4-311ヘンリーのゴーレム誕生とか
リウは次の日、ヘンリーと共に『ゴーレム作成』を実施する
ヘンリーは魔力&魔法の修練をしつつ『ゴーレム作成』の為に毎日粘土を捏ねていた
毎日の様に粘土で『鳥?』を作ってはいたが・・・
「それでヘンリーのイメージしているゴーレムは・・・『鳥?』」
テーブルの上にはヘンリー作の『鳥?』が鎮座していた
リウは粘土の『鳥?』を見つめながら・・・
「これをゴーレムに??」
テーブルの『鳥?』は翼を広げた鳥の様だが・・・
身体の大きさに対し翼が短く飛べそうなイメージがわかない姿をしていた・・・
ヘンリーは赤面しながら指をもじもじし
「鳥のイメージがつかなくて・・・最初はホロホロ鳥をイメージしてたんだけど・・・」
「ホロホロ鳥・・・?よく森で捕まえるホロホロ鳥??」
「はい・・・粘土を捏ねるうちに段々姿形が変わらなくなり・・・こんな姿に・・・」
「ゴーレムはイメージが大事だけどヘンリーはイメージが苦手みたいだね」
「ホロホロ鳥は今の時期見つけるのは無理だし・・・今の時期なら渡り鳥なら巨木の森の小川にいるかも・・・一緒に見に行ってみるか?」
リウのイメージが大事という言葉と実際に「小川に渡り鳥を見に行くか?」という言葉を聞き
ヘンリーはコクコクと何度も頷き「行きたいです!」と即答で答えた
「それじゃ、10分後に出発ね!」
「はい、準備します!!」
「今日は渡り鳥の観察しよう、まずは目に焼き付けて絵を描いて見ようか」
「それなら絵を描く道具を持っていきます!」
ヘンリーは部屋に戻り絵を描く道具を取りに向かう
リウは『アインス』に荷馬車を取り付け、簡易コンロにに火を点け寒くならない様にする
冬期間の外での渡り鳥の観察なので厚手のマントや毛布を荷馬車に詰め込み
ヘンリーが風邪をひかない様に万全の態勢で準備をしていく
10分後リウは砦の前で待っていると、厚着に着替えマントを羽織ったヘンリーが現れた
これでもかと着こんだヘンリーはリウに「お待たせしました!」と挨拶をした後に
『アインス』を撫ででから御者席のリウの隣に座るのだった
「それじゃ、行きましょ!」
「寒かったら荷馬車の方に座って良いからね」
「大丈夫です、着込んできましたし、『火属性』の魔力を纏ってますから!」
「それでも寒かったら教えてね、厚手のマントや毛布もあるから・・・」
「はい、その時はよろしくお願いします」
リウとヘンリーは荷馬車に乗り込み巨木の森の小川を目指して走り出す
冬期間でありながら森の中には雪が積もっておらず目的地の小川に到着したんだが・・・
魔力過多の影響で渡り鳥はおろか生物の姿は無かった・・・
「いない・・・生き物がいない・・・」
「魔力過多の環境では渡り鳥は寄りつかないか・・・」
「どうする巨木の森を抜けて見ても良いけど?」
「小川に沿って森を抜けてみましょ、ひょっとしたら渡り鳥がいるかもしれないし」
「そうですね、昼頃まで移動して渡り鳥を発見できなかったら戻れば良いし」
「はい、その時はリウやみんなの力を借りて鳥のイメージを掴みます」
荷馬車は小川に沿って走り出したが渡り鳥はおろか鳥の1羽も発見する事は出来なかった・・・
森の中でリウとヘンリーは昼ご飯を食べるのだが・・・
あまりの寒さ荷馬車を囲む様に土魔法で小屋を建て簡易コンロで暖を取りながら食事をするのだった
「それでヘンリーはどういう鳥型にしたいの?」
「最初は飛べる姿にしたかったんです、それがイメージが掴めず鳥っぽい姿形にしか作れずに・・・」
「それじゃ、思い描いた姿は無かったの?」
「最初はホロホロ鳥を考えてたんですが・・・」
「ホロホロ鳥か・・・よく露店で焼鳥になっている鳥ね・・・」
「あの鳥は森の中での狩猟可能な部類だけど・・・飛べるイメージは少ないかな?」
「森の中のホロホロ鳥は警戒心の強い鳥で飛んでも短い距離でしょ?しかも、身体が大きく翼が短い・・・」
「やはりホロホロ鳥をゴーレムにするのは無理かな?」
「無理ではないがゴーレム向きかどうかでいったら・・・不向きだね」
「そうなんですか・・・残念です」
「もしもホロホロ鳥をゴーレムにするなら飛行を考えずにヘンリーのサポートとしてなら大丈夫だと思うよ?」
「サポートですか・・・、私の側で魔法の展開のサポート・・・」
「ヘンリーと一緒に魔法障壁を展開したり、一緒に魔法弾を撃ったり?」
「そう言うゴーレムでも良いのかな??」
「それはヘンリー次第だと思うよ、ヘンリーがヘンリーだけのゴーレムを作るとして、何を願い何を欲するか・・・」
