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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
240/354

2-240森での狙撃主は『娘さん』とか

『アイギス』の箱馬車は昼頃には街道側に停車し、馬達と箱馬車を土魔法の土壁で囲み、アライズとクラシスの調理した、煮込みスープや唐揚げなど『ひよこ亭』の定番料理を頂くのだった

食事の時には箱馬車2Fで昼寝をしていた『白銀龍』と『娘さん』達も一緒に食事をしていた

リウが呼びに行く前に、箱馬車が停まると同時に起きたのか、唐揚げの匂いで起きたのかはわからないが・・・

箱馬車にはアリサとアンナが仮眠をし、リウとジャンヌが食事後に仮眠をするつもりだった

ここでの食事は初めてだったが、土壁で周囲を囲んでいたので、安心して食事が出来た


「しかし、今までの野営より危険度が上昇している気が・・・」


「そりゃ、周りには黒犬やら黒熊やらの反応高だし・・・」


「それにしても僕たち以外の馬車や冒険者を見かけないね・・・」


「それほどこの街道は危険なのかもよ」


クラシスが煮込みスープにパンを浸して話している、リウやノノ・ココは「やっぱり危険なのかぁ」とか「それでも近道なら通らない手は無い」「それに『赤熊』の味が気になる・・・」その一言に、食事をしているクラシスやリズに『白銀龍』や『娘さん』達までコクコクと頷いている


「森を抜けるまでは危険な気がするけど、黒犬や黒熊クラスなら大丈夫じゃないかな?」


「周囲の警戒と即時展開する『魔法障壁』があれば、大抵な攻撃は完全に防げそうですが」


「それでも数の暴力には無理があるから・・・」


「その時は土魔法で堅甲な簡易陣地作成かな?」


「前以って襲撃するのが解れば土壁で周囲の守りを固め、箱馬車と馬達を重点的に簡易陣地作成か、地上5mまで土魔法の盛り土で地上からの襲撃を防ぐか・・・」


「リウの地上5mの盛り土は、寝る時に活用しましょうか?」


「安心して寝れるなら『盛り土&簡易陣地』が1番かな」


「僕らは食後に仮眠するから、『盛り土&簡易陣地』作成の時は起して下さいね」


「その時はお願いね」


その後、食事を終え紅茶を飲み、リウとジャンヌの2人は箱馬車の2Fで仮眠をするのだった

増設した箱馬車2Fは、仮眠部屋というべきか、比較的防音使用&暗幕もあり部屋の中は真っ暗ですぐに眠れる使用になっていた

部屋の内部は、大きめの布団が2組敷かれており、アリサとアンナが先に寝ていたので、リウは起さない様にジャンヌと一緒に静かに布団に入り眠り始めるのだった

この時ばかりはジャンヌはリウを独り占めなので、リウの腕枕で幸せそうに眠り始める

リウは嬉しそうに抱きつくジャンヌの頭を撫で、抱き枕の様に抱きしめながら眠り始める

暫くすると、アリサとアンナもリウを抱きしめながら眠りはじめた


その頃、御者のクラシスと助手のノノとココは、箱馬車の周囲を警戒しながら街道を駆けていた

周囲の反応は進めば進むほど強くなり、黒犬の襲撃には箱馬車の2Fから『娘さん』達が遠距離から魔法で狙撃していた

クラシス達3人が黒犬の反応を感じ『魔法障壁』を展開しようとする前に、『娘さん』達が「左手奥から反応5つ、撃ち抜きます!」と声をかけてから、ドドドドドォォォォ!!!と魔法弾の「ボルト」を放つ

黒犬達は箱馬車から離れた場所で撃ち抜かれていたので、クラシスは勿論『娘さん』達も黒犬の遺体の回収を諦めた


「やはり黒犬の襲撃は多いな・・・」


「森の中の反応も箱馬車に合わせて移動しているみたい・・・」


「もしかしたら、森を抜け山間部へ突入したら反応が消えるかもしれないし」


「それは黒犬が山間部に近づけないかわりに、『赤熊』の反応があるかもよ」


「山間部に近づけば近づいた分だけ、危険な気がする」


「『赤熊』や『山虎』の事?」


「周囲の反応から襲撃までどれくらいの時間があるのか・・・」


「御者と助手が、反応感知が遅れた時は、『白銀龍』と『娘さん』達が頼りだね」


御者のクラシスは前方を見ながら、ノノとココは箱馬車の2Fの『娘さん』達に手を振っている、『娘さん』達も手を振り返しながらニコニコしている

箱馬車の中では、アライズとリズが『浮遊』を唱え、黒犬の接近には気がついたが、魔法で攻撃する事は出来なかった

火の番の為にメンバーが仮眠をしていると、箱馬車の守りが厳しい気がする


すると前方から黒犬の反応あり、クラシスが「前方から黒犬の反応あり」と声をかけ、ノノとココが馬達と箱馬車に『魔法障壁』を展開する

箱馬車2Fの『娘さん』達から、「「「狙い撃ちます!!」」と声が聞こえてきたのと同時に、魔法弾が森の奥へ消えていく魔法弾が黒犬を撃ち抜いたのか、先ほど感じた反応は消えていく・・・

