3-279冬期間のダンジョン住居⑥とか
麓の街の魔道具屋の1室でリウと『ハルクさん』と『シルクさん』が顔を突き合わせていた
知り合いの『鍛冶師』を『ハルクさん』に紹介してもらったまでは良かったが、弟子入りも鍛冶場の見学も出来なかった・・・
「弟子入りも無理でしたね・・・まさか限定種族のみしか弟子入り不可とは・・・」
「まぁ、『鍛冶師』は昔から頑固一徹な気風でしたし・・・」
「この『解体ナイフ』は凄いですね・・・」
リウと『ハルクさん』が『鍛冶師』を訪ねた時の事を話しているのに対し、『シルクさん』は『鍛冶師』の武器屋から購入したお勧めの『解体ナイフ』を見つめていた
確かに紹介してもらった『鍛冶師』の鍛冶の腕前は凄いみたいで、購入した『解体ナイフ』はリウの目から見ても最高の1品であった
「それでリウさんは『鍛冶』どうしますか?」
「そうですね、『鍛冶師』への顔合わせとしては良かったと思います、次に訪ねる時に何か1品『鍛冶』で鍛えた物でも届けれれば・・・いいのかな?」
「それではリウさんは自前で『鍛冶』をする・・・っと?」
「まぁ、そうなるかな・・・、一応『ハルクさん』には『鉄鉱石』の原石をお見せしましたが・・・」
リウはアイテムボックスから『鉄鉱石』を土魔法で多少手を加えた『鉄』の塊をテーブルにのせる
塊と言っても不純物を抜いた感じで、『鑑定』スキルで調べても『鉄』としか知る事が出来なかった
「・・・これは『鉄』ですか?」
「不純物が少ないというか、ここまで鍛えられた『鉄』は見た事無いんですが」
「土魔法で鉄だけを抜いたイメージ作ってみました」
『鉄』の塊を手に取り最初そこ驚いていた『ハルクさん』だったが、『鑑定』後には難しい顔をしながら『鉄』をテーブルに置き
「これは完全にというか完璧に『鉄』です、それよりも土魔法で『鉄鉱石』から純粋に『鉄』を抜き取るとは聞いた事が無いのですが・・・」
「これは土魔法というより石魔法ですね・・・、鉱物の加工なんて誰もやった事が無いので、話した所で誰も信じてくれないでしょうね」
「土魔法を纏いながら『鉄鉱石』を捏ねるイメージで完成したからなぁ・・・」
「魔法はイメージと言いますが、リウさんは魔法をイメージで再現するのが上手なんですね」
「前に魔法はイメージを描いて行使すると教えられたもので・・・」
「土魔法で土壁ばかり作っていると思っていたけど、細かい土魔法も使えたんですね」
リウは『鉄鉱石』を手に取り土魔法で『鉄』に創り変えていく
手の中の『鉄』の塊とテーブルの上に落ちている不純物、『ハルクさん』と『シルクさん』は不純物と手に取り・・・「ゴミかな?」とか「これは残りカスみたいなもの?」と話しあっている
「こんな感じで『鉄』を創り変えている」
「本当に土魔法だけで『鉄』になるんだ・・・」
「慣れるまで結構時間がかかったけどね」
「リウさんはこの『鉄』で『包丁』を作るんだっけ?」
「『包丁』というか調理器具かな・・・、食事中に聞くを切り分けるナイフにフォークとか欲しいかも」
「それは店売りの品でも良いのでは?」
「どうせならダンジョン住居産の鉱物で作りたいしさ」
「それをよそに販売とかは・・・?」
「販売するにしても『鉄鉱石』よりも『銀』とかの方が好いんじゃないかな」
「ダンジョン住居では『銀』も採掘可能なんですか?」
「はい、多少ですが採掘可能ですね・・・『銀細工』とかならエルフの集落で販売してもいいと思いますが・・・」
「それはダンジョン産の『銀』をエルフの集落で『銀細工』を作り売りだすとか?」
「エルフの冬期間の仕事としては最適だろ?」
「それについてはエルフの長老に相談かな・・・反対はしないと思うけどな」
『銀』の原石をテーぶりに置き、リウは土魔法で『銀』の加工を始める
加工と言っても原石から不純物を抜き取る作業をし、綺麗になった『純銀』をテーブルに置くのだった
『純銀』を『鑑定』した『ハルクさん』と『シルクさん』は、「これも土魔法の応用なのか・・・」とか「魔道具を加工するのにも使えそう・・・」とか話している
「この『純銀』も渡しておきますので、2人で色々試してみてはどうです?」
「土魔法で加工すれば魔道具にもなるか・・・」
「魔石と一緒に加工すれば魔法を付加出来るし、自分らしさの魔道具を作れるわね・・・」
「元々は『銀細工』の様な加工品は誰が作っていたんですか?」
「それは魔道具屋で取り扱っている商品の事っを言ってるんですか?」
「そうです、『銀の指輪』とか『ネックレス』とかは誰か専門に加工しているのかと・・・」
「魔道具屋の『銀細工』は麓の街にいる『細工師』にお願いしてますね、商業者ギルド加盟の職人なので専門にお願いしてますね」