「何を願い欲するか・・・ですか、私が出来る事はみんなを護ることしかできません、大盾を構えて護る力しか・・・願い欲するとしたら私と一緒に『アイギス』のみんなを護る力かな」
「そっか、なら悩む事無かったか・・・ヘンリーはゴーレムの姿形に拘って無いみたいだし、ヘンリーのイメージで作ったホロホロ鳥で良いんじゃない?」
「そうなの?飛べる姿じゃないよ?リウはそれでも良いの?」
「それにね飛べない姿なのに飛べるようにしたら面白さも増すでしょ♪」
「私のゴーレム飛べる様になるの?」
「それは身体強化次第じゃないかな?」
「そっか・・・あまり難しく考えなくて良かったのかな」
「リンやアイズのゴーレムは馬型だし、ライムとジルに関しては小型犬でしょ?ヘンリーがホロホロ鳥型にしても問題無いよ、大事なのはゴーレムを大事にできるかだしね」
リウはそう言いながら『アインス』を撫でながら魔力を注ぐのだった
『アインス』は嬉しそうにリウに甘えるのをヘンリーは羨ましそうに見つめていた
「リウは『アインス』が好きなんですね・・・『アインス』もリウが好きみたいだし・・・私もゴーレムとそういう関係を築く事が出来るかな」
「大丈夫だよ、ヘンリーは優しい子だから、ゴーレムもヘンリーに似た優しい子になると思うよ」
この日、大岩砦に戻ったヘンリーは『ゴーレム作成』を成功させるのだった
鳥型ゴーレムはヘンリーが粘土でイメージした姿形をしていた
大きさはヘンリーの膝高さの大きさでゴーレムは甘える様に頭を擦りつけている
ヘンリーはゴーレムを抱き上げニコニコしながら撫でまわしている
「初めまして私はヘンリー、あなたのママよ」
ヘンリーは生まれたゴーレムににこりと微笑み話しかけている
ゴーレムもヘンリーの言葉を聞き嬉しそうにコクコクと頷き甘えてくる
リウはヘンリーとゴーレムが親子の様に抱き合っている姿を見ながら
「それでヘンリーはゴーレムに何を願ったの?」
「私や『アイギス』のみんなと仲良く暮らす事を!」
「それでヘンリーはゴーレムに何を欲したの?」
「私と一緒に『アイギス』のみんなを護りきる事を!」
「それ以外の事は何を?」
「私達と家族になりましょうって!」
「それでか・・・生まれたばかりのゴーレムがヘンリーに甘えまくっている訳だ」
「エヘヘヘ、可愛いでしょ♪」
ヘンリーはゴーレムに頬ずりしながらリウに話しかける
ヘンリーが『ゴーレム作成』に向いているからか感受性豊かなゴーレムになっているな
「これでリン・アイズ・ライズ・ジルに続いてヘンリーのゴーレムも完成か・・・」
「はい、これでみんなに追いつきました」
「食事や寝る時も一緒に過ごして良い関係を築いてね、今の段階で2人の関係は良好に見えるけど」
「勿論一緒にいますよ、当たり前じゃないですか!」
ゴーレムに頬ずりしているヘンリーに怒られてしまった
どうやらゴーレムが可愛くてしょうがないみたいだな
「それでどうする、リン達のゴーレムと同時期に身体強化を予定してるけど?」
「んー、今のままでも良いけど・・・やっぱり身体強化した方が良いのかな?」
「耐久性も弱いし今のままじゃ魔物に破壊される可能性があるよ・・・」
「・・・壊されるのはイヤだな、いつまでも一緒にいたいし、一緒に強くなっていきたい」
「そっか、なら強化した方が良いな、せめて自身を守れるくらいに・・・」
ヘンリーの話を聞いていたリン達もゴーレムを撫でながらコクコクと頷いている
リン達のゴーレム達は生まれたばかりのヘンリーのゴーレムに身体を擦りつけている
どうやらゴーレム同士で挨拶?をしているようだった
ゴーレムには会話機能が無いのか話しているのか感覚で会話でもしているのか
リウにもリン達にもゴーレム達が何をしているのかわからなかった
「リン達5人のゴーレムの身体強化は2日後にしようか」
「「「「「はい、お願いします」」」」」
「魔石に付加する魔法は何が良いか考えておいてね、身体的には『鉄鉱石』で強化するとして・・・」
「『風纏い』は必須として・・・『魔法障壁』も欲しい」
「魔法弾を撃てるゴーレムはカッコいいと思う!」
「私は『土壁』と『魔法障壁』で護りを固めたい」
「魔法弾を連弾出来る移動砲台というのも面白い」
「魔法は何を使いたいかを2日後まで考えておいてね」
「「「「「はい!」」」」」
リウは『風纏い』を付加した魔石を5個用意したり、『土壁』を付加した魔石も同様に用意する
『魔法弾』を付加した魔石は10個用意し、余った魔石は『ジン』や猟犬ゴーレムに使えば良いと考えていた




