2-242『赤熊』との対戦とか
『アイギス』の箱馬車は、山間部を進むと1つの大きな反応を感じ、箱馬車を停車し近づいてくる襲撃者に対し、追撃を試みる
「前方から反応が1つ、箱馬車に接近中!!」
リウが箱馬車を停車し、助手のノノとココが馬達の周りに『魔法障壁』を2人掛かりで展開する
箱馬車の2Fからクラシスとリズが『遠目』スキルで、近づいているナニカを確認し
「前方から『赤熊』1頭接近中!!狙い撃ちます!!!」
「いっけぇぇ!!!」
クラシスとリズが同時に『赤熊』に向け魔法弾「ボルト」を放つ
ドドォォォォォ!!
頭部と胸部を狙い、「ボルト」がヒットしたが、『赤熊』は一瞬体勢を崩しただけで、箱馬車目掛けて駆けてくる
それを『遠見』で見て、「「はぁー、頑丈ね・・」」と声を揃え呟く
「2人ともどうしたの?「ボルト」でも仕留め損ねた・・とか?」
「「はい、効きませんでした」」
クラシスとリズは続けて『赤熊』に向け「ボルト」を数発放つ
どどどどどどどどぉぉぉぉぉぉおおお!!!!
『遠目』と『危険回避』で魔法弾を放つ、全弾命中しているが『赤熊』の全身には「ボルト」がヒットしたキズが目立つが致命傷にはならなかった・・・
リウはMAPを展開し、『赤熊』がもうすぐ箱馬車の前に現れそうだ・・・
ノノとココは、箱馬車から降り、馬達の前で鉄杖を構えている
リウも箱馬車を降り、『具現化魔法『紐』』を展開し、周囲の木々や岩に『紐』を巻きつけ、土壁よりも強固な防御壁を構築する
リウ達の周囲には何重にも光る『紐』が箱馬車を守る様に展開していく
「周囲に『紐』で防御壁を展開したから、『紐』の外には出ない様に注意ね」
「「「「了解」」」
リウが『具現化魔法『紐』』を維持するだけで攻撃に回る事が出来ずにいた
クラシスとリズは、土魔法で『赤熊』の足元に『落とし穴』を展開し、クラシスは右前足を地面に拘束し、リズが左後ろ足を地面に拘束し、『土槍』を拘束した足に展開し『赤熊』の動きを止める事に成功する
ノノとココは、『落とし穴』の寸前に膝と肘に「ボルト」をヒットさせて、確実に『落とし穴』に嵌まる様に仕向ける事に成功す、『赤熊』の動きを止めた後は、ノノとココが全力の『風刃』が多重にヒットし『赤熊』の首を落とす事に成功する
『赤熊』を倒した事を確認した後は、この場で血抜きをし周囲を警戒しつつ解体を始める
黒熊に比べると『赤熊』は頑丈に加え、移動速度も数倍早く、身体の大きさも1.5~2倍近く巨大だった・・・
『赤熊』は牙や爪が鋭く、守りを固めての遠距離から魔法を命中するしかリウ達には倒す術は無かった、しかも、遠距離からの「ボルト」はクラシスやリズの2人掛かりでも致命傷を与える事は出来なかった・・・その為、『赤熊』の素材に最小限の損傷で仕留めるには首を落とすしかなかった訳だが・・・、ノノ・ココは「「次に同じ事は出来ないかも・・・」」と話していた
アライズ・クラシス・リズ・アリサ・アンナの5人で解体をし、シルミルの2人は馬達の世話をし、リウとノノとココとジャンヌは箱馬車の周囲の警戒をしていた
解体中も箱馬車の周囲には『紐』を展開したままなので、『紐』で囲まれた内部は安全地帯と言えた、実際にはリウが『紐』を維持し、ノノとココとジャンヌが鉄杖を構え、もしもの時に備えている
箱馬車の内部では、『白銀龍』と『娘さん』達が食事の準備をしていた、食事の準備と言っても解体後に昼ご飯を予定していたので、煮込みスープを温めなおしたり、焼串や焼鳥を炙ったりしていた
この日は『赤熊』の襲撃&解体で仮眠組も起きて活動していた、解体後の昼ご飯後には『リウ・アライズ・ノノ・ココ』が仮眠する予定になっていた
