3-280冬期間のダンジョン住居⑦とか
『銀細工』は見る分には良いんですが・・・、金属アレルギーなので『銀細工』は勿論の事、腕時計も自分は装備できません・・・。
指輪と時計を装備すると、時間経過とともに湿疹が発症するという不具合が・・・。
麓の街から戻った次の日から、リウは鉱物を粘土の如く色々な形に創り変えていった
『お嫁さん達』のクラシスやリズ達は、子供部屋に篭り新たに子供服を作り始めている
リン達5人は午前中は調理場で料理の修練をし、午後から子供部屋で服作りをしていた
今のところ子供の大きさに誤差が無く、同じ大きさの服を色違いで何種類も作り上げていた
それと子供が大きくなってもいい様に、肌に優しい柔らかめの布を『娘さん』達がエルフの集落や麓の街で購入していた
『アイギス』での購入する物資は、食糧や調味料よりも子供用品が最優先事項になっていた
その事にリウを始めメンバー全員が賛成していたので、『アイギス』の活動資金の殆どはクラシスら『お嫁さん達』に渡してあり、『娘さん』達の買い物にも『アイギス』の活動資金をしっかり渡してあった
リウのアイテムボックス内にある黒熊や大猪のギルドへの納品代金は、基本『アイギス』の活動資金になっていた、リウは基本焼串や焼鳥に加え、果実酒や調味料を購入し、調理場の貯蔵庫に保管していくのだった、焼串や焼鳥は『アイギス』の本拠地で警備をしている『娘さん』達のお土産にし、仕事中でも食事が出来るようにしていた
『アイギス』の日常は、朝錬に始まり晩酌で終わる
朝錬だけはメンバー全員で運動場で行い、朝ご飯後には各々の修練ややりたい事をやっていたが、リウだけは地下3Fの休憩部屋で『銀細工』を作っていた
最初は伸ばしてり、引っ張ったりして色々な形状に変えてみたりしていた
『純銀』加工はリウや『白銀龍』『クロ』は直に修得出来たのだが、『純銀』を『指輪』『ネックレス』に創り変える事が難しく、なかなかイメージ通りに創る事が出来なかった
リウは『銀塊』を手の中で『ぐにぐに』しながら『純銀』に創り変えていく・・・
「最初は『指輪』か・・・『ブローチ』が創りやすいかな・・・」
『指輪』は小さなリングを形作れば『指輪』になるけど、デザインは無理だな・・・カッコ可愛い形は知らないし・・・、『ブローチ』なら花の形でも薬草の葉の形にでもしたらいいかな・・・
「『藍のマント』の刺繍にあった「四つ葉のクローバーと盾」で『ブローチ』を創ってみるか・・・」
リウは手の中の『純銀』に四つ葉のクローバーのイメージを投影する・・・
クローバーだけでも『銀細工』としてはカッコいいな・・・と思いながらも、数パターンのクローバーの『銀細工』を作っていく
気がついた時には午前中に10以上の『ブローチ』を作り、昼ご飯後に昼寝をし、午後からも『銀塊』を『ぐにぐにこねこね』し、『ブローチ』を作り上げたいく
この日は、『四つ葉のクローバーのブローチ(仮)』を25個完成していく
『四つ葉のクローバーのブローチ(仮)』は、晩酌時に初めての『銀細工』としてメンバーにお披露目をしたのだが、テーブルに並べている最中にクラシスやリズ達が好きなデザインを手に取り・・・、3分後には『四つ葉のクローバーのブローチ(仮)』は誰かの持ち物になっていった
そして最後に、クラシスの「もっとないの?」と聞いてきたので、「えーっと、明日も作ります・・・」とだけ告げるのだった
どうやら『四つ葉のクローバーのブローチ(仮)』は『お嫁さん達』のみならず、アンリーやシンリーや『娘さん』達も手に取り嬉しそうに微笑んでいた
「みんな嬉しそうだからいいか・・・」
「明日の『銀細工』は何を作るの?」
「やっぱり『ブローチ』かな、もう少し精巧な作りにしたいんだけどね・・・」
「リウはこの『ブローチ』を売り出すの?」
「どうだろ・・・物作りは好きだけど、売るにしても素人の『銀細工』は売れないでしょ?」
「売らないんなら『アイギス』のメンバーに専用の『銀細工』を作ってみては?」
「『藍のマント』の刺繍の様に、『四つ葉のクローバーと盾の柄』の『銀細工』とかかな」
「『アイギス』らしいと言えばその形が一番かな・・・」
「回復の薬草と守りの盾の柄ですか・・・確かに『アイギス』らしいですね」
リウは話しながら手元のメモ用紙に『藍のマント』の柄を書き記していく
書きながら『ブローチ』の大きさまで小さくしていくのか・・・細かいかなっと思いはじめていく
リウが色々書きだしているの見ていたノノやココもメモ用紙を取り出し色々書いていく・・・
ノノやココは林檎の花や桃の花を書き記していく・・・、果実の花は『アイギス』の果樹園で花見をしていて見慣れていたが、リウは林檎と桃の花の区別は出来ずにいた・・・
ジャンヌやアライズ達もメモ用紙に色々書き記していく・・・、これは『白銀龍』と『クロ』かな?
