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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
241/354

2-241狙撃の『コツ』は『遠目』スキルとか

危険な街道での初めての夜は、食事を終えて晩酌に突入していた

クラシスやリズは麦酒を飲みつつ角煮を頬張っているし、ノノやココは果実酒を飲みながらサイコロステーキを頬張り、火の番をするリウやジャンヌ達は紅茶を飲みながら林檎を食べていた

シルキーミルキーの2人は馬達の世話をしに向かい、今日は馬達の傍で寝るつもりでいた

『白銀龍』や『娘さん』達も紅茶や林檎を頬張りまったりしていた


「それで『魔法の命中』について教えて欲しいんだけど」


林檎を頬張っている『娘さん』達は、「「ん?」」とリウの質問について何が知りたいのかわからないでいた


「『魔法の命中』と言われても、狙って撃てば当たりますよ?」


「その事だけど、森の中で目視確認できない的に命中するにはどうしたらいいのか・・・」


「あー、視界の外に当てる方法を知りたいと?」


「そうそう、視界の外に黒犬の反応は確認できたんだけど、視界で確認できない黒犬には魔法を命中できない・・・」


「黒犬の反応を知る事は出来るのよね・・・、そこから魔法を命中するのは、少しだけ『コツ』が必要かな・・・」


「「「『コツ』?」」」


「『コツ』というかスキルの複合技かな・・・、遠くの物を見る『遠見』というスキルと、周辺の反応を知る『周囲感知』というスキルの同時使用かな?」


「『周囲感知』・・・『危険回避』みたいなスキルかな?」


「その2つのスキルは、『似て非なるもの』だね・・・『周囲感知』は周囲の生体反応を知るスキルに対し、『危険回避』は周囲に存在する危険な者や物を知るスキルです」


「同じ感覚だけど・・・、一度『遠見』のスキルを修得してから試すしかないか」


「まずは『遠見』の修練からの修得か・・・」


「『遠見』の修得に関しては、遠くの的に攻撃を命中する方法で修得するしかないのかな」


「それか遠くを見つめるとか?」


「私達の集落では魔法でも弓でも、攻撃範囲を伸ばすやり方が一般的かな、本来は森の中よりも草原の見晴らしのいい場所で、毎日攻撃範囲を延ばす方が効率好いんだけど・・・」


「森の中では遠くの的に当てるのは無理なので、休憩や夜には遠くを見つめるという修練をお勧めします」


「夜に遠くを見る・・・?」


「はい、時間がかかりますが夜ならば星空を見つめるとか、休憩時に森の奥を見つめるとかかな」


「体を鍛えるというより、目を鍛えるのかな?」


「今日の夜から周囲の警戒としつつ、星空を眺めるか・・・」


「冬に近づいてるから星が綺麗だしね」


「冬が近いから『風邪』には注意ね、寒くなってきたから簡易コンロと外装のマントで、寒さ対策をしてね」


「わかったるって、簡易コンロも使うしマントも使う、お湯を沸かして紅茶で暖まるから大丈夫」


街道を移動し草原から森に入った辺りから、日中でも肌寒い感じなので夕方からは簡易陣地の簡易暖炉で火を熾さないと寒くなってきていた

馬達の所にも簡易コンロを持ち込み、シルミルの2人が火を熾し寒さ対策をしっかり行っていた


「それに寒さに耐えれなかったら、簡易コンロの隣で布団に包まり、星空を眺める方がいいかな」


「簡易コンロを囲みながら布団を敷くの?」


「初めての野営の時みたいで楽しいかもよ♪」


晩酌をしていたクラシスやリズも外で布団を敷く事に少しだけ楽しそうにしてきた

リウの隣に座っていたジャンヌは、『アイギス』に加入した時の野営を思い出し、今は簡易陣地で宿泊しているが、土魔法を修得する前は簡易コンロの周囲に体を寄せ合い眠った記憶が蘇ってきた


「今なら外で布団で寝るのも楽しいかも♪」


「今日からは湯冷めするかもしれないから、火の番のメンバーは夜のお風呂は禁止ね、朝ご飯の後にお風呂にしよ」


「「「了解」」」


「それじゃ、簡易コンロと布団の準備をしようか」


ジャンヌ・アリサ・アンナの3人はコクコクと頷き、リウと一緒に簡易陣地を出て簡易コンロと布団の準備を始める

土壁に囲まれ地上5mの簡易陣地は、コンロを置き布団を敷くスペースは広くなかったので、大きめの布団1組に4人が一緒に寝る事になる


「横になって周囲の警戒は・・・無理じゃ?」


「地上5mなので突然の襲撃は無いと思うけど・・・、もし襲われても盛り土5mに土壁2mを登りきる前に撃ち落とせるでしょ?」


「この4人なら魔法で撃ちもらす事は無いと思うけど・・・」


「なら大丈夫、そのかわり寝落ちはしないでね」


「「「はい」」」


「それじゃ、みんなが寝静まるまで簡易コンロでお湯を沸かしますか・・・」


「あの干物も炙っていい?」


「折角だし野営気分を味わいますか、干物に焼串や焼鳥も一緒に炙って過ごしますか」


リウはお湯を沸かし紅茶の準備を始める、ジャンヌは干物を炙りだした、アリサとアンナは焼串と焼鳥をマジックバックから取り出し頬張りだす、2人は下準備した焼串と焼鳥を炙り始める


「火の番するから食べ過ぎだけ注意ね、交代で僕とジャンヌが先に仮眠するから、夜中にアリサとアンナと交代ね」


「「はい」」


「それと襲撃や接近するモノの反応がある時は、すぐに起すか声を上げてね」


「わかった~、リウ達は直に寝るの?」


「簡易陣地の晩酌が終わるまで起きてるよ、それまでは4人で並んで星でも見てようか~」


「星を眺めるだけでなく、星を見つめる感じで行こう」


「星空が近い気がする・・・」


「そだね、手が伸ばせば届きそう・・・」


4人は晩酌で騒いでいる声を聞きながら星空を眺め続けた

晩酌終了でリウとジャンヌが仮眠をとるつもりだったが、気がつけば夜が明けるまで4人は星空を見つめ続けた・・・

周囲の警戒はリウ達が担当していたが、簡易陣地でも『白銀龍』や『娘さん』達も周囲を警戒していた、こちらは星空を見る事無く、暖炉の周りに布団を敷き仮眠をしていた



次の日からリウと一緒に星空を眺めるという権利を懸けての話し合いが勃発したが、メンバー交代で火の番をする事になるがリウはその事を知らなかった

森を抜け山間部に突入したころには、『遠目』スキルをメンバー全員が修得し、森の中の黒犬を目視確認せずに撃ち抜く事に成功する


『アイギス』の箱馬車は山間部を移動する事になるのだが、次の集落に到着する前に雪が降り始め、前進するか春まで簡易陣地に籠るかを話し合う事になる

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