4-304『アイギス』合流と調査とか
リウ達が巨木の隙間を発見して10日後
『アイギス』の地下簡易陣地が巨木の森の真ん中に移動した
陣地の引っ越しに対して『ジン』専用に荷台を作成し箱馬車の移動向上に成功する
巨木の隙間の調査をしつつリウ達は森の探索を続けていた
この森の中に他の隙間があるかを調べる為と
巨大な黒犬の出現場所を調べる為だった
探索には『ジン』や猟犬ゴーレム総出で行い
巨木の森に3ヶ所の魔力の溢れだす場所を発見する
やはり魔力の溢れだす隙間の奥底は外部から中を知ることは不可能だった
「隙間の奥は調べないの?」
巨木の森の隙間を探し終えた後
リウは巨大な薬草でポーション作成しているとクラシスが声をかけてきた
簡易陣地の作業場ではリウの他にノノとココとジャンヌがポーション作成していた
「隙間・・・?」
「リウは気にならないの?」
「まぁ、気になるけど・・・隙間の先に何があるかはクラシスとリズが教えてくれたし」
「それは予想というか・・・確固たる証明もしていないし・・・」
「クラシスは気になるの?」
「ハッキリ言えば気になる・・・」
「リズもやっぱり気になるの?」
「気になると言えばそうだけど、私達は隙間の先にダンジョンがあると考えましたが・・・多分違うと思う」
「ダンジョンじゃないと?」
「正確にはダンジョンになりかけの空間じゃないかと・・・」
「未完成のダンジョンという事かな?」
「そそ、不安定な空間というか・・・不完全なダンジョンと言えばいいのかな・・・、溢れだす魔力の影響でダンジョンを形成出来ずにあるんじゃと・・・」
「確かに魔力が溜まらずに溢れ漏れている状況はおかしいのかも・・・」
リウとクラシスとリズは巨木の隙間に事を考察を交えて話し合っていたが
リウと同じくポーション作成をしていたノノ達は作業の手を止め
「未完成なダンジョンに危険性は無いの?」
「ここで隙間を観察していたけど巨大な黒犬は出現してない危険性は無いと考えてはいるが・・・」
「巨大な黒犬が隙間から現れると決まった訳じゃないし、他の出現場所がある可能性もあるから・・・」
「森の真ん中以外にも魔力の溢れだす場所があると考えているの?」
「魔力の影響で森が巨大化したと考えるとね・・・3ヶ所から魔力が溢れだしたと考えるには無理がありそうで・・・」
「長年魔力に当てられていたと考えれば妥当だと思うけど・・・それでも北の街のギルドで受け取った小冊子にも、この森の事は記載されてなかった・・・それが不思議でね」
「この森の事はギルドが知らないというのも変な話だね」
「もっとも遠回りの街道なので誰も知らないと考えるのもね・・・」
「巨大な黒犬に襲われたと考えると普通は無事でいられると考えられないけどね」
「普通ならギルドで巨大な黒犬討をしているはず・・・北の街でもそういう依頼は無かったし」
「それじゃ、ギルドでは巨木の森の事を感知していない可能性があると?」
「感知していてもギルドで対応していないのかも・・・巨大な黒犬討伐を依頼する冒険者不足か、黒犬討伐依頼に対する報酬が割に合わない可能性があるね」
「巨大な黒犬というだけで討伐するだけで命がけだし・・・討伐後に魔石1つというのも・・・」
「魔石が欲しいならダンジョンに潜れば良い、ここで巨大な黒犬を倒すメリットはギルドでも冒険者でもいないか・・・」
「巨木の森までの街道が廃れていたのは・・・使用頻度が少ない・・・いあ使用する冒険者がいなかったと考えれば納得する」
「リウのその話だと、街道を抜けた先に集落や街が無い可能性があるね」
「街道が半封鎖状態なら物流の流れが無いからか・・・可能性はあるか・・・」
リウはギルドから渡された小冊子の地図を広げこの先の街道を見つめ
「確かに街道の先に集落がありそうだけど、地図にも火山の麓経由の街道に合流後だから大丈夫そう・・・」
「・・・それでも巨木の森を抜けて結構距離がありそうな気がする」
「小冊子には森を抜けると街道は河原と並行して進むみたいだね」
「河原を過ぎてから次の集落か・・・」
「その小冊子にも森にダンジョンがあるとかは記載されてないの?」
「地図には広大な森しか記載されてないな、時期的に薬草や山菜が採取可能としか知るされてないね・・・」
「火山の麓を通る街道の方には途中宿泊場所があるみたいだね・・・小冊子にも森を抜けるルートより火山の麓を抜けるルートを推奨してるみたいな書き方をしてる?」
「推奨理由はこれじゃない?」
ココが小冊子に記載されていた『大陸一の厳選温泉』と書かれた温泉街を指さしていた
