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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
267/354

3-267冬期間の『アイギス』⑨とか

麓の街では防壁の上から冒険者が弓や魔法で黒熊を倒していた

倒しても倒しても現れる黒熊に冒険者ギルドと商業者ギルドは、黒熊の完全討伐に向けて共同クエストとして冒険者を募り対応にあたっていた

その他に冒険者ギルドでは、中堅冒険者が初心者冒険者と組み、黒熊の討伐をしていた

中堅冒険者が初心者冒険者を指導しながら討伐を行うのは異例の事で、黒熊討伐が初めてな冒険者もこれを機に初心者冒険者も黒熊の倒し方を修得していった

商業者ギルドでは、商隊の護衛依頼や各集落に黒熊の大量発生を知らせに伝令を送ったりしていた

それ以外にもポーション買い取りも通常よりも高値で扱っていた

黒熊大量発生で冒険者の怪我が増えた事と、もしもの時の為に冒険者ギルドと商業者ギルドにポーションの備蓄用に多めにポーションの買い取りをしていた

『ハルクさん』の魔道具屋でもポーションの買い取りをしていた

ポーション屋では、黒熊討伐に自信の無い初心者冒険者にポーション作成を指導し、黒熊大量発生の期間だけポーション屋に住み込みで働いたりしていた

これを機に麓の街にポーション作成出来る冒険者が増える事になる


リウ達はエルフの長老の『アスキーさん』に、ダンジョン産の野菜を渡してから麓の街へ向け駆けていく、リウのアイテムボックスにはトマトやナスに加え、ニンジンや大根など新鮮な採りたて野菜を渡した

