2-258『アイギス』の本拠地の作成⑦とか
年内最後の更新です、今年の1月1日に書き始め、12月31日まで書けるとは思ってもいませんでした。
リウ達の物語は続きますので、これからも宜しくお願いします。
リウと『白銀龍』は15日ぶりに地上へを戻ってきた
ダンジョンの入り口には、クラシス達11人の嫁さん達と、リン達5人、龍の巫女達に、護衛の『娘さん』達『アイギス』の本拠地で、一緒に暮らしている『みんな』が並んでいた
「みんな、ただいま~♪」
『『ただいま♪』』
「「「「「おかえり~♪」」」」
リウが元気な事を確認すると、ノノやココがリウに抱きついてきた
リウの腕の中で『クロ』が驚きながらも、抱きつかれてニコニコしていた
『白銀龍』もジャンヌやアリサ達に抱きつかれニコニコしている
ノノはリウに抱きしめられニコニコしている『クロ』を見ながら
「『黒き龍』・・・ですか?」
「『クロ』の事?ダンジョンな奥で保護した♪」
「『クロ』?保護・・・??」
「そそ、今日から僕らの家族の一員ね♪」
『よろしく♪』
リウの腕の中で『クロ』が手を上げる
ノノやココは、気持ちよさそうに撫でられている『クロ』に
「私は『ノノ』でこの子が『ココ』ね、2人ともリウの奥さんなの♪」
「よろしくね、『クロ』ちゃん♪」
『2人ともよろしく』
ノノとココと『クロ』はニコニコしながら話しているが
やはりノノやココには『クロ』の言葉が、『ガウガウ』としか聞こえていなかった
それでも『クロ』が嬉しそうにしているのを感じ、撫でながら話しかけるのだった
リウは『クロ』をノノに預け、ノノは大事そうに『クロ』を抱きしめるのだった
クラシスやリズ、アライズ達は家族が増えるが嬉しそうにニコニコしていたが
龍の巫女たちや護衛の『娘さん』達は驚き、少し考え込んでいた
「リウ、おかえり」
「ただいま、本拠地の方は完成したの?」
「みんなリウが戻るまで頑張って完成したんだからね」
クラシス達が頑張って本拠地が完成したみたいだ
水路や果樹園など住居以外が完成したのは嬉しいな
リウはダンジョン前の建物を見ながら・・・
「そういえばダンジョンの周囲も立派になった♪」
「『娘さん』達がリウと『白銀龍』を待っている間に作ったみたいね」
「ダンジョン跡という事で、堅甲な土壁で周囲を囲いました」
「それとダンジョン前に休憩場所として、地上2Fの塔を建てました」
『娘さん』達の話の通り、ダンジョン周囲には土壁というより岩壁が建ち、地上2Fの石で組まれた感じの『塔』が建っていた
扉と窓まできっちり作られており、休憩というより『小型の要塞』っぽくも見える
「これは凄いね、ダンジョンを活用する時は重宝しそう・・・」
「「「ありがとうございます」」」
『塔』を褒めらえ『娘さん』達は嬉しそうにしている
『白銀龍』はリウに『おなか減ったから食べて来ていい?』と聞いてきたので
「やっと戻ってきたし、ご飯にしない?」
『ご飯~♪』
『みんなでご飯~♪』
と『白銀龍』と『クロ』が手を振り、しっぽをぶんぶん振りながら嬉しそうにしている
「それじゃ、『塔』の中で食べる?」
「今日は天気もいいし、木陰で食べませんか?」
アライズとアリサが木陰の方を指さして答えてくれた
流石にこれ程の人数が『塔』で食事するには狭いのかもしれないし
ここでテーブルに料理を広げて食事をしたら気持ち好いだろうなぁとの思いもあり
「了解、ダンジョンでの食事ばかりだったから、リハビリがてら外で食事をするか~♪」
「「「「はい」」」
