2-237お別れの晩餐会は料理全部盛りとか
夕方に『リリー』と『ガンガ』は一軒家を訪ねてきた
『リリー』の手には大瓶が、『ガンガ』の手には酒樽を持ち、上機嫌でリウ達に挨拶している
「上物持ってきたぞ~」
「こっちもいい酒持ってきたぞ~」
「もうすぐ食事の準備出来るから、食堂で待ってて~」
「「あいよ」」
『リリー』と『ガンガ』は、持っていた大瓶と樽をリウに渡し、食堂のいつもの席に着くのだった
食堂では『ひよこ亭』の3人が率先して調理をし、シルミルの2人がテーブルに料理を運んでいた
ノノ達が簡易コンロで炙った焼串や焼鳥を食堂に運び、半分はココのアイテムボックスに保管し晩酌時に御馳走するつもりでいた
「テーブルの真ん中に、焼鳥と焼串の盛り合わせでいいかな?」
「それとも大猪のサイコロステーキとホロホロ鳥の焼鳥の盛り合わせがいいかな?」
「それなら盛り合わせを2つずつ準備してテーブルに並べて~」
「「はーい」」
「こっちの大猪の角煮と黒熊の煮込みスープは人数分なるから並べるね~」
「焼きたてパンとサラダは大皿に載せて、手の届く範囲に置いておきましょ」
「デザートは食事の後半で食堂に運べばいいかな?」
「唐揚げも焼鳥と同じ皿に載せる?」
「あーと、デザートは後半でお願いね、唐揚げは焼鳥と同じ皿に・・・載せるのは無理か・・・」
「それなら焼鳥と焼串が食べ終わったら、唐揚げをテーブルに並べましょ」
「唐揚げは晩酌時にも食べれるから大丈夫」
「それじゃ、今日は奮発して晩ご飯の時から果実酒を頂きましょ」
「「「はーい」」」
「料理も並べたし、みんなを呼んで来てもらっていいかな?」
「了解、『白銀龍』と『娘さん』達も一緒でいいよね?」
「もちろん、呼んで来てもらえるかな?」
「わかった~」
「そういえば『リリー』達が持ってきた酒は・・・晩酌時に持ってくればいいの?」
「そだね、大瓶は晩酌の時に飲めばいい、酒樽はリウ達のお土産なので取っておいてくれい」
「そっか、クラシスとリズが喜ぶよ」
暫くすると、『白銀龍』や『娘さん』達を始め、メンバーが食堂に集まってきた
調理をしていた『ひよこ亭』のアライズ達3人が席に着き、リウの合図で最後の晩ご飯が始まる
「いただきます」
「「「「いただきます」」」」
何度もリウ達と一緒に食事をしてきたので、『リリー』と『ガンガ』はいつも通りに「いただきます」をしてから食事を始める
テーブルの上には、焼鳥や焼串を始め、露店では見かけない角煮や煮込みスープなどが『リリー』達には新鮮で、しゃべるのを忘れているかのように食べ続けていた
クラシスとリズとアライズは、果実酒を飲みながら美味しそうに食事をしている『リリー』と『ガンガ』を見ていた
「この角煮は・・・大猪の肉なの?」
「そうですよ、『ひよこ亭』の定番料理です」
「こっちは黒熊は煮込みスープに?」
「そそ、煮込みスープはパンに浸すと美味しいですよ」
『リリー』と『ガンガ』はスープにパンを浸して食べはじめる、美味しかったのか2人とも2つ目のパンを手に取り食べはじめる
『白銀龍』は『娘さん』の膝の上に座り、ホロホロ鳥の唐揚げを頬張っていた
最近はリウの膝の上より、『娘さん』達の膝の上に座る事が多くなっていた
リウは少しばかり寂しく、『娘さん』達は嬉しく思っていた
『ガンガ』は『白銀龍』が美味しそうに唐揚げを頬張っていたのを見て
「あの料理は何だい?」
「『白銀龍』が食べているのは唐揚げですね、ホロホロ鳥を揚げた物です」
「揚げ料理なのか・・・、ホロホロ鳥を揚げるとこういう味になるのか・・・」
「この・・・唐揚げ?は、私達でも調理可能かしら?」
『リリー』は揚げ料理というものを知っているみたいだが、肉を揚げるという発想は考え付かなかったみたいで、実際に食べてみて唐揚げの美味しさを実感したみたいだ
「可能ですが、ホロホロ鳥の味付けは好みで考えて下さいね、それと揚げる時間が短いと食べた時に腹痛になりますので、キチンと揚げないと危ないですよ」
「それなら味見役が必要ですね・・・」
『リリー』は少し考える素振りを見せ、『ガンガ』を見つめていた
「ねぇ、『ガンガ』・・・、美味しい料理の為に試食をしてくれない?」
「え・・・、『リリー』料理できたっけ?」
「これから覚えるのよ、それに『ガンガ』には唐揚げの味を覚えて帰ってもらうからね」
「まじで・・・、今日から揚げの味を覚えれと?
「まじで覚えてね、唐揚げは晩酌に合いそうだし、酒が美味しく飲めるぞぉ~」
「・・・しょうがねぇな、美味しい物の為に頑張りますか」
晩ご飯は続き、料理が粗方食べつくされると、『ひよこ亭』の3人がテーブルを片づけていく
テーブルの上には果実酒の大瓶と多少の肴のみが載っていた
ココがアイテムボックスから唐揚げを取り出し、大皿に載せ『リリー』や『ガンガ』の前に置いておく
酒を飲めないメンバーには、『焼き林檎』をカットし食べはじめていく、『白銀龍』と『娘さん』達も1つの『焼き林檎』をわけて食べはじめている
ジャンヌは一口だけ果実酒を飲み、林檎を頬張っていた
シルミルは晩ご飯を食べ過ぎたのか、先にお風呂へ向かっていった
ノノとココは果実酒を飲みながら唐揚げを頬張っていた
クラシス達と『リリー』『ガンガ』は、酒を飲みながら5つ先までの集落の話を聞いていた
冬が近づいているので、収穫期は終わり農地は雪に隠れていくという・・・
雪が降る前に5つ先の集落に着くのはギリギリ無理と教えられ、クラシス達は野営地に相応しい場所を聞いていたが、『リリー』と『ガンガ』は野営経験が少ないということで良い情報は得られなかった
かわりに野犬や大猪や黒熊の出現が多い場所を聞き、『アイギス』の野営場所に決めるのだった
大猪や黒熊が出現すれば、食糧にもなるし素材も手に入る、何より戦闘経験を実戦で行えるという事が大きかった
この日は、食堂で飲み潰れているのをシルミルが発見する事になる
メンバーの殆どが二日酔いという事で、リウ作成のポーションで酔いを醒まし、次の日は無事に『犬耳族』の集落から、次の集落へ向け出発するのだった