クラシスやノノ・ココは、箱馬車からは黒犬の反応しかわからなかったが、『娘さん』達には森の中の黒犬が見えていたのか正確に位置を捉え魔法を放っていた

クラシスは周囲に反応が無い事を確認し、「『魔法障壁』を解除して大丈夫よ」とノノとここへ告げる、ノノとココは「「ふぅ~」」と『魔法障壁』を解除し、再び周囲の警戒を始める

クラシスは「それじゃ、出発します」と告げてから、箱馬車はゆっくりと移動を開始する


「そういえば『娘さん』達はどうやって森の中も黒犬の位置を確認したのかな?」


「クラシスも森の中の黒犬の位置はわからない?」


「んー、目視で確認できないと攻撃するのは危ないかな・・・」


「それは攻撃を当てるのも厳しいとか?」


「厳しいというより無理かな」


「森の中の反応は感じるけど、反応を頼りに魔法を放っても・・・必ずしも魔法が命中するとは限らない」


「前にリウも森の中に魔法を複数放っていたけど、『娘さん』達のとは違う気がするし・・・」


「ちなみに私は出来ません・・・」


「私も・・・無理」


クラシスの話にノノとココは目視確認できない目標、もしくは、森の奥の目標には命中するのは無理と言っている、クラシスも同じく無理だと考え、同期のリズも目視も出来ない森の中で魔法を命中する事は・・・出来ないはずと思っていた


「冬期間中にでも『娘さん』達に目視確認しなくても魔法を命中するやり方を教えてもらわねば」


「そうすると毎日が魔法の修練なのかな?」


「次の集落に到着するより、山間部か森で冬籠りしながら魔法の修練した方が建設的な気がしてくるな」


「旅再開まで土魔法ばかりで、泊まりがけで森で野営したりして無いし、何より魔法の修練も土壁作成の為にやっていなかったな」


「一度基本に戻って魔法の修練をした方がいいかも」


「それでなくても『アイギス』は『土木専門』なパーティーという認識になりつつあるし、本来の薬草採取かポーション作成の『ポーション屋』という感じで商業者ギルドでも認識してもらいたい」


「あー、それな、なんか『土木専門のアイギス』って覚えられるとなんだか嫌だな」


「泣けてくるフレーズだね・・・、しかも、可愛くないし」


「そういってもリウはギルドからお願いされたら、土壁の作成をするんだろうな・・・」


「「違いない」」



それから4回の黒犬の襲撃を受けたが、『娘さん』達の活躍により無傷で街道を進む事に成功し、危険な街道での最初の夜を迎えるのだった

クラシスが箱馬車を停車し、ノノとココがリウを起しに向かい、シルミルの2人が馬達に餌と岩塩を与え、クラシスとリズが箱馬車と馬達を中心に広めに土壁で囲い、いつも以上に土壁を高く厚く堅甲にしてから、リウ達を交えて土壁で囲った場所を土魔法で盛り土し、地上5mの位置まで上昇させた

盛り土後に、メンバー全員が箱馬車からでて土壁の向こうを見つめると、森の木々を越えた位置まで盛り土され、黒犬や黒熊の襲撃は完全に防げる格好になっていた

一応、馬達と箱馬車は覆い隠す様な感じに土魔法で簡易陣地を作成して行く

馬達も『アイギス』と旅をするようになり、野犬や大猪の襲撃にも慌てずに対応するようになり、いきなり5mの高さまで盛り土されても慌てる事も無く暴れる事も無かった

そんなどっしり構えた馬達をシルミルの2人は、「今日はありがとね」とか「明日もよろしくね」とか話しかけながら撫でまわしていた


森での野営は初めてではないが、森の木々の上に簡易陣地を作成したのが初めてだったので、晩ご飯は外で頂く事にした、簡易コンロを取り出し、煮込みスープや野うさぎのトマトスープなど、外でも寒くならない料理をテーブルに並べていく

さらに、最初の森での夜という事で、食事の時から麦酒や果実酒がテーブルにのせられ、食事の開始と共に飲めや食えやで大騒ぎしながら、食事は進み晩酌時には酩酊していく・・・


食事をしながら『娘さん』達が、目視確認できない遠距離から、黒犬の狙撃に成功したという話をクラシス達から聞き、晩酌開始と同時にリウは『娘さん』達から、目視確認不可でも魔法を命中する方法を聞こうとしていた


「それで『娘さん』達は、どうやって魔法を命中させたの?」


『娘さん』達は『白銀龍』と共に食後の林檎を頬張っていたので、「魔法の命中?」と呟き・・・

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