表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
268/354

3-268冬期間の『アイギス』⑩とか

簡易陣地で黒熊の討伐を初めて5日後、麓の街の魔道具屋『ハルクさん』を訪ねていた

冒険者が集まる街という事で、防衛面では心配する必要が無いので、いつも通り露店が立ち並んでいた

食堂では冒険者は交代で食事をしているのか、鎧を着込んだまま食事をしていた

緊急時に対応出来るように食堂でも酒場でも酔うほどの冒険者はいないみたいだった

冒険者ギルドでは緊急に解体を教えて、解体用員として採用したりしていた

商業者ギルドでは黒熊の毛皮の加工作業に仕事を奪われ、ポーションの扱いを一時的にポーション屋と魔道具屋にお願いしていた

『ハルクさん夫婦』の魔道具屋でもポーションの納品に販売などを担当していた


魔道具屋の店頭には、『ポーション買い取り』とか『マジックバック取り扱い』とか色々な張り紙が貼られていた

どちらもギルドで販売しているのもだが、一時的に魔道具屋でも取り扱いを始めたみたいだ


「おはようございます、取り扱いの商品増えたんですか?」


「おはよう、店頭の張り紙かい?」


「『ポーションの買い取り』に『マジックバック取り扱い』の張り紙は・・・5日前に貼ってありましたっけ?」


「一応ギルドから頼まれてね・・・、前からも取り扱ってたんだけど、今回はギルドが忙しいのか手が回らないと匙を投げちゃってね・・・」


「ギルドだけでは手が回らなくなったとか?」


「黒熊の討伐数と解体数が予想を上回ってね、商業者ギルドでも黒熊の毛皮などの持ち込みで、解体作業をギルド員総出でやってる現状なんだと・・・」


「やはり黒熊の出現数に変化はないんですか?」


「出現数は多少減ったと聞いたかな?それよりも上級冒険者のパーティーが黒熊の討伐に参加したとかで、中堅冒険者と一緒に連日すごい数を討伐しているらしいよ」


「それなら狩り尽くすのも時間の問題なのかな?」


「どうでしょう、黒熊の出現が山間部よりも、『小鬼族』の集落の方の草原からの様です」


「草原を越えて黒熊が現れた・・・?」


「冒険者ギルドで調べた感じではその様ですね、街道に沿って移動じゃないけど、街道沿いの森や林の中で黒熊が移動した形跡を見つけたらしいです」


「『小鬼族』の集落では黒熊の被害は・・・?」


「どうやら黒熊の目撃情報が多数報告された様ですが、大きな被害の報告は無いですね、そのかわり野犬や黒犬の縄張り争いで、『小鬼族』の周辺が一時的に街道封鎖をおこなった様です」


「街道封鎖ですか・・・、封鎖のお陰で黒熊からの被害も無かったみたいです・・・逆にいえば黒熊の被害が無いので、麓の街やエルフの集落での大量発生に気がつかなかったのかと・・・」


