2-243再び『赤熊』と魔法の射程距離とか
『アイギス』の箱馬車は街道を進み、少し開けた場所で休憩をしていた
元々は街道の休憩場所なのか、その場所には焚き火跡があり、冒険者が山越え時に休んでいたと思えた、耳を澄ませば小川の音が聞こえ、水の確保も出来そうだった
箱馬車を降り、ジャンヌが簡易コンロでお湯を沸かし、紅茶の準備をしている
シルミルの2人は馬達の世話を始め、魔力回復中の『クラシスリズ・アリサ・アンナ』の4人はイスに座り林檎を頬張っていた
『白銀龍』は『娘さん』から焼串を食べさせてもらっていたし、他の『娘さん』達はイスに座りながら林檎を頬張り、周囲を警戒しているのか森の中を見つめている
ジャンヌは紅茶を飲みながら『娘さん』達の魔法の魔法の攻撃範囲を教えてもらっていた
「そう言えば『娘さん』達の魔法の攻撃範囲はどれくらいなんですか?」
「攻撃範囲ですか?前に森の中の黒犬を撃ち抜いたのが500mだったかな・・・」
『白銀龍』の焼串を食べさせていた『娘さん』が答えてくれた
すると他の『娘さん』達も続けて応えてくれる
「攻撃範囲でいえば1km位なら目標を撃ち抜く自信があるけど、距離が長くなると威力が低下するので、魔力量を距離に応じて増やさないと撃ち抜く事も困難になる」
「魔力量を増やさずに撃ち抜こうとすれば・・・100mがギリギリかな?」
「少しだけ魔力量を増やせば500mは確実に狙い撃つ自信はある!」
それを聞いたジャンヌを始めクラシスやリズは、「1kmって凄いな・・」とか「500mが確実に命中って・・」とか「100mがギリギリという事は、私達より攻撃範囲広すぎない?」と話しあっている、『白銀龍』は攻撃範囲という概念が無いのか、ジャンヌや『娘さん』達の話を聞き流していた
「あのエルフのみなさんは、通常時にも『遠見』スキルを活用してるから、攻撃範囲が広いんですか?」
「『遠見』スキルは森での生活には必須だったのもありますが、狩猟や襲撃に備えて集落から出ると常時唱えますから・・・」
「それに先ほどリズさんが言ってたように、普通に魔法弾を命中する範囲は100m圏内です」
「魔力量を増やすと言っても、100mの的に命中する魔力消費量が10とするなら、500mの的なら魔力消費量は50となり、1000mの的なら魔力消費量は100となります」
「魔力消費量が増えれば魔力量は消費するし、魔法弾に込める魔力量が増えれば、魔法を放つまでの時間が必要になります・・・、なので長距離の的に当てるというのは難しく使いどころを考える必要があります」
「・・・そうか魔力量を増やせば命中可能か」
クラシスやリズは魔法弾を100m以上に放つ事は出来たが、的まで届く事は無く、威力も通常以下になっていた、日々の鍛錬でも何度も修練していたが、距離が遠くなれば的もぼんやりとしか認識できず、ある程度の範囲に魔法弾を飛ばすだけになっていた
「修練時でも距離が遠くても、『遠見』スキルがあれば500mの的にも魔法を命中出来るか・・」
「距離の感覚と増やす魔力量の調整は、魔法の修練で覚えるしかないか・・・」
「これはリウやアライズ達にも教えないとダメだね、冬期間中に遠距離魔法を修練するのもいいかもね」
ジャンヌの一言にクラシスやリズ・アリサやアンナもコクコクと頷いている
『娘さん』達はジャンヌ達が嬉しそうに話しているのをニコニコしながら見つめていたが、森の奥に近づいてくる班のを感知し、『娘さん』達が森へ魔法弾を放ち・・・反応が消失した
