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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
222/354

2-222『犬耳族(コボルト)』集落についてもやる事は1つとか

無事に『犬耳族コボルト』の集落に到着したリウ達は、門番の冒険者から商業者ギルドを訪ねるように伝言を貰う事になる

麓の街と『小鬼族』の集落の2つの商業者ギルドから『アイギス』の土壁作成を聞き、『犬耳族』の果樹園の周囲にも土壁を作成して欲しいとの事だった

リウ達が『小鬼族』の集落から、この集落までの移動時間などを考慮し、2日前から門番に『アイギス』の箱馬車が来たらギルドに案内する事が決まっていたみたいだった

御者のリウは門場から商業者ギルドの場所を聞き、箱馬車をゆっくりとギルドへ向け移動していた


「それでリウはこの集落でも土壁の作成をするの?」


「まぁ、依頼報酬次第かな?」


「そんな事を言ってもリウは依頼を受けるんでしょ?」


「そりゃ、困ってたら手伝ってやりたいけどね」


「なら依頼の条件に一軒家を借りるってのは?」


「簡易陣地で寝泊まりするよりはいいか~」


「まずは、商業者ギルドでキチンと話を聞いてからにしましょ」


御者のリウと助手のノノとココは、箱馬車を移動しつつ、そんな話をしているのだった

確かにココの言う通り一軒家で寝泊まり出来るなら、この集落にいるうちは火の番をしなくても大丈夫になるし、一軒家なら多少騒いでも大丈夫かな?っと考えていた


商業者ギルドは集落の門をまっすぐに進んだ先にあり、冒険者ギルドの隣に商業者ギルドが並んで建っていた、どうやらこの集落の商業者ギルドには大型の倉庫が多数所持している様で、ギルドの周囲には倉庫らしき建物の前には、警備の冒険者が周囲を警戒する様に立っていた

ギルドの前に箱馬車を停め、御者席にノノとココが座り、箱馬車を降りジャンヌと『娘さん』達が周囲を警戒をお願いした


商業者ギルドに入ると、受付嬢がにこりと微笑みリウ達を出迎えてくれた


「こんにちは~」


「「「こんにちは~」」」


「門番さんからギルドに出向く様に言われた『アイギス』のリウですが・・・」


ギルドにはリウとクラシスとリズの3人が依頼を聞きに来ていた

受付嬢は『アイギス』のリウと言われ少しばかり驚いていたが、流石はギルドの受付嬢という所か、平然な表情でリウ達にクエスト依頼の説明を始める


「突然の話で申し訳ありません、麓の街と『小鬼族』の集落からのギルドから土魔法の優秀な使い手がいるとの話を聞き、是非とも『犬耳族』の果樹園の周囲にも土壁の作成をお願いしたいのです」


「『アイギス』は土魔法メインのパーティーでは無いんですけど・・・」


「確かに『アイギス』のみなさんは、薬草採取とポーションの納品しか実績が無い様ですが、麓の街では土壁と土魔法での簡易陣地作成で、赤目の魔物の襲撃で多大な実績を上げたと聞いています」


「それは成り行きですね、赤目の魔物以前に宿屋に泊るだけの資金が無かったので、簡易陣地で冬を越しただけですよ?」


「そこが問題なんです、土魔法で作成した建物は、長期間崩れずに存在できる事がめずらしいのです、長くても1ヵ月で綻び、2ヶ月で崩れ始めます・・・、冬の間という事は数カ月以上完全な状態で存在する、そして今現在も麓の街の簡易陣地は使用可能という・・・」


「それは土魔法で作成したけど、材質を土材というより石材、もしくは岩材として作成したからかな」


「あまり土魔法に詳しくは無いのだけれど、土壁や建物を作成する時は、材質も考えて作成する物なのですか?」


ギルドの受付嬢の質問にリウは首を傾げ、クラシスとリズは少し考えてから話し始める


「私達は野営の度に土魔法で簡易陣地を作成してきて、より快適により堅甲により安全にと考え簡易陣地を作成してきた、材質もそれに合わせ無意識に変えてきた結果だと思います」


「それに私達も土魔法を使い始めて2年足らずなので、本来の土魔法もしくは土壁の作成については知らない事が多いです」


「その辺はギルドとしては結果を大事にしてます、長期間崩れずに土壁として機能してもらえれば、商業者ギルドとしても果樹園を柵で囲むより、頑丈な土壁で囲って貰った方が安心出来ます」


