4-289静かな夜とか
リウとクラシスは北の街の冒険者ギルドと商業者ギルドに、ポーションと薬草を納品してから資料室で調べ物を始めた
『400年前の鉱山でのゴーレムの暴走』の事案は原因不明として記載されていた
それとゴーレムが暴走した坑道は、鉱山の中の1つで元はダンジョン跡と言う事だった・・・
ダンジョンは500年前以上に自然発生したモノで、ダンジョンはそれから10年後に攻略されていた
北の街の冒険者達は、攻略後のダンジョンが鉱物が豊富な事に気がつき、商業者ギルドの主導で鉱山の街になっていくのだった
冒険者ギルドは土魔法に長けた冒険者をゴーレム使いとして雇い、鉱山で働く作業員の代わりにゴーレムを活用する事になる
ダンジョン跡でゴーレムが暴走するまで、北の街に豊富な鉱物を供給し、そして、ゴーレムが暴走し・・・1つの鉱山が消えた
このゴーレム暴走の事案は、2つのギルドの資料室に同様の無い様で記録されており、ゴーレム暴走後にダンジョン跡の鉱山の封印を決めた・・・
入口を土魔法で完全に閉ざす事になる、ゴーレム暴走の原因を解明する前に・・・
それ以来・・・北の街の鉱山は、ゴーレムを最小限に使用する作業内容に変更する事になる
ギルドの資料室では、リウとクラシスとリズが2つの資料室で調べた事に不備が無いか話し合いをしていた
ゴーレムの暴走とダンジョン跡の鉱山、それと『ジン』の御主人の事など3人は調べた内容を照らし合わせ、その中に不審な点が無いかを考えていた
「それにしても鉱山はゴーレムが作業員の代わりに仕事をしていたのか・・・」
「普通の鉱山ではゴーレムは運送用に活用しているはずなんだけど・・・」
「それじゃ、北の街の鉱山が少し変わっていると?」
「そうなるかな?鉱物を掘削するには、作業員が坑道で鉱物を掘るやり方と、土魔法使いが坑道で鉱石を掘り出すやり方と2つの方法があるけど・・・」
「北の街の鉱山では、ゴーレムが鉱物を掘るやり方だったと・・・」
「掘るのも運ぶのもゴーレムなら、余程ゴーレム使役に長けた冒険者が仕事を任されていたんだろうね・・・」
「掘削と運搬・・・2つの命令を基本に、いくつもの細かい指令をゴーレム作成時に付加したんだろう・・・、それ以上にゴーレムに追加で命令をしていたのかも・・・」
「それはリウも同じ事が出来る?」
「無理だね、今はゴーレム馬に箱馬車を引かせたるとか、犬型ゴーレムに箱馬車の護衛とかしか教える事が出来ない・・・」
「それと当時のゴーレム使いの事は何も記録されていませんね・・・」
「意図的にゴーレム使いの事を秘密にしていたのかもしれないね」
「ゴーレム暴走でゴーレム使いに責任が及んだ可能性がある・・・」
「今でもゴーレム暴走の詳細は記されているけど、原因は不明のままか・・・」
「後は『ジン』の御主人の事は・・・どこにも記録されていないね」
「それに『巨人型ゴーレム』の事も記録されていないね、ギルドには『人型ゴーレム』が坑道で仕事をしていたとしか・・・」
「『ジン』が特殊だったのか、それとも当時は『巨人型ゴーレム』が多数存在していて、400年と言う長い期間の間に『巨人型ゴーレム』の事を忘れ去られたとか・・・」
「1つだけわかった事は、『ジン』の御主人はこの街にいないという事か・・・」
「どうする箱馬車に戻って『ジン』に知らせる?」
「戻るにしても、露店でノノ達にお土産に焼串や焼鳥を購入しよう」
「それならアライズに果実酒や麦酒をお土産にしたい♪」
「出来れば北の街の特産物が欲しいね、穀物や野菜に肉や調味料が欲しいね」
「『白銀龍』と『クロ』に果物が欲しいね」
「それじゃ、買い物をして戻りましょうか~」
3人は資料室での調べ物を終え、露店で色々な食糧を購入し箱馬車へ戻るのだった
北の街で知りたかった事は全部調べつくしたが、ギルドからは乾燥野菜やポーションの納品を追加でお願いされていた
明日以降もギルドに納品予定だが、ギルドからは『巨人型ゴーレム』の『ジン』の立ち入りを拒否されており、『ジン』を残してリウ達だけが街に入る事に全員一致で反対し、『アイギス』は北の街に入らず野営する事を選んだ
もっとも街での買い物は可能なので、必要な食料を購入し箱馬車で生活する事が出来るので、街に入り宿屋に泊る必要は不要だった
リウ達は買い物を終え箱馬車に戻ると、箱馬車を中央に巨大な簡易陣地が完成していた
『ジン』が完全に隠れており、簡易陣地を囲む土壁も2mを越える高さになっており、簡易陣地と言うよりも簡易要塞と言うべき作りになっていた
『落し穴』は簡易陣地拡張により消え去り、土壁の前では薬草を天日干しをしていた
護衛の為に犬型ゴーレム達が乾燥薬草の前に座っていた
犬型ゴーレム達はリウ達が簡易陣地に戻ってくるのを感じ、乾燥薬草の護衛を放棄し、嬉しそうにリウ達に駆けてくる
リウは犬型ゴーレムを抱きしめ、『おつかれさん』と声をかけていた
クラシスとリズも犬型ゴーレムを抱きしめ、『お疲れ~』とか『可愛い可愛い~』と撫でていた
犬型ゴーレムの出迎えもあり、嬉しそうに簡易陣地へ戻るのだが、戻る前に乾燥薬草をアイテムボックスに保管してから戻る事になる
簡易陣地内は、『ジン』が真ん中に座り、箱馬車を宿泊施設にし、追加でお風呂とトイレがあった
箱馬車の調理荷台からは料理をしているのか美味しい匂いがしており、『ジン』の前には大きいテーブルとイスが並んでいた
『白銀龍』と『クロ』は『ジン』の肩に座り、3人で仲良く話をしていた
どうやら簡易陣地内には調理荷台で料理を作っている、アライズ・アリサ・アンナ・シルキー・ミルキーの5人のお嫁さんしかいないみたいだ
リウはMAPを展開し、ノノ達がどこにいるかを調べはじめる
ノノ・ココ・ジャンヌの3人とリン・アイズ・ヘンリー・ライム・ジルの5人は森の中で薬草採取をしていた
4人ずつで採取と護衛を交代でしているみたいだ、8人は少しずつ簡易陣地に近づいているので、薬草採取は終わったみたいだ・・・
20分足らずで簡易陣地へ戻るだろう
暫らくしてノノ達と共にリン達も戻り、食事の前に8人はお風呂に入り綺麗にしてから晩ご飯を頂く事になる
晩ご飯後には、毎日の日課である晩酌をするのだが、晩酌時に『ジン』の御主人を見つけられなかった事を告げるのだった
『ゴジュジン・・・イナカッタノカ・・・』
『ジン』はリウの言葉を聞き、静かに泣いていた・・・
感情あるゴーレムは、ここまで心豊かな者なのか・・・
『白銀龍』と『クロ』は『ジン』をいつまでも撫でていた
リウも『ジン』の背中をぽんぽんといつまでも撫でていく