「それとエルフの長老に『クロ』の事を報告して貰いたいんだけど・・・」
「それなら私が行ってきます」
『娘さん』の1人が手を上げ、エルフの集落へ駆けて行こうとするのを
「報告ついでに長老も食事に誘って下さい、一度『クロ』を見て欲しいし、話をしたいって伝えて下さい」
「わかりました、行ってきます!」
「いってらっしゃい、戻ってくるまでに食事の準備をしておくからね」
「はい!!」
『娘さん』は元気に集落へ向け駆けていく
魔法で強化してないのに凄い勢いで森の中を駆けていく・・・
「魔法を唱えないで・・・あの速度はさすがだな・・・」
「『娘さん』達は私達よりも凄いんだからね」
「わかってるよ、僕らももっと頑張らないとなぁ~」
リウ達は木陰にみんなが座れるイスとテーブルを作成し
簡易コンロでお湯を沸かしたり、煮込みスープを温めたりしている
アイテムボックスにある料理だけでも食事は出来るのだが
『白銀龍』や『クロ』も見ているという事で、焼串や焼鳥を目の前で炙っていく
『白銀龍』は勿論の事、『クロ』は調理済みの焼串や焼鳥は食べてはいたが
調理中の焼串や焼鳥は初めてなので、簡易コンロで炙っている料理に目を奪われていた
暫くすると『娘さん』と長老の『アスキー』が、やはり全力で森の中を駆け、ダンジョン前の『塔』にやってきた
『アスキー』はダンジョンの周囲が完備され、尚且つ『塔』が建っているのに驚き、下から見上げている・・・
『娘さん』はリウの目の前まで来て、「戻ってきました」と報告し、褒めて欲しそうに見ていたので、リウは遠慮がちに「ごくろうさん」と言いながら『娘さん』の頭を撫で撫でしていく
『娘さん』は照れながらも、嬉しそうにいそいそと『娘さん』達の元へ戻り、料理の手伝いを始めるのだった
『アスキー』は『塔』と土壁を改めて見て、「これは凄いのぉ」と聞いてきたので、「『娘さん』達が
頑張ったんです」とだけ答えた
「『アスキー』さん、久しぶりです」
「ダンジョン探索は順調だったみたいだね、そちらの『黒い龍』が・・・『黒き龍』なのかい?」
『アスキー』はノノが抱きしめている『クロ』を見つめて聞いてきたので
「それはわかりません、名前も覚えてないみたいで・・・、見つけた時は魔力枯渇っぽくて、僕と『白銀龍』が魔力を纏う感じで譲渡しましたし・・・」
「魔力枯渇か・・・それで誰にも感知されずにいたのか・・・」
「今は元気に過ごしているので問題は無いんですけどね」
「その様だね、『黒き龍』の魔力も充実しているみたいだし、これでエルフの集落に『龍』は再び現れた」
「それで長老に来てもらったのは別の問題でして・・・」
「別の問題・・・?ダンジョンなら『アイギス』で管理してもらって大丈夫だし、この辺もエルフは立ち入り禁止地域だから周囲の管理も大丈夫だよ?」
「それについてはありがたいんですが、『黒き龍』とエルフのみんなが呼んでますが、これからは『クロ』と呼んであげて下さい、名前が無いのは寂しいし悲しいという事で、僕が勝手に名前を送りました」
「『黒き龍』ではなく、『クロ』様と・・・わかった、みんなに伝えておく」
「それと『白銀龍』と同じく、僕は話をできるんですが、僕以外には「ガウガウ」としか聞こえないみたいです・・・、『白銀龍』と『クロ』にはノノやココの言葉が伝わるので、話しかけてもらって大丈夫なんですけどね」
「そうか・・・、龍の巫女の2人も声は聞こえないか・・・」
「「すいません」」
龍の巫女のアンリーとシンリーが悲しそうにうつむきながら話す
『白銀龍』は2人の元に行き、「気にすんな、2人とも好きだよ」と話しかける
