位置にいると思われます」
リウの報告に冒険者ギルドの職員から
「目視確認しなくても位置が分かるのか?」
「えぇ、普通の黒犬や黒熊と違った存在感がありました・・・」
「それは君達でも逃げ出すほどの存在感だったのかい?」
「僕達の依頼は偵察と言う事でしたので『人食い熊』と思われる反応を感知し戻ってきました」
「なるほど・・・その反応以外には何も感じなかったという話だったけど?」
「そうです、森にも街道にも何も反応はありませんでした・・・」
「偵察に向かった冒険者の誰も反応を感じなかったと・・・」
「討伐の生き残りの冒険者の話では無数の黒犬や黒熊が現れたらしいんだが・・・」
リウ達の報告に冒険者ギルドのギルド長と職員が色々と話し合いをしている
商業者ギルドの職員はすぐに『人食い熊』の襲撃が無い事に安堵している
それでも商業者ギルドのギルド長だけは街道封鎖に伴う物量の停滞にため息をついている
「それで今後どうするんだ?」
商業者ギルドのギルド長はこれから『湖の街』の対応をどうするか聞いている
冒険者ギルドと商業者ギルドの関係者に『湖の街』の代表者がいる会議室が静かになる・・・
ここにいる誰もこれからどうするか対応に困っていた
暫らく無言の時間が過ぎリウは報告も終わったし帰ろうと思い
「それじゃ、僕らは帰りますね・・・」
リウ達は4人揃って席を立ちゴーレム達と共に会議室を後にする
リウ達が会議室を出る前に商業者ギルドの職員から声がかかる
「偵察の報酬はギルドカウンターで受け取って下さい」
「わかりました」
「この地図の代金は後日報酬を支払いますので・・・」
リウ達はぺこりと頭を下げ今度こそ会議室を後にする
この日は偵察の報酬を受け取り『かまくら住居』へ戻るのだった・・・
報酬額は『アイギス』での薬草採取の報酬の数倍あり
この報酬だけで薬草採取3日分の報酬となった
『かまくら住居』の戻るとクラシスとリズが土壁の補強をしており
『湖の街』の防壁より堅甲に頑丈に作りかえられていた
敷地内の畑ではシルキーとミルキーが『白銀龍』と『クロ』と一緒に野菜の収穫をしていた
『白銀龍』と『クロ』は野菜の収穫をしながらトマトを頬張っていた
『湖の街』では多少の野菜不足になりつつあるが敷地内の畑だけは豊富に野菜が生い茂っていた
「葉野菜にトマトにナスも収穫してるか・・・」
「『木魔法』の影響が大きいし『白銀龍』と『クロ』が野菜達に魔力を注いでいるのも収穫を速める要因かも♪」
「ギルドに納品するだけの野菜を収穫出来ないし・・・ここで食べるしかないかな」
『ここのトマト美味しいよ♪』
『トマトの煮込み料理食べたいな・・・』
「それならアライズ達にトマトの煮込み料理をお願いしようか~」
『『おぅ』』
最近では『森の討伐者』の6人が『かまくら住居』に住み
『アイギス』はトレーラーハウスに寝泊まりしていた
調理や食事に関しては新たに『かまくら住居』を作成し
大きな調理場と大人数が座れる食堂を作り上げる
調理場は10人以上が調理できるほど広く
食堂は40人以上座り食事が出来る広さがあり
『アイギス』と『森の討伐者』の全員が食事できる広さがあった
新しい『かまくら住居』は『ひよこ亭』という呼び名になり
アライズ・アリサ・アンナ・シルキーミルキーの5人が常時料理を作り
いずれ旅立つ事に備えパンを焼いたり焼串や焼鳥を炙りだす
クラシスとリズは警戒態勢の『湖の街』にあって相変わらず露店で酒類を買い漁っていた
果実酒から麦酒まで樽から瓶までアイテムボックギリギリまで買い込み保管していた
リウ達が外出禁止令で『湖の街』に篭り野菜作りやポーション作成をしていたが
『森の討伐者』のグラダ達は冒険者ギルドで初心者冒険者達の修練に付き合っていた
ウイズとオンはアライズ達のもとで『ひよこ亭』の料理を習い始めていた
最近では焼串や焼鳥の味付けを修得し焼き料理だけはアライズ達から褒めてもらっていた
「焼串や焼鳥はウイズとオンに任せて大丈夫ね」
「簡易コンロでの焼き加減を間違えなきゃ大丈夫」
「ステーキなども基本味付けは一緒だし今度任せてみよう」
ウイズとオンの料理の味見をしながらアライズ・アリサ・アンナの3人は料理の感想を話し合い
簡易コンロを用いた焼串や焼鳥に加え、後日ステーキも2人に任せる事になる
煮込み料理やスープなどは要修練となるが『アイギス』が『湖の街』を離れるまでに
ウイズとオンに『ひよこ亭』の料理を伝授する事になる
もっともウイズとオンの2人が後に料理人になる事は無い
それでも数年後には『森の討伐者』のグラダ・シーダ・ギーツ・ハイザーの男性陣4人は
美味しい料理を食べ過ぎて体重増加により冒険者として早々に引退する事になるのは別の話である
リウ達の報告により『人食い熊』の大まかな位置を知る事はギルドとしては良かったが
その後、他の冒険者により偵察を重ね数日後には巨木の森から『湖の街』に接近する事になる
冒険者ギルドから依頼された冒険者たちは日に日に接近する『人食い熊』を恐れ
最終的にはリウ達に偵察依頼が来る事になる・・・
『湖の街』から1km圏内の位置まで『人食い熊』が接近する
他の街からランクB冒険者達が『湖の街』に到着まで後2日後・・・
『湖の街』の防壁から『遠目』スキルで『人食い熊』を確認出来たが
リウ達以外の冒険者には確認する事が出来ず
森の奥から感じる圧倒的な『人食い熊』の存在感に冒険者たちは恐れ
住民たちは防壁に囲まれた街の避難所に避難していく・・・
『遠目』スキルで確認した『人食い熊』の姿形は
2本足で立ち4本の腕が確認出来た・・・
しかも、姿よりも大きさが巨木の森で見た黒犬並に大きかった
通常の黒熊よりも巨大で腕も数も2倍ですか・・・
「『ジン』よりも巨大なのか・・・聞いていた話よりも巨大化してる」
「巨大になり機動力が上がったとすると逃げるのは無理だな」
「4本の腕による攻撃とか近接武器では攻撃する前にやられるな」
「遠距離から魔法弾を当てる自信も無いけどね・・・」
「そういえば周辺の街からランクB冒険者達が『湖の街』に向かってる話を聞いたけど?」
「もう2~3日で到着予定のはずだけど・・・ランクB冒険者の強さが分からないし大丈夫なのかな?」
「ギルドの話ではランクB冒険者パーティー4組が『人食い熊』討伐をするらしい・・・」
「僕らは彼らが街に到着するまで『湖の街』を護り抜くだけか」
「防壁が破られたら『ジン』と僕らも防衛に回るしかないか・・・」




