2-256『アイギス』の本拠地の作成⑤とか
ダンジョン探索12日目、リウの感じた微弱な反応を目視で確認していた
崩れた通路の先からは、魔力の繭に包まれたナニかが確認できた・・・
それはリウも『白銀龍』も見た事が無いものだった
魔力に包まれているはずなのに、10mの距離まで近づいても・・・やはり反応は微弱で、目の前のナニかは正体不明の理解不能のモノだった
「これがダンジョンの奥から感じた反応なのか?」
黒い魔力の繭の塊は、10mまで接近したリウと『白銀龍』の事に対し、何も反応を示さなかった
『寝ているのかな?』
「寝ているにしては、寝過ぎな気もするけど」
リウは黒い魔力の塊を目を凝らして見つめる・・・
よく見ると魔力の塊は、周囲の魔力を微量ではあるか吸収している・・・
それはまるで眠る様に周囲の魔力を吸収し、自身の魔力回復に努めているかの様に・・・
リウは黒い塊に近づき、魔法を唱える時の様に、魔力を圧縮し維持する
リウの手の中の魔力の塊は、少しずつ黒い塊の方に細かい粒子になり、黒い塊に吸収していく
「魔力を吸収するのか?」
『それより魔力を変換している感じがしたけど??』
「それは吸収しやすい様に、魔力の塊を魔力の粒子に変換し、吸収しやすくしたと考えた方がいいな」
『それでこの先どうする?ここで魔力の塊を作って、魔力の塊に吸収されるの?』
「とりあえず、このままでは面倒だし、黒い塊に触ってみるか・・・」
リウはこの場で魔力を吸収させるよりも、直接触り魔力を吸収させた方が効率がいいと思い、黒い塊に近づく・・・、『白銀龍』は黒い塊からの攻撃に備え、いつでもリウを守れる様に『魔法障壁』を展開出来るように構えていた
「まぁ、大丈夫じゃないかな?あの黒い繭は、僕らに攻撃するとは思えないし」
『リウは不用心すぎる、魔力を吸収できるなら、生命力も吸収できるとか考えないと・・・』
「え、そうなの?」
リウは『白銀龍』の一言で歩みを止め、後ろの『白銀龍』の方も向き、不安げな表情で
「もしもの時は、守ってね・・・」
っと、苦笑いをしながら黒い塊に近づき、繭の塊に手で触り、魔力を纏うイメージで繭に魔力を流し込む・・・
「魔力を吸収するなら、この方法で繭が活性化するはずなんだが・・・」
リウは魔力に属性を上乗せせずに、純粋な魔力のみを黒い繭の塊に流し込む・・・
『白銀龍』はリウから流れる魔力を見つめていたが、黒い繭の塊は無尽蔵にリウの魔力を喰らうかのように、リウの魔力を求め始める・・・
「これはキツイ、いくらでも魔力を吸収感じがする・・・」
『魔力枯渇前に手を離さないと命まで吸われるぞ!』
「それは困るな、枯渇前に魔力回復させるか、手を離すかか・・・」
『その黒い繭の塊は、魔力枯渇で動けないと考えていいのかな?』
「その考えは正しいかもな、魔力回復の為に深い眠りにつき、それだけでは足りずに周囲の魔力を少しずつ吸収している、しかも、周囲に影響を与えない様に周囲に迷惑をかけない様に、少しずつ・・本当に少しずつ・・・吸収していったんだろうね・・・」
『周囲の事を考えなければ、すぐにでも動けたはずなのに・・・』
「それだけ周りの事を考え大事にしていたんじゃないかな」
リウの話を聞き、『白銀龍』も黒い繭の塊に近づき、魔力を繭に流し込む・・・
それは黒い繭の塊の魔力吸収量を越える魔力の流れだった、黒い繭の塊は『白銀龍』の白く輝く魔力を身に受け、繭の内部からまばゆい光を放っているように見えた
「『白銀龍』!魔力を流し過ぎだ!!繭が破裂する!!!」
黒い繭の塊は光を放ちながら、小刻みに揺れ『白銀龍』の魔力が切れると同時に、静かに動きを止めるのだった
『やりすぎた・・?』
『白銀龍』は魔力を放出を止め、黒い繭の塊の反応を確かめている
先ほどの微弱な反応よりも生き生きとした反応を感じ、『白銀龍』は「ほっと」するのだが、リウは繭を触っていて気がついたのだが、繭の内部でナニかが動き始めているのを感じ
「中に何かいるぞ・・・動いている」
『起きるの?魔力の吸収完了なの??』
「わからない、『白銀龍』は『魔法障壁』を展開出来るように待機ね、僕は動き出す直前まで魔力を流すから・・・」
『わかった、『魔法障壁』よりも『イージス』を展開する!』
「了解お願いね、繭はもうすぐ目覚めるのかも、内部で動いているのを感じてるし、嫌な感じもしないから、即襲撃は無いと思う・・・」
リウはMAPを展開し、目の前の繭の塊を逐一観察していたが、赤マーカーには変化せずに存在していた、だからこの黒い繭の塊は信用できると考えていた
目覚めそうで目覚めないので、リウは少しずつ魔力を流し込む・・・
暫くすると、繭の中から黒い龍の姿が現れる・・・
それは『白銀龍』と姿形は一緒だが、身体の色が黒よりも漆黒な龍だった
エルフの昔話で言い伝えられていた『黒き龍』が長き眠りから目覚めた瞬間だった
リウはダンジョンの壁に寄りかかりながら、『黒き龍』を抱きしめ背中を撫でていた
『白銀龍』も『黒き龍』を一目見ようと、リウの肩にのり『黒き龍』を見つめていた
『黒き龍』は気持ちよさそうに眠っていたが、この日はリウの腕の中で目を覚ます事は無かった
目を覚ますまで、リウは『黒き龍』を抱きながら食事をし眠り、通路の整備をしたりして、いつでもダンジョンを倉庫か地下施設として使えるようにした
『黒き龍』が眠っていた場所も、ダンジョンの最深部という事で広めの部屋に作り替え、『黒き龍』が目覚める2日後まで、この部屋で過ごす事になる
『黒き龍』が目覚めた第一声が、リウと見ながら『パパ?』っと・・・
朽ちた崩れたダンジョン編完了です。
次回、ダンジョンからの帰還です。




