3-271通常営業の『アイギス』①とか
春作業は農家の印、馬馬車の様に働く日々のスタートです。
本来数カ月で収穫する野菜ですら、1ヵ月で収穫可能になる『木魔法』の活用方法・・・。
『小鬼族』や『小鬼族』で教えてもらった知識は、年数回の収穫を経て『アイギス』メンバーは通常の数倍の速度で農作業を修得していく。
『アイギス』の春作業は、ダンジョン住居からの引っ越しから始まる
冬期間の限定的な生活から一転、『アイギス』は本拠地の掃除を家族総出で行っていた
掃除と言っても魔法で済むのだが、布団を天日干しにしたり、冬期間の汚れを取る作業をしていた
まずは最初に子供達の部屋を掃除し、子供の世話をお嫁さん達にお願いし、リウとリン達は『かまくら住居』の掃除を担当していた
龍の巫女のアンリーとシンリーも住む部屋の掃除をし、『娘さん』達も各自住む部屋の掃除を優先的に掃除を行い、調理場や食堂は後日掃除する事になる
地下施設の馬小屋は、定期的にアンリーとシンリーが掃除をしていたので綺麗になっていた
本拠地の各部屋の掃除は2日間で終え、果樹園はリン達が担当し、畑や水田はリウやアンリー・シンリーが担当した
各農園は去年から作った堆肥を肥料として活用し、『木魔法』と共に作物の生育に貢献していく
畑は『アイギス菜園』として、ダンジョン地下の畑と同じく、トマトやナスなど育てていく事になる
水田はリウが土魔法で耕していく、『犬耳族』の集落で教えてもらった通りに、種まきをし『アイギス』共通の管理とした
「春作業は一段落したね~」
「菜園や稲の種まきも終わったし、後は水やりと『木魔法』での生育促進でなんとかなるかな?」
本拠地の『アイギス菜園』で紅茶を飲みながら、リウは子供を抱きしめたノノに話しかけた
ノノは息子のノーズに水の張った水田を見せていた
種まき後で目は出ていないが、数日後には一面芽吹くはずである
「ココ達は本拠地で留守番?」
「果樹園で林檎の花を見てるよ、今が見頃って言ってたし」
「それじゃ僕らも果樹園に行こうか」
「はい」
リウはノーズを抱っこし、ノノはリウの腕に抱きつきながら歩き出す
抱きしめられたノーズは嬉しそうに笑顔になりながらリウの上着をぎゅっと握りしめる
それを見たノノも嬉しくなりニコニコしている
リウは「かわいいなぁ」と思い、ノノの頭を撫でる
果樹園ではココ達が土魔法で作成したイスに子供を抱きながら座っていた
林檎の木には小さな花が咲き乱れていた、ノノ達は花を楽しんでいたが、リウは摘果を始めないとダメか・・・と考えていた
「それよりも去年植えたはずなのに育ち過ぎてない?」
「去年リン達が毎日の様に『木魔法』を唱えたのが・・・原因かな?」
「それに花をつけたけど実になるかはわからないか・・・」
「それでリウは林檎や梨の摘果をするんでしょ?」
「桃は摘果するよ、林檎よりも実をつけるのは早いはずだし、まずは桃の収穫を目指しましょ」
「そだね、桃は子供が好きな果実だし、果実好きな子供になってもらいたいし・・・」
ノノ達はお互いの子供たちを抱きしめながら、果樹園に咲き乱れる花を見つめていた
『白銀龍』と『クロ』は果樹園を散歩しながら『木魔法』を唱えている
「『白銀龍』と『クロ』は魔法を使ってるの?」
「どうやら『木魔法』を修得したみたいで、果樹園やら菜園を散歩しながら唱えてるみたいよ」
「そかそか、リン達かアンリー達の『木魔法』を見よう見まねで覚えたのかもな・・・」
「龍も魔法を覚えるの?」
「そりゃ覚えるよ、『イージス』も覚えたし、『ハルパー』や『紐』も修得済みだと思ったよ」
「私達より修得スピードが速いのはしょうがないけど、今以上に強くなっても・・・」
「多分だけど『白銀龍』や『クロ』は全てにおいて興味があるんじゃないのかな?」
「子供が何でも知りたいのと同じなのかな?」
「『クロ』は記憶を失っているし、『白銀龍』も『クロ』にいろいろ教えている内に、一緒に修得したのかも」
「それとね前に『白銀龍』に聞いたんだけど龍は魔力の流れが見えるらしいよ?」
「それが早く魔法を修得する術なのかもね」
『白銀龍』と『クロ』の唱えた林檎の木は目を離した間に、数年分成長したみたいで幹も太くなり枝も四方に伸び、花の数も数倍に増えていた
「さっきより林檎の木が大きくなって無い?」
