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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
210/354

2-210小さな結婚式とか

その日の夜にリウはクラシス達8人に『結婚指輪』を贈る事になる


「今日の夜は大事な話があるから、晩ご飯後は地下施設で待っててもらえるかな?」


晩ご飯前にリウは『アイギス』のメンバーに伝えていた、『指輪』を贈る8人以外にも、シルキーとミルキーも一緒に地下施設に来てもらったのは、2人にも簡易的にも結婚式を見てもらおうと思っての事だった

リウは先に地下施設に赴き、魔法で明るくしメンバーを待っていた

クラシス達と出会ってから1年以上経ち、もうすぐ2年は経とうとしていた


冒険者ギルドで初めて出会ったクラシスとリズ

ギルドで紹介された宿屋で出会ったアライズとアリサとアンナ

初めてパーティーを組んだノノとココとジャンヌ

最初は一軒家で馬達の世話の為に雇ったが、その後パーティー入りしたシルキーとミルキー


箱馬車の旅を1年以上経験し、パーティー(仲間)というよりも家族として過ごしてきた

『白銀龍』の故郷を見つけ、『白銀龍』を正式に『アイギス』入りを果たす事になる

その『白銀龍』は馬達の所で休んでもらっている

暫らく地下施設で待っていると、クラシス達は顔お赤らめながらやってくる


リウの真剣な顔を見つめ、クラシス達はこれから行われる事に、期待と緊張でドキドキしていた

リウはアイテムボックスから『銀の指輪』を取り出し


「みんなに大事な話があります、みんなと出会って、もうすぐ2年経とうとしてます」


リウは手の中の『銀の指輪』をクラシス達の見えるようにし


「この『銀の指輪』は、『結婚指輪』です、お互いの左手の薬指にはめ、当事者以外に結婚したという事を知らせるのと、「私はすでに結婚しています」と証明する為の『指輪』です」


その一言でクラシス達は、自分の薬指を見つめ、「結婚の証かぁ~」と呟いている


「前にみんなに告白したとおり、みんなと一緒になりたい結婚したい、僕と結婚してくれますか?」


リウはそう言ってみんなに告白する、クラシス達8人は顔を真っ赤にし、コクコクと頷き


「「「「「「こちらこそ、お願いします」」」」」


そう言い8人は左手をリウの前に差し出した、リウは「ありがとう、大好きだよ」と告げる

リウはクラシスから順に『結婚指輪』を薬指にはめていく

左手の『指輪』をニコニコしながら、「これで私達と結婚したの?」とノノが小声で聞いてきたので


「そうだよ、これは僕達だけの小さな結婚式、『アイギス』のメンバーだけでの結婚式」


リウは照れた顔で話す、クラシスとリズとアライズは感極まってリウに抱きつき、「大事にしてね」と耳元で呟く、リウも「もちろん、僕のお嫁さん」と小声で話す

クラシスとリズとアライズはお互いの手を取り合い泣き笑いをし、ノノとココとジャンヌは「一緒に奥さん」と笑いながら話し、アリサとアンナも「これからも一緒」と抱き合っていた

シルキーとミルキーも、みんなが幸せにしていたのでニコニコしていた


「それじゃ、『アイギス』はパーティーからファミリに変更かな?」


クラシスの一言でリズやアライズが頷いていたが、リウはファミリーは何なのかを知らないでいた

ノノやココ・ジャンヌもわからない顔をしていたので、リズが説明をしてくれた


「パーティーは仲間という意味もありますが、ファミリーは家族という意味です、もしくは一族ですかね」


「『アイギス』の一族?」


「私達もいるけどファミリーとして活動できるの?」


シルキーとミルキーは唯一結婚をしていないので、『アイギス』としての資格がないのか不安そうな顔でリウを見つめていた、リズは首を振りながら


「ファミリーは必ずしも家族間でのみ形成されるものでは無いです、家族とその仲間たちという間柄でも問題無いはずです」


「それじゃ、私達も『アイギス』にいていいだね」


「良かった~」


シルキーとミルキーは安心したのか、リウの腰に抱きつき「もう3年経ったら結婚しましょうね」とミルキーはリウに話すのだった、「私は2年後に結婚してもいいけど、ミルキーと一緒に結婚したい」と話していた、リウは「了解、これからもよろしくね」と2人の頭を撫でていく

そんな話をしていると、クラシスら8人は地下施設の隅の方で何やら話し合いをしていた

聞き耳と立てていると、「初夜の順番は・・・」とか「一人ずつにする・・・」とか「一緒でもいい・・」とか話していた

リウはクラシス達が大事な話をしていると思い、シルキーとミルキーの頭を撫で続けていた

暫らくしてクラシス達の話し合いが終わり、リウはクラシス達に連行されていく・・・

シルキーとミルキーはノノ達が何やら話し合いをしていたが、リウが話の内容を知るのは数日後になる

その日からリウ達の初夜が連日にわたって行われるのだが、順番などはクラシス達に管理され、5日かけて嫁さんとの初夜を無事に行う事になる、中には2~3人で一緒に初夜を迎える者もいたりと大変な数日を過ごす事になる


もっとも5日間はリウ達にとって有意義な数日であったが、リン達や龍の巫女たちにとっては、厳しい数日になる、土魔法で作成した簡易陣地の『かまくら住居』は防音の事など考えてないので、簡易陣地内の数人は寝不足になるのだが、リウ達には嬉しい数日なので気がついたのは6日後だった

ハルクさんに告げた旅再開の日時はあえなく崩れ、クラシス達の体調が整った10日後に旅を再開するのだった

連日のリウの頑張りにより、リウとシルキーとミルキーの3人で調理料や食糧などを購入していった

食糧以外でも着替えなども追加で購入し、酒類は控えめにし果物や野菜などを多めに購入していった

今回の旅は箱馬車1台の馬達2頭の編成なので、馬達の餌や藁などを購入し、布団なども数組ほど購入した、リウ達は結婚した事により、寝室も複数用意する必要があったのだが、野営時は徹夜で警備するので、リウ達の夜のお楽しみは・・・その時にならないとわからなかった


「それじゃ、買い物はこれで大丈夫かな?」


「焼串や焼鳥も買ったし、調味料も買った」


「着替えに酒も買ったし、馬達の餌もバッチリ買った」


シルキーとミルキーは購入した商品を頭の中で数えながら話をしていく


「それじゃ、買い忘れた物はないのかな?」


リウとシルキーとミルキーは、この数日で購入した商品を考え、何か忘れた物がないかを考えていた、酒類が減った事以外問題は無かった・・・

酒類が少ない事はクラシスやリズ・アライズには内緒にしていたが、旅再開前日に酒樽が少ない事を知ると、慌てて露店を巡り酒樽を購入していくのだった


リウ達の結婚式は無事完結。

次回、旅再開前に、リン達の事、龍の巫女と護衛の事などの話しでお送りします。

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