2人とも何を言っているのかはわからないが、励ましてくれているのには気がついているので
「「ありがとうございます」」と『白銀龍』を抱きしめている
「声は聞こえなくても、心は繋がっています、『クロ』も同じく優しい子なので安心して下さい」
「そうか、『白銀龍』様も『クロ』様も優しいのは知っているが、仲良くしてもらっているのは嬉しいのぉ」
「そうですね、ここでゆっくり過ごせたら最高ですね」
「これからは本拠地で暮らすんじゃろ?それともまた旅に出掛けるのか?」
「ここに戻ってきたのは、僕と奥さんとの新婚生活を送るためです、結婚してから旅三昧で苦労かけっぱなしだったし、出来たら子育てと本拠地を故郷にしたいと思いまして・・・」
「それは嬉しいのぉ、リウさん達がこの場所を選んで住んでもらえるのは、我々も嬉しいし何より『白銀龍』様と『クロ』様もこの地に住んで貰えるのは何より喜ばしい」
龍の巫女たちや護衛の『娘さん』達も同じ意見なのか、コクコクと頷いている
この場所は緑豊かな木々に囲まれた森の中にあり、小川もあり山間部には滝などもあったりと見てまわるには広大な土地なので、森探索だけでも楽しいのに、薬草採取場所が豊富すぎてリウは全ても採取場所を記憶していないほどだった
そして何より、黒犬や黒熊に加え、大猪やホロホロ鳥など『アイギス』にとっては重要な食料の宝庫となっていた
『アイギス』は薬草によるポーション作成と、黒犬や黒熊のギルド納品で活動資金を賄っているので、どちらも本拠地から歩いてすぐのところで手に入るのは嬉しい事だった
「それは僕らのこそ、本来ならエルフ以外が入る事も住む事も出来ない地に、住めるのはありがたい事です」
「それはこの地が住むのに適していないからなんですが・・・、リウさん達はそれに気がついていないんですか?」
「・・・そうなんですか?」
「この森は、黒犬や黒熊が多く未確認の植物や動物まで住み着いています、森の奥には迷いの森と言われる危険な場所もあり、エルフも集落以外からはあまり出たがらないのですが・・・」
「黒犬や黒熊なら討伐可能でしょ?エルフのみなさんがそれほど危険視するとは・・・」
「この森の恐ろしさは、ダンジョンの『氾濫』に似た現象が数十年おきに起こる事です、もちろん魔物が現れるのではなく、本当に黒犬や黒熊が溢れ出るんです・・・・、その為エルフの有志達が森での討伐を行ってはいますが・・・」
「それはそれは、魔物じゃないなら食料として活用できますね・・・、次に溢れだすのはいつごろなんですか?」
「本来であれば去年の赤目騒動の時が溢れだす時期と一致します」
「赤目騒動と溢れだすのは別もんだろうから、数年の内に『氾濫』に似た現象が起こる可能性があるんですね?」
「そうです、黒犬や黒熊や大猪が討伐しても次の日には変わらずに現れる・・・、凶暴になる訳じゃないが森を抜け麓の町や街道にも出没して・・・、溢れだす年は商人たちが危険と判断して物流が滞るんです・・・」
「冒険者なら討伐クエストが豊富で喜びそうですが・・・」
「それはリウさん達の様に、黒犬や黒熊を難無く倒される冒険者の場合です、魔法が使えない冒険者ではパーティーを組み、ポーションを準備し、1日に黒熊1頭を倒すのがやっとなんです」
「・・・そうだったのか」
「『アイギス』のみならず、リンさん達5人も今では黒犬や黒熊を、1日に数頭は倒せる実力をつけました、これは凄い事なんです初心者冒険では有り得ないんです!」
「・・・それはいい事?」