『赤熊』の解体は、黒熊よりも苦労するかと思ったが、アライズ達5人は解体ナイフに『具現化魔法『ハルパー』』で、解体ナイフは黄金に煌めく特上の切れ味を誇る事になった
「「ボルト」でも撃ち抜く事が出来なかった『赤熊』の毛皮も、『ハルパー』では切り刻むも事が可能か・・・」
「しかも、毛皮だけでなく骨も両断出来るとは・・・」
「問題は『ハルパー』使用時の魔力消費量が半端ないね・・・」
「毛皮の加工は商業者ギルドにお願いするとして、食用の部位は小分けにしてアイテムボックスに保管しよう、お昼は『娘さん』達が用意してるから晩ご飯はアライズ達にお任せしてもいいかな?」
「私は仮眠組だからアリサとアンナにお願いするわ」
「「わかりました、初めての素材なので塩コショウでステーキにしましょうか~」」
「それがいいわ、煮込みや角煮は火の番をしつつ、私が調理荷台で調理するから・・・明日の朝は『赤熊』の料理を数品用意できそう」
暫らくして解体が終わり、周囲には『赤熊』の血の匂いが満ちており、他の黒犬や山犬などが近づきそうなので、周囲を魔法で綺麗にし箱馬車はこの場を離れる・・・
1時間移動し箱馬車は、山間部の広めの場所に停車し、昼ご飯の準備に取り掛かる
『娘さん』達が食事の用意をしていたので、リウ達が箱馬車を囲むように土壁を展開し、食事中の襲撃に備える事にする
解体作業をしたアライズ達5人は解体終了と共に魔力枯渇になり、今も魔力回復中でふらふらしていた、5人とも箱馬車から降りるとイスに座り林檎を頬張っていた
「久しぶりに魔力枯渇するまで魔法を使っちゃった」
「『パルパー』は魔力消費が激しいのが問題か・・・」
「さすがに『ハルパー』での近接攻撃は恐ろしくて出来そうにない・・・」
「『赤熊』の一撃は『魔法障壁』も破壊しそうだし、万が一『赤熊』の攻撃が当たれば即死亡・・・、そんな相手に近づいて攻撃するのは『アイギス』では認めません!」
「しかし、今回の2人で同時に2ヶ所の『落とし穴』で動きを止めてからの、『風刃』で止めをさす・・・、『アイギス』的には満点の成果だったね」
「まぁ『落とし穴』も『風刃』の2人の息の合った攻撃と言えます・・・・が、次も同じ攻撃をやれと言われても無理だろうなぁ・・・」
先ほどの戦闘について、再び『赤熊』に襲われた時の対応について考えていたが、『落とし穴』と『風刃』は有効だとして・・・、他のスキルも候補に入れておいた方がいいかも
「『落とし穴』や『風刃』以外で『赤熊』に対抗出来そうなスキルはあるかな?」
「土魔法で足を引っ掛けるとか?ロープでは耐えきれず切れそうだし・・・」
「『具現化魔法『紐』』で足を引っ掛けるのはあり?」
「『紐』は魔力消費が激しいので、防御壁で使用した方がいいでしょ」
「『赤熊』の毛皮を破損する恐れがあるので、火属性の魔法は却下だとして・・・他は風属性の魔法もあるけど・・・、倒した後に水浸しになるから却下かな」
「それ以外だと『土弾』で狙い撃つしかなか・・・」
「『風刃』も多重に命中し、『赤熊』の毛皮と骨を断つ事が出来た・・・、『風刃』単体で断つ事が可能なのかどうか・・・」
「何度か対戦して対策を練るしかないかも、それが『アイギス』の戦力向上に繋がる道なのかも」
その後、昼ご飯を頂き、『リウ・アライズ・ノノ・ココ』が仮眠を始める
クラシス・リズ・アリサ・アンナの4人は魔力枯渇気味なので、食後は紅茶を飲み魔力回復に努める事になる
午後からは御者をジャンヌが担当し、魔力回復中のクラシスとリズが助手をお願いし、シルミルの2人が箱馬車の『浮遊』をお願いし、箱馬車の2Fでは『白銀龍』と『娘さん』達に周囲の警戒をお願いし、『アイギス』の箱馬車は山間部の街道をゆっくりと進むのだった