「まぁ、僕達の土壁を高評価してもらえるのは嬉しいけど・・・」


「商業者ギルドとしては距離に応じて報酬をお支払いします、それと距離ですが『小鬼族』の麦畑よりの長めになると思います」


「それでは作成期間は1ヵ月くらいですか?」


「距離を考え1カ月前後だと思います、長くても1ヶ月半の45日間くらいかな」


「その日数を宿屋で生活するのはきついのですが・・・金銭的に・・・」


「それでは距離と土壁の作成の日数で依頼報酬を支払います、宿屋についてですが多少は割引で宿泊できるギルド直営の宿屋を紹介するか、ギルド管轄の一軒家を使用するか選んでもらいます、一軒家を選んだ場合は食事とか諸々自分たちで行って貰います」


「それなら一軒家を選びます、出来れば箱馬車を停めて置ける倉庫と、馬達を休ませられる馬小屋があれば最高ですね」


「少し待って下さい、確かギルド管轄の一軒家で倉庫と馬小屋がある物件があったはずです」


そういうと受付嬢が奥の部屋から一冊の帳簿を持ってきた

受付嬢が2~3件の物件をリウ達の前に提示してきた


「1つ目は馬小屋に倉庫完備ですが、一軒家の方は風呂場が小型で家族向けというより、独身の商人向けという感じでしょうか」


「確かに部屋数は多そうですが、食堂の大きさを見る限りメンバー全員での食事は無理そうですね」


「お風呂と食堂は大きめがいい」


「食堂よりも調理場が広ければ問題ないね」


「では、1つ目は外して・・・」


そういって次の物件の紹介を始める


「次に2つ目の物件ですが、馬小屋と倉庫は完備で風呂場は広めで5~6人はゆっくりと入れます、食堂と調理場も広めですが、一軒家がある場所に問題があり・・・」


「場所に問題ですか?」


「はい、場所が『犬耳族』の集落の外れにあり、治安に不安があるんです」


「それじゃ、2つ目は保留にして次の物件を教えてもらってもいいですか?」


「3つ目の物件ですが、馬小屋も倉庫も広めですが、逆に大きすぎて管理が大変だと思われます、一軒家の方は風呂場と食堂調理場も大きいです、しかも調理場には地下室があり食糧の貯蔵庫が完備してます、ただ逆に一軒家には部屋数が少なくパーティでの生活には不向きです」


「一軒家の部屋数が少ないという事ですが?」


「ここは商業者ギルドの商隊が護衛の冒険者と宿泊する建物だったのです、大きめの風呂に倉庫、雑魚寝用の大きめの部屋、今現在は数多くの商隊は各自一軒家や倉庫を所持しており、この一軒家も暫らく前に放置されていたんです」


