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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
244/354

2-244『赤熊』三昧とか

『アイギス』の箱馬車は本日の宿泊場所に停車し、リウ・シルキー・ミルキーの3人で簡易陣地を作成していた、周囲の土壁は高さ2mの厚さ1mにし、馬小屋も大きめに作り小型ながらも暖炉を作った、箱馬車も寒さを防ぐために、箱馬車全体を覆う様にし、メンバー全員が寛げるように大きな暖炉と煙突を土魔法で作成した、陣地内は明かりの魔法で照らし、暖炉の前にはテーブルやイスを設置した

リウやシルミルが簡易陣地を作成している頃、クラシスやリズは簡易陣地の周囲で薪拾いに出掛けていた、春までの薪は所持していたが、折角なので周囲の警戒と同時に薪拾いをお願いしていた

また、アリサとアンナは『娘さん』2人一緒に薬草採取をしていた、リウがMAPで確認したところ歩いて5分の場所に薬草採取場所を発見し、アリサとアンナだけでは不安という事で『娘さん』達に護衛をお願いしていた

薪拾いも薬草採取も1時間以内で終わらせ戻って来てとお願いし、晩ご飯の準備はアライズとリウが担当し、『赤熊』のステーキや角煮や煮込みスープを調理していく

調理荷台から美味しそうな匂いにつられ、暖炉の前のテーブルの席には『白銀龍』やノノ・ココ・ジャンヌがイスに座っていた、馬達の世話が終わったシルミルも席に座り、暖炉の暖かさにぼんやりしている

『娘さん』の1人が暖炉でお湯を沸かし、座っているノノ達に紅茶を淹れてくれた

紅茶の匂いでノノ達は『娘さん』に、「紅茶ありがとうございます」とぺこりと頭を下げ紅茶を一口飲み、「はぅ~、おいし~」とにへら~と笑顔になっていた

『白銀龍』は『娘さん』から林檎を受け取り美味しそうに頬張っている


暫くすると背負い籠に薪いっぱいな状態のクラシスとリズが簡易陣地に戻ってくる

寒かったのか背負い籠を降ろすと暖炉の前で手を温めていた

クラシスとリズも紅茶を淹れてもらい、やはり「ありがとう」とお礼を言い、紅茶を一口飲み「はぅ~」とノノ達みたいに、にへら~と笑顔になっていた

薬草採取に向かっていたアリサやアンナや『娘さん』2人が大量の薬草をマジックバックに保管し戻ってくる、どうやら薬草採取場所には『赤熊』や黒犬などが近づいて来なかった、そして4人で合計63個の薬草を採取していた

やはり薬草採取をしていた4人も紅茶を飲み「はぅ~」となり、笑顔になっていた


「みんな揃った~?」


リウが調理荷台から顔を出し、暖炉の前で寛いでいるメンバーを確認し


「それじゃ、料理を運ぶから各自魔法で、身体の汚れを落として綺麗にする事、それと寒くなってきたから飲酒を解禁します」


「麦酒を飲んでもいいの?」」


「あぁ、飲み過ぎ注意だよ、晩酌には『赤熊』の焼串やサイコロステーキを予定してるからね」


「「「はーい」」」


おや?クラシスやリズ以外にもう1人誰かが返事をした・・・?

リウの一言でイスから立ち、各自魔法で身体の汚れを落としていく

最後にテーブルの周辺も魔法で綺麗にし、リズはテーブルに麦酒を取り出し、ココが果実酒を取り出し、いつでも飲めるようにし、調理荷台から調理を運ぶ手伝いに向かう・・・

ノノやココ、ジャンヌにアリサなどが手伝い、テーブルの上には『赤熊』のステーキや角煮に煮物スープなど、『赤熊』尽くしになっていた

一応、野菜も食べるという事で、サラダや野菜スープなどもテーブルに並べられていたが、みんなステーキや角煮に目を奪われていた

みんな食べたそうにしていたので、リウは手を合わせて「いただきます」と食事の合図をすると、メンバー全員声を揃えて「「「「「いただきます」」」」と答えてから食事が始まる

