4-330貸家を持ち家にとか
『人食い熊』の出現により『湖の街』では薬草やポーションのクエスト報酬が少しだけ美味しかった
それは街道封鎖により薬草採取などの常時クエストを受ける冒険者が減少していた
『アイギス』では薬草での納品よりもポーションでの納品に切り替え
リウ達はポーション作成をメンバー全員で行い2つのギルドに毎日一定数納品していた
『森の討伐者』の6人も一緒にポーション作成をしていたが
ギルドへ納品できる性能に至らず各々で使う事にしていた
『アイギス』と『森の討伐者』全員でポーション作成するには作業部屋は狭く
リウは商業者ギルドと相談し借りていた廃屋敷を取り壊す許可を頂き
廃屋敷を解体し各材料に分別後に土魔法で新たに大きめの建物を造り上げる
それは『アイギス』でお馴染みの『かまくら住居』で部屋の数を多めに作り
作業部屋と休憩部屋を複数と広めのトイレなどを作り
朝錬と修練をしつつポーション作成に励むのだった
尚、貸家に新たに建物を作る条件に格安で土地と屋敷の購入があり
『アイギス』でこの街に長期滞在するつもりが無かったので
『森の討伐者』の6人と相談し共同購入する事になった
建物が完成後に『森の討伐者』が管理を引き継ぎ
もしも、『森の討伐者』が冒険者を引退後も誰かがここに住めば良いと考えていた
「それにしてもリウ達は良かったのか?」
「んー、なにが?」
『かまくら住居』を見つめながらグラダが聞いてきた
リウは首を傾げながら聞き返していたが、何が良かったのか分からずにいた
「この・・・建物?『かまくら住居』だっけ??」
「そそ、『アイギス』での野営用住居の『かまくら住居』~♪」
『かまくら住居』は二階建てで建物の中央に暖炉があり冬期間でも暮らせる作りになっていた
部屋数にトイレも完備しており家族向けの建物と言うより
大勢で仕事したり宿泊したりするのに向いている建物になっていた
『アイギス』的にはお風呂が無いのが残念な所だが・・・
「部屋数も多いから『森の討伐者』の6人がここに住んでもいいよ」
「それはありがたいが・・・いいのか?」
「もちろん、ここを買い取る時に一緒にギルドで共同購入したでしょ?」
「それはそうだが・・・」
「土魔法で建物を作り上げたからウイズさんかオンさんには土魔法を修得してもらった方が良いかも」
「土魔法を?なんで??」
「一般の建物と違い、定期的に土魔法で補強と強化をした方が崩れにくくなるからかな?」
「『かまくら住居』は時が立てば崩れるのか?」
「その可能性があるという事です、何より土魔法を覚えておけば部屋の増設や改造も可能だしね」
「部屋を増やしたりか・・・お風呂の増設も可能になる?」
「もちろん可能です」
グラダとリウが『かまくら住居』前で話しをしているが
シーダ・ギーツ・ハイザーの3人は『かまくら住居』を前に「これを魔法で作ったのか・・・」とか「土魔法の使い方で家が立つのか・・・』とか話している
ウイズとオンの2人は『かまくら住居』内部の探索に向かい
作業部屋や休憩部屋を見回っている
一応、作業部屋にはクラシスとリズが仕事しやすい様にテーブルとイスを作成し
アライズ・アリサ・アンナの3人は休憩部屋の1つを簡易の調理にしていた
お湯を交わしたり料理を温めるといった最低限の調理が可能な作りにし
アライズ達は休憩をする為にお湯を沸かし始めるのだった
『かまくら住居』の探検を終えたウイズとオンは嬉しそうにニコニコしながら戻ってくる
「一番広い部屋が作業部屋なの?」
「アライズさん達が休憩部屋を調理場に作り変えてたけど?」
「それとここに住んでいいの?」
「すぐに住んでいいの?」
「オンと2人部屋でもいいけど・・・」
「いきなり1人部屋じゃ寂しい気が・・・」
ウイズとオンが話し続けリウとグラダは黙って聞くことしかできなかった
そして最後には「部屋割はどうするの?」と言う話になり
「部屋割だけど1Fを仕事用の部屋として2Fの部屋は『森の討伐者』のみなさんで使って下さい」
「部屋の広さは大人2人は寝れる広さはあるけど・・・ベットも無いし布団も無い」
「扉と窓しかないので冬期間は寒さに対して考える必要はあるね」
「グラダさん達は野営時はどうやって寝ていたの?」
「それは厚手のマントに丸まって寝てたな・・・もしくは毛皮と敷いてかな」
「それじゃ予備の布団とか寝袋は持ってないの?」
「・・・普通は野営で布団は持っていかないし」
「・・・寝袋って何さ?」
「僕らが使う寝袋は野営時でも使えるように厚手の布に毛皮を縫い付けて袋状にしたものかな?」
「それは野営時でも寝る事が可能なの?」
「簡易的ですが外で寝るのには最適な道具かな・・・」
「加工済みの黒犬の毛皮なら大量にあるからそれを使って寝てみては?」
「布団よりは寝難いかも知れないけど何も無いよりはいいか・・・」
「1人4枚の毛皮があれば十分かな?」
「大丈夫、ありがとう」
リウはアイテムボックスから大量の毛皮を取り出しグラダに手渡す
それをメンバーに配りウイズとオンは早速『かまくら住居』へ駆けだす
グラダ達男性陣も毛皮を手にし『かまくら住居』へ向け歩き出す
冒険者を始めて初めての持ち家を言う事もあり『森の討伐者』の6人は嬉しそう表情をしていた
討伐に向かった冒険者は森の中で『人食い熊』を見失っていた
そこは街道を外れ森の奥での事であり彼らは気がつかなかった
森の中は『人食い熊』以外にも黒犬や黒熊に大猪がいる事を・・・
そして、彼らの周囲には無数の黒犬や黒熊が待ち構えている事を・・・
『人食い熊』討伐よりも森の中には黒犬や黒熊たちが群れをなしている事を・・・
巨木の森の豊富な魔力の影響で辺り一帯の黒犬や黒熊たちが荒ぶり凶暴になっている事を・・・
討伐に向かった冒険者達が多数行方不明になり大量に死傷した事を知るのは
討伐に向かった冒険者が連絡員として冒険者ギルドに報告に戻った3人の冒険者の功績だった
それは『人食い熊』の討伐に向かった5日後の事だった
『湖の街』の3割の冒険者が行方不明になり帰らぬ人となった




