1-197森での三泊目の朝とか
森で二泊した『アイギス』は、深夜に簡易陣地の周囲の赤目をリウが単独撃破し、簡易コンロの前で『白銀龍』と一緒に焼串や焼鳥を肴に、果実酒を飲みながらノノとジャンヌの横顔を眺めていた
出会いから1年以上経ち、今では立派な冒険者になった2人は、『アイギス』の中でも随一の実力者となっていた
初めて会った頃は、ノノは13才で弓使いでココが14才で『風魔法』を修得した感じの初心者で、ジャンヌは15才で槍と片手剣使いだったなぁ・・・、あの頃は借家でのんびりと薬草採取とポーション作成で暮らしていけたけど、今はメンバーも増えてノノ達3人も他のメンバーに教える立場になった訳で、もう少し年相応に僕に頼っても良いんだけどな・・・
リウはノノとジャンヌの寝顔を眺めていたが、気持ちよさそうに寝ていたので、火の番の交代をせずに起さず寝させることにした
「さぁ、明日はエルフの故郷だし、『白銀龍』は夜更かししないように寝ちゃいな」
『わかった、明日はエルフの故郷か~』
「『白銀龍』はエルフの故郷の事は、何か覚えてる?」
『ん~、ハルクの話を聞いてたけど、『黒き龍?』に『呪い』を受けた事になってるけど・・・何も覚えてない』
「そっか、『黒き龍』と言われていた龍がこの森のどこかにいるのかな?」
『森の中に龍がいる・・・、今度は『呪い』に負けない!』
「『白銀龍』は具現化魔法の『イージス』は修得したんだっけ?」
『うん、リウ達の修練を見ながら、こっそり修練し覚えた~』
「それなら今度は『黒き龍』の攻撃を防ぐ事が出来るね!」
『負けないし、帰り討ち~』
「それでも何があるかわからないから、『白銀龍』に新しい魔法を教えておくね・・・」
この日にリウが『白銀龍』に教えた魔法は、後の『白銀龍』の切り札になる魔法であり、『白銀龍』以外が使う事が出来ない魔法の誕生を意味していた
リウは『白銀龍』に魔法を教えた事で、『白銀龍』からも1つ力を借りたのだが、その事を『アイギス』のメンバーには知らせずにいた
それは使う時にメンバーを驚かせる事になるが、『白銀龍』との2人だけの秘密という事にした
『白銀龍』とリウの切り札は、これから先の『アイギス』の旅には必要になるはず・・・
リウの考えがあっているなら、『白銀龍』と『黒き龍』は再び対決するはずだ・・・、流石にリウをはじめクラシスやリズでも、龍相手に無事で過ごせるとは思っていなかった
その為に『白銀龍』はリウ達と一緒に魔力の修練をしたり、魔法の修得をしたり、これから先1人で生ける様に・・・、故郷でも無地に生きていける様に・・・
その事を考えるとリウは悲しい気持ちになるのだが、今はその事を考えずにいた
ただ今は黙って『白銀龍』を撫でまわすのだった
森に入って3日目、エルフの故郷には昼頃に到着する予定だし、あまり魔力を消費さずに到着したいと考えながら、リウは朝ご飯の準備をしていた
『ひよこ亭』の野菜スープに葉野菜のサラダに焼きたてのパンと、食事だけは依然アライズ達頼みになっていた
美味しい食事は正義と考えているリウは、装備よりも料理を、ポーションよりも食材をと考えていた、『アイギス』のメンバーもそれについて何も言わなかった、ノノ達も美味しい物を食べれる幸せをかみしめ、リウ同様に露店の料理を収集するほどだった
リウはノノ達が目覚める前に少しだけ仮眠する事にし、テーブルに料理を並べ、簡易コンロの傍で寝袋で眠りはじめる
リウが仮眠しているのを横目に、ニマニマしながらクラシス達が朝ご飯を食べていたが、それをリウが知ることは無かった、『白銀龍』はクラシス達が何故にニマニマしているのか分からない様だった
リウが起きたのは、クラシス達が食後の紅茶を飲みはじめる頃だった
「んー、寝過ぎた?」
「リウおはよう」
「もう少し寝てても大丈夫ですよ」
「それじゃスープを温めますね」
ノノとココとジャンヌが率先してリウの食事を用意してくれた
クラシスとリズは『かまくら住居』の屋根に上り赤目の黒犬の討伐を始めていた
リウが朝ご飯を終わる前に、簡易陣地の周りから赤目の反応が消えた事は、リウを始めノノ達も感じていた
「やっぱりクラシスとリズの範囲魔法は凄いね」
「簡易陣地の周囲の反応が一瞬で・・・」
「私も早く範囲魔法覚えたいです!」
「ここにいるメンバーで範囲魔法が使えないのは私とジャンヌだけ?」
ノノが自分を指さしリウに聞いていた・・・、ジャンヌは魔法自体苦手意識があるので、範囲魔法の修得には至って無かった
本来ならノノは誰よりもポーション作成が上手であり、ジャンヌは魔法よりも武器を用いた戦闘を得意としていたので、範囲魔法を使えない事に対し、『アイギス』のメンバーは誰も2人を責める人はいなかった、リウも範囲魔法は使えないが、MAPと連動して魔法を発動すると擬似的な範囲魔法になるので、あまり範囲魔法を修得しようとは思わなかった
「ノノとジャンヌだけかな?」
「リウは範囲魔法使えたの?」
「似たような魔法が使えるから、僕は範囲魔法を修得するつもりはないよ?」
「そうなの?」
「昨日も範囲魔法は3人が使えれば問題無かったし、ノノ達が魔法障壁でみんなを守って討伐しないと、安心できないからノノ達にはきっちり障壁を展開する事をお勧めします」
「それは攻めはクラシスとリズとココが担当し、ノノとジャンヌが守りを担当する・・・」
「リウは何を?」
「そうだな・・・周囲の警戒かな?森の中は自分たち以外は襲ってくると思わないとダメだし」
「ノノやジャンヌの魔法障壁のおかげで、私やクラシス・リズが範囲魔法に専念できるんだから、もっと自信を持って下さい」
範囲魔法を使うココから言われた言葉は、ノノとジャンヌの2人の胸に響く物があったのか、ココをぎゅっと抱きしめていた
周囲の赤目を討伐したクラシスとリズが、『かまくら住居』の中に戻ってきた時、何故か抱き合っていたノノ達を見て首を傾げていたのだが、誰も説明をせずにいた
リウは食後の紅茶を飲みながら、MAPを展開し周囲に赤目の反応が無い事を確認し、エルフの集落への道筋を確認していた、距離的には『風舞い』を唱えて2~3時間で到着しそうなので、もう少しだけゆっくり体を休める事にした
出来ればクラシスとリズの魔力を回復するまでは、この場で待機するつもりでいた
『白銀龍』は朝ご飯に肉が無かった事にがっかりしていたので、リウはアイテムボックスから焼鳥を取り出し食べさせていた
もうすぐエルフの集落へ行きます。
『白銀龍』に新しい魔法を教えました、リウも『白銀龍』から対価を得ました。




