3-277冬期間のダンジョン住居④とか
冬期間も残し数カ月になった頃、地下3Fの散策も終わり『岩塩』は調理場の貯蔵庫に保管し、それ以外の鉱物は地下3Fの発見場所に埋め直した・・・
埋め直した理由は、地下1Fの運動場の邪魔になった事と鉱物が巨大すぎで危なかった
本来の掘削では砕いて運ぶのだが、リウは原物のまま運び、大きい物は大きいまま運びこまれていた
運動場の鉱物は壁際に丁寧に並べられていたが、『アイギス』の誰も加工出来なかったので、メンバー全員の意向で無かった事になった
リウが一度土魔法で鉱物を加工していたが、加工後にどうしたらいいかわからずにいた・・・
「鍛冶はやった事無いしな・・・」
「リウは鍛冶仕事をやってみたいの?」
「いあ、そういう訳じゃないけど『鉄鉱石』から『鉄』を取り出したから活用したいし・・・」
「武器屋か防具屋にでも鍛冶をお願いしたら?」
「欲しいのは武器や装備品じゃないんだけど・・・」
「リウは何が欲しいの?」
「みんなの分のナイフ?包丁?かな」
「調理する時の?」
「そそ、折角だしみんなの分の調理道具を揃える!」
「武器屋さんで作ってくれるかな・・・」
「専門外なのかな・・」
『鉄鉱石』から加工した『鉄』を見ながら、リウとクラシスとアライズは『鉄』の有効利用について話していたが、武器や装備品の話にならず相変わらず『調理器具』について話し合いをしていた
「鍛冶は鍛冶屋?」
「基本的には鍛冶師に弟子入りとかが一般的ですね」
「鍛冶氏に弟子入りか・・・基礎だけでも教わりたいけどな」
「もしくは、鍛冶師を雇いますか?」
「それは『アイギス』としてかな?」
「そうなるかな・・・、ダンジョン住居が『鉄鉱石』の採れる鉱山と考えるなら専門で『鍛冶師』を雇うのもいいと思います」
「『アイギス』に『鍛冶師』を雇う金銭的な余裕は・・・ある?」
「金銭的余裕はあるよ、土魔法で土壁を作成した時に稼いだからね」
「それと『鉄鉱石』の販売とか、もしくは、ダンジョン住居産の『鉄鉱石』で鍛えた物を販売したら、『鍛冶師』を雇えると思えますよ?」
「その辺はエルフの長老『アスキーさん』と麓の街の魔道具屋『ハルクさん夫婦』に相談しますか?」
「商業者ギルドに相談する前に知り合いに話を聞いた方がいいかも知れませんね」
「問題はこの場所で専門的に武器を鍛える事は無いと思いますが・・・」
「そうだよね・・・」
「明日にでもエルフの集落に相談に行こうかな」
「それなら『岩塩』と『鉄鉱石』を持っていってね」
「『岩塩』の原石を持っていこう、『鉄鉱石』は・・・大きいから持てる大きさの鉱物でいいかな?」
「・・・せめて床の抜けない重さの大きさでお願いね」
「床の抜けない重さの鉱物か・・・手にのるサイズでいいかな?」
「資料用の鉱物だから小さな大きさで十分でしょ」
「地下3Fで手頃の大きさにカットしてくるか・・・」
「『鉄鉱石』をカットしてくる?」
「ナイフに『ハルパー』を付加すれば『鉄鉱石』もスパスパ斬れる!」
「・・・具現化魔法の無駄使いな気が」
「使える魔法は使わないとね♪」
リウは午後から地下3Fで鉱物を『ハルパー』で手頃の大きさにカットしていく
『鉄鉱石』や『岩塩』など数種類の大きさにしアイテムボックスに保管し、地下2Fの『アイギスの菜園』の野菜も大量に収穫し、明日エルフの長老のお土産にした
『アイギスの菜園』で働く『トークさん夫婦』にも『鍛冶師』の知り合いがいないか聞いてみたが、エルフで『鍛冶師』を目指す人がいないという事で、麓の街の『ハルクさん夫婦』なら知り合いがいるかもという話だった
地下2Fの『トークさん夫婦』にも、『岩塩』の原石を渡したら凄い勢いでお礼を言われたが、『白銀龍』と『クロ』と一緒に採掘したと話したら、「これは祀った方がいいか・・・」とか「これは祭壇に供えた方が・・」とか話していたので、「料理の味が向上しますので普通に調味料として活用して下さい」と話し、リウは地上1Fのお風呂場へ歩くのだった・・・
今日のリウは馬での移動をせずに、通路の標識だけで地下3Fから地上1Fまで歩いて移動していた
実際に歩いてみた感じ、階段から階段までの通路を基本の広さで、『岩塩』や『鉄鉱石』までの小道は狭いが1本道になっており迷う事は無かった
「地下3Fの階段の付近で鉱物を採掘出来るのは嬉しいな」
リウは新たに階段の付近にも部屋を作り、『岩塩』の部屋や『鉄鉱石』の部屋を作り、地下3Fの深部まで行かずとも採掘出来る様にしていた
その他にも小さいながらも調理場や食堂に加え、休憩部屋やトイレにお風呂を完備した小型の簡易陣地を作り上げた
この部屋は地下3Fで仕事をした時に休憩や食事の時に使えるようにした
「この部屋が完成したから子供と一緒に地下3Fまで一緒に過ごせるな・・・」
食糧とかはアイテムボックスやマジックボックスに保管できるから問題ないけど、地下に下がるほど子供たちに負担がかかるかが不安ではあるな・・・
この世界では負荷でも修練の1つに捉えられているから、多少なりにも強くなるのかな?
子供たちももうすぐ1才になるし、地下1Fで数日過ごすのも面白いかも・・・
問題は過保護なアリサやアンナから叱られる可能性があるかな、クラシスやリズは子供たちを強くするのには賛成かもしれないけど・・・
「子供たちが強く育つのは嬉しいが、大きくなったら何になるんだろうな・・・」
何になるんだというより、何をするんだろうの間違いか・・・
僕は何もなかったから冒険者になったんだし、子供達には何にもなれるような環境を作りたいな
今の『アイギス』は薬草採取とポーション作成に、菜園での野菜や稲作と果樹園での林檎作りか・・・、それ以外では魔法を使った冒険者のまねごとくらいかな?
「魔法のみでギルドの依頼をするのは間違いじゃない気もするけど、普通の冒険者と言っていいものかどうか・・・」
冒険者らしく剣や槍を使いこなすわけでもなく、ダンジョンに潜り未階層を探索するわけでもない
薬草採取とポーション作成が主な仕事だったはずなのに、気がつけばダンジョンに部屋を作り暮らしている、しかも『お嫁さん達』と『子供たち』と一緒にダンジョンに菜園を作り野菜を育てているとは・・・
「数年前では考えられない事をしてるな・・・」
結婚して子供もいる、持ち家もあって静かに暮らしている
まだ、やりたい事が山積みなのは否めないが、子供たちが大きくなるまでにやりたい事やり尽くす!
『鉄鉱石』を鍛える為に『鍛冶師』を雇うか、リウが実際に『鍛冶師』になるか・・・。
『アイギス』の基本武器が両手棍か鉄杖なので、『鉄』を鍛えた片手剣や両手剣は不要な気がする。
ジャンヌやリンやアイズは片手槍や片手剣を装備しているけど・・・、実際には魔法を唱えて暮らしている・・・、いや冒険者をしている。