「本来ならそうですが、彼女達はまだ未熟な冒険者と言う事を忘れないでくださいね、麓の街では『ハルク夫婦』が面倒を見ていて、周りの冒険者から嫌がらせから守ってもらってたんですから・・・」
「そっか、僕らがいない間に苦労かけたみたいだね・・・、これからは僕らを頼って良いからね」
リウと『アスキー』の話を聞いていて、いきなり自分らの話になりリン達はびっくりしながらも
「そんな事無いです、簡易陣地で薬草採取したりポーション作ったり、何より毎日の棍の修練や魔力の修練で、少しは『アイギス』のみなさんに近づこうとしていただけですから・・・」
「少しずつではありますが、簡易陣地での修練は自分たちの糧になっていると思うと、毎日が楽しくてリウさん達が戻るまでには、1人で黒熊を倒せるまで頑張ろうと思ってましたし」
リンとアイズの話す通り、リン達5人はリウ達が旅だった後も変わらずに修練を続け、日々精進しているのが伝わってきた
ヘンリーやライムやジンもリン達の話を聞きながらコクコクと頷いている
「そっか、僕が思ったよりも頑張ったんだな」
リウのその一言にリン達5人は嬉しそうにしているので、リウは5人の頭を撫でながら
「頑張った頑張った、それじゃ、リン達も『アイギス』に加入するか?暫らくは本拠地で暮らすから、旅に出るのはだいぶ先だけど・・・」
「いいんですか?」
「入りたいです!」
「「「私も!!!」」」
「いいもなにも、実力はクラシス達が確認したでしょ?人柄は問題無いし、僕としては仲間や家族が増えるのは大歓迎だよ!」
クラシス達お嫁さん達もリウの意見に賛成みたいで、反対意見は出ていないし、リン達5人とハイタッチして喜んでいるみたいだ
「これで『クロ』とリン・アイズ・ヘンリー・ライム・ジンの6人が『アイギス』に加入決定!」
「「「「やった~!」」」」
「「「「「「おめでとう~!!!」」」」
『アイギス』の女性陣は手を上げて喜んでいる
『白銀龍』と『クロ』も女性陣の輪の中で同じく手を上げて喜んでいた
アライズとアリサとアンナが『アイギス』の家族会議をしている中、『娘さん』達が料理の準備をしていた
料理をテーブルの並べ、お祝いという事で果実酒の大瓶が数本並んでいた・・・
焼串に焼鳥、角煮に煮込みスープ、ステーキにサラダ、焼きたてパンに炊きたてのご飯など、リウの好きな料理に加え、『白銀龍』の好きな料理がテーブルいっぱいに並んでいた
「食事の用意が出来ましたよ~、席について下さい~」
『娘さん』の1人が食事の準備が終わった事を告げ、リウ達はイスに座り、全員が席に着いたのを確認し、リウは手を合わせ
「いただきます!」
「「「「「「いただきます!!!!」」」」
と食事の挨拶をし、料理を食べ始める
「今日は『クロ』の帰還と『アイギス』の新加入のお祝いも兼ねているから、果実酒を許可します、そのかわり飲み過ぎ注意ね!」
「「「了解!」」」
そう言いながらクラシスとリズとアライズはカップに果実酒を注ぐのだった
『白銀龍』はノノとココから、焼串や焼鳥を食べさせてもらい
『クロ』はリウの膝の上で、ジャンヌとアリサから角煮やステーキを食べさせてもらっていた
どちらも美味しそうに口いっぱいに頬張り、ニコニコしながら食事をしていた
その後は、『白銀龍』と『クロ』のお世話を交代で行い、1時間かけて龍の巫女や『娘さん』達も料理を食べさせてから食事会を終えるのだが、クラシス達3人の飲兵衛は夕方まで飲み、リウ達は『塔』で一夜を明かすのだった
リン達5人の『アイギス』加入で今年度の更新は終了します。
来年度も引き続きお願いします。




