4-288北の街到着とか
『アイギス』の目指す北の街は、鉱山があり鍛冶師だらけの街と言う
それは街全体が、鍛冶場と言う異色な街となっていた
石垣の防壁で街全体を囲まれており、今まで訪れた街の中で一番強固な作りになっていた
北の街を遠目に見ても街全体を囲む防壁は壮観で、リウ達は『遠目』スキルで予め眺めていたが、防壁は『巨人型ゴーレム』の『ジン』の2倍の高さで、『ジン』が防壁を見上げるほどだった
防壁の上には弓を構えた守人が『ジン』を見ながら何か叫んでいた
「何か上で何か叫んでいるけど・・・何か聞こえた?」
「さぁー、『ジン』を見てびっくりしたとか?」
「元々はこの街で働いていたゴーレムに驚くって・・・それは無いんじゃない?」
「400年前の事を知っている住民がいると思う?」
「そりゃそうだけど・・・、攻撃してこない所を見ると敵対する気は無いのかも」
『ヒサシブリニ、キタノマチニキタ・・・オッキイカベダナ・・・』
「『ジン』は北の街に久しぶりに来たけど、その時も防壁は大きかったの?」
『オオキカッタシ・・・マエヨリタカクナッタキガスル・・・』
「前来た時より防壁が強化されている・・?」
「鉱山の遥か上に火山があるから噴火に備えているのかもしれないが・・・」
「火山・・・?ここから見える煙の出ている山の事?」
「そそ、噴煙が見えると言う事は・・・噴火する可能性があると言う事だし」
「火山・・・噴火・・・」
「そういえば、『アイギス』の旅先では初めて見るかもね」
「噴火するとどうなるの?危ないの??」
「そうだね、噴火に伴う「大きな噴石」「火砕流」「溶岩流」「火山ガス」「火山灰」と色々あるけど、火山からの距離を考えると「火山灰」が一番の問題かな・・・」
「『火山灰』ですか・・・?」
「農作物に多大な被害を及ぼすからね・・・人体にも悪影響とも言うしね」
「それは怖いかも・・・、もしもの時は逃げましょうね」
「勿論、噴火したらみんなの方が大事だからね、何があっても避難します!」
『アイギス』の箱馬車が北の街に近づくと、入口の扉の前には武器を構えた冒険者が多数集まっていた
遠目から『ジン』の巨大な姿に北の街の冒険者が慌てて武器を構えている感じがした・・・
リウは箱馬車を停車し、「どうする?」と御者席に一緒に座っていたクラシスとリズに話しかける
「箱馬車を停車して私達だけで北の街へ行った方がいいかも」
「それじゃ、『ジン』や箱馬車はこの場で待機した方がいいかな?」
「敵対する気が無い事を閉める必要があるし、何より私達3人で挨拶に向かう・・・と言うのはどうかな?」
「箱馬車は街道から端に寄せた方がいいね・・・」
リウは箱馬車を街道の端に停車し、ゴーレム馬と犬型ゴーレムを箱馬車の護衛をお願いすると供に、魔力の補充をし、箱馬車の後ろを歩いていた『ジン』にもこの場で待機してもらう
「『ジン』もここで待っててもらっていいかな、今街に行くと街の前で武器を構えている冒険者が襲ってきそうだから、僕達3人で挨拶しに行ってくるよ」
『ワカッタ、キヲツケテネ、ココデマッテルカラ・・・』
「うん、大丈夫だと思うけど一応『ジン』にも魔力の補給をするね」
『アリガトウ・・・』
リウは『ジン』の足に手を置き、魔力を注ぎ込む・・・
『ジン』の身体に魔力が補充されるとともに、『ジン』の身体がほのかに光り輝く
リウは「魔力充電完了」と呟き、「お留守番お願いね」と声をかける
箱馬車の御者席には、ノノが座りココとジャンヌはゴーレム馬の側に立ち、北の街の冒険者達を見つめていた
「それじゃ、箱馬車の事はノノに任せた、ココとジャンヌはノノのサポートをお願いね」
「もしもの時はすぐに逃げて来てね、それと今日はこの辺で野営・・かな?」
「そだね、リン達には野営に備えて仮眠をお願いしてね」
「了解、もしもの話だけど、攻撃されたらどうしたらいい?」
「もちろん、反撃していいよ、常時魔法障壁展開で対応すれば大丈夫でしょ」
「向かってきたら?」
「んー、攻撃するの面倒だし、『落し穴』にでも落とせば?」
「それなら箱馬車を街道からもっと離して周囲を『落し穴』で囲むか・・・」
リウとクラシスとリズは箱馬車から降り、ノノは箱馬車を街道から50m程離れた場所に停車し、ココとジャンヌは土魔法で周囲に『落し穴』を設置していく
ノノはゴーレム馬と犬型ゴーレムを待機モードにし、箱馬車と『ジン』を囲むように土壁で囲いはじめる・・・
もっとも北の街の防壁からは箱馬車を捉える事が出来たが、土壁完成後に土魔法で箱馬車と『ジン』を完全に囲むようにし、防壁からは土魔法で造られた四角い建物に見えた
リウ達3人は北の街の入り口の巨大な扉まで歩いていたが、後方でノノ達が土魔法で箱馬車は勿論の事、『ジン』を完全に囲う様に土魔法で覆われていくのを見ていた北の街の冒険者達は「あんな魔法は知らない・・・」とか「あれも魔法なのか・・・」とか聞こえてくる・・・