「大きくというか太くなってる・・・?」
「『木魔法』が凄いのか『白銀龍』と『クロ』が凄いのかわからなくなるね・・・」
「あの育った林檎の木なら摘果は必須だと思うんだけど・・・」
「これは去年植えた林檎の苗木と教えても誰も信じないかも」
見上げるほどに巨大になった林檎の木を見ながら摘果をするのは決定事項かなと思いはじめたいた
林檎の隣の梨や桃の木も同じく育ち過ぎている・・・
木の根元には魔法を唱えている『白銀龍』と『クロ』が座っていた
2人は疲れたのか桃の木の下で丸くなり昼寝を始めている
「あれま2人とも疲れて寝ちゃったか・・・」
「2人とも果物が好きだから早く食べたいから頑張って魔法を唱えてるのかも」
「秋前には『犬耳族』の集落で『種籾』と『果物の苗木』を購入してくるからさ」
「それは前に相談された、アンリーとシンリーと一緒に買いってやつですか?」
「そそ、稲の収穫前に出発するけど・・・、本拠地での収穫が少しばかり心配かな」
「収穫期にはエルフの集落で収穫の求人をした方がいいかな?」
「まぁ、エルフの集落の奥に部外者が仕事をするのはダメだろうしね・・・」
「『娘さん』経由でエルフの長老にお願いしてもらおう」
「農作業に理解あるエルフの方々がいればいいんだけどね」
「龍の巫女や『娘さん』達は、農作業に理解あるから任せられるけど、『犬耳族』の旅に同行出来ないのは厳しいかな・・・」
「前回みたいに横道にそれない旅なら大丈夫じゃない?」
「それは採取や討伐をしないで移動優先な旅なら大丈夫という事かな」
「それでいつ頃に出発するの?」
「夏の終わりに出発して、『果物の箱買い』と『新米の購入』と『稲の種籾の購入』かな」
「それなら集落到着時が収穫期に合わせるのかな?」
「そそ、収穫期の果物は採れたて購入が基本だからね」
「遠出の買い物は今回のみで、本拠地との味比べをしたいのと『種籾』の確保を第一です」
「なので稲の収穫後に、来年度の種籾の確保をお願いね」
「「「「「了解、任せて」」」
「これからの『アイギス』は農作業と子育てを重点かな」
「数年ぶりにまったりな生活?」
「そそ、まったりゆっくりな生活だね」
農作業と言ってもリウやリン達、龍の巫女と『娘さん』達が担当し、果樹園や『アイギスの菜園』に水田の管理をしていく事になる
ヤギやヒツジの畜産に関しては、子供が小さいという事で乳製品は露店などで購入する事になる
それ以上に手が回らないので、畜産を諦める事になる
それから夏の終わり頃には、『アイギスの菜園』では野菜の収穫が始まり、エルフの集落の主婦のみなさんに収穫を手伝ってもらい、夏の終わりまでに2回は種まきをし2回収穫を終える
エルフの主婦のみなさんには、手伝ってもらった報酬を現物の野菜を配布した
馬達の糞や野菜屑から作った堆肥は『アイギスの菜園』や果樹園では貴重な肥料になっていた
『アイギス』の農作物は、『木魔法』と堆肥で作られていく
『土魔法』と『木魔法』の影響なのか、農園の除草や防虫は手間いらずになっていた
2つの魔法で『アイギス』のメンバーは、ベテランの農業従事者になっていた
問題は農場の広さと収穫量の多さにあった、20人足らずの『アイギス』の農場は広大な土地に、様々な作物を育てていった
土魔法特化の土壁作成パーティー『アイギス』が、農業従者『アイギス』になった瞬間なのだが、リウ達は好きな事好きなだけやる性分なので、全然気にしなかった・・・
この頃から麓の街にポーションを納品せずに、エルフの集落に野菜を配る事が多くなっていく
1ヵ月に数回は黒熊をギルドに納品して、多少の生活費を稼ぐ事になる
商業者ギルドでは、黒熊を納品するランクEの冒険者として知れ渡り、ランクアップの話を進められるのだが、リウ達は断り続けるのであった
子供が大きくなり始めると、クラシス達は少しずつ果実を飲み始め、いつもの晩酌が始まるのだった
リン達との妊活は、子供たちが3才になるまで自重する事になるのだが、リウは毎日お嫁さん達と一緒に寝るので、万が一妊娠しても生み育てる気でいた
『白銀龍』と『クロ』はリン達が仲良くしているのをニコニコしていた
『アイギス』の日常は、田舎の農村の暮らしになります。
その中で日々の修練をしているのだが、この頃から毎日の様に農場で『木魔法』を唱えるリウ達を見る事になる。