「『細工師』という職の方もいるんですね・・・、僕もこっそり『銀細工』を修練するのも面白いかも」
「リウさんの行動基準は面白いかどうかですよね・・・羨ましい」
「羨ましいですか?『銀細工』は修得できるか未定ですが、趣味の範疇でなら『お嫁さん達』の反対も無いかな・・・っと」
「反対意見は無いと思いますよ、『アイギス』事態生活基盤はキッチリしてますし、何より『衣食住』のすべてに置いて完璧だと思うんですが・・・」
「『衣食住』の衣に関しては、『お嫁さん達』が子供達の服を縫ってくれてます、食は地下3Fの菜園で野菜を作ってますし、住もダンジョンを作り変えて住居にしましたし・・・」
「服を縫うのは『お嫁さん達』だし、食に関してはアライズやアリサ・アンナの3人が『アイギス』の料理番なのが大きいかな、今はリン達5人が新たに『アイギス』の料理番になってますし・・・」
「ヘンリーも料理番なんですか?」
「はい、アライズ達に師事して調理場で毎日修練の日々ですが、僕は毎日お昼は彼女達のお弁当を食べてますよ」
「そうですか、料理上手になるのは親としては嬉しいですね」
「ちょっと待って下さい、アイテムボックスにヘンリーの作った焼串や焼鳥があるので試食してみますか?凄く美味しいですよ♪」
アイテムボックスから焼串や焼鳥を取り出し、『ハルクさん』と『シルクさん』に手渡す
焼きたての焼串や焼鳥は熱々で『岩塩』のみの味付けにもかかわらず、露店の焼串以上の味わいを醸し出していた
リウは小皿に焼串や焼鳥を次々と積み重ねていく、そしてこっそり果実酒を注いだカップを2人の前に「どうぞ、おいしいですよ」と勧めてみる
「今日は魔道具屋を閉めたので飲んでも問題無いでしょ」
「晩酌時には、修練時の1品は酒の肴にぴったりで、毎日の修練が毎日の晩酌の肴作りに・・・」
「本当に美味しいですね、『岩塩』だけの味付けでは無いみたいですが・・・下味が『アイギス』独特の物なのかな?」
「『シルクさん』は焼串の味付けを気がつきましたが・・・、本筋の味付けは『岩塩』ですが色々な調味料で調理されています、色々な所は秘密です♪」
「その秘密が家庭の味なのかもしれませんね」
「それにしても酒に合いますね、いくらでも食べれるし飲める!」
「僕はいいんですが『お嫁さん達』が飲み過ぎないか心配ではありますね、美味しいのが悪いんですが・・・『アイギス』的には美味しいは正義と考えてるので、少しばかり困ってる状況かな?」
「美味しいは正義ですか・・・『アイギス』らしいというか、リウさんらしいというか」
「おなかいっぱい美味しい物が食べられたら、それだけで幸せって事でいいんじゃないですか?」
『ハルクさん』と『シルクさん』は苦笑いをしながら焼串を頬張っている
小皿の焼串や焼鳥が・・・20本くらいあったはずなのに、30分足らずに食べちゃいますか・・・
果実酒も大瓶飲みほしたし、これは2人とも晩ご飯は食べれないかもな・・・
「2人とも美味しいのはわかりましたが、そんな一気に食べちゃったら晩ご飯食べれなくなるんじゃ・・・?」
「まぁ、飲んで食べてなので・・・すぐに寝れますね♪」
「もしくは、飲みなおしてもいいかも♪」
「それは僕が帰ってからにして下さい、これから『アイギス』の本拠地へ帰るんですから・・・」
「そういえば本拠地からダンジョン住居は地下で繋がってるんでしたっけ?」
「はい、その方がエルフの集落へ行くのも楽だし、馬達にとってもいい運動になるという事で散歩や乗馬には最適と言われました」
「冬期間では有り得ない話ですね・・・エルフの集落からも馬を預かってますので、エルフの方々が馬を乗りに来てますよ」
「『アイギス』の本拠地は施錠してないんですか??危なくないですか?」
「本拠地は交代で護衛の『娘さん』達が常駐してるので大丈夫ですよ、ダンジョン住居への出入りも担当してるし、エルフの集落へ『アイギスの菜園』の野菜の搬送も担当してるからな・・・」
「それは護衛の『娘さん』達が仕事過多ですね・・・、まぁエルフの集落へ地下通路を開通してもいいんですが、安全面で作れないとう現状です」
「安全面・・・地下通路が長すぎるという事ですか?」
「長すぎる通路は崩落の危険性もありますし、エルフ側からも地下通路の要望も無いし良いかなっと」
その後、追加の焼串と焼鳥を取り出し、『ハルクさん夫婦』の晩酌は続くのだった
『白銀龍』と『クロ』も焼串の匂いにつられ、『ハルクさん夫婦う』と一緒に食べ始めるのだった
リウは晩酌を再開した4人と放置し、露店で果実酒や子供服用の布を購入するのだった
土魔法で鉱物をねるねるねるね~。
鉱物を粘土の如く創り変えます、リウのデザイン性はいかほどか・・・。




