4-287名前は『ジン』とか
『巨人型ゴーレム』は『ジン』と名乗った・・・
どうやらゴーレムには珍しい『名前あり』のゴーレムだった
『ジン』を創造した御主人は、『ゴーレム作成』時に通常よりも数倍の魔力を込め、ゴーレムにある程度の自我を持たせていた
それは単一命令しか記憶しないゴーレムが、自我を持ち自身の行動を考える事が可能となる事だった
『ジン』が最初に覚えた事は、『みんな仲良くしましょう』という命令だった
『ジン』は生みだされてから御主人と行動を共にし、一緒に暮らしながら『みんな仲良くしましょう』という教えを修練していくのだった
『ジン』の御主人は、『ゴーレム作成』で北部の鉱山で掘削作業用ゴーレムを作りだし、鉱山の作業員のサポートを請け負っていた
『ジン』はその中でも掘り出された鉱物を、鉱山から北の街への運搬を任されていた
御主人と『ジン』が鉱山で仕事をしていたのは・・・それから20年間にも及び、御主人の高齢を理由に現場から引退をする・・・
『ジン』は御主人の引退に合わせ、鉱山から森の中に住居を移し、余生を過ごしていたという
『ジン』は御主人の「少し疲れたから少し眠るね・・・、おやすみ『ジン』」という言葉を聞き、『ジン』は御主人と一緒に機能を停止し、一緒に眠る事にした・・・
それは今から430年前の出来事・・・、『ジン』がリウの魔力に気がつき再起動を果たした
『メガサメルト、モリノナカニイタ・・・、ゴシュジンノスガタモ、ゴシュジンノヤシキモナクナッテイタ・・・』
「それは目覚めた『ジン』の周囲が森に覆われていたという事かな?」
『ソウダ、メザメルトモリノナカニイタ・・・』
「何で僕達の方へ向かってきたの?」
『『ジン』トオナジ、ゴーレムノハンノウガアッタノデ、ゴシュジンガイルトオモッタ』
「そういえば『ジン』の御主人は・・・エルフなの?人なの?」
『エルフ?ヒト?・・・ドウイウコト?ゴシュジンハゴシュジンダヨ??』
「『ジン』・・・人の寿命は50~60歳なんだよ・・・、エルフなら600~700歳と長寿だけど」
『ソンナ・・・ゴシュジンシンデルノ?』
「『ゴーレム作成』を極めているならエルフの可能性があるけど・・・、それと『ジン』に1つ聞きたいんだけど良いかな?」
『ナニカナ?』
「さっきから『ジン』は御主人ととしか話していないけど、御主人の名前を教えてもらえるかな?」
『エ・・、ゴシュジンノナマエ・・・・・・』
「覚えてないの?それとも御主人の記憶が欠如してるとか・・・」
『ナマエ・・・ナマエ・・・・・オボエテナイ』
『ジン』は悲しそうに凹んでいた、『白銀龍』と『クロ』は『ジン』の肩に乗り、『ジン』の頭を撫でている
リウも『ジン』に触れながら「その内思い出すよ」と告げるのだった
「僕らはこのまま北の街へ向かうけど、『ジン』は箱馬車の後ろから歩いて旅に同行してね」
『ワカッタ、オネガイシマス』
『ジン』はリウ達に頭を下げ、『アイギス』の旅に同行するのだった
リウと『ジン』は意思疎通できたが、クラシス達『お嫁さん達』は『巨人型ゴーレム』を話し合うリウを眺めながら、北の街まで『巨人型ゴーレム』と一緒かなと思っていた
それに『白銀龍』と『クロ』が嬉しそうに『巨人型ゴーレム』の肩に乗り、ゴーレムの頭を撫でているのを目撃し、龍はゴーレムとも話せるのか・・・と思いはじめていた
箱馬車の周囲にいた4頭の犬型ゴーレムは、『巨人型ゴーレム』がリウ達に危害を加えない事を感じてなのか、警戒態勢を解きその場で座り始める
クラシス達も鉄杖をアイテムボックスに保管し、箱馬車を囲む土壁を解除し、アライズ達は晩ご飯の用意を再開するのだった
「『巨人型ゴーレム』がいるけど、夜の護衛は犬型ゴーレムは必須だよね?」
「それと最低限の土壁は必要か・・・」
「リウと龍が仲良く話してるから大丈夫だと思うけど・・・」
「それにしても巨大なゴーレムは初めて見たな・・・」
「どれ程の魔力を注ぎこめたのか・・・もしくは『ゴーレム作成』の達人なのか・・・」
