3-266冬期間の『アイギス』⑧とか
『アイギス』がダンジョン住居で暮らし始めて3カ月後、エルフの集落の周囲及び、麓の森周辺で黒熊の大量発生が起こっていた
ダンジョン住居はエルフの集落から離れている事もあり、ダンジョン住居周辺では黒熊6頭を討伐しただけだった・・・
リウ達が黒熊の大量発生に気がついたのは、『塔』で見張り中の『娘さん』が『遠見』スキルで多数の黒熊を発見した事で知った
『アイギス』はエルフの集落からも離れ、外部の情報を知る事が無かった
リウもダンジョン住居での生活が快適な上に、安全な生活環境で常時MAPを展開していなかった・・・
ダンジョン内部では外に黒熊が接近しても・・・、リウを始めクラシス達も感じる事が出来なかった
現在の『アイギス』は、お嫁さんと子供達はダンジョン内で防衛に徹してもらいたいし、リウ達もクラシス達と一緒にダンジョン住居を任せたい
龍の巫女達は馬達の世話をお願いし、出来れば地下1Fの運動場でメンバー全員で避難生活をしてもらいたかった
そうなるとリウと護衛の『娘さん』と『白銀龍』・『クロ』のみで黒熊の相手をするのだが、一面雪景色のしかも森の中の移動は難しいので、地下の通路を使い本拠地からエルフの集落を目指す事になる
本拠地に戻ってからリウはMAPを展開し周囲の反応を調べると、本拠地周辺の土壁の向こう側に多数の黒熊の反応を知る事になる
堅甲な土壁の破壊は無理なみたいで、本拠地への侵入は不可能な感じがした
本拠地の周囲も黒熊の反応が多いが、エルフの集落の周囲も黒熊が多数の反応が見てとれた
それとエルフの狩人と黒熊との戦闘も起こっているみたいだ・・・
MAPを拡大して麓の街の周辺を見ていると、こちらも麓の街の防壁の周囲に多数の黒熊が集まりつつあった
黒熊が群れて行動するのもめずらしいが、集団行動で襲撃をするというのは聞いた事が無かった
それと黒犬や灰犬などの集団がMAP上で見つける事が出来なかった・・・
黒熊の大量発生でそれ以外の黒犬や灰犬が逃げた・・・?
「それでどうします?」
「どうやら土壁の向こう側は黒熊が溢れているね・・・」
「これほどの黒熊が現れるのは初めてですね」
「それに集団行動する黒熊が気になります」
「やっぱり『娘さん』も集団で行動する黒熊は初めてなの?」
「「「はい」」」
「まずは、エルフの集落を目指して長老に現状を教えてもらうのが先か・・・」
「麓の街も黒熊の大量発生なんですか?」
「・・・そうだな、防壁で街への被害は無いと思うけど、討伐しないと危ないかもね」
「『娘さん』達は倒した黒熊は各自アイテムボックスに保管してもらっていいかな?」
「はい、大丈夫です」
「それじゃ、遠距離からの魔法弾で倒せるだけ倒してから、エルフの集落へ行こう」
「「「「了解」」」
リウ達は本拠地の『かまくら住居』の屋根に上り、『遠見』スキルを活用し黒熊の頭部を一撃で撃ち抜いていく
本拠地の周囲の黒熊の制圧は、数分で終了したのだが、回収が面倒ではあるが『風纏い』を唱えてから、回収しつつエフルの集落を目指し駆けていく
『クロ』がリウの頭にしがみつき、『白銀龍』がリウにおんぶしながら駆けていた
リウは頭と背中が暖かく、周囲警戒も『白銀龍』が率先して黒熊を発見していた
エルフの集落到着まで、リウと『娘さん』達は黒熊11頭を討伐し、『アイギス』の食糧になるのだった
エルフの集落では、防壁の上から弓で黒熊を討つ者や魔法で撃つ者など、エルフの冒険者や狩人が黒熊討伐していた
エルフの防壁は健在で、集落への侵入を完全に防いでいた
リウ達はエルフの冒険者や狩人の邪魔にならない様に、後方から黒熊を倒しながら防壁に近づいていく、集落周囲の黒熊をすべて倒したのは後方支援を初めて1時間後だった
黒熊を回収後にエルフの集落の長老に話を聞くと、「数日前から森に現れ始めたという・・」やはり原因不明の黒熊が溢れてきたか・・・
「それにしても長老も前線で黒熊を討伐してたんですね」
「まぁ、倒しても倒しても湧いてくるし、防壁が破られる恐れもあるから気が気じゃない・・」
「防壁は強化されているみたいですが?」
リウはエルフの集落の防壁を見ながら、前に来た時よりも強化されているのを指摘してると
「茨の防壁に岩壁を追加で構築したんだがな、それでも防壁が崩されないという保証がなくてな、接近する前に黒熊を倒しておるんじゃ」
「確かに崩れない壊れない防壁は存在しないのかもしれませんね」
「今はまだ我々だけでも大丈夫じゃが・・・いつまでもこのまま黒熊が溢れるようでは危ないかもしれん」
「まぁ、無限に黒熊が溢れるとは考えられないけど、それでも気になりますね」
「そうじゃのう、エルフの集落は今のところ無事だが、麓の街も同じく黒熊が溢れていると聞く・・・」
「それは前回の赤目騒動と同じという事ですか?」
「今回は赤目に関しては聞かないから、黒熊の狩り場の移動では無いかと考えておるが・・・」
「それじゃ、黒熊はナニカから逃げてきたと?」
「もしくは、ナニカに操られているとか・・・」
「それは黒熊のボス的なナニカですか?」
「ボスというか黒熊の上位種かのぉ・・・」
「上位種の黒熊ですか・・・やはり強いんですよね?」
「確か『闇熊』といわれる大型の凶暴な黒熊だと記憶するが・・・」
「大型で凶暴な黒熊で『闇熊』ですか」
「本来なら『小鬼族』の集落のその先、『犬耳族』の集落の更に奥の山間部に生息するはずなんじゃが・・・」
「それじゃ『犬耳族』の集落にも被害があったと考えた方が・・・?」
「それについては麓の街でギルドに聞くしかないのぉ」
「僕達はこのまま麓の街に行こうと思いますが・・・」
「それなら今日は泊って行った方がいいじゃろう、もうすぐ暗くなるし、『白銀龍』様や『クロ』様にエルフの御馳走を食べてもらいたいしのぉ」
「確かに麓の街に到着前に夜になるだろうし、今日はどこでもいいので泊らせて下さい」
「それじゃうちに泊れば大丈夫じゃろう」
「よろしくお願いします」
「あのリウ様、我々は報告があるので一緒には泊れませんので・・・」
「それじゃ、明日の朝は一緒に食事をしようね」
「「「「はい、朝ご飯は一緒に!」」」
そう言うと『娘さん』達は、エルフの冒険者や狩人と一緒に話し合いを始めていた
今日宿泊する長老宅には、長老直々の案内をしてもらい
『白銀龍』と『クロ』は、雪景色のエルフの集落をものめずらしそうに見詰めていた
エルフの長老宅は、集落の中央の大木のツリーハウスになっていた
冬期間という事で煙突から煙が出ているのが見てとれた
ツリーハウスでも暖炉を使用しても大丈夫なのか・・・と、リウは考えていた
少しだけ物語が進みます。




