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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
169/354

1-169馬車の旅と釣りの日々とか

街道を進む『アイギス』の箱馬車2台は、森を越え草原を東に向かって駆けていた

駆けていたという表現は、箱馬車を「浮遊」で浮かせ、馬達の負担を減らしたため、森を抜け実はらしい草原に出た所で、馬達が嬉しそうに駆けだしたからであった

箱馬車の御者をしていたノノとリンは、のんびりと進んでいた箱馬車がいきなり速度があがった事により、街道を外れないか心配しながら御者席に座っていた、また、速度があがった事により周囲の警戒をしていたクラシスとリズは、『アイギス』の箱馬車の2Fで前後にわかれて警戒範囲を広めて警戒していた

草原を走り1時間くらい疾走したら、街道わきに広めの河川が伸びていた

川幅が100m程あり川をこえるのは今の段階では無理そうだった、そのかわり川辺で釣りをしている人達がちらほら見えだしたので、リウは箱馬車を停めてもらい釣りの準備を始める

釣り竿は街を離れる前に人数分と釣り具を購入していたので、街道から少し離れ河川付近で箱馬車を土魔法の土壁で囲い、馬達の世話をし、馬達を休ませる

馬達の世話はシルキーとミルキーとヘンリーが進んで行い、土壁はクラシスとリズが率先してやっていた、ノノとココとジャンヌは人数分のイスを土魔法で作成し、アライズとアリサとアンナは昼ご飯の下準備を始め、リンとアイズは装備を整え土魔法の周囲の警戒をし、ライムとジルは釣り場となる川辺に休憩用のイスを作成し、リウはライムとジルが川辺で作業しているので護衛として周囲を警戒していた、『白銀龍』は馬達に話しかけていた、どうやら馬達は久しぶりに疾走した事により気分転換できたと寝る時に『白銀龍』がリウに話していた

箱馬車と馬達を守る土壁が完成し、土壁内には馬達の世話をしていたシルキー達3人と、調理をしていたアライズ達3人の6人が残り、他のメンバーは川辺で釣りの準備をしていた


「シルキーやアライズ達は釣りは無理っぽいから、僕達だけでも釣りをしよう」


「最初は私とココとジャンヌが周囲を警戒するから、リン達が先に釣り始めていいよ」


ノノがそう言うとココとジャンヌが頷き、3人は両手棍を持ち、釣り場の周囲に配置していた

それを見たクラシスとリズも両手棍を持ち


「私達は馬と箱馬車の警戒をしてるね」


「いっぱい魚を釣ってね」


クラシスとリズは手をひらひらさせながら土壁で囲まれた箱馬車の方へ向かっていく

2人がいれば野犬の群れに襲われても安心できる

アライズ達の調理が始まれば匂いで集まる可能性がある、一応土壁内部にもアライズ達6人がいるから大丈夫だけど、馬達が野犬が現れて情緒不安定になり暴れ出す可能性が無いわけじゃないからなぁ・・・


リウはリン達に釣り針に餌のハムをつけて見せ、実際に釣りをして見せた

リン達は釣りは知っていたがやった事が無いという事だったので、まずはリウが1匹釣ってみる事になった

リウは久しぶりの釣りという事で、リン達がいるのも忘れて釣り始める、木片の浮きが「くいくい」動き出したのを確認し、「ぐぃ」と浮きが水面に吸い込まれた瞬間に竿を引き上げる

リウは確かな手ごたえを感じ慎重に釣り上げる、釣り上げた魚は「ヤマメ」や「イワナ」の様な魚だったが、リウは勿論のことリン達も魚の名前は知らなかった

リウは釣った魚を水が入った桶に入れ、ニコニコしていた


「っと、まぁこんな感じで釣ってみようか~」


「リウは釣り名人ですか?」


アイズは尊敬の眼差しでリウを見つめていた、リンは釣り針にハムをつけ釣り始めている

ライムとジルは桶の中の魚を見つめている、2人は実際生きている川魚を始めてみたと言っていた

2人は魚と言えば干物ばかりで、海鮮物に関しても干物になった物しか知らなかった


「ささ、リンは釣り始めたぞぉ~、アイズ達も釣り初めて~」


「「「はーい」」」


釣り針にハムをつけ、3人は間隔を開け釣りはじめる、ノノ・ココ・ジャンヌはリン達を囲むように配置し、周囲を警戒していた・・・が、4人の釣果が気になるのかチラチラ見ながら警戒していた

暫くすると、リンが最初の魚を釣り上げ、アイズ達3人が「「「おぉ~」」」と声を上げながら見ていた、次にジルが釣り上げ、アイズとライムと釣り上げていく

この日は、昼ご飯までに合計15匹を釣り上げ、桶3個分の魚を手に入れた

釣りをしていて気にしていなかったが、周囲に数匹の野犬の反応があったらしいが、釣り上げるたびにリン達が騒いでいて野犬が近づかなかったらしい・・・

クラシスとリズは、リン達が楽しそうに釣りをしていたのを遠目に見て、それを見ながらニコニコしていた、馬達の世話をしていたシルキー達も楽しそうなリン達の声を聞きながら馬達の世話をしていたらしい、アライズ達は調理の下ごしらえだけして釣りをするつもりだったが、楽しそうな雰囲気だったのでそのまま昼ご飯の準備を終えてしまっていた

