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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
248/354

2-248『米』購入と再び野営生活とか

雪が融け山間部にも草木が生い茂る頃、『アイギス』の箱馬車が次の集落へ到着していた

到着した集落は、『小鬼族ゴブリン』と『犬耳族コボルト』が半々の集落だった

集落には家屋と倉庫、各ギルドが建ち並ぶだけで、宿屋や酒場などは存在していなかった

リウ達は山間部で討伐した『赤熊』の毛皮を納品と、ポーションの納品をする為に商業者ギルドに出向いていた

集落の中央部に冒険者ギルドと商業者ギルドの建物があった

冒険者ギルドは建物の裏に修練場があり、商業者ギルドは建物の裏に倉庫が建っていた

リウは商業者ギルドにクラシスとリズとで出向き、他のメンバーは箱馬車で留守番をお願いした


「おはようございます」


リウがギルドの扉を開け中に入ると、受付カウンターとクエストボード、待ち合わせ用のテーブルとイスが数組確認できた

受付カウンターで事務作業していたギルド員の男性が、リウの挨拶で気がつき作業の手を止めて


「おはようございます、なにかギルドにご用ですか?」


「『犬耳族コボルト』の集落から『米』を求めてきたんですが・・・」


「『米』ですか?」


「はい、『米』です、欲しいんです、めっさ食べたいんです」


「はぁ、ギルドでも『米』の販売をしておりますが・・・、どれくらいお求めですか?」


「まずは、20人x3食分程欲しいです」


「それくらいなら直に御用意できます、少し待ってもらえますか?」


「はい、クエストボードでも見てます」


「では、暫らくお待ちください・・・」


リウとクラシスとリズはギルドのクエストボードで、この集落周辺のクエストの確認を行っていた

野犬の討伐・大猪の討伐・黒熊の討伐などを確認した、中には『赤熊』の討伐などもあり報酬額も高額に設定してあった

『米』の値段次第では、『赤熊』をギルドに納品する必要があるが・・・


暫らくすると受付の男性が戻って来て「ご用意できました」と声をかけてきたので、受付カウンターに向かうと、『米』が入った麻袋が3つカウンターにのっていた


「これが20人x3食分の『米』です、値段の方は・・・」


その後『米』の支払い、ギルドを後にするのだが・・・、所持金不足でアイテムボックス内のポーションを納品し、なんとか『米』の入手に成功する

ギルドを出て箱馬車へ戻ると、ノノ達が木陰で紅茶を飲みながらリウ達を待っていた


「おかえり~、『米』は買えたの?」


「いや~、思ったより『米』が高くてびっくりしたよ♪」


「それじゃ、所持金は・・・無くなったとか?」


「まぁー、所持金とポーションは無くなったね・・・」


「『赤熊』の毛皮を納品しなかったの?」


「しても良かったんだけど、ここでは所持金があっても関係ないんじゃないかな」


「露店も無いし、買い物はギルドでのみか」


「それで私達は今日どこに泊るの?」


この集落はギルド2つと民家しかない、泊れる場所も食事をする場所も無い

ギルドで寝泊まりも・・・馬車を停めておく場所も無いし・・・


「もう1度ギルドに行ってくるよ・・・、集落内で馬車が停めれるかとか、集落の外に野営していいかとか・・・」


「それじゃ、リウが戻ったら食事にしましょ、集落の外でも中でも料理はアイテムボックスにいっぱいあるし♪」


ココとリズはアイテム内に冬期間中に調理した料理を大量に保管しており、すぐにでも食べれるようになっていた、『白銀龍』は箱馬車の2Fで林檎を食べながらリウを待っていた

リウは再度ギルドに入り、受付の男性から泊れる場所や食事可能な場所を聞く事になるのだが・・・


「あのすいません、この集落には宿屋や馬車を停めれる場所はありますか?」


「この集落には泊まれる施設は無いんですよ、ここは『小鬼族』と『犬耳族』が共同で暮らしている集落だけど、農作物を育てていても『米』や『野菜』・『果実』などは隣の集落へ卸していて、クエストボードの依頼も冒険者向けというより、農業従事者が農繁期以外に依頼を受けていくんです」


「それじゃ、この集落を訪れた冒険者はどこへ泊ったの?」


「多少の食糧はギルドでも販売してますが、宿泊は集落の外で野営ですかね・・・、隣の集落まで歩いて2時間なので移動する冒険者も多いですね」


「集落の外なら野営しても大丈夫という事で?」


「はい、集落付近でも森付近でも野営をしてもらって大丈夫です、ただ水田や畑や果樹園に近くでの野営は禁止です、農作業の妨げになる行為は禁止です」


「わかりました、森付近で野営をします、旅の疲れが取れたらギルドで仕事をするので、その時はよろしくお願いします」


「はい、仕事という事は・・・クエストボードの依頼を受けてくれると?」


「そうです、野犬討伐や黒犬討伐などをやろうと思います」


「では、その時はよろしくお願いしますね」


リウは受付の男性に、ぺこりと頭を下げギルドを出るのだった

ギルドを出てからノノ達に「森で野営するぞぉ~」とだけ話す、ノノ達は急ぎ箱馬車に乗り込み、のんびりと集落を出て森へ移動を開始する

『アイギス』は街道から離れず、集落の近くの、森の付近に箱馬車を停め、リウ達は簡易陣地を作成する

土壁で周囲を囲み、馬小屋完備で風呂とトイレ、大部屋3つの『かまくら住居』を作り上げる

シルミルは馬達を馬小屋へ連れていき、アライズ達は調理荷台で料理を温めなおし、ノノ達は地下に貯蔵庫を作り保存食や酒樽を保管する

リウは麦ご飯を炊く要領で、『かまくら住居』前で『米』を炊いていた

『米』を炊く匂いにつられ、『白銀龍』や『娘さん』達はリウの元に集まってくる


『この匂いは何?』


「『白銀龍』はご飯が炊く匂いは初めてか~」


『ご飯?麦ご飯と違うの?』


「僕らが食べていた麦ご飯とは匂いも味も違うね、『米』で炊いたご飯は美味しいぞぉ」



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