移動中『赤熊』の角煮は、リウやシルキー・ミルキー以外は食べていたが、ステーキや角煮は初めてという事で、みんな皿に盛り美味しそうに食べている


「角煮うまー、とろけます~」


「ステーキも柔らかいのに肉汁が溢れだす・・・」


「煮物スープも旨みが凄い・・・」


「煮物スープに麦飯いれて食べたいなぁ・・・」


「炊きたての麦飯なら、ココのアイテムボックスに保管してますよ?」


「そうなの?ココお願い麦飯を出して下さい」


「了解、炊きたてで鍋ごと保管してるから、食べたい分だけ盛ってね」


ココはアイテムボックスから鍋を取り出し、リウは大皿に多めに麦飯を盛り、ココに再びアイテムボックスに保管してもらう

リウは大皿から麦飯を煮物スープに投入し、スープに絡めた麦飯をスプーンで頂く


「やっぱり美味いな・・・、飯が進むし止まらなくなるなぁ」


リウはスープに浸した麦飯をがつがつと美味しそうに食べていく、それを見たノノやココ・ジャンヌは同じように煮物スープに麦飯を入れ、スープに絡めた麦飯を一口食べてる


「浸すと旨みが麦飯がより一層美味しくなる・・・」


「それに麦飯が柔らかくなって食べやすい・・・」


「『赤熊』の煮込んだ肉も解れて一緒に食べると美味さ倍増♪」


多めに取り出した麦飯は、リウ達4人で完食する

満腹感に浸りながら、リウは果実酒を飲み、口直しにサラダを食べている


クラシスとリズとアライズは、麦酒を角煮やステーキを肴に飲んでいた

黒熊に比べても格段に美味しく、酒の肴にしていいものかと最初は思っていたが、美味い酒に美味い肴があるという事で、3人はいつもよりも飲み食べ騒ぎ、酔い潰れるまで飲んでいた・・・


アリサとアンナ・シルキーとミルキーは、果実酒には手をつけずに『赤熊』の料理を堪能していた、ステーキを一口食べ「肉汁が凄い・・・」「これは凄い・・・」と呟きながら食べている

角煮を食べた時は、焼きたてパンに角煮とサラダをはさみ、サンドイッチにして食べていた「このサンドイッチは最強かも・・・」とか「これが弁当なら毎日頑張れる・・・」とか話していた

煮込みスープの時は、4人ともスープにパンを浸して食べていた、「旨みがパンにしみ込んで、いくらでも食べれる・・・」とか「これはスープというより最高の調味料だ・・」とか話している

『アイギス』の中でもこの4人は料理の味に厳しいので、『赤熊』の各料理に満足していたので、料理を手伝ったリウとしては「ほっと」していた


『白銀龍』と『娘さん』達は、『赤熊』のステーキを一口サイズに切り分け『白銀龍』に食べさせていた、『娘さん』達も『赤熊』の料理が美味しかったのか、いつもは野菜中心の食事から肉料理中心の食事を展開していた、角煮や煮物スープが美味しいのか静かに食べながらも、しっかりお代わりをしていた

そして、『白銀龍』と『娘さん』達は満足したのか、マジックバックから『はちみつ焼き林檎』を取り出し、テーブルの一画で食べ始めた


この日の晩ご飯は、食事と晩酌が合わさった感じなので、食事を終えたリウは手を合わせ静かに「ごちそうさま」と呟き、食べ終えたテーブルの料理を片付けていく

クラシス・リズ・アライズの3人が麦酒を飲み楽しそうにしていたので、他のメンバーはリウと一緒にテーブルを片付け、テーブルの上には晩酌用の料理と、『はちみつ焼き林檎』などのデザートがテーブルに並んでいく

