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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
250/354

2-250『赤熊』納品とか

それから数日の間は『ひよこ亭』で焼串や焼鳥を販売し、『アイギス』は麓の街へ帰還する事になる

戻る前に商業者ギルドへ行き、『稲作』の農業従事者を雇えるか聞いてみたり、『種籾』を追加で購入出来ないかを聞き、追加ではあるが『種籾』を購入する事が出来た

『種籾』はアイテムボックスに保管し、来年度に植えるつもりでいた

もっとも、麓の街かエルフの集落の近郊に『アイギス』の『一軒家』=簡易陣地を作成し、敷地内に林檎等の果樹園や、稲作用の水田を作るつもりでいた

リウは昨晩、クラシスやリズに稲作の事を話し、自分たちで育てるよりも、「『犬耳族コボルト』の農業従事者に任せてみては?」っと言われ、ギルドに話しを聞きに来たんだけど・・・


「それではリウさん達が実際に水田を用意でき、来年度から稲作可能な状態になってから、商業者ギルドを通し、『犬耳族』の従事者を雇ってみてはどうでしょう?」


「確かに雇うにしても、土地も水田も無いのでは話になりません・・・、実際に雇う事が出来たら商業者ギルドに相談に行きます」


「はい、お待ちしております」


「それと『赤熊』を納品したいんですがいいですか?」


「・・・『赤熊』ですか?」


「はい、この集落に来る前に何度か『赤熊』に襲われまして・・・、とりあえず1頭をギルドの納品します」


「少しお待ちください」


受付の男性は席を立ち慌てて奥の部屋へ駆けていく・・・、暫くすると1人の女性と主にリウの前に来て


「『赤熊』を納品って本当!!」


「はい、アイテムボックスに保管してますので、どこに出せば・・・?」


「それならこっちに来て、隣の倉庫が解体スペースになってるから!」


リウを連れ3人で隣の倉庫へ行くと、ギルド員が黒犬や大猪を解体している


「それじゃ、ここに『赤熊』を取り出してもらえる?」


解体作業をしているギルド員のじゃなにならないスペースを指さされ、リウはアイテムボックスから『赤熊』を取り出す

『赤熊』は魔法弾に被弾し、頭部は破損しているが、数分後に倒された新鮮な状態で、倉庫に横たえる・・・


「はい、これでいいですか?」


目の前に『赤熊』が現れた事で、ギルド員を始めリウを道案内した女性と受付の男性は驚いている、『赤熊』は黒熊よりも数倍大きく、黒犬や大猪を解体していたギルド員も『赤熊』を凝視し、『赤熊』の周りに集まってきた


「これが『赤熊』・・・初めて見た」


「でか・・・でかすぎる」


「本当に毛皮が赤みがかってる」


「あんたがこれを倒したのか?」


「うちのメンバーですよ、1人では無理です」


「頭部に一撃・・・魔法か?」


「魔法が得意なメンバーがいますので・・・」


「そうなの?ランクEだと思ったけど・・・他のメンバーは高ランクなのかしら?」


「全員ランクEですよ、魔法が得意なだけですよ」


「あの、黒犬や大猪の解体はいいんですか?」


「おっと、そうだった早く解体しなくちゃ・・・」


「さっさと済ませて『赤熊』の解体だ!」


「「「「おぉ!!!」」」


ギルド員は黒犬や大猪の解体に戻り、リウは未だ驚いている女性と受付の男性に


「それでは確認は・・・不要か、それで『赤熊』の報酬額は?」


「あ、はい、『赤熊』は過去10年間討伐記録が無いのですが、報酬額はクエストボードに記載された金額になります」


「『赤熊』は1頭丸ごと納品ですか?」


「毛皮の加工は出来ませんし、肉は在庫があるので今回は全部売ります」


「それでは、討伐報酬と『赤熊』の肉と毛皮の報酬は別途お支払います」


「受付カウンターで報酬をお渡ししますので、こちらへ・・・」


受付カウンターには討伐報酬の入った革袋と、毛皮と肉の報酬額の入った革袋の2つが置かれていた、討伐報酬の方が少ない気が・・・

リウは2つの革袋をアイテムボックスに保管した、1家族なら半年分の報酬額だけど、メンバーの多い『アイギス』では2~3ヶ月分の生活費にしかならない・・・


「申し遅れました、私は商業者ギルド・ギルドマスターの『エリーゼ』です、『赤熊』の討伐可能という事でギルドランクを上げる事が出来ますがどうしますか?」


「ランクアップですか・・・、別にランクを上げる必要も無いのでこのままで」


「そうですか残念です、リウさん達には高ランクの討伐クエストをお願いしてもらいたいんですけどね・・・」


「そう言われても『アイギス』は麓の街へ戻りますよ?」


「そうですか、残念です・・・『赤熊』をもう少し討伐してもらいたかったんですが・・・」


「『赤熊』を討伐する必要が?」


「リウさん達は冬期間前に『赤熊』を討伐したと思いますが、春になると『赤熊』は餌を求めて凶暴になります、住民や冒険者に被害が及ばない様に『赤熊』の数を減らしてもらいたかった・・・」


「それなら帰りに『赤熊』を討伐しながら帰りますよ、実際アイテムボックスには『赤熊』の毛皮や肉が保管してあるし♪」


「まだ、『赤熊』を所持してるんですか??」


「ありますよ、解体前の『赤熊』が数頭、解体後の毛皮も数頭分、肉に関しては毎日食べていたので・・・ギルドに納品したくない・・・、2頭分の毛皮ならギルドに納品出来ますが・・・」


「お願いします、ギルドに譲って下さい」


『エリーゼ』は深々とリウに頭を下げている、リウにとっては『赤熊』の毛皮の価値は未知数な事もあり、毛皮なら黒熊の方が好きだが、肉なら『赤熊』の方が断然好きだった

リウは2頭分の『赤熊』の毛皮をのせ、『エリーゼ』は毛皮の状態を確認してから、毛皮の納品報酬をリウに手渡すのだった


「ありがとうございます、また『赤熊』を討伐した際にはよろしくお願いしますね」


「帰りはゆっくり箱馬車で帰りますので、襲われたら帰り討ちしますよ~」


「道中討伐したら麓の街の商業者ギルドに納品して下さい、私の名で『『赤熊』討伐』依頼しておきますので・・・」


「わかりました、肉は譲れませんか、毛皮なら多少はギルドに納品します」


「それで結構です、お願いしますね、リウさん」


リウは『エリーゼ』と握手をしギルドを後にするのだった

しかし、『赤熊』1頭の報酬額が多すぎる・・・、今は使わすに麓の街へ戻る事を考えるか、土地を買うかもしれないし一軒家を買うかもしれない、何より麓の街では食糧の購入を考えないと・・・


リウが簡易陣地へ戻ると、焼串や焼鳥を販売している『ひよこ亭』は相変わらず列をなしていた


「『ひよこ亭』が次の日から無くなれば騒ぎになるかな?」


とは言っても『ひよこ亭』を初めて開いた日もいきなりだったし問題無いか・・・

リウは裏口から簡易陣地に入り、『ひよこ亭』の手伝いをし、ここでの最後の仕事を行うのだった




さぁー、明日は麓の街へ向け旅再開です!


商業者ギルド・ギルドマスター『エリーゼ』登場。

『赤熊』の討伐報酬は、黒熊の数倍で1頭丸ごとだと1家族が半年は生活出来る報酬を手にする。


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