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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
331/354

4-331束の間の『ひよこ亭』とか

冒険者達が『人食い熊』討伐に出発した数日後

『アイギス』と『森の討伐者』のメンバーは合同で薬草採取をしていた

これからポーション需要を考えていたが討伐に向かった冒険者に必要な気がしていた

それと同時にリウ達は黒犬や黒熊など食用の肉の確保も行っていた

街道封鎖により北の街からの商隊の行き来不能になり

各種道具や食糧など多少ではあるが『湖の街』での品薄が目立つようになっていた

ポーションなどは『アイギス』が一定数ギルドに納品していたので大丈夫だったが

食糧に関しては討伐を生業としていた冒険者が『人食い熊』討伐に赴き人出不足になっていた



リウ達は猟犬ゴーレムに騎乗し数多くの採取場所を巡り薬草を採取していく

クラシスやリズ達は『森の討伐者』達と共に黒犬や黒熊討伐に赴き

『ひよこ亭』のアライズ・アリサ・アンナの3人は留守番を兼ねてポーション作成をしていた


また、シルキーとミルキーは『かまくら住居』の増設をしていた

『アイギス』とは違い『男湯』と『女湯』の2つのお風呂を作ったり

敷地内の畑の野菜に『木魔法』を唱えて野菜の収穫を促したり

定期的ではあるが野菜を収穫していた



『湖の街』の冒険者ギルドでは冒険者による護衛依頼の需要が高まり

『人食い熊』による街道封鎖と逆方向への商隊の移動には必ず護衛をつける事になる

もっとも護衛をするにも『湖の街』の中堅冒険者は『人食い熊』討伐に向かい

ランクEとかの初心者冒険者が護衛依頼をこなす事になる


薬草採取専門の『森の討伐者』には護衛依頼の話し来ずに

『湖の街』の中で『アイギス』と同じく『人食い熊』に関する情報は皆無であった

ギルドとしては『アイギス』と『森の討伐者』には薬草とポーションの納品に期待し

出来れば毎日一定数の薬草とポーションを欲していた

ギルドに納品時も「今日も薬草ありがとうございます~」とにっこり笑顔で対応してもらったり

ポーションを納品した時も「リウさん達のポーションは品質が良くて人気ですよ~」と少しだけ報酬額が増加したり

『湖の街』での『アイギス』が今まで訪れた街の中で1番のんびり暮らしていた

薬草を採取しポーション作成しギルドに納品する

そんな日常にリウ達は満足していた

少しだけ違うとしたら『森の討伐者』の6人と行動を共にし

朝錬から毎日の修練を一緒に行い

薬草採取とポーション作成も一緒にやり

今では同じ敷地内で暮らすほどになっていた


『湖の街』での留守番組の『ひよこ亭』3人とシルキー・ミルキーの5人は

『ジン』『白銀龍』『クロ』『ゼクス』『シス』の5人が何やら話し合いをしていたが

話し合いの内容はアライズ達には聞こえずにゴーレムと龍が

頷き意気投合している感じだけだ伝わっていた


『ひよこ亭』のアライズ達3人はポーション作成の合間に調理場に篭り

パンを焼いたり焼串や焼鳥の下拵えをしたり

手間のかかる煮込み料理や角煮を作ったり

今ではシルキーとミルキーを加えた5人で『ひよこ亭』に成りつつあった


「焼串や焼鳥は晩酌用に炙っておきますね~」

「グラダさん達もいるから20本ずつお願いね~」

「「はい」」

「煮込みと角煮は鍋いっぱい用意したし、アイテムボックスに保管しておくよ」

「焼きたてパンは毎日の朝食に食べるとして・・・」

「お昼の弁当は今日と同じようにマジックバックいっぱいの料理でいいかな?」

「料理の好みもあるし、何よりおなかいっぱい食べてもらいたいからね~」

「グラダさんやシーダさんにギーツさんなんかは露店で買う食べ物より美味しくて凄く喜んでました」

「いつも露店の食べ物ばかりでは『ひよこ亭』の味を覚えてしまっては・・・」

「早めにウイズさんかオンさんに料理を伝授しなくてはいけませんね」

「いつまでも『湖の街』にいるとは限らないんだから・・・」

「せめて焼串と焼鳥の味付けを教えた方が良いな・・・」

「簡易コンロなら複数あるからグラダさん達に1~2個プレゼントしてもいいし」

「角煮や煮込み料理の方は数をこなすしかないな」

「この街では魚介類が豊富だし新たな魚料理を開発したいな・・・」

「それなら昼には食堂にでも行ってみる?」

「いいの?」

「もちろん、留守にするから扉を施錠すれば大丈夫でしょ」

「万が一の為に『白銀龍』と『クロ』に留守をお願いしましょ」


その後、アライズ達は『湖の街』の食堂巡りをしたり

『ひよこ亭』の知らない料理も多数あり

アライズ・アリサ・アンナの3人は空き時間に食堂の料理を作り

シルキーとミルキーが試食する事になる

なぜか『白銀龍』と『クロ』も一緒に試食会をするのだが・・・

何を食べても『美味しい』とか『美味!!』とか言わないのだが

アライズ達5人には美味しそうに「ガウガウ」としか聞こえないが

試食用の料理を残さず食べていたのを見たアライズ達はにっこりと微笑み

調理場で新たな魚料理を作り続けるのだった・・・





薬草採取に向かったリウ達は無駄なく薬草を収集し

乾燥する事無く次の日にはポーションへと姿を変えていた

1日のポーション作成で使用しなかった薬草はギルドに納品し

薬草とポーションの報酬は日に日に増えていくのだが

『湖の街』では食べ物が美味しく食費に報酬の殆どを費やし

充実した食材に豊富な料理が食卓に並び

『アイギス』と『森の討伐者』のメンバーは毎日の食事が楽しみにしていた




これは『湖の街』が『人食い熊』と『凶暴になった森の獣たち』の襲撃前の日常のはずだったが

数日後には『湖の街』始まって以来の出来事が訪れるのだった

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