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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
211/354

2-211『小鬼族』の集落へ向けてとか

旅を再開した『アイギス』は山間部を抜ける街道を箱馬車で駆けていた

御者にシルキーとミルキーが担当し、ジャンヌとアライズが箱馬車の2Fで周囲を警戒していた

箱馬車の『浮遊』担当は、クラシスとリズが行っていた

調理荷台ではアリサとアンナが、食事の準備と夜食や晩酌の料理を調理していた

箱馬車の2Fの寝室で、リウとノノとココが仮眠をしていた

『アイギス』の馬車での基本である、『調理と警戒と浮遊と仮眠』は交代制でリウ以外は3日ずつ交代していった


『アイギス』が旅を再開するにあたって、麓の街に作成した簡易陣地はハルク夫婦に管理をお願いし、リン達5人は冒険者をする上での拠点として活用していく

龍の巫女アンリーとシンリーと護衛8人は、引き続き『エルフ巫女住居』で生活していくとの事だった、護衛の数人が『アイギス』に同行すると言われた時は驚きはしたが、エルフの長老のお願いと龍の巫女2人のお願いによって、『アイギス』の護衛として同行する事になった

エルフの護衛は通常時は箱馬車の周囲警戒と、夜の周囲警戒をリウ達と合同で行っていた、日中は箱馬車の2F部で待機し、夜は箱馬車の屋根部で待機し、3交代でキッチリ役割をこなしていった

リウ達は護衛のエルフ娘達の名前は教えてもらえずにいた、なので護衛の娘さん達の事は『娘さん』と呼んでいた


『アイギス』の箱馬車が山間部を抜ける街道を抜けるのには訳があった、それは山間部を抜けた先に『小鬼族ゴブリン』と『犬耳族コボルト』の集落があるからだった

『小鬼族』は農業が盛んで、穀物や野菜などの食糧を生産しているので有名だったからで、『犬耳族』も同様で農業が盛んな種族だった、果実や漁業が盛んで『大陸の食糧庫』と言われていた

この大陸には10を超える『小鬼族』の集落と『犬耳族』の集落が存在していた、リウ達はその全ての集落を回り、『米』を探すつもりでいた

『麦飯』は『アイギス』での定番になっていたが、『米』は見つけ出す事が出来ずいた、リウは旅を再開するにあたって『米』の発見を1番と考えていた、それ以外では『米』を自らで育て好きなだけ『米』を食べる事にあった


麓の街を離れ14日後、山間部を抜け『アイギス』の箱馬車は草原を駆けていた

常に移動中は3~4人で警戒していたので、黒犬や大猪の襲撃を未然に防いでいた

箱馬車は街道を駆けるのと同時に、数時間おきに薬草採取をし、リウとココとリズのアイテムボックスには大量の薬草を保管する事になる


最初の『小鬼族』の集落に到着したのは、それから4日後の事だった


集落に到着するまでに街道わきには麦畑が広がっていた、麦畑は1mほどの高さで丸太と板で簡易的な防壁が集落まで繋がっていた、数人の『小鬼族』が麦畑の管理をしていた

麦畑が続き、次に葉野菜畑が続いている・・・

山羊などが放し飼いされている畑があったりと、なかなか考えられているのがわかる


「そろそろ街に着くから寝てるリウ達を起してもらえる?」


御者のクラシスは助手のリズに声をかける

リズは箱馬車の2Fで仮眠しているリウの元へ・・・

仮眠中のリウは幸せそうな顔で、アライズとジャンヌを抱きしめたまま寝ていた

リズはリウの頬を指でつっつきながら「起きて~起きて~」と声を駆けるが起きる気配がないので、リウの身体を揺すりながら「起きて起きて」と揺さぶる、リウより先にジャンヌとアライズが「ん~」と言いながら起きだし、暫らくしてリウも起きだした


