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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
199/354

1-199『白と黒の龍の物語』と結婚とか

「遥か昔、エルフ達がこの地に辿り着き、ここを故郷とし始めた頃に、2頭の『龍』が天から降りてきた

白い龍と黒い龍のちの『白き龍』と『黒き龍』は、じゃれあいながら森の奥で暮らしていた

エルフ達も龍が森の奥にいる事は知っていたが、互いに干渉する事無く暮らしていた・・・

龍とエルフの初めての邂逅は、森の深部に発生したダンジョンの『氾濫』で、森の中に魔物が溢れかえり、当時のエルフの集落の防壁が突破される寸前に、2頭の龍がエルフの集落へ降り立ち、魔物の群れを一掃した

その後、2頭の龍とエルフ達が力を合わせ、ダンジョンを再生不能になるまで破壊し続けた

エルフ達は2頭の龍に感謝の意味を込め、白い龍と『白き龍』と黒い龍を『黒き龍』と称して、2頭の龍を信仰の対象にした

龍の巫女と言われる女性は、この時に生まれた

当時の龍の世話といっても、数日おきに食糧を運んだり、酒類を奉げていたと聞いています

エルフと龍との生活は、何事も無く過ぎていました

しかし、平穏な生活が突然崩れたのは・・・、『黒き龍』が狂いだしたように暴れ出したのが始まりでした、それは『黒き龍』知らず知らずのうちに、自分の力を抑えられなくなったかのように・・・、『白き龍』は暴れる『黒き龍』抑えることしか出来ずにいた

ある日、狂いだした『黒き龍』が龍の巫女に危害を加えた・・・、それを見た『白き龍』は『黒き龍』を力ずくで抑えようとしたが、その時の『黒き龍』は狂い暴れ近づく者に傷だけでなく、災いを振りまく様になっていた、『白き龍』は龍の巫女を逃がす為に、『黒き龍』の一撃を受けながらも、龍の巫女が自分達から離れるのを確認していたが、『白き龍』は一撃を受けた個所に違和感を感じながらも『黒き龍』を抑え込んでいた

暫らく抑え込んでいると、正気に戻った『黒き龍』は、傷だらけの『白き龍』を見て自己嫌悪に落ちていた、『白き龍』は落ち込む『黒き龍』を慰め、「僕は大丈夫だよ」と微笑みながら声をかけていた

もうその時から『白き龍』は、『黒き龍』からの攻撃で『呪い』に感染していたのです

『白き龍』は『呪い』に苦しみながらも『黒き龍』を励ましていましたが、『白き龍』の『呪い』は周囲にも『呪い』を振り撒きはじめたので、「このままでは森が『呪い』に感染してしまう」と思い、『黒き龍』に黙ってこの地を去ったのでした・・・

どんな時も一緒にいた『白き龍』が森から去り、『黒き龍』は『白き龍』を探す様に森を彷徨いましたが見つける事が出来ませんでした、百年あまり森の奥もエルフの集落も山間部も・・・大陸中探しても『白き龍』はいませんでした、『黒き龍』は『白き龍』がいない生活に耐え切れず、森の奥へ引き籠りエルフ達の前から姿を消しました

その後もエルフ達は2頭の龍を探し続けました、今から1000年前の事です

エルフの集落が数年単位で移動するのは、2頭の龍を探していた時の名残だという説がありますが、その事を知るエルフは少なくなりました・・・



そして、1000年後に『白き龍』がエルフの前に現れました」


リウ達はエルフの集落に伝わる話を聞いた、1000年前は『白き龍』と『黒き龍』は一緒に暮らしていた事、『白き龍』の『呪い』は『黒き龍』の影響だという事、『黒き龍』が森の奥で引き篭もっている可能性、話のスケールが大きすぎて・・・どうしていいかリウ達は悩んでいた

