1-183『アイギス』修練の日々とか
リン達の大猪討伐から1ヵ月経過し、麓の街は雪にまみれていた
『アイギス』のメンバーも寒さの中、地下施設での修練と趣味に没頭する日々を送っていた
魔法書を読み、属性魔法を修練し、リウ達は初歩の火魔法や風魔法を使いこなす事が出来た
初歩と言っても、火魔法でいえば「火弾(無属性でいえばボルト)」を修得し、「ボルト」並みに速度で唱える様になる
それ以外の火魔法は、火属性の魔力を身体に纏う事だった、この魔法により冬期間でも寒さに負けずに外をかける事が出来るのだが・・・・、やっぱり外へ出ても薬草採取が出来るわけでも、野うさぎとかを討伐する事も出来ないので、『かまくら住居』でポーションを作成したり、魔法書を読み漁ることしかできなかった
『アイギス』のメンバーは、火魔法の「火弾」、風魔法の「風弾」、水魔法の「水弾」の3種類の魔法を修得し、ハルクさんとシルクさんから木魔法を教えてもらったんだが・・・冬場では木魔法の効果が薄いとの事で、誰1人修得する事が叶わなかった
春になれば木魔法を修得する可能性があるという事なので、今からリウ達は楽しみだった
リウとココとリズは、各魔法書を読み、魔法発動の短縮と魔法の効果などを話し合っていた
それは通常の魔法と違って、魔法書の教えを改変しての魔法の発動だった
「火弾」も「ボルト」と同様に、手の中に火属性の魔力を圧縮し、それを維持し、発動する瞬間に回転を加えていた・・・
もともと「火弾」は火の塊を飛ばすという魔法だった、火の塊なので中距離もしくは近距離魔法だったが、命中率が低く離れれば離れるほど魔法の効果が低くなる問題もあった
火魔法は「火弾」→「炎弾」→「火矢」→「炎矢」→「火球」→「炎球」などランクアップしていくのだが、リン達は「火弾」だけを修得し、命中率でいえば「火矢」の効果を持ち、威力でいえば「火球」の効果がある魔法に変えていた
魔法をランクアップしていけば、それだけで強い魔法を使えるのだが、消費MPが高くなるのが嫌なので、消費MPの少ない「火弾」のみを好んでリウ達は使っていた
リウとココとリズの3人が魔法を改変し、他のメンバーに教える
「風弾」と「水弾」も同じようにリウ達3人によって改変し、ある意味『アイギス』のみに魔改造された魔法へと進化するのだった
魔法の修練も一通り終えていた頃、クラシスやノノを筆頭にポーション作成をしていた
魔道具屋のハルクさんやシルクさんの指導のもと、『アイギス』で作成していたポーション以外の物まで調合していた、効率のよいポーション作成に加え、各種薬草を持ちいてのポーション作成など、それ以外に調合時に薬草に魔力を纏わせ、ポーションの効果を上げるやり方も教えてもらった、これにより作成したポーションは、(並)以上(高級)以内のポーション屋で売られている物と同等の製品を手にする事になる
リウとココとリズのアイテムボックスに保管していたが、ポーションの数が多すぎてメンバー全員のマジックバックにも数十本のポーションを保管する事になる
なお、ポーション(下級)はギルドへ納品し、アイテムボックスとマジックバックに保管出来ない物は地下室に大量保管と、龍の巫女のアンリーとシンリーの2人に預けることにした
日々の修練の合間には、ノノ達は手作りの編み物をしたり、クラシスとリズは森へ出かけ野うさぎを狩りに出掛けていた、冬場の野うさぎのギルドでも人気があり高値で取引されていた
リンとアイズは地下施設で模擬戦をし、ヘンリーとライムとジルはリウ達に教えてもらった魔法を完ぺきに使えるように修練を続けていた、ヘンリーはライムとジルの魔法を魔法障壁で受け、どれほどの耐久率があるかを確かめていた
リウは趣味と言える物が無かったので、地下施設を拡張と簡易陣地の外壁の強化をしていた
土壁を2mから3mへ、厚さも1mから1.5mにし、外壁の一部に階段を設置し、外壁の上からの攻撃を可能にした、また陣地の四方に5mの塔を建て、外壁の外を眺める日々が続いた・・・
火魔法を纏う事により、厚着をすれば外での行動を可能にしていた
外の景色は、雪に覆われた風景で、麓の街から山間部へクエストへ行く者はいないかわりに、麓の冒険者も極力街から出る冒険者もいないみたいだった・・・
「やっぱ、寒いから引き籠っているのかな?」
麓の街から街道へは足跡というか馬車の跡は見えるな・・・、冬期間でも馬車での移動はあるみたいだ、草原も雪景色なので野犬は勿論のこと、野うさぎの姿が見えないし、MAPを展開しても・・・やっぱ赤マーカーの反応が無いな・・・
森の奥には反応があるけど、数からいって冬眠中の熊か・・・、集団の反応は灰犬かな?
単独で行動してるのは、大猪か六足山猪かな?
森全体では結構反応があるけど・・・、六足山猪は春には数頭確保したいな・・・、麓の街で食べた焼串は美味だったし♪
リウが修練の合間に外壁を補強していたので、春までには簡易陣地というより防衛陣地へと変わるのだった、外壁を強固にし、魔物の氾濫にも耐えれそうな防御力を誇れるような作りになっていった、地下施設の広さもあり、十分な食料の確保があるので、『アイギス』的には雪が融けるまで、麓の街へ行かなくて良いと考えていた
寒さも防げて、お風呂もあり、美味しい食事に、なにより豊富な果実酒や酒に肴・・・、『アイギス』的には全ての物が揃っていた
麓の街では、秋頃から冒険者が森のクエスト時に赤い目の野犬や黒犬に襲われる事案が増えていた
森への侵入はランクD以上の冒険者のみとなっていたので、負傷した冒険者も軽傷のみとなっていたが・・・、麓の街へ戻りギルドへの報告が過ぎた頃に自体が悪化する
軽傷と思われた怪我が悪化していった・・・、それは前にリウ達が見た『呪い』にも似た症状だった、怪我を治すのも魔道具や道具屋、教会で購入した『聖水』しか効かず、時折品切れになる店舗が出始めていた
この森の異変は、麓の街のみならず、周囲の街でも同じ現象が確認され、冬期間は森への侵入を完全に出入り禁止にするほどだった
この事を『アイギス』のメンバーが知るのは、数日後になるのだが・・・
短くてすいません、話が動くのは次回です。
『アイギス』は属性魔法を覚えた、初歩の魔法のみだが攻撃の幅が増えるのはワクワクします。