『アスキーさん』からダンジョン産の野菜を定期的に欲しいという事だったので、『娘さん』が『アスキーさん』と何やら相談を始めていた

ダンジョン地下2Fの畑は、『アイギス』のメンバーだけでは食べつくす事が出来ないので、定期的にリウ達が収穫しアイテムボックスに保管していた

収穫後にまた種まきをし、新たに野菜を育てていくので馬達の餌に困る事無く、クラシス達お嫁さん組みにも肉と野菜の食事に大変好評だった


リウ達がエルフの集落から麓の街へ移動中も黒熊が森の中にいるのをサーチ&デストロイし、討伐したら直ぐにアイテムボックスに保管していく

ちなみにリウ達は『風纏い』し、雪の上を駆けるのではなく、木々の枝を飛び跳ねるように駆けていた

この移動方法は『娘さん』達から教えてもらったやり方で、本来なら枝から枝では無く、木々の幹を蹴る様に駆けるのが本来の移動方法だという


そんなこんなでリウ達が麓の街に到着したのは夕方になっていた

麓の街の防壁の周囲でギルド員が黒熊の解体をしてたり、防壁の補強をしていたりしていた

黒熊の討伐数よりも解体する数の方があきらかに少ないので、ギルド員は未解体の黒熊はアイテムブックすかマジックバックに保管していく

リウも黒熊の解体をお願いするつもりでいたが、ギルド員の解体スピードと未解体の黒熊の数を見た限り、ギルドにお願いするのは無理の様だった


麓の街に入りリウは商業者ギルドでは無く、『ハルクさん』の魔道具屋に来ていた

魔道具屋ではポーション買い取りで忙しそうだった

ポーション販売や戦闘にも使える魔法付加の装備品も売れているようで、前に来た時よりも魔道具の種類が増えているようだ


「こんにちは~」


「こんにちは、久しぶりだな~」


「黒熊の中を移動してきたの?」


「はい、『娘さん』の協力があってなんとか来れました」


「それでも黒熊を倒しながら来たんでしょ?」


「もちろん、倒しつつ持ち帰って来ましたよ」


「あぁー、黒熊はこの街でも大量に出回ってるから・・・買い取り価格がつかないかも」


「それについては大丈夫です、黒熊は『アイギス』の食糧になるので心配無用です!」


「リウさんとこはそうだったね・・・、あまり肉ばかりでは逆に心配になるけど・・・」


リウはそう言われたので、アイテムボックスから野菜を取り出し、テーブルに並べていく

『ハルクさん』は野菜を手に取り、匂いをかいだりしている


「この野菜は?新鮮そうですが??」


「うちの畑で採れた野菜ですから~」


「うちの畑?採れたり??」


「ダンジョン住居の地下2Fに冬期間限定で畑で野菜を作ってるんです」


「それがこの野菜ですか?」


「はい、畑の担当は僕と『白銀龍』と『クロ』と龍の巫女のアンリーとシンリーが担当してます」


「龍の巫女様のお手製ですか・・・」


「味は保証しますよ、家では野菜肉野菜の食事になってますから~」


「それはなにより、それよりヘンリーは元気でやってますか?」


「はい、みんな仲良くやってますよ、共同で生活していた期間が長かったので、姉妹の様に暮らしていますよ」


「そうですか、ひょっとしたらリウさんの所が一番安全なのかもしれませんね、この街も防壁に囲まれてますが、今は危なくて防壁の向こう側には行けずにいますし・・・」


「どうなんでしょうね、安全な場所というのは防壁で安全が確保しているというものではないと思いますが?」


「安全な場所は安心できる場所ではないですか」


「安心できる場所ですか・・・、『ハルクさん』は魔道具屋がそうですか?」


「どうでしょう・・・、安心できる場所というより、仕事場という感じかな・・・、それに夫婦で一緒にいる場所が私達の安心できる場所かもしれません」


「僕らもそう言えるようになりたいです」


「多分、お嫁さん達はそう思っていると思いますよ」


「そうでなければ黒熊の大量発生時に、黒熊討伐にリウさんを向かわせないと思いますよ?」


「そう思ってもらえると嬉しいですね」


「それとリウさん達は今回の黒熊討伐に参加という事ですか?」


「はい、ダンジョン住居周辺でも黒熊が現れ始めていて、このままでは安心して暮らせそうにないと思いまして・・・」


「奥の森まで黒熊が溢れてきましたか・・・、エルフの集落によってきたという事は、長老に今回の話を聞きましたか?」


「長老『アスキーさん』からは黒熊の大量発生は原因を『闇熊』と考えてました」


「『闇熊』ですか・・・、大型で凶暴な黒熊と言われてますが・・・」


「そうだとしたら黒犬や灰犬は、麓の街周辺からは避難しているかも・・・」


「森の中でも見かけませんでしたね、大猪も同じく姿を消しましたね・・・」


「『闇熊』の情報は私の方からギルドに報告した方が良いですか?」


「『ハルクさん』からエルフの長老からの伝言として報告した方がいいと思います、ランクEの冒険者が報告するよりは信憑性が上がると思うし」


「しかし、『闇熊』ですか・・・ランクEの僕らが何が出来るとは思いませんが」


「冒険者ギルドでは上級冒険者に黒熊討伐依頼をお願いしたと聞きましたが・・・」


「それじゃ、春前には黒熊大量発生は落ち着くかな」


「リウさん達も麓の街で黒熊討伐に参加するんですか?」


「そのつもりですが、冒険者が大勢いるみたいなので、簡易陣地で個別に黒熊討伐をしようかと・・」


「簡易陣地で黒熊討伐ですか・・・、少し街からは離れてますがいいんですか?」


「簡易陣地なら気兼ねなく泊れますし、何より地下施設や結構な防壁があって安全ですよ?」


「確かに黒熊の襲撃でも破壊も破損もありませんでしたが・・・」


「今現在の簡易陣地は誰か住んですんですか?」


「今はエルフの集落が管理しているんですが、冬期間という事で無人のはずです、防壁のカギは護衛の『娘さん』が解錠出来ると思いますが・・・、食料も寝具も無いと思いますよ?」


「食料も寝具もアイテムボックスにあるし、薪も半年分は持ってきてますから大丈夫です」


「リウさんと護衛の『娘さん』達がいれば大丈夫とは思いますが・・・」


「それに『白銀龍』と『クロ』もいるので、万が一『闇熊』と遭遇しても倒す事が出来なくても、逃げる事は出来ると思いますよ?」


「それもそうですね、『アイギス』は過剰すぎるほど戦力過多でしたね・・・」


「それではすぐに簡易陣地にお戻りになるんですか?」


「露店で焼串や焼鳥と酒類を購入しようかと」


「露店で買い物ですか?アイテムボックスに料理があるのでは?」


「たまには違う店の味を頂きたいと・・・思いまして」


「なるほど・・・露店では黒熊の焼串や煮込みを見かけましたね、黒熊はギルドで安値で販売しているので、露店ではいつも以上に黒熊の商品が出回っていると思いましょ?」


「それは楽しみです、焼串の味比べをしてみるのも面白いかも♪」


『焼串の味比べ♪』


『焼串食べ放題♪』


『白銀龍』と『クロ』は久しぶりに露店の焼串を食べる事に喜んでいるみたいだ

それに『味比べ』はわかるが『食べ放題』って・・・、これは大量に買い必要があるかな?