リウは確認の為に1つだけ気になった事を聞いてみた


「『白き龍』こと『白銀龍』は、天から降りてきたという事ですが?」


「その事に関しては、目撃情報でしかないのですが、光の柱が天から伸び、その時に2塔の龍が降り立ったと聞いています」


「それじゃ、ここが『白銀龍』の故郷か・・・、後で光の柱が伸びた場所を教えてもらっていいですか?」


「わかりました、案内は明日になりますがいいですか?」


「了解です、それじゃ、適当な場所を貸してもらっていいですか?」


「適当な場所・・・?」


「とりあえず、ちゃちゃっと寝床を作りますので」


「え、いあ、待って下さい」


リウ達が立ち上がり、会議室を出ようとしていたので、慌てて声を上げる


「今日はエルフの集落で休んで下さい、来客用の「ツリーハウス」がありますので、案内いたします、それと皆様方を囲んで一席設けたいのですが・・・」


「一席ですか・・・?」


「そうです、1000年ぶりに森に龍が帰還したんです、集落のみんなにも知らせたいですし、リウさん達にも感謝をこめて、一緒に飲みませんか?ぶっちゃけ大宴会です」


「飲みませんか?」の一声にクラシスとリズのテンションが上がっていくのを感じ、宴会と聞いてノノ達が嬉しそうにしている、『白銀龍』も嬉しそうにしっぽをぶんぶん振っているし・・・


「わかりました、よろしくお願いします」


リウが頭を下げると同時に、ノノ達も一緒に頭を下げていた

「それではこちらです」と、エルフの護衛が「ツリーハウス」に案内を始める


会議室の上にあった「ツリーハウス」が、今日リウ達が宿泊する場所だった

「ツリーハウス」の内装は、大きめのベットが6つ並んであった

リウ達は装備の胸当てを外し、各自魔法で綺麗にしてから、ベットに横になる

クラシスとリズがリウのベットにダイブし、リウの抱きつく・・・

リウは「え、え?」と戸惑っているが、2人に抱きつかれ嬉しそうにしているので、ノノ達3人も同じようにリウのベットに上がってきて、リウの腰に抱きつく


「それでクラシスの妻発言を聞きたいんだけど?」


リウに抱きついたクラシスとリズは、ニコニコしていた表情が一変してギロリと睨んで


「何よ、私達が妻なのが嫌なの?」


「何か不満でも?」


腰に抱きついたノノ達は悲しそうな顔をしてリウを見上げていたので


「違うよ、みんなの事は好きだよ?ただ突然で驚いただけだよ、だからそんな悲しそうな顔しなくて大丈夫だよ」


リウはノノ達の頭を撫でながら、はっきりと『好きだ』と告げる、頭を撫でられ嬉しくなり、さらにぎゅーと抱きつき、ジャンヌはリウの目を見ながら


「それじゃ、私達と結婚してください」


真剣な眼差しでリウを見つめるジャンヌだが、目の奥に不安が映っているように見えた

クラシス達もジャンヌと同じような眼差しでリウを見つめていたので


「そっか、僕がはっきりしないのが原因かもなぁ、僕はみんなの事好きだよ、今まで通り一緒に側にいて欲しい、これらずっと一緒に暮らしていこう、結婚は簡易陣地へ戻って、アライズ達と一緒でいいかな?」


「あらアライズ達も一緒に妻にするの?返事を聞かなくて大丈夫?」


リズの意地悪な質問にリウは困り顔で「断られたら慰めてね・・」と話し、クラシスとリズの頭を撫でるのだった

リウやクラシス達がベットで抱き合っているのを不思議そうに見ていた『白銀龍』は、ベットに横になっているリウの頭に抱きつき、『ねね、結婚って何?』と聞くのだった


「好きな人と一緒に暮らす事だよ」


『今のリウ達と何か違うの?』


「同じかな?心持ちの違い?」


『よくわかんないや、僕とも結婚する?』


「んー、『白銀龍』とは結婚しなくても家族の様なものだしなぁ・・・」


『そっか、結婚したくなったら言ってね』


「あいよ」

『白き龍』と『黒き龍』の話は伝承の類なので、誰も本当の事は知らない・・・。

エルフの集落で宿泊します、宴会が好きなメンバーは断る事無く全員参加です。


クラシス達からの告白を戸惑いながらも、嬉しさを前面に出せない不器用なリウであった。

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