3-273通常営業の『アイギス』③とか
龍の巫女達との買い物旅行は、大量の焼き串と焼鳥に加え、『稲』の『種籾』に野菜の種や果物の苗木を購入し、『アイギス』の本拠地に戻る事になる
野菜の種は、アイテムボックスに保管するのも考え、数年分の種を購入していた
それ以外に『アイギス』の菜園で育てていない野菜や種も購入し、来年度から食卓でいっぱい食べれる様になる
まずは、冬期間のダンジョン住居地下2Fの『アイギス』の菜園で育ててみるのだが・・・
野菜作りは、各集落を周り野菜農家のみなさんから、育て方を聞きリウとアンリーとシンリーは細かく聞きメモを書き記していた
果実に関しても、林檎・梨・桃に加え、葡萄や柿などの果実を箱買いし、各種苗木を大量に購入し、リウはアイテムボックスに保管した
新しく購入した果物は、葡萄・柿・オレンジ・バナナがあったが、バナナだけは苗木を買えなかったので、バナナを3箱購入し、リウは1人でほくほく顔で露店の店主と握手していた
龍の巫女や『娘さん』達は、葡萄や柿は見た事があるみたいだが、食べた事が無いという事だったので、購入後さっそく箱馬車で移動中に試食会をし、龍の巫女を始め『娘さん』達もニコニコしながら頬張っていた
オレンジやバナナは見た事も無く、食べ方がわからないという事だったので、リウが食べ方お教えてから、食後のデザートして振舞った
「これで今回の買い物旅行は終わりだね」
紅茶を飲みながら、バナナをぱくぱく食べていたアンリーは
「美味しい果物ばかりで満足です」
オレンジを頬張っているシンリーもコクコクと頷き
「リウさんは色々な果物を知っているんですね」
「果物が好きなだけだよ」
「これだけの果物を果樹園に植えるとしたら・・・果樹園の拡張しなきゃ」
「それは来年度でいいでしょ、今年は戻ったら『稲籾』を精米しないといけないし・・・」
「もう一仕事ですか・・・、美味しいお米までの道のりは遠いですね・・・」
「美味しい物は手間がかかるのですよ」
リウの美味しい物に妥協しないという考えは、リウ達と一緒に暮らし始めてから感じていた、下準備をして料理をする姿勢や、自分たちで黒熊や大猪を討伐からの解体までする事など、普通は自分たちで食べる物を調達し調理するのは考えられない事だった
「戻る頃には子供たちも1才になるのか・・・」
「子供たちのお土産も購入しましょ?」
「服とかがいいかな?」
「それとも綺麗な布を購入して裁縫するのも面白いと思いますよ」
「裁縫か・・・、アンリーとシンリーは裁縫の経験は?」
「「・・・ないです」」
2人とも首を振り、「細かい仕事は・・・」とか「ちまちまな事は・・・」とか呟いている
『娘さん』達も「裁縫ですか・・・」「管轄違いです・・・」と話してるし
「管轄違いって・・・、みんなで裁縫の修練したら覚えるのかな」
「問題は誰に裁縫を師事するかですが・・・」
「エルフの主婦のみなさんに教えてもらいますか?」
「冬期間だけでもダンジョン住居に住み込みで裁縫を教えてもらえるか相談してみましょ」
「エルフの長老に要相談だな・・・」
「多分ですが、ダンジョン住居地下2Fの菜園の世話も同時に相談した方がいいと思います」
「地下2Fの菜園の世話?」
「冬期間のエルフの集落では、野菜不足で食事も寂しいので、『アイギス』で育てられる野菜はみんな喜ぶと思います」
「そっか、なら地下2Fの菜園は拡張してもいいかな?」
「私達も手伝いますから、沢山育てましょ」
アンリーの言葉にシンリーや『娘さん』達もコクコクと頷き、『白銀龍』や『クロ』も頷いている
エルフの手助けがあれば菜園の管理は大丈夫だろう
問題は野菜の種が足りるかだな・・・、もう少し野菜の種を購入した方がいいかな?
