1-201『白銀龍』の『イージス』発動とか
エルフの集落に宿泊1日目の午後は、『白き龍』と『黒き龍』が降り立った場所に向け、エルフの護衛3名と共に森の中を歩いていた
エルフの護衛の3人は、『森魔法』でも唱えているのか、歩きながら木の枝などに接触する事無く移動出来た、まるで枝の方がリウ達を避けたみたいに・・・
エルフの集落から徒歩で2時間後には、2頭の龍が降り立った場所に辿り着いたが、森の中にあるはずなのに、木々が枯れ果て草木が朽ちた場所であった、『呪い』の影響を受け『解呪』されずに今日まで放置された寂し場所だった
『白銀龍』は、とことこと歩きだし、まるで昔の事を思い出そうとしているみたいだった
暫らく歩き、朽ち果てた場所の中央で、『白銀龍』は全方位に『イージス』を発動した
『白銀龍』からは、半透明なクリスタルな輝きを放っていた
エルフの護衛達は、『聖光』とも違う眩い輝きに驚いていた、光照らされた場所からは、『呪い』が消え去り、草木が芽吹き始めていた
エルフの護衛達は、『白銀龍』から放たれた輝きが、『聖光』以上に『解呪』効果があるみたいで、声を出さずに何が起こっているのか解らずにいた、ただ1つ理解した事は朽ち果てた場所に、草木が芽吹き始めと言う事、それが『白銀龍』の奇跡の光だと言う事だけだった
『イージス』展開後は、疲れたのか『白銀龍』はリウに抱きつき甘える様な仕草をしていたので、「よいしょ」とリウは抱っこし背中をさする様に撫でていた
「お疲れ様、上手に『解呪』出来たね」
『初めてのイージス成功♪』
「あぁ、この地に『呪い』は綺麗サッパリ消えたね」
『枯れた木は治せないけど、草は生い茂る』
「『イージス』を使ったから、そのうち薬草だらけになるかも・・・」
『そうなったら嬉しいな』
「なぁ、『白銀龍』ここが君の故郷だよ」
『そうらしいね、僕は何も覚えてないけど・・・』
「それでどうする、『白銀龍』の故郷を見つける旅は・・・これで終わるけど」
『・・・え?』
「『白銀龍』は迷子で故郷へ帰れないから、僕達が連れてきた」
『・・・』
「僕達と『白銀龍』の旅はここで終わるけど、『白銀龍』はこれからどうしたい?」
『・・・・・一緒に』
「一緒に?どうしたいの??」
『・・・・・・・もっと一緒にいたい』
「これからもいたいの?」
『・・・・・・・・・一人でいるのは嫌』
「一人じゃないでしょ、こんなにもエルフ達に慕われているのに?」
『・・・・・・・・・・・・リウ達と一緒に、もっともっと一緒にいたい離れたくない』
『白銀龍』は震えながら、リウに抱きつき、リウにだけ聞こえる声で話しかけていた
記憶を無くし、ここまで一緒に旅をし、いきなり離れる事を言われ、『白銀龍』は不安で心と身体を引き剥がされそうな感じになって、いつも以上にリウにしがみついていた
『白銀龍』のリウの胸に頭をぐりぐりと押し付けていたので、落ち着かせるように優しく背中を撫でていく
「そっか、なら『白銀龍』も完全に家族入りだね?」
『うん、これからもよろしく』
「ほら泣かない泣かない・・・」
『泣いてないよ・・・』
リウの上着は『白銀龍』の涙で濡れていたが、リウは気にすることなく撫で続けた
ノノやココも『白銀龍』の様子がおかしいのに気がつき、リウと一緒に「大丈夫大丈夫」と、優しく撫でていくのだった
クラシスとリズは、リウと『白銀龍』がこれからの事を話し合っていたので、土魔法でテーブルとイスを作成し簡易コンロでお湯を沸かし紅茶の準備を始める
ジャンヌはマジックバックから、お茶請けの『ひよこ亭』のクッキーを大皿に載せ、紅茶カップと一緒にテーブルに並べる
リズがお茶を淹れ、「お茶の準備が出来たよ、リウ達も座って」と声をかけ、リウは『白銀龍』を抱きながらイスに座る、ノノ達も席に着き、護衛のみんなは周囲を警戒し座ろうとしないので
「護衛の皆さんも座って下さい、『白銀龍』の魔法でこの場所は安全なはずです」
「それでも警戒は大事ですから・・・」
クラシスは少しだけ考える素振りを見せた後に、リウやリズと顔を突き合わせ
「それなら大丈夫です、僕らも周囲を警戒してますし」
「なにより『白銀龍』の放った魔法で、黒犬や大猪が森から離れている感じですし」
護衛の3人は周囲を見回し、森の中の反応を感じていたが、確かに黒犬や大猪の反応は感じられなかった、さっきまで感じていた赤目の黒犬は、『白銀龍』の魔法で消え去ったみたいだった
3人は周囲に危険が無いとわかると、リウ達と一緒にテーブルに着き、紅茶を飲みはじめる
護衛の3人は『白銀龍』の使用した魔法が気になり、答えを得られるか分からないが、リウに聞きはじめた
「先ほどの『白銀龍』様の魔法は・・・『聖光』では無いですよね?」
「違いますよ、魔法としての系列は同じだと思いますが・・・」
「魔法の系列ですか?」
「『聖魔法』と同じ『解呪』効果がある魔法と思ってもらえれば十分です」
「それはリウさん達も使えると思っても?」
「まぁ、『白銀龍』は見よう見まねで魔法を修得した、この魔法は『アイギス』秘密の魔法ですからね・・・」
「私達には教えては・・・?」
「それは『白銀龍』の様に、見て修得してください」
「それは残念です、ですが先ほどの輝きは見て覚えました、時間がかかりますがエルフは、必ず先ほどの輝きの『解呪』魔法を修得するでしょう」
「あの1つ聞きたい事があるんですがいいですか?」
「魔法の事ですか?」
「はい、『聖魔法』より『聖属性』が強く感じたんですが何故ですか?」
「まず、『聖魔法』と言うのは麓の町で初めて教わりました、なので『聖属性』を知ったのは最近です、さっきの魔法は1年以上前に修得した魔法なので、『聖属性』の強い弱いに関してはよくわかりません、それに僕は魔法はイメージだと考えてます」
「魔法をイメージとして・・ですか」
「イメージと日々の修練が僕らの魔法の原点です」
ノノやココ・ジャンヌがリウの言葉に頷いている
3人の魔法の修練は、リウと共に修練し修得したものだった
『イージス』はリウのオリジナル魔法なので、エルフ達が『イージス』を修得するのは、それから数年後になるのであった