「それ以上に会話が出来るゴーレムとは・・・ギルドでも聞いた事無いね」
「リウのゴーレムは・・・意思疎通は多少できるけど会話は無理だし・・・」
「『巨人型ゴーレム』はひょっとして凄いゴーレムなのか!」
「『白銀龍と『クロ』が懐いている段階で凄い気がするよ」
リン達が薬草採取を終え戻ってきた頃に、アライズ達の料理が完成していた
晩ご飯が完成してもリウと『巨人型ゴーレム』は話し合いを続けており、リウ達をほっといて食事をする訳にはいかず、クラシスとリズがリウ達を呼びに向かう
「そろそろご飯だよ~」
「話し合いの続きは食後にしては~」
「ん?もうそんな時間??」
『焼鳥!』
『焼串!』
『・・・ドシタ?』
「どうやらご飯みたいだ、『ジン』はご飯どうする?」
『ゴハン?サッキマリョクモラッタカラダイジョウブ』
「それでもみんなに『ジン』の事紹介するけどいいかい?」
『イイノ?コワガラレナイ??』
「大丈夫だよ、僕の『お嫁さん達』は『ジン』を怖がったりしないよ?」
リウは『ジン』の足を撫でながらクラシスやリズを手招きし、「撫ででみ?」と2人に話し『ジン』に近づき・・・撫でり撫でりと『ジン』を撫でていく
『ジン』はクラシスとリズが自分を怖がらない事が嬉しく
『アリガトウ、ウレシイヨ』
「クラシスもリズも僕の『お嫁さん』だよ、さっきも言ったけど『ジン』を怖がらないでしょ?」
『ウンウン、リウノオヨメサンハスゴイネ、ウレシイヨアリガトウ』
『リウの家族はみんな優しいから好き♪』
『僕らもリウの家族だからね、『ジン』の事もみんな歓迎すると思うよ♪』
「それじゃ、僕らも晩ご飯に行こうか」
『ジン』は立ち上がり『アイギス』の箱馬車へゆっくり近づくのだった
箱馬車の周囲は土壁で囲われており、『ジン』は土壁ギリギリの位置に座りこむのだった
箱馬車のノノやココ達は『巨人型ゴーレム』が近づいてきたので土壁を解除し、座りこんでから『巨人型ゴーレム』を囲むように土壁を作成する
リウは『白銀龍』や『クロ』を魔法で綺麗にし、自分自身も魔法で綺麗にしてからイスに座るのだった
『ジン』はリウ達が座る位置から見える場所に座っており、リウは全員がイスに座り食事を始める前に『ジン』の紹介をするのだった
「さっきからみんなの目の前に座っている『巨人型ゴーレム』は、名前を『ジン』を言います」
『ハジメマシテ『ジン』デス、ヨロシク』
「気がついたと思うけど、名前ありのゴーレムなので会話可能です」
『エヘヘヘ』
「「「「「・・・・・」」」」
「みんなどしたの?」
「多分だけどリウだけが『ジン』の声を理解していると思う」
「私達には「ゴゴゴゴ」としか聞こえない・・・」
「私にも「ゴゴゴゴ」としか・・・」
『ゴゴゴゴ?』
「『ジン』も無理やり「ゴゴゴゴ」と話さなくてもいいから!」
『ソッカ、コエガキコエナイノカ・・・ザンネン』
「それで『ジン』はこれからどうするの?私達と一緒に旅をするの?」
「まずは次の街まで一緒に行くよ、『ジン』の御主人事を知りたいしね」
『ゴシュジンイルカナ・・・アイタイナ』
『ジン』は既に次の街に気持ちが向いていたが、リウ達は我慢できず「いただきます」と呟き食事を始めるのだった
ゴーレム達は基本食事を必要として無かったが、犬型ゴーレムはリウ・ノノ・ココ・ジャンヌが晩酌前に魔力を注ぎ、ゴーレム馬も同時に魔力を補充し、『ジン』もゴーレム達と同様に魔力補充しそうにリウと見つめていたので・・・・リウは『しょうがないな』と呟き『ジン』の足に手を置き魔力を補充するのだった
リウ達は晩酌をしながら『ジン』達がいれば『火の番』不要だな・・・と呟き
「晩酌でお代わりし放題・・・」
「焼串と焼鳥食べ放題・・・」
『焼き林檎食べ放題・・・』
『角煮もお代わりしていいですか!』
「果実酒もあるけど、『はちみつ酒』も飲み放題?」
「今日くらいは飲み過ぎてもいいよ、『ジン』と出会いたし今日は記念日と言う事で!!」
期間限定?でゴーレムが『アイギス』に合流しました。




