2-254『アイギス』の本拠地の作成③とか
次の日から『アイギス』のメンバーは水路を作る為に水田予定地に来ていた
水田は本拠地から歩いて10分の場所に50mx10mの広さを土魔法で作り上げた
作り上げたと言っても、土魔法で地面を柔らかくし、水を張れる様に畦畔をつくり水を湛えるようにし、水の出入りの為の『取水口』と『排水口』を水田の手前と奥に作る
「『種籾』の量を考えれば、このくらいの大きさの水田しか作れないか・・・」
「それでも結構な広さだと思うけど・・・?」
リウは水田の出来に満足していたが、水田の大きさに不満があるみたいだった
クラシス達は『犬耳族』の見た水田は、管理しやすい様に小さな水田を見ていたが、リウの作ったは『犬耳族』の水田よりも広く四角だった
「本当なら100mx10mの広さにしたいんだけどね」
「そうなの?『犬耳族』の水田はもっと小さくなかった?」
「農作業を手作業でやるなら『犬耳族』で見た大きさが一番いいけど、僕らの場合は手作業よりも魔法重視でいくから、これくらいの大きさでもやれる」
「それは『土魔法』?」
「違う違う、水田作りや水路作りは『土魔法』を使ったけど、稲作は『木魔法』を使おうと思う」
「エルフ達の使う『木魔法』を植物促進や植物の育て方に活用しようと思う」
「ねぇ、『木魔法』は木々に影響がを及ぼす魔法なんじゃないの?」
「『娘さん』や『ハルクさん夫婦』の話では、木々や植物にも魔法の恩恵を与えるらしいよ」
「『木魔法』を修得してるのは、アライズ・アリサ・アンナ・シルキー・ミルキーの5人だけだし、リン達5人もギリギリ修得しているから、農場の管理はリン達5人とアライズ達5人の合計10人に任せるつもり」
「今作った水田の隣も畑にするの?」
「いや『種籾』が増えれば水田の数も増やすし、それまではこのまま放置します」
「そっか、今日は『取水口』と『排水口』を作るの?」
「最初に『取水口』を作るよ、小川から水田まで土魔法で印をつけてきたから、水路の仮設置は今日中にできると思う」
「仮設置?」
「そそ、水路は土魔法で固める事と、水路から水が溢れない様に地面よりも、高く盛り土する必要がある、今日は水を流す水路を勾配をつけながら全線を繋げます」
「それじゃ、水田から等間隔で別れて土魔法で水路を作りますか」
歩いて10分の水路まで大体800mの距離を11人で70mの水路を作る
土壁作成よりも水路の方が『アイギス』的には難しい作業かもしれない・・・
「それで水路の大きさはどうするの?」
「水路は幅50cmの深さ50cmで仮設置します」
「盛り土とかは?」
「水を流した時に水路から溢れたらかな・・」
「実際に『取水口』と『排水口』を作って、水量次第で盛り土をするという方針でいくと?」
「そだね、水路完成後に水を流してから考えろう」
「「「「おぉ!」」」
この日の『アイギス』は『取水口』用の水路作りをし、無事に仮設置を終える事になる
水路を土魔法で固める作業は、ノノ・ココ・ジャンヌが担当し、毎日少しずつ水路を固めていく作業をしていく
『排水口』用の水路は、リウやクラシス達が行い、数日かけて仮設置を終え、クラシスとリズが水路を固める作業を担当していく
水田はアライズとアリサとアンナが、土魔法で地中の石や岩を取り除き、農作業に適した土壌へと変えていく、稲作を来年始めるという事で土壌改良をする為に、森の中から落ち葉集め水田に散布していく
来年の稲作に向けて馬の糞で堆肥作りも行い、馬糞や野菜屑などを混ぜ、稲作や果樹にも使える堆肥を1年かけて作っていく、堆肥作りは住居から離れた森に作り、発酵までに匂いがするので土魔法で外部に臭わない倉庫を作り、せっせと堆肥作りをするのであった