リウ達が扉の前で武器を構えた冒険者達の10m前まで歩くと、武器を構えた冒険者の1人が声を上げ叫び始めた
「この街に何の用だ!あのゴーレムは何だ!!」
どうやら『ジン』を使い北の街を襲うと思われていたらしい・・・
確かに遠目では『ジン』が目立って『アイギス』の箱馬車は霞んでしまうか・・・
「僕らは街を襲う気は無いです」
リウ達3人は攻撃する気が無い事をしめす為に手を上げ冒険者達に声をかける
冒険者達はリウ達が武器を持たず自分達の前に現れた事で少しだけ安心した感じだったが、巨大なゴーレムを見た後では言葉だけでは安心できなかったのか
「それじゃ何の用で来たんだ?」
「あのゴーレムは街には来ないんだろうな?」
「この街には僕達3人だけしか入りません、それにゴーレムはあの場で待機します」
「私達は北の街で調べ物に来ました」
「それと食糧の買い出しです、あとはギルドにポーションの納品です」
「・・・あんたらはポーション屋なのか?」
「あぁ、専門のポーション屋じゃないが、ギルドには定期的にポーションを納品してるよ」
「そりゃ助かる、この街ではポーションが品薄でな・・・、君らがポーションを納品してくれたら助かる・・・」
「この街にはポーション屋はいないんですか?」
「いるにはいるんだが、高齢な調合師でな・・・毎日のポーションを調合する数が少量なんだよ」
「それ以外にもポーション調合用の薬草不足が・・・」
「薬草不足って・・・ギルドで薬草採取依頼をして無いんですか?」
「してはいるんだが・・・北の街の周辺では薬草採取は不向きでな、冒険者達に不人気なんだよ」
「それならギルドにポーションと一緒に薬草も納品した方がいいか?」
「あるならお願いしたい!」
「箱馬車に乾燥薬草があるんだが・・・、まずはギルドにポーションを納品した方がいいか??」
「お願い出来るかな?」
「あぁ、それはいいが僕らの箱馬車に大丈夫だと伝えたいんだがいいか?」
「それは大丈夫だが、あの巨大なゴーレムは街に近づけないでもらいたい・・・」
「それは街の住民が恐れるからかな?」
「それもあるが、この街では400年前のゴーレムの暴走があってな・・・」
「ゴーレムの暴走ですか・・・、それでは現在は鉱山にゴーレムはいないんですか?」
「いるにはいますが、巨人型のゴーレムは姿を消しましたね・・・、現在は人型ゴーレムが殆どです」
リウ達3人に北の街を襲う心配がないと思ったのか、扉の前の冒険者は武器を収めてくれた
北の街に入る事は可能になったという事で、リウとクラシスは北の街へ入り、リズは箱馬車へ戻り先ほどの話を伝える事にした
「僕とクラシスはギルドでポーションを納品するのと、ギルドで400年前の事を調べる事にするね」
「ポーションは100前後を納品するの?」
「まずは100かな、それでもギルドの方から追加要請があれば・・さらに100納品かな」
「リウとクラシスのアイテムボックスにはポーションが200以上保管してたっけ?」
「ポーションは200以上持ってるよ、クラシスはいくつ持ってる?」
「ちょっとまってね、私は120かな・・・そのかわり薬草が50束あるね」
「それなら薬草50束にポーション100をギルドに納品するか・・・、リズはさっきの話を伝えてね」
「任せて、『ジン』は北の街に近づかないとして、乾燥野菜は100束入りの箱を2つ持ってくればいいかな?」
「それと箱馬車は街の住民が恐れる可能性があるから、僕らが戻るまで野営をお願いしていいかな?」
「それは大丈夫だと思うよ、食糧のストックもあるし、作り置きした料理で10日以上暮らせるはず・・・、問題があるとしたら防壁の上からの視線かな・・・」
「あぁ、それは気になるな・・・」
「箱馬車の周囲に土壁で囲ってあるし、『落し穴』で外部からの侵入は防いでいるはずだから、『落し穴』の前に『接近注意』とか、『関係者以外進入禁止』とかい『看板』建てた方がいいかも」
「視線はしょうがないから、みんなは防壁から見えない方に住居スペースを新たに作った方がいいかもね、僕達が戻るまではゆっくりしてていいからって伝えてもらっていい?」
「任せて、私は乾燥薬草2箱持ってすぐ戻るね」
「僕達は商業者ギルドに薬草とポーションを納品するか・・・」
「ギルドの資料室で調べ物をしなきゃいけないし・・・露店巡りは明日以降かな」
リズは箱馬車へ向け駆けていく、リウとクラシスは揃って扉の前の守人にギルドカードを提示し街へと入り、ギルドの場所を聞いてから2人揃ってギルドへ向け歩き出す
北の街内部は、先ほど扉の前で武器を構えていた冒険者が揃って酒場で酒盛りをしているのが見えた
リウ達を見ると、揃って手を上げ挨拶をしてくれたので、リウとクラシスも手を上げ「バイバイ~」と手を振りギルドへ急いだ
北の街到着、400年前の事を調べはじめるリウ一行。
リウ達の資料室での調べ物と、ノノ達の久しぶりにまったりと過ごす日々・・・。