「地下2Fに菜園拡張するなら、本拠地までの道すがら野菜の種をもっと買ってみよう」
「アイテムボックスに保管できるので、収穫周期の早い葉野菜や根野菜の種や苗を買いましょ」
「菜園があるけど、乾燥野菜は購入しなくても大丈夫なんですか?」
「乾燥野菜か・・・、調理時間の短縮に便利だから、リン達のお土産に少しだけ買っちゃおっか」
「「はい」」
「喜ぶと思います、晩酌時に簡単なスープを作る時は、乾燥野菜でちゃちゃっと調理できるしね」
「それじゃ、『犬耳族』の集落を出発するか!」
「「「「はい」」」」
『『戻ろう♪』』
買い物を済ませたリウ達はゆっくりと箱馬車を『アイギス』の本拠地へ向け駆けていく
これから各集落を周り、野菜の種や苗木を買いあさるのだった
この時、各集落の野菜農家達は、野菜の種や苗を購入するリウ達を不思議な目で見つめていた
冒険者風なのに野菜や果実を購入する冒険者・・・
一応はギルドに黒犬や黒熊を納品しているみたいだが、露店で大量の焼き串や焼鳥を購入し、果物や野菜の種や苗木を購入する冒険者
そして、龍と旅をする冒険者として色々なうさ輪が流れるのだが、リウ達はそんな噂が流れている事自体知らずにいた
『アイギス』はギルドに黒犬や黒熊をギルドに納品し、色々な買い物をしていくのだが、どの集落でも納品した報酬ギリギリで買い物をしていたので、活動資金が足りなくなるとギルドに追加納品を繰り返していった
ギルド側では、日に何度も納品するリウを不思議そうに対応していたが、リウ達は革装備にマントのみという格好だったので、リウ達が討伐したのではなく仲間内で討伐した獲物をかわりに納品していると思われていた
それはランクアップする訳でもなく、ただ納品報酬だけを受け取っていたからなのだが・・・
それから半月後リウ達は本拠地に到着する
お嫁さんと子供たちの待つ本拠地は刈り取られた稲が、水田の隣に掛け干しされていた
黄金色に干されている稲達は綺麗で、明日から本格的に脱穀と精米の仕事があるのだが・・・
それはリウの担当なので、夜な夜な作業小屋で仕事をするのだった
「ただいま!」
「「「「「「「「おかえりなさい!」」」」」
「いっぱい買ってきたよ、果物もいっぱいあるし♪」
「果実酒も買ってきたの?」
「もちろん」
リウは1人ずつ嫁と子供を抱きしめ、「ただいま」とか「おかえり」とか呟きキスしていく
クラシス達は照れながら嬉しそうに何度もキスしていく
子供たちもリウが帰ってきたのが嬉しいのか、小さな手を振り「きゃきゃ」とはしゃいでいた
『白銀龍』と『クロ』は、『娘さん』達に抱きしめられながら「おかえりなさい」と言われ、『ただいま』と嬉しそうに話していた
アンリーとシンリーは、留守番をしていた『娘さん』と話し合いをし、旅行中の出来事を話し始める
リウは馬達を馬小屋に連れていき、「ありがとうな、今回も助かったよ」と話し、労い撫でながら感謝の言葉を送っていた
1カ月に及ぶ長旅を終えたので、馬達には林檎や薬草入りの餌を与えていた
箱馬車は新たに作成した『かまくら住居』の倉庫に停車し、魔法で綺麗にしてから箱馬車を撫で、「ありがとう、事故無く帰れたよ」と呟き何度も撫でてからみんなの元へ帰って行く・・・
本拠地の食堂では、アンリーとシンリーが旅行中の出来事を、お嫁さんのクラシスやリズに話していた
あの集落では露店の焼き串が美味しいとか、焼鳥の味付けがいまいちだったりとか・・・
そして、大量な野菜の種や苗をテーブルに並べ、冬期間の地下2Fの菜園の話になり、増拡張の相談をして、今年の菜園は去年の2倍の広さを管理する事が決まる
果実も今年新たに購入した、葡萄や柿などとテーブルに並べ、晩ご飯前に果物の試食会を開く事になる
好評だったのが葡萄と柿で食後に欲しいと言われた、オレンジとバナナは修練後や休憩時に食べたいかなと話していた
美味しい果物は『アイギス』のメンバーに好評の様だし、食後や休憩中に食べられたら嬉しいな
それと果物の数だけ果実の種類が増える
『アイギス』の貯蔵庫にも各種果実酒が揃えられていた
貯蔵量でみれば酒場と同等に大事に並べられていた
こに日からリウは1人でコツコツと脱穀と精米を終え、5日後には朝食から新米を頂いていた
新米とホロホロ鳥の唐揚げの食事は、暫らく『アイギス』の定番メニューになるのだった
手間のかかる仕事の後には、美味しい食事があるというのを、『新米の炊きたてご飯』で体現していた
これにて龍の巫女&『娘さん』との買い物旅行完了です。
『アイギス』の菜園&農場での収穫を終え、ダンジョン住居への引っ越しを始めるのだった。




