1-177麓の街と『アイギス』の明日の予定とか
宿屋に戻ってから、リウとハルク夫婦が面会した夜は、『アイギス』はこれからの予定を話し合っていた
もっとも晩酌時の事なので、クラシスとリズとアライズは酔いどれ、ジャンヌは『白銀龍』を抱きしめ眠っていた
「今日、ハルクさんと話したけど、気になるのはエルフの集落の昔話の内容の、『白き龍』と『黒き龍』の2つと、『黒き龍』の呪い、話の内容が1000年前という事」
「『白き龍』は『白銀龍』だとして・・・『黒き龍』は・・・?」
「普通に考えて『白銀龍』に敵対している龍という事かな?」
リウの話にノノとココが話に加わる、やはり『黒き龍』は敵なのかな・・・
ノノとココは『白き龍』=『白銀龍』と考えているね
「話の内容が1000年前というのは・・・、龍は長寿なのはわかりますが、呪いの効果が1000年も・・・」
「そう考えると『白銀龍』は1000年も長い間苦しんでいたという事なのかな・・・」
ジャンヌが1000年前の『白き龍』と『黒き龍』の話が、遥か昔すぎて実感がわかないみたいだ
リウも『白銀龍』が1000年も苦しんでいたとは思いたくないが、この話が本当なら『黒き龍』を殴りたい気持ちでいっぱいだった
「あの時『白銀龍』を助けたのは間違いなかったね」
「1000年の苦しみの先に腐龍の誕生があったとしたら、それを助けたんだから・・・」
「リウはもっと胸をはって良いと思いますよ」
「そうなのかな、あの時は『白銀龍』が苦しんでいたから助けようと思っただけだし、それこそ1人では無理でみんなに助けてもらったし」
あの時はみんなで『イージス』を展開し、『白銀龍』の呪いを解くのが精一杯だった
『黒き龍』が呪いを振りまくなら、今のままではダメかもしれない
「リウは難しい事考えてるね~」
リウが何やら考え込んでいるので、クラシスとリズがいきなり抱きつき、リウの頭を撫で始める
リウも最初は抵抗していたが、2人は酔ってからかっていると思ったが、2人は真剣な顔で「リウはがんばった」と呟きながら撫でていた
「『白銀龍』を助けたのは、リウのあの魔法のおかげでしょ」
「あの時は呪いを解く事が精一杯だったけど、今のリウなら1人でも呪いを解呪出来るんじゃない?」
「どうだろ、あの時は最後はMP枯渇で気を失ったし・・・」
「ハルクさんも言っていたけど、リウだけじゃなくノノ達も魔力高めだから、今なら『イージス』を使いこなせるんじゃない?」
「それと『白き龍』=『白銀龍』が、敵対している『黒き龍』が『アイギス』の前に現れたら、今度は何とかしないと・・・」
「その事だけど、春までに『アイギス』は魔法の修練をやろうと思う、今のままでは麓の街の奥の深い森へ行くのは不可能だからね」
「冬の間は森へのクエストはランクEの『アイギス』では無理だしね、簡易陣地で修練か、ポーション作成をするしかないし」
「それなら明日から薬草採取を重点的にやる?」
「あーっと、その事だけど、商業者ギルドから『アイギス』簡易陣地の作成依頼がありました」
「簡易陣地の作成依頼?」
「どうやら麓の街の宿屋に宿泊できない冒険者を簡易陣地に泊めたいみたいなのよ・・・」
「1つの簡易陣地に5~6人が宿泊可能で、土壁と寝る場所に簡易トイレがあれば大丈夫という事でした」
「土壁と『かまくら住居』に簡易トイレか・・・、作ろうと思えば1日で4個は完成するかな?」
「『アイギス』の簡易陣地の周りに作るのは嫌だな・・・、もっと麓の街の近くじゃダメなのかな・・・」
「そうよね、せっかくなら静かな環境が良いわ」
「うちは女性が多いから、あまり危なくなるような環境は控えたいね・・・」
「それじゃ、明日はギルドで詳しく聞いてきましょ」
「なら、僕とクラシスが行けばいいかな?」
「私も一緒に行っていいですか?」
「ヘンリーも一緒に行きたいの?」
「はい、冬期間に魔法の修練をするなら、父さんの魔道具屋に行って魔法書を譲ってもらおうと思って・・・」
「買うんじゃないの?」
「魔法書は高価なので、父さんのお古でもあればと思って・・・」
「魔法書か・・・僕は無属性と土魔法しか使えないから、これを気に修得するのもいいか」
「それじゃ、私とリウとヘンリーで麓の街へ行きましょ」
リウとクラシスとヘンリーは明日は麓の街行きが決まった
「それじゃ、私とココとジャンヌは簡易陣地周辺を調べます」
「周りに薬草採取可能な場所はあるかとか」
「籠を背負って、薪を集めてもいいかも」
「3人には簡易陣地500mの周囲を調べてもらって、少しずつ索敵範囲を広げていって」
「「「了解」」」
「薬草採取場所は3人とも場所を覚えておいてね、メンバー全員が採取場所を覚えたいから」
「それじゃ、目印付けとく」
ノノ達3人の予定はこれで大丈夫として、アライズ達は河原で釣った魚の加工をお願いしよう
まだ、アイテムボックスには新鮮な魚が大量にあるはずだし・・・
「アライズとアリサとアンナは、河原で釣った魚を干物にしてもらえるかな?」
「まだ、アイテムボックスにあるの?」
「売るほどあるから、明日リズのアイテムボックスに移しておくからお願いします」
「全部干物に加工していいの?」
「お願い、それにこの場所なら冬までに釣りに何度か行けるし、干物にしておけば肴にもなるし、森の奥で野営した時に役に立つよ」
「それとリズのアイテムボックスにある大猪や野うさぎの解体も出来ればお願いしたいけど・・・」
「解体するならリン達4人にも教えてもいいかな?」
「リン達は解体スキルは修得してたっけ?」
「私達は解体スキルは覚えてないです、解体は出来ますが・・・キレイに解体はまだ無理かな」
「何度か解体をしたんだけどスキルを修得する所まで至ってません」
「それなら今回は経験として、魚の解体から、野うさぎの解体まで経験しておきましょ」
リウ達は頷き、これでアライズ達とリン達の予定が決まった
シルキーとミルキーは、簡易陣地の周囲を馬達と一緒に散歩の予定だし、簡易陣地の周囲をさらに囲むように土壁を囲む様にすれば安心して散歩できるな・・・
明日は宿屋から簡易陣地へ移り住むし、今日は深酔いしないようにしないと・・・
明日の予定は決まったが、終わってみれば『白銀龍』とジャンヌが無口な話になっちゃった