「どうやら『白銀龍』と『クロ』も露店の焼串が気になるようなので、そろそろ露店に行きつつ簡易陣地へ向かいますね」


「わかりました、定期的にここに来てもらえると助かりますが・・・」


「ポーション作成の予定はないですが・・・」


「そうでは無くリウさん達の安否確認の為です、大丈夫だと思いますが一応ね」


「それなら5日おきに『ハルクさん』の所に顔を出しますね」


「そうしてもらえると助かります、それじゃ、いってらっしゃい」


「はい、いってきます!」


『『いってきます!』』


『白銀龍』と『クロ』も『ハルクさん夫婦』の手を振りながら店を出る

『ハルクさん夫婦』も手を振り返してくれて、『白銀龍』と『クロ』は嬉しそうに、ぱたぱたと手を振っていた

リウと『娘さん』達はぺこりと頭下げて店を出る


『白銀龍』と『クロ』はリウのリュックの中で眠る様に丸まっている

リウと『娘さん』達は2手に分かれて露店で焼串を購入していく

それと晩酌用の果実酒を購入し、2組合流後に簡易陣地へ向け駆けていく


麓の街を抜けると冒険者が黒熊を回収し、ギルド員が黒熊の解体作業をしていた

周辺の黒熊を粗方討伐してみたいで、外壁の外は今だけは安全みたいだった


「それじゃ、簡易陣地にもどろっか」


「「「「はい!」」」


リウはリュックを背負い直し、『娘さん』と一緒に簡易陣地まで駆けていく

雪一面を駆けるという事で、『風纏い』を唱えているにもかかわらず、歩いて10分の距離なのに20分も雪の中を歩く事になる

黒熊たちが雪を踏みしめていたとはいえ、やはり冬期間の移動は苦労が多いみたいだ

簡易陣地は土壁で囲まれており、黒熊の被害は無いみたいだった

入口の扉は、『娘さん』に解錠してもらい簡易陣地に入る

簡易陣地内は一面雪景色なのはしょうがないが、『かまくら住居』の入り口が半分雪に隠れていたのは驚いた、扉前の雪を解かしながら室内に入ると、外と同じ室温なので暖炉に火を焚き『かまくら住居』と他の部屋を暖めていく

『娘さん』達は簡易陣地の防壁から、黒熊を魔法弾で狙撃出来るように、防壁に階段を作成していた

リウは1人で今晩の食事の準備をし、『白銀龍』と『クロ』は暖炉の前で昼寝をしていた


今日は明日の準備をし、明日からは簡易陣地の周囲の黒熊討伐を予定していた

リウは明日からの食事の作り置きを作っていた、焼串や焼鳥は大量にあるので、ご飯を炊き『おにぎり』にしたり、黒熊を『角煮』や『煮込みスープ』を大量に作り、個別に包装しアイテムボックスに保管していく

防壁の改装をしていた『娘さん』達も『かまくら住居』に戻ってきたら、今日の宿泊する部屋の掃除と寝具の準備をしてもらい、今日の仕事を終えるのだった


晩ご飯の後に軽めの晩酌をし、リウは干物を炙りながら麦酒を頂き、『娘さん』達は果実酒を飲みながら『白銀龍』や『クロ』と一緒に焼串を食べていく

リウも久しぶりの麦酒という事で1杯で酔ってきたので、干物を頬張りながらぼんやりしていると、『クロ』が膝にのってきたので、一緒に干物を頬張る『クロ』は初めての干物という事で、『パパ、これおいしい♪』とか『もっともっと♪』と干物が気にいったみたいなので、色々な干物を炙り『クロ』と一緒に頬張っていった

『娘さん』と『白銀龍』は露店の焼串の味比べをしていて、露店で購入した半分を簡易陣地の初日で食べてしまっていた

5日おきに『ハルクさん』に報告に行くので、焼串を食べつくしても大丈夫だけど、これはダンジョン住居にいた頃よりも、食欲が良いみたいだ

ダンジョン住居にいた時よりも『白銀龍』を独り占め出来て『娘さん』達も嬉しそうだ


ダンジョン住居から黒熊討伐の為に、簡易陣地に少しだけ引っ越し中。」

メンバーはリウと『白銀龍』と『クロ』と『娘さん』達、戦力的に過剰戦力っぽいけど・・・、

クラシス達お嫁さん達も『娘さん』達と一緒でなければ、麓の街に来れなかったというのはリウに内緒である。

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