「今現在も黒熊による麓の街の被害は出てないんですか?」


「被害らしい被害は、討伐中の冒険者の怪我が多いのが問題かな、中堅冒険者と初心者冒険者が組んで討伐をしているんだけど、それでも少なからず怪我をしてるね」


「怪我の程度はポーションで治りますか?」


「今のところポーションで治るけど、失った血は治らないから・・・、数日は討伐に参加出来ないのが問題かな」


「確かにポーションでは怪我しか治せないか・・・、失った分だけ食って寝て回復するのが1番か」


「食堂でも酒場でも飯を食ってるのは、食事よりも回復中の冒険者が多いのかな」


「僕らは簡易陣地の周囲の黒熊を多少は倒して回収してますが・・・、討伐して解体してを繰り返しやってますね」


「あまり無理はしないでくださいね、怪我でもしたら長老に叱られちゃいます」


「大丈夫ですよ、『娘さん』達から倒してもらって、僕が回収を解体をしてます」


「『白銀龍』様と『クロ』様はどうしてます?」


「『クロ』は僕の頭にのってますね、『白銀龍』は『娘さん』達と防壁の上から周囲の警戒をしてますよ、知ってますか『白銀龍』は僕らの魔法を日々学んでるんですよ」


「そうなんですか?龍も魔法を修得する??」


「えぇ、僕の魔法も再現してましたし、『白銀龍』は『アイギス』の中で1番の努力者ですよ」


「それなら『娘さん』と一緒にいるという事は、何らかの魔法を学んでいると・・?」


「もしかしたら、遠距離魔法を覚えているのかもしれませんね」


「リウさん達は遠距離魔法は修得したんですか?」


「『アイギス』のメンバーは500mの狙撃は成功してますね、ダンジョン住居の地下3Fに遠距離魔法の修練場がありますし」


「リウさん達は冬期間でも修練をしてるんですね」


「冬期間の長期間をまったり過ごすのもいいと思うけど、冒険者になってから毎日修練をしていた習慣かな、修練を休むと不安になります・・・」


「『日々の修練は裏切らない・・・』、前にリウさんがヘンリーに送った言葉です、冒険者には必須の言葉なんですが、中堅冒険者も毎日修練をしている訳ではないので・・・」


「多分不安なんでしょうね、冒険者の暮らしは何があるかわからないし」


「リンさん達は冒険者としては成功していると思いますよ、持ち家があり結婚をし子供を育ている、ランクEの冒険者らしからない暮らしをしてると思いますよ」


「ランクEは関係ないですよ、僕らが欲しかったのはギルドカードという証明書が欲しかっただけだし、持ち家は『アイギス』の簡易陣地の完成形なのかな、美味しい料理と好きな家族と一緒に暮らせていけてるから・・・成功なのかな?」


「ええ、そうですよ」


『ハルクさん』はニコニコしながら話している

リウは「そうなのかな~」と考えながら首を傾げている

リウと『ハルクさん』が話をしていると、魔道具屋に冒険者が数人買い物に来たので


「それじゃ、そろそろ戻りますね」


「またいらして下さいね」


リウはコクリと頷き、『ハルクさん』も軽く手を振ってくれた

魔道具屋から出たリウは露店から焼鳥と調味料を購入し、最近酒量が増えてきた果実酒も購入し簡易陣地へ戻るのだった

麓の街の周囲では冒険者が黒熊を討伐しているのを確認できた

どのパーティーも危なげなく討伐を終えていたので、リウは討伐するのを横目で見ながら簡易陣地へ戻るのだった


簡易陣地の周囲では黒熊の姿が無く、『娘さん』達が黒熊の回収をしている所だった


「お疲れさん、今日の討伐は終了かな?」


黒熊の回収を終えた『娘さん』がリウの姿を確認し、ニコニコしながらリウの傍まで来てくれた


「周囲の黒熊の反応が無いですし、回収した黒熊の解体をしちゃいましょ」


「今日は何頭討伐したの?」


「確か・・・5頭かな、防壁に危害を加えた黒熊だけを討伐したので・・・」


「それ以外の黒熊は麓の街に?」


「どうやら麓の街が気になるのか数頭駆けて行きましたね」


「最近麓の街に上級冒険者のパーティーが活動しているみたいだね、黒熊大量発生の問題が完結したらいいんだけど・・・」


「それでも私達がやる事は変わらないですよ」


「まぁね、その代わり危なくなったら逃げるからね」


「はい、大丈夫です」


「『白銀龍』と『クロ』の2人が、この場にいて危なくなる事態というのは、考えられないんだけど・・・」


「そうですね、万が一無い事を祈ります」


「そうだね、『闇熊』と上級冒険者で戦ってから考えればいいや、それでも倒しきれない時は・・・僕らが遠距離から狙撃するしかないか・・・」


「はい、こっそり狙い撃ちます!」


「その時はお願いします」


「任せて下さい!」


リウにお願いされ任されて『娘さん』は嬉しそうにニコニコしていた

もしも、上級冒険者でも太刀打ちできないなら・・・、リウ達でも狙撃可能とも限らない

そのかわり『娘さん』達の遠距離魔法攻撃なら『闇熊』にも通用しそう

それか『白銀龍』と『クロ』にお願いするしかないか・・・




その頃、草原の向こう側から大型の黒熊が麓の街に近づいているのだが・・・

麓の街の冒険者は勿論、リウ達にも知る事は無かった・・・

次回予告、『闇熊』接近と麓の街の防衛戦でお送りします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