「温泉か・・・確かに旅の疲れを取るには最適か・・・」
「『アイギス』では毎日お風呂に入ってるけど、普通毎日お風呂は考えられないからね」
「お風呂があるだけでリウと一緒になって良かったと感じてるくらいだよ」
リズのその一言でクラシスやノノ達はコクコクと頷く
「お風呂は各家庭に無いんだっけ?」
「各家庭というか各宿屋でもお風呂があると考えない方が良いよ」
「『ひよこ亭』にはお風呂あったよ?」
「そっか、リウは『ひよこ亭』が最初の宿屋だったか・・・それ以外の集落に泊った宿屋はお風呂ありで探していたからな・・・」
「普通のランクEの場合、お風呂ありの宿屋に宿泊するのは無理だからね」
「それは金額的問題で?」
「そうだね、素泊まりなら格安だし、食事ありの宿泊でも節約を考える冒険者も多いし、何より宿泊よりも装備を考えるの普通だしね」
「装備に金をかけるか・・・、僕の場合は革装備に鉄杖か・・・、初心者冒険者と変わらない装備な気がしてきた」
「リウの場合、装備で強さが反映されてない感じがする」
「僕の場合、薬草採取してポーション作成してるだけだしね」
「戦闘は極力避けてきたし、討伐依頼は最低限しかしてこなかった・・・」
「そのかわり食糧となる黒熊や大猪は大量に所持してるけどね♪」
「まぁ、あまりある食糧は大事という事で・・・」
「黒熊や大猪をギルドに納品すればギルドランクも上がるはずなんだけどね」
「ギルドランクを上げても面倒事に巻き込まれるだけだし、『アイギス』はまったりゆっくり過ごせればいいよ、生活に困っている訳じゃないし・・・」
「しかし、『ジン』と一緒に旅をしたら否応無しに目立ちそうな気がする」
「目立っても『アイギス』的にはやる事に変わりは無いよ」
「薬草採取してポーション作成してギルドに納品っと♪」
「そして、露店で美味しい物食べて~♪」
「美味しいお酒を飲む~♪」
「色々な街を巡って美味しい食べ物やお酒を見つけるのが一番面白い!」
「リウ達は露店巡りをしている時が一番楽しそう」
「露店巡りは旅の醍醐味だからね~♪」
「次の街までは春になり箱馬車で1ヶ月後と考えた方が良いかな?」
「機動力が上がったから半月と考えていいんじゃないかな」
「巨木の隙間の探索は・・・数日後に実施した方が良いか」
「それでどうするの、3ヶ所同時に調査するの?」
「3ヶ所同時は戦力分断するから適切じゃないな、この場を護るメンバーも必要だし」
「『ジン』も隙間の調査に同行させるの?」
「・・・隙間の内部の広さ次第かな、狭い通路では『ジン』が本来の実力を発揮できないだろうしね」
「隙間の調査はノノ・ココ・ジャンヌは留守番かな」
「猟犬ゴーレムと一緒に簡易陣地を護るの?」
「そそ、騎乗して防衛をしてもらいたい」
「騎乗時なら黒犬の機動力にも対応出来るし、何よりゴーレム達はダンジョン向きじゃないからね」
「それなら隙間調査は、リウとクラシスとリズだけなの?」
「他に同行するとしたらシルキーとミルキーかな、リン達にはここの防衛と『ゴーレム作成』の修練をしてもらいたい、ノノ達3人でリン達5人に『ゴーレム作成』を教えてもらいたいな」
「5人に『ゴーレム作成』を教えてもいいの?」
「教えて実際にゴーレムを作ってもらっても良い」
「前にリウがリン達のゴーレムを作る時に手伝うって言ってなかったっけ?」
「確かに言ったけど、最初は自分の思うままに創りだした方が良い・・・その後ゴーレムの強化時に手伝えば良いし・・・」
「それもそうか・・・ならリウ達が調査に出向いた時に色々教えておくよ」
「お願いね」
「「「任せて」」」
この数日後、リウ達は巨木の根元の隙間の調査を実施する
留守番のノノ達は簡易陣地を護る事になる
『ゴーレムの作成』の修練や『ポーション作成』に精を出す事になる
簡易陣地も留守中に拡張工事を繰り返し、浴槽を広くしたり、黒熊や大猪を解体したり
リウ達が戻ってきた時の為に、すぐに身体を休めるようにしていた
「黒熊と大猪は煮込みと角煮に調理でいいかな?」
「冬期間なのでステーキよりは良いと思うよ」
「晩酌用に焼串もお願いします!」
「焼串も何種類か味付けを変えて調理しましょ~」
「焼きたてパンもかなり保管してるし、パンも種類豊富に揃えますか~」
『ひよこ亭』の3人はリウ達調査組が戻るまでに1月分のパンを焼き上げる事になる
それと同時に黒熊と大猪を丸ごと調理し、調理済み料理がアイテムボックスに溜まりまくるのだが・・・、その料理もリウ達が戻れば数日で消費する量なので、アライズ達3人は気にせず解体しては調理していく