シルキーとミルキーは2人とも馬を描いていた、歩く姿や駆けている姿・・・色々書いていく
暫らくすると子供たちが泣きはじめたので、メモ用紙に書き記して『ブローチ』にする作業は終了する
リウはメモ用紙を見ながら、花の柄は面白いし、馬や龍の姿もなかなか良いかもと思いはじめていた
「この中で試作で作ってみていいかな?それとみんなには色々書いてもらっていいかな、花でも果実でも動物でもいいからさ♪」
「それなら子供たちを抱きながら書きますね」
「子供を書いてもいいかな♪可愛く書いてもいいかな♪」
「焼串や焼鳥は見慣れているけど『ブローチ』には慣れない気が・・・」
「そこはせめて黒熊とか大猪ならありなんじゃない?」
「ホロホロ鳥とかも面白い可能性が・・・」
「私は果実の花や野菜の花でも良いと思います!」
「トマトやナスとか野菜の柄でも可愛いと思うんですが・・・」
「何が良くてダメという事はないから、仕事の休憩中でも色々書き記してもらえれば嬉しいかな、『銀細工』の種類が増えそうだし、みんなの協力で創作意力が溢れるかもよ♪」
次の日から『アイギス』の女性陣は休憩中はメモ用紙に色々書き記す姿を目にする事が多くなる
大量に溜まりつつあるメモ用紙に目を通し、リウは毎日『純銀』を色々な形に創っていく
野菜の花柄の『ブローチ』や果実の花柄の『ブローチ』に加え、馬達が歩いてる姿や駆けている姿の『ブローチ』を作りだし、『白銀龍』や『クロ』の姿も数点作り上げていく
数日後、やはり晩酌中にリウが『ブローチ』のお披露目をすると・・・・、数分で綺麗サッパリ『ブローチ』は無くなっていった・・・
このリウの『銀細工』のお披露目は、『細工』スキルを修得するまで続く事になる
それでもダンジョン産の『銀塊』の数%しか消費しなかった・・・
尚、『白銀龍』と『クロ』の『銀細工』の『ブローチ』は、なぜかエルフの集落から注文があり、『アイギスの菜園』の野菜と一緒に『銀細工』を運ぶ事になる
麓の街の魔道具屋の『ハルクさん夫婦』にも『白銀龍』と『クロ』の『ブローチ』を渡しており、「この『ブローチ』は非売品ですよ」と告げる事になる
リウはみんなが書き記したメモ用紙から『ブローチ』にした物を新たに書き記し、『ブローチ』のデザイン帳として大事に保管する事になる
『アイギス』のメンバーは、デザイン帳を片手にリウに直接交渉し、新たに『ブローチ』を作っていくのだった、それは冬期間中のリウの日課になるのだが・・・
リウにしてみても、『細工』スキルの向上に繋がる事なのと、『お嫁さん達』が喜ぶのでニコニコしながら『ブローチ』で着飾る彼女達をリウは笑顔で迎えていた
地下2Fの『トークさん夫婦』にも、野菜の花柄の『ブローチ』と『白銀龍』と『クロ』の『ブローチ』をセットで贈っていた
嬉しそうに受け取るのをリウは今でも覚えている・・・
リウの『銀細工』は非売品であり、他所からも注文が来るのだが・・・、リウは『銀細工』の自分ブームが去ったのか追加で作る事はなかった・・・。
勿論『お嫁さん達』からのお願い時は寝る間も惜しんで『銀細工』を作り上げるのは内緒である。