「商隊が使っていた一軒家ですか・・・」


「その物件は、商業者ギルドから歩いて5分の距離にあるのし、土壁で囲まれた一軒家なので侵入者や不審者を完全に防げると思いますよ」


「歩いて5分なら案内をお願いしても?」


「もちろん、依頼をお受けしてもらえるなら、一軒家の使用料は免除という事で・・・」


受付嬢はにっこりとしながら、リウ達に依頼から逃げれない様にしていく

クラシスとリズは、元ギルド員という事で今回のギルドの対応は破格のもとと思っていた

この集落にいる間の宿泊費の事を考えなくてもいいのと、ギルド管轄という事で安全面で問題も無く、2人はリウにコクリと頷いていた


「わかりました、依頼をお受けします、一軒家への案内をお願いします、掃除や布団の準備など何が必要か確かめないといけないし・・・」


受付嬢は奥の部屋へ行き、『アイギス』が依頼を受けた事の報告を済ませ、例の一軒家の案内をする為に受付業務を一時休止し、リウ達と共にギルドを出る事になる


受付嬢はリウ達と一緒に歩いて一軒家まで歩きはじめる

箱馬車の御者のノノとココは、リウ達の後ろをゆっくりとついて行き、ジャンヌと『娘さん』達は箱馬車には乗らずに、箱馬車の後ろを歩いてついて行く

ギルドからの道筋を覚えるのと、一軒家までの安全性を知る為には歩いて見回る必要があった


一軒家は商業者ギルドの倉庫並びの一番奥の位置にあり、隣の倉庫と同じ高さ2mの土壁で囲まれた一軒家へ案内された

馬小屋は馬2頭管理するには広すぎるほどだった、シルキーとミルキーの2人が問題無く宿泊する事が可能で、2人は馬小屋をさっそく土魔法で改造していた

倉庫も箱馬車を停車しても、倉庫内の1/4も空きスペースがあり、この場で朝錬をしても十分すぎるスペースがあった

一軒家の方は、布団類は無かった為に『アイギス』で使用していた大きめの布団をそのまま使う事になる、風呂場も広く大きかったが綺麗にしてあったので、使用時に再度魔法で綺麗にすれば問題ないと思われた

食堂と調理場も綺麗にされており、食器類や調理器具は無かったので、調理荷台から必要な器具を持ちだして使用する事になる、地下室の貯蔵庫も空になっていたので、これから数日かけて食材や酒樽を保管するつもりでいた

受付嬢はリウ達がこの一軒家を気に入ったのを感じ、マジックバックから1本のワインを取り出しリウに手渡す事になる


「これは依頼を受けて貰えた事のお礼と、引越祝いです」


リウは受付嬢から手渡されたワインを受け取り、「引越祝い?」と首を傾げながら呟き、こっちにもそんな風習があるのかなと思いながら


「ありがとうございます、依頼の方は明日から始めますので、明日は土壁のスタート位置を教えて下さい、それと最終的に土壁をどこまで伸ばすかも教えて下さい」


「わかりました、明日は商業者ギルドの方から案内役を、同行させますのでよろしくお願いします」


「そだ、受付さん名前を教えてもらってもいいですか?」


「私は『リリー』です、商業者ギルドで受付業務をしておりますので、何かあればギルドまでお越しください」


『リリー』はそう言い、ぺこりと頭を下げ一軒家から出ていった


リウ達は一軒家全体を魔法で綺麗にし、一軒家を囲む土壁の強化を分担して行うのだった、高さをそのままの堅甲にしていく、一軒家も壁を強化していく

アライズとアリサ・アンナは調理荷台から、必要な食器や調理器具を持ちだし調理室に運んでいく、リズとココは保存の効く食材を取り出し地下室の貯蔵庫に保管していく、それとリズはアイテムボックス内の酒樽や大瓶も保管していく

『娘さん』達も一軒家の各部屋を見回り、不審な点は無いかとか、屋敷から外を見渡せるのに適した部屋はどこかを調べていた


リウはどこの部屋を寝床にするか悩み、一番広めの部屋に布団を敷き、今晩の寝床の準備を終える、一応、『娘さん』達様に隣の部屋にも大きめの布団を敷き、いつでも寝れる様にする

『白銀龍』は一軒家の庭で日向ぼっこしていた

時間的に昼前だったので、日差しが心地よくリウ達もすぐに昼寝しそうな雰囲気だった


リウは食堂に行き、アライズ達と共に昼ご飯の準備に取り掛かるのだった

この日は、ゆっくりと食事をし午後からは露店を周り、食糧食材の購入や酒の追加購入をする事になる、残念ながら果実の購入などは後回しとなるのだが、毎日の食事に林檎や梨・桃などを食する事になる


明日からは3組に分かれ、土壁作成2組の一軒家での留守番1組で活動する事になる

留守番組は馬達や箱馬車の警護に加え、食事の準備にポーション作成を行う事になる

3組は3日交替で留守番を行い、3日に一度は休日を設ける事になる

休日は露店周りと朝から酒飲みで、日頃の疲れを取る事になる

もちろんメンバーは交代でリウといちゃいちゃするのだが、土魔法の酷使で魔力枯渇ギリギリまで頑張り、いちゃいちゃするつもりがお風呂でまったりするのが精一杯だったりする

簡易陣地での生活とは違い、一軒家ではリウと一緒に布団で寝れるのがノノを始め、メンバーには嬉しい事でリウを抱きしめて眠れる事が、一番のご褒美になる

犬耳族コボルト』でも土壁を作成します。

ポーション屋改め、土木作業が『アイギス』のメインに仕事になりそうな雰囲気・・・。

久しぶりに一軒家での生活スタートです、『ひよこ亭』開店です。


初s業者ギルド受付嬢『リリー』登場です、『犬耳族コボルト』で茶色の髪に犬耳がピコピコしている可愛らしい少女です。

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