2-213朝市と揚げ料理とか
次の日は早朝から朝市に出掛けていた、露店街の入り口に30店舗が店を出していた
新鮮な葉野菜を束売りしていたり、大根や人参の根野菜まで色々な商品が並んでいた
また、ピーマンやトマトなども種類豊富に並んでおり、アライズやアリサやアンナは商品を1つずつ手に取り匂いを嗅ぎ、調理方法などを聞きながら各種野菜を大量に購入していった
アライズ達はサラダ用に葉野菜を大量購入し、種類別にトマトも購入していた
ノノ達は『野菜のピクルス』を瓶詰めで購入していた、パプリカ・きゅうり・ピーマン・玉ねぎ等種類豊富で見た目も鮮やかな瓶詰めを、ノノ・ココ・ジャンヌはニコニコしながら見つめていた
シルキーとミルキーは馬達の餌用に葉野菜などを購入していたが・・・
なお、クラシスやリズは二日酔いで箱馬車で留守番をしていた、一応、護衛の『娘さん』達に簡易陣地の警護を頼んでいるので安心安全だと言えるのだが・・・
「やっぱり『米』は無いか・・・」
一通り朝市を周り商品を確認したが、大麦や小麦は確認できたが『米』は見当たらなかった
調味料の方は、唐辛子や山葵にオリーブオイルなど、『小鬼族』の集落で初めて見る調味料が多くあり、『ひよこ亭』組の3人は味見をし調理方法などを話し合っていた
リウは新鮮な生姜を大量に購入し、大猪の生姜焼きをアライズにお願いしようと考えていた
また、少量ではあるが『ごま油』と『菜種油』を購入したので、晩酌用の「ポテチ」を作ろうかと考えていた
リウ達が朝市での買い物を済ませたのは、1時間後の事だった
リウは葉野菜を入れた籠を背負い、ココが根野菜などの重い物はアイテムボックスに保管し、調味料はアライズとアリサのマジックバックに保管した、ピクルスの瓶詰めはノノとジャンヌのマジックバックに入れ、シルキーとミルキーのマジックバックには馬達用の野菜と果物を大量に詰め込んだ
「そろそろ戻ろうか~」
リウの合図で簡易陣地へ戻る事になる
朝市で大量に購入したリウ達は、この日から集落の話題の的になるのだが、リウ達がその事を知ることは無かった
ただ、『小鬼族』の農家の間には、野菜好きの商人という認識であった
「野菜がいっぱいあって、サラダの幅が広がる」
「それよりも野菜炒めとか野菜スープも美味しそう」
「このピクルスの瓶詰め・・・、おつまみでも晩酌でもイケるわ」
「そういえばリウは『ごま油』を買ってたけど・・・何の料理を作るの?」
「揚げ物を作ろうかと思ってね」
「揚げ物・・・?」
「そそ、『ごま油』が高くて滅多にできないけど、晩酌用にでも「ポテチ」を作ろうかと」
「「ポテチ」って?」
「薄切りしたジャガイモを挙げて塩を振ったおやつかな、美味しくて手が止まらなくなるはず・・・」
「それじゃ、晩酌前に味見をしてみない?今の話で食べたくなったし・・・」
アライズが手が止まらなくなると言われ、晩酌まで我慢が出来ないみたいだったが、ノノ達を始めシルキー達までもがリウに「食べたい、今すぐにでも・・・」と目で訴えていた
「了解、それじゃ朝ご飯後に「おやつ」に少し作るから、それまで楽しみにしていてね」
「「作るのを見ていても?」」
アリサとアンナは声を揃え、リウの「ポテチ」の調理方法が気になっていた
リウは「2人にも作ってもらいたいから、見ててね」と呟き、2人の頭を撫で始める
リウは2人の頭を撫でながら、露店でも酒場でも「ポテチ」の様な揚げ料理を見かけないので
「揚げ料理は一般的じゃないのかな?」
「リウの言う揚げ料理がどんな料理かわからないけど、基本は『煮る』『焼く』『蒸す』が料理の基本かな」
「それならアライズ達は初めての料理という事だから、きっちり味見してもらわないといけないね」
「はい、楽しみにしてますね」
アライズは初めての料理を食する嬉しさにニコニコしながらリウの話を聞いていた
アリサとアンナは、ずっと頭を撫でられており、2人とも顔を真っ赤にしてリウの話を聞いていた
ノノ達5人は、「ポテチ」の手の止まらない料理が、どんな料理なのか楽しみに歩いていた
簡易陣地に戻ると、護衛の『娘さん』が簡易コンロでお湯を沸かし、クラシスとリズに紅茶を淹れていた、二日酔いという事もありイスに座りながらぼんやりしていた
リウは買い物籠を降ろし、クラシス達と一緒に紅茶を楽しんでから、朝ご飯の準備に取り掛かった
それと買い物籠の荷物は、調理荷台とリズのアイテムボックスに保管した
その日の朝ご飯は、肉料理よりも野菜料理の方がメニューが多く、新鮮な野菜を新鮮なうちにサラダにして食べていた
リウはパンにサラダと肉を挿み、簡易サンドイッチにし食べはじめると、ノノ達も野菜と肉を挿み始める、肉好きなメンバーは野菜を抜きの肉サンドイッチを作り食べはじめていたが、メンバー全員が美味しい料理にお代わりをし、いつも以上に満腹になりながら昼寝をする事になる