本拠地ではリン達5人は『木魔法』を修得済みという事で、果樹園の仕事を任されていた
果樹園は本拠地の南側から東側に、林檎・梨・桃の3種類の苗木を各10本ずつ植えていく
林檎も将来大きく育つ事を考え、『白銀龍』と『娘さん』達の監修の元、林檎の苗の位置や幅で植えていく、梨や桃も同様にある程度離して植える
植えた直後は、『娘さん』達が『木魔法』で苗木に元気を与え、いち早く根付く様に働きかけていた
『白銀龍』は果実の苗木が、上手に植えられているのを満足げに眺め、果樹園全体に『イージス』を唱える
『イージス』の光は、規模にしたら小さいもののリン達からしたら、大規模魔法と変わらず突然の魔法発動に驚いていた
『娘さん』達は『白銀龍』の唱えた魔法の光を知っていたので騒ぎはしなかったが、どういった魔法なのかはさっぱり解らないでいた
果樹園は『イージス』の効果で一面花畑になり、苗木も植えた直後なのに若芽が芽吹き、幹や枝もぐんぐん伸びて沢山の葉をつけていた
「これは『白銀龍』の魔法の効果・・・なのかな?」
「『木魔法』じゃないと思うけど、何の魔法だろ」
「それ以前に果樹園が花畑になってるんだけど・・・なんで?」
リン・アイズ・ヘンリーは『白銀龍』の唱えた魔法の効果に驚き、林檎の苗木が急激な成長に驚く事になるが、『白銀龍』が龍という事で納得していた
ライムやジルは大規模な魔法を唱えた『白銀龍』を尊敬と感謝をこめて撫でまわしていた
「凄い魔法だよ~」
「これなら林檎の収穫も早いかも~」
2人は『白銀龍』を撫でまわし、『白銀龍』も嬉しそうに『ガウガウガウ』と話しかけていた
リン達5人を遠巻きで見ていた『娘さん』達は、『白銀龍』の魔法の効果に驚いていた
『木魔法』以上の魔法に、これは是非とも修得したいと思い、『白銀龍』か『アイギス』のメンバーにお願いしようかと相談していた
一方その頃、龍の巫女のアンリーとシンリーの2人は、『犬耳族』で振舞われた『はちみつ焼き林檎』を上手に作れる様に調理場で何度も練習をしていた
『犬耳族』の集落から大量に林檎を箱買いしてあったので、龍の巫女の2人は『白銀龍』の好物を得意料理にすべく頑張っていた
また、黒熊の角煮や煮込みスープや、ホロホロ鳥の唐揚げや焼鳥なども、本拠地に移り住んでからも毎日の様に調理していた
「角煮と煮込みスープはマジックバックに保管?」
「そだね、練習で作った料理は、晩酌や休憩中に食べるんだっけ?」
「そうそう、アライズさん達よりは味は劣ると思うけど、少しずつだけど美味しくできてるはず」
「『白銀龍』様も晩酌時に美味しく頬張ってましたし」
「私達は『アイギス』の誰よりも料理が下手です、ここで料理を任せてもらえる様に頑張りましょう」
「はい、皆さんに喜んでもらえるように、何より『白銀龍』様に美味しいって言って貰える様に」
龍の巫女の2人が料理を任せてもらうのは、これから数カ月後になります、それまでは晩酌での酒の肴を数々作り、『白銀龍』の胃袋を掴むのだが、2人はその事を知らない・・・
それから数日後、リウと『白銀龍』の2人は朽ちた崩れたダンジョンへの探索を行う事になる
龍の巫女達の料理の数々をアイテムボックスに保管し、ダンジョンの奥に向かうのだった
水路作りを『取水口』はノノ達3人に任せ、『排水口』はクラシス達2人に任せた。
水田はアライズ達3人に任せて、果樹園はリン達5人に任せ、『白銀龍』と『娘さん』達がリン達のサポートをお願いしていた
龍の巫女の2人は、料理作りに励み本拠地での料理番になるのだった
次回、リウと『白銀龍』はダンジョン探索へ向かいます。