「『赤熊』だったので撃ち抜きました、今から回収に行ってきますから、ここでお待ち下さい」
そう言って『娘さん』の1人が森の中へ消えていった・・・
その間は残りの『娘さん』達と一緒にジャンヌ達も周囲を警戒していた
「『赤熊』の回収って・・・『娘さん』はアイテムボックス持ち?」
「言ってませんでしたか?私達全員アイテムボックス持ちです」
『娘さん』達はニコニコしながら頷いている、魔法も凄いのでもしやと思ったが、まさか全員アイテムボックス持ちとは・・・優秀すぎる『娘さん』達・・・
暫くすると森の中に向かった『娘さん』が戻ってきた、『身体強化』や『速度強化』を唱えた様には見えなかったが、どうやって素早く動けるのか不思議そうにジャンヌ達は見ていた
「あの『赤熊』は誰に渡せば?」
「それならこの場で解体しちゃいましょ、ジャンヌはリウ達を起してきて、みんなで取り掛かりましょ」
「リズと私は馬達と箱馬車を土壁で囲い、襲撃に備えましょ」
クラシスとリズは、達と箱馬車を土壁で囲い、街道から見えないようにした
魔力回復中のアライズ・クラシス・リズ・アリサ・アンナは周囲の警戒をお願いし、残りのリウ・ノノ・ココ・ジャンヌ・シルキー・ミルキーの6人が解体をする事にした
『白銀龍』と『娘さん』達も、アライズ達と一緒に周囲の警戒を担当してもらい、もしもの襲撃に備える事になる
「それじゃ、本日2回目の『赤熊』解体を始めます」
リウの掛け声とともに各自解体ナイフに『ハルパー』を唱える、黄金に煌めく解体ナイフでリウ達は『赤熊』の解体を始める・・・
2度目の解体という事で、リウ達はスムーズに解体をしていく・・・
時間的に晩ご飯が近いので『赤熊』の新鮮な肉は、アライズに手渡し調理荷台へ消えていく、暫くすると肉の焼けるいい匂いがしてくるを我慢しながら解体を進める
リウ達が1時間かけ解体を終了し、毛皮と肉をアイテムボックスに保管する、骨や不要な部位は土魔法で穴を掘り埋めた、周囲の血の匂いは魔法で消したが少し気になり、土壁を解除し箱馬車を移動させる
箱馬車を移動中、アライズは『赤熊』の焼串を調理し終え、『白銀龍』やノノ達が頬張っている
御者のリウや助手のシルミルの2人は、箱馬車の中からの美味しそうな匂いが気になってしょうがないが、今は箱馬車を進める事を第一に考えていた
リウはMAPで箱馬車を停めれる場所を探していた、日も暮れてきたし少し肌寒くなってきていた
「もうすぐ広めの場所に出るから、今日はそこで泊りましょう」
「「もうすぐ?」」
「そそ、10分後には着くかな?」
「ねぇ、リウ・・・後ろの美味しそうな匂いが気になるんだけど・・・」
「それは僕も気になってるけど、御者席での食事は危険なので、僕達は箱馬車が止まるまで禁止ね」
「「了解・・・」」
「『赤熊』も2頭確保したから、晩ご飯とか晩酌時には何かしら調理するよ」
「焼串?」
「ステーキ?」
「焼串はアライズが用意してくれると思うから僕はステーキを御馳走しよう」
「「楽しみにしてます」」
御者席のリウは前を見ながら今晩の献立を考え、シルミルの2人は「焼串にステーキだ!」と嬉しそうに騒いでいた、黒熊よりも美味しい『赤熊』の肉を味わえるという事で、楽しそうにしている2人をリウはニコニコしながら見つめていた
「さぁー、もうすぐ本日の宿泊場所に着きます」
クラシス達の魔法弾の射程距離は100m圏内。
『娘さん』達の魔法弾の射程距離は100m圏内、魔力量を増やせば1000mまでは命中する事が可能。