アライズ達は釣り上げた魚を数匹は焼魚にする為に絞めてアイテムボックスに保管し、残りを干物にする為の準備をしていた

リウは釣りが終わり川辺のイスを解除し、釣り竿を魔法で綺麗にしてからアイテムボックスに保管する、餌のハムはリン達がおやつがわりに食べていた、休憩無しで釣りをしていたので小腹が空いていたのかもしれない

ノノとココは、リン達4人を魔法で綺麗にしさっぱりした表情で、箱馬車を停めてある土壁へ戻っていく、土壁は馬達と箱馬車を停めるスペースしかなかったが、戻ってみると広めの簡易陣地が出来あがっていた、干物スペースがあるのは初めてだったが、最低でも今日はこの場を離れない方がいいかもしれない


「今日はこのまま干物が出来るまで滞在しようか~」


昼ご飯を食べ終え、紅茶を飲みながらリウが今日はこの場で一泊する事を決める

リン達は引き続き釣りができると思い嬉しそうにしている

アライズ達は新鮮な魚が手に入るので、干物をどれくらい作ろうかとか、焼魚とか煮魚とか色々な調理方法を考えていた

ノノとココとジャンヌは先ほどの野犬が気になるのか、広範囲で周囲を見回るつもりでいた

リウと『白銀龍』は簡易陣地の警戒をし、クラシスとリズがリン達5人の警護をお願いしたし、シルキーとミルキーは馬達の身体を洗うと言っていたので、馬達の側に土魔法で大きめの浴槽を作成し大量の水を入れておいた


「それじゃ、私達は釣りがしたいです!」


「私とリズが一緒に警戒すれば大丈夫でしょ」


といいリン達は釣り竿を持ち川辺へ向かい、クラシスとリズは両手棍を持ちついていく

リン達は各々が桶を持ち、午後からも大量に釣るつもりでいた

リウは「頑張ってね~」と手を振りながら見送り


「私達はさっきの野犬が気になるので周りを見てきます」


「薬草を見かけたら採取してきますね」


「簡易陣地が見える範囲で行動します、夕方前に戻りますね」


ノノとココとジャンヌは装備を整え、ノノとココは杖を持ち、ジャンヌは短槍を装備し、「身体強化」と「速度強化」を唱え、先ほど野犬を見た場所へ駆けて行った

リウは3人に「頑張れ~無理するなよ~」と声をかけ


「私達は干物を作成します」


「天気も良いので美味しい干物が出来ますよ~」


「久しぶりに『ひよこ亭』の干物が作れます!」


アライズとアリサとアリサは釣りあげられた魚を見て嬉しそうに話していた

焼魚は今から作るのもおかしな気がしたので、久しぶりに『ひよこ亭』の白ワイン蒸しでも食べたいなぁ・・・、後でアライズにお願いしてみよう


シルキーとミルキーは、馬達を1頭ずつ洗っていく、今のところシャンプーとか見かけないので水洗いで大丈夫かな?洗った後は魔法で綺麗にすればスッキリすると思うし、気持ちがいいのかも・・・

現れている馬達も気持ちよさそうな顔をしていたので、月1回でも洗ってやりたいなぁ

シルキーとミルキーは「きもちいい?」とか「きれいにしましょうね~」とか話しかけながら洗っていった

どういう訳か馬達と一緒に『白銀龍』も洗われていた、やっぱり気持ちよさそうに目を細めていた

洗われ綺麗になり、さっぱりした表情で馬達と一緒に会話をしていたので、リウは邪魔にならないようにそっと離れ周囲の警戒を始めるのだった


リウはシルキー達から離れ、MAPを展開し周囲の状況を確認する

川辺にリン達の反応があり、簡易陣地の北側にはノノ達が野犬と交戦中なのが確認できた

周囲に薬草採取場所が確認できたが、ノノ達が現在地から西側に採取場所が見受けられるので、上手く行けば多少の薬草を採取してくるかもしれない

川辺にも川の中にも赤マーカーの反応が無いので、釣り中にいきなり襲われる危険は無いみたいだな

リウはMAPを横目で見ながら土壁で強固にし、夜でも安全な生活環境を構築するのだった


今この段階では川辺での簡易陣地は安全安心だったが、リウは1つだけ気がかりな事があった

それは西の空にある雨雲が気になっていた、雨が降って川が溢れる事は無いと思うが、寝る前に地面を50cm嵩増しした方がいいかもしれない


街を離れ修練ばかりの日々だったので、こんな日も久しぶりには好いのかもしれない


川辺ではリン達が釣り上げるたびに嬉しそうな声を上げ、MAPで確認するとノノ達が6匹目の野犬を倒しているのが確認できた、今日は魚に肉に修練じゃないが食糧が大量に手に入れた事になる

街を離れているのに、食糧が段々増えていくというのもおかしな話であったが、『アイギス』の旅は自給自足が基本な為、消費していくのは調味料と酒だけだった

川があれば釣りをし、森があれば薬草を採取する、大猪が現れれば討伐し、旅先で食糧などを集めていく、目的地はあるがまっすぐ向かうとは限らない、ノリと勢いと食事と晩酌があれば満足な『アイギス』の面々であった

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