『白銀龍』や『娘さん』達は、『はちみつ焼き林檎』をお代わりし、リウ達も紅茶と一緒に『焼き林檎』を食べ始める


「口直しにするには、勿体無いデザートだな・・・」


「焼き林檎うま~」


「林檎は箱買いしたんだっけ?」


「そだよ、果樹園で箱で2つ購入したから、そのまま食べてもいいし、デザートにしてもいいね」


「あれ2つだっけ?私のアイテムボックスに2つあるけど?」


「僕のアイテムボックスにも2つあるよ?」


「それなら林檎は箱で4つあるのか・・・」


「それでも次の秋までには食べきる・・・」


「いずれは『犬耳族コボルト』の集落で購入した林檎の苗木を育てて『アイギス』の果樹園を作ろうな~」


「その時は大きな家を作らないとなぁ~」


「リウはお嫁さんいっぱいいるから、いっぱい稼がないと・・・大変だぁ~」


「お嫁さんの為なら頑張れる!」


実際『アイギス』では『衣食住』の内、衣装の『衣』は・・・露店で買うしかないか・・、食事の『食』は討伐依頼とかで賄えるな、調味料だけ購入すればいいか?、それと酒類も買うしかないか・・・自分たちで作る事が出来ればいいんだけど作り方サッパリだしな、住居の『住』は簡易陣地を作成する要領ですぐに用意できるけど、布団や小物は買うしかないか・・・


「それに今回の旅の目的は『米』の確保と、『稲』の育成が一番だからね」


「『米』?『稲』??」


「目的が2つなの?」


「違う違う『稲』に実がなり『米』になる、そして、『稲』を自分たちで育てる事が出来たら、腹いっぱいのご飯を食べるんだ・・・」


リウが妄想の海に潜っていると、リウの話を聞いていたノノとココは「リウは農家をやりたいの?」と聞いてきたので、「そう言う訳じゃないけど、魔力が増加して長生きしそうだから、やりたい事面白い事は全部やりたい」、それを聞いたノノ達も「それは面白い・・・」「やりたい事か・・」「林檎を増やす・・?」とか色々な声が聞こえ始めて、酔いつぶれているクラシスが突然起きだし、「リウの子供が欲しい!」と大声で叫び・・・再びテーブルで寝始める・・・


「確かに子供は欲しいかな・・・、そう言えば『娘さん』に質問です、魔力が大きくなると子供が出来にくくなるというのは本当なの?」


突然のクラシスの宣言にびっくりし思考が停止していたが、リウの『魔力大きいと子供出来にくい?』という質問に、少しだけ目を瞑り考えてから、静かに目を開け『それは本当です、魔力が多いエルフの出産率は人間の半分以下で、エルフの集落でも子供が出来にくいのが問題になるほどです」、やはり麓の街で聞いた通りか・・・、子作りは『米』と『稲』を確保し、麓の街の簡易陣地へ戻ってから本格的にやりますか・・・


「子作りは麓の街に帰ってからだな・・・、身籠ってからこの街道を戻るのは問題だし、目的の物が手に入れば、ゆっくり新婚生活突入出来るし!!」


「それまで何もしないの?」


ノノ達が悲しそうな顔をしていたので、リウは真剣な顔で「何もするよ、当然するよ!」と答え、ノノ達は「??」と不思議そうな顔でリウを見つめる


「夫婦なんだからいちゃいちゃするし、我慢とかもないけど、朝から晩まで布団で堕落する生活はしないという意味だよ、まずは、次の集落へ行く事が今の目標ね、冬前につく事が目的じゃないから、雪が降れば山間部で春を越すからそのつもりでね」


「それに『赤熊』が2頭だけでは少ないでしょ?食糧として考えるなら・・・あと2~3頭は確保したい、毛皮が4頭分あればギルドに納品すれば生活費の足しになるしね」


このリウの一言で、『アイギス』のメンバーはリウの『子作り宣言』よりも『赤熊』の食糧確保の事だけを考え始める、晩ご飯の『赤熊』の料理がメンバーのやる気を引き出したと考えてもいいのだが、女子が多い『アイギス』は何を1番に考えるといえば、美味しい食事であり美味い料理が一番と考えていた、この世界で食にここまで拘ったパーティーというかファミリーもめずらしいのだが、そここと自体リウは勿論、ノノ達も知らない事であった

タイトルの『赤熊』三昧・・・、角煮とステーキと煮込みスープかな?

『米』を探す筈が、最高の食材『赤熊』に巡り合う、しかも、遠距離からのヘッドショットで倒すとか・・・。

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