「おはよう、3人ともシャキッとして!次の街に到着するわよ」


次の街という言葉に反応してリウとジャンヌは箱馬車の2Fから前方に見える『小鬼族』の集落を見つめていた、一面に広がる麦畑に3mの防壁に囲まれた街が見てとれた


「一面の麦畑か~」


「凄いですね、畑があんなに・・・」


リウとジャンヌが興奮している後ろでアライズが布団を片付け、リウとジャンヌと自分を魔法で綺麗にしていく、魔法をかけられたのと同時に目が覚め、箱馬車の1Fに移動する

アライズは調理荷台に行き、アリサとアンナと一緒に食材の在庫を確認して向かう

リウとジャンヌは、ノノとココと交代し箱馬車に『浮遊』を唱え始める

箱馬車の2Fでは護衛の『娘さん』と『白銀龍』は2Fの窓から集落を見てドキドキしていた

リウはMAPで周囲を確認していたが、見た目以上に『小鬼族』の集落まで距離があるので、箱馬車を街道の広い場所で一度停車し、昼ご飯を食べてから集落へ向かう事にする

杭とロープで簡易的に陣地を作り、土魔法でテーブルとイスを作成した

集落の傍なので土魔法で土壁を作らずに、数人で馬達の世話を始める、疲れを取るために『薬草入りの餌』を食べさせ、2時間程の時間を食事と休憩に費やす事になる

リウ達も街道の傍で食事をとる事になる、数組の馬車が食事をするリウ達をチラ見しながら集落へ向かっていく

テーブルに並べられた料理は、大猪のステーキと肉と野菜のスープに麦ご飯と『アイギス』では定番の料理となっていた、焼串や焼鳥などの露店の商品は晩酌用に大事に保管していた・・・


「もうすぐ『小鬼族』の集落だし、『食料庫』の食材がどれほどの物か気になる」


「新鮮な野菜がいっぱい買えたら嬉しいな」


「それと麦の収穫までは暫らく期間があるから麦の買い付けは難しいかも」


「それでも『食糧庫』という事なので、料理も気になりますね」


アライズの一言にアリサとアンナが凄い勢いで頷いている

この場所からも野菜畑が見えているので、漬物や乾燥野菜などの保存食も色々あるかもしれない

食材が豊富という事は、料理も多彩で、それを支える調味料を色々ある


「食糧も調味料も楽しみだけど、露店の商品も楽しみ」


「露店も野菜の商品が多いかも」


ノノとココが楽しそうに露店の話題で盛り上がっている

『アイギス』の食事は肉料理8割の野菜1割の魚料理1割なので、これでみんなも少しは野菜を食べてくれれば嬉しいな


「麦畑がこんなに広がっているなら麦の酒もあるかもなぁ」


「麦の酒・・・エールだっけ?」


「エール?」


「麦酒の発泡酒だった様な・・・」


「あんまり酔えないし美味しくないのが多いからなぁ・・・」


「そうなの?」


「酒場でも露店でもエールは飲めますが・・・、買ってまで飲みたい物では無いです」


「一応は露店でエールの試飲をしてみない?」


「リウは初めてという事だし、露店で一杯くらいならいいか・・・」


クラシスとリズの反応から言って、麦酒はビールとは違うみたいだな

確かに、美味しくないビールは飲めたもんじゃないから、試しに飲んで話のタネにするのも好いか・・・


「麦が豊富ならパンは勿論だけど、パスタなどの麺料理も豊富なんじゃ?」


「確かにパスタとかなら種類が多そう・・・、パンも色々あるかも」


アライズは麦=酒では無く、麦=パンとパスタと考えているのは料理人っぽいな

野菜も豊富だし、パスタの種類も多いとなれば、露店巡りも面白そうだ


リウ達が『小鬼族』集落の食材の話題で盛り上がっているのを、『白銀龍』とシルキーとミルキーは横目で見ながらステーキを頬張っていた、『白銀龍』の口には2人が交互にステーキを運び、嬉しそうな顔でステーキを食べる『白銀龍』を見ながら、シルキーとミルキーもステーキを食べるのだった

護衛の『娘さん』にもリウ達と同じ料理をマジックバックに入れて渡してあった、『娘さん』達は頑なにリウ達の前では食事をせずに、護衛に徹していた

『娘さん』達もリウ達の話を聞いてはいたが、『アイギス』での食事が美味しすぎた為に、食糧が変わっても料理の味が変わる事がないと信じていた

『小鬼族』=ゴブリンが初登場、『小鬼族』の見た目は小柄な緑髪に、額に小さな角があります。

農業に従事している者達が多く、氏族ごとに集落を形成している。

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