護衛の『娘さん』達もリウにサンドイッチを作ってもらい、各自マジックバックに保管する事になる、『白銀龍』はパンに挿む肉の量が多く、肉汁たっぷりのパンサンドになっていた
午前中はリウとクラシスとリズの3人が露店巡りをし、酒樽の補充と晩酌用の肴を探し歩いていた
麦酒としてのエールは数種類見つかったが、クラシスやリズが言った通り美味しいエールは見つける事が出来ずに、エールを買う事はしなかった
酒の肴は、ピクルスの瓶詰めを多数購入した、露店で試食をしお気に入りの瓶詰めだけを購入したはずが、野菜の種類だけでも10以上あり、瓶詰めも30個以上買い占めてしまった
酒に関しては、エールでは無く、焼酎っぽいものを大瓶で30本購入した
「好い酒が買えた♪」
「この麦酒は初めて飲んだけどイイね♪」
焼酎っぽい大瓶を掲げてクラシスとリズは露店の前で騒いでいた
しかも、露店の亭主も自慢の酒を褒められ「がははは」と止めもせずに笑い飛ばしていた
リウだけは露店の前で「すいませんすいません」と頭を下げている
「ほら、好い酒も買ったし帰ろうか」
「「はーい」」
リウはクラシスとリズの手を取り、簡易陣地まで強制連行した
いい酒が手に入り2人は今宵も晩酌が進むのかもなぁ
簡易陣地に戻り、クラシスとリズは麦酒(焼酎っぽい酒)をアライズに自慢していた
3人は最初こそ小さめのカップで味見をしていたが、数分後には3人ともほろ酔い気分になっていた
リウはアリサとアンナと連れて調理荷台で「ポテチ」の調理にかかる、ジャガイモを薄くスライスし、『菜種油』で揚げていく、きつね色に揚げ上がった「ポテチ」に塩を振り、『新作のポテチだよ』とほろ酔い3人組に試食をお願いする
3人とも初めて見る形状の「ポテチ」を一口食べ、パクパクと手が止まらず・・・瞬く間に「ポテチ」を完食した
「おかわりは?」
3人分あったはずの「ポテチ」は3分足らずで完食していたが、空の大皿を3人が見つめていたのでリウは思わず「おかわりは?」と聞いてしまった、クラシス達は声を揃え
「「「おかわり、勿論大盛りで!!!」」」
「はいよ」
リウは調理荷台で再び「ポテチ」の調理を始める、アリサとアンナはジャガイモを薄切りにし、リウが揚げていく、塩を振り再び大盛りの「ポテチ」を大皿にのせて3人の前に出す
「あんまり食べると昼ご飯食べれなくなるから気をつけてね」
「「「はーい」」」
今度はゆっくりと酒を飲みつつ「ポテチ」を食べていた
ノノ達も「ポテチ」が気になるらしく、リウの袖をくいくいとし、「私達にも作って」と言われ、「すぐに作るから少し待ってて」とノノ達の頭を撫でてから調理荷台へ戻り再び「ポテチ」の調理を始める・・・
それから、ノノ達も2度ほどお代わりをし、今は果実酒と一緒に「ポテチ」を食べていた
シルキーとミルキーも「ポテチ」が気にいったのか、ニコニコしながら食べていた
護衛の『娘さん』達にも簡易陣地の警備の合間に、「ポテチ」を渡しており嬉しそうに食べていたのが印象的だった
『白銀龍』にも「ポテチ」が好きみたいでアリサやアンナと一緒に調理荷台で仲良く食べていた
リウは調理荷台の後片付けをしていた、「ポテチ」を揚げた『菜種油』はアイテムボックスに保管し、晩酌時には大きめのジャガイモで「フライドポテト」を作るのも面白いかもっと考えていた
その後、晩酌を始めたクラシス達は昼前に寝始め、ノノ達もほろ酔いになり、他のメンバーも「ポテチ」の食べ過ぎで昼ご飯は食べれず、リウと『白銀龍』だけでの寂しい食事となってしまった
リウもまさか「ポテチ」の食べ過ぎでご飯が食べられなくなるとは・・・と考えていたが、「ポテチ」の食べすぎは太るよと教えてからは、3日に1度の割合で晩酌時に提供するのみとなった
もちろん、「フライドポテト」も「ポテチ」同様に3日に1度の割合になり、揚げ料理に制限を設けて行っていた
それと「ポテチ」の揚がる匂いにつられて、商業者ギルドの職員が簡易陣地の周囲をふらふらしていたので、試食と称して何度か御馳走していた、そのうち『アイギス』で「ポテチ」の露店を開店しないのかとギルドを通して言われたので、リウはクラシスとリズとアライズと相談し、「ポテチ」のレシピの公開を行い、今では『小鬼族』の集落では露店でも酒場でも定番の料理となっていた
初めての朝市は、欲しい物ばかりで『アイギス』の資金を使い切りそうな感じです。
リウは夜な夜なポーション作成をし、活動資金を蓄えるのだった・・・。
揚げもの料理=「ポテチ」です。
『アイギス』の晩酌に合う揚げ料理という事で、「ポテチ」しか考えられませんでした。
なお「ポテチ」のレシピ公開にあたっては、『アイギス』のメンバーの総意であり、メンバー全員が『美味しいは正義』と考えています。




