1-167馬車の旅と修練の日々①とか
街を離れ5日後、『アイギス』は森の中の街道を箱馬車2台で進んでいた
リウ達は箱馬車での旅は慣れていたが、リン達5人は荷馬車などでの移動は経験してはいたが、御者の経験も乏しく、最初の頃はノノやココが御者を代行して操縦し、リンやアイズが助手として座り、2~3日でリン達5人に箱馬車を任せられるくらいに上達し、リン達のみで箱馬車を動かせる様になった
もっとも、『アイギス』での箱馬車での旅は馬達の負担を減らす為に、移動中は無属性魔法の「浮遊」で箱馬車を浮かせていた、御者と助手で2人、常時「浮遊」を唱える3人はMP枯渇前に交代していた、リン達5人は街を離れる前にキッチリスキルを修得し、箱馬車を浮かせるくらいに上達していた
馬達との意思疎通は、旅を始めてシルキーやミルキーと一緒に馬達の世話をし、リン達の箱馬車の馬達は、ヘンリーとライム・ジルが進んで行っており、休憩の時は話しかけたり、食事の世話をしたり、寝る前に声をかけてから寝るようになっていた
さて、街を離れ5日後・・・『アイギス』は次の街へは・・・まだ到着していなかった
最初はリン達の荷馬車の「浮遊」役の3人がMP枯渇したり、なにより森の中の移動と言う事で、リウが薬草採取場所を見つけたら採取したり、寄り道ばかりで前へはまるで進んでいなかった
リン達5人は移動中は魔法の修練をし、休憩中は薬草採取をし、クエストの時よりも鍛錬できるので、覚える事が多く身体が慣れる前に、次々といろいろな事が発生し、5日後になる頃にやっとリウ達が次に何をやるのかを感じるようになっていった
「それじゃ、今日はこの辺で野営しましょ」
箱馬車を降りたリウが街道幅の広い場所に土魔法で土壁で一画を囲い箱馬車を停車させる
馬達を箱馬車から離し、シルキーやヘンリー達が馬達の世話を始める
リウは1m位の土壁を強固にし、入口は人が1人通れる幅にし、クラシスとリズが寝床用に土魔法で『かまくら型住居』を2つ作成し、1つを『アイギス』に1つをリン達が使う事になる、ノノとココは浴槽と着替え用スペースを作成し周囲を土壁2mで囲い入口に扉を設けた、アライズとアリサ・アンナは調理荷台で晩ご飯の準備を始め、ジャンヌとリンとアイズの3人は野営場所付近の警戒の為に装備を整え周囲を警戒していた、他のメンバーはアライズ達の手伝いをしたり、簡易コンロに火を熾し紅茶用にお湯を沸かし始める
夕暮れ前で簡易陣地を作成したので、同じ街道を通る荷馬車や冒険者達も『アイギス』の簡易陣地の付近で火を熾し野営を始めていた、中にはリウ達に火を分けてもらったっり、アライズ達の料理の匂いで「金を払うから売ってくれないか」とは言われたので、露店価格で販売し、料理が完成した時には「その料理も売ってくれないか」と言われリウ達は渋々販売をし、落ち着いて食べられないという事で、「これから食事なので失礼します」と言い、土壁の入り口を閉め土壁も1mから2mに高さを上げ強固にし、外部の侵入を防ぐ事になる
「まぁ、外に声が気になるけど食べよっか」
テーブルに料理を並べ、果実酒や酒を注ぎ、今晩の晩ご飯が始まる
「それじゃ、いただきます」
リウは手を合わせ食事が始まる
「「「「「「いただきます」」」」」
ノノ達は勿論、リン達も一緒になって手を合わせ食事が始まる
パンに麦ご飯、焼串に焼鳥、サイコロステーキに角煮など肉料理が豊富な食事になっていた
一応、サラダに果実もテーブルには並んでいたが、果実酒や酒と一緒に食べる人は無く・・・、サラダに果実はリウとヘンリーにシルキ・ミルキーの4人だけが好んで食べていた
ノノとココはパンと一緒に焼串や焼鳥を食べ、今はのんびり果実酒を飲んでいる
ジャンヌはサイコロステーキとサラダに野菜スープを食べていたが、今は果実酒を飲みリウに寄りかかって寝ていた
クラシスとリズとアライズは、焼串と焼鳥を肴に酒を飲み、今日は外が気になるのか、いつもより静かに飲んでいた
アリサとアンナは、焼串やサラダと野菜スープでバランス良く食べていた、今は果実を食べ、紅茶を飲んでいた
リン達はサイコロステーキや角煮等の宿屋でも食べた事の無い料理を食べていた、「これうま」とか「いや、このステーキもうま」とか露店や宿屋では食べれない食事に満足し、果実酒を飲む前に満腹で紅茶をまったり飲んでいた
今日の『白銀龍』はアリサとアンナと一緒に食事をしていた、2人は酒を飲まなかったので、今日はのんびり食事をしたかったのかもしれない
「そいや、今日の火の番は僕とクラシスとヘンリーだっけ?」
リウが今日の火の番の事を聞いてきた、クラシスとヘンリーは揃って手を上げ
「そそ」
「はい」
と2人は答えてくれたが、クラシスは少しばかり飲み過ぎているみたいなので、リウはアリサとアンナに声をかける
「クラシスは飲み過ぎたので、アリサとアンナに交代ね」
アリサとアンナは頷き、クラシスそれを見て酒を飲む速度が増した・・・
食事の後の晩酌は、会場を荷馬車へ移し、クラシスとリズとアライズは『かまくら住居』へ戻る事無く荷馬車で夜を明かす事になる
リウとアリサ・アンナ・ヘンリーは晩ご飯の片付けをし、簡易コンロの周りに土魔法でイスと簡易ベッドを作成し、リウとアリサは火の番をし、アンナとヘンリーは簡易ベッドに横になり仮眠を始める
リウはMAPを展開し周囲を警戒していたが、アリサは簡易コンロの前でポーション作成を始めていた、リウもMAPを展開しつつ一緒にポーション作成を始める
街を離れてから薬草採取を毎日にやっていたので、夜明けまでにポーション作成をしてもリウのアイテムボックス内の薬草はたっぷりあった
「リウはポーション屋になるの?」
ポーション作成をしていたアリサは何気なくそんな事を聞いてきた
リウは「んー」と首をひねってから
「ポーション屋には冒険者引退してからかな?」
「引退って・・・リウはまだ若いのに」
「いあいあ、冒険者が引退するのは若いとか年老いたとかは関係ないよ」
「そりゃ、怪我とか不慮の事故とかもあるかもしれないけど・・・」
「ポーション作成は冬の時期のクエスト納品用に修得したんだけど、最近はポーションの性能も向上して、時間があれば作成してるね」
「まぁ、私の作成したポーションも性能が向上したから言う事無いけど・・・」
それと聞いてリウはニコニコしていたが、アリサは「やっぱりポーション屋じゃない?」と呟いていた、リウは話をしながら次々とポーションを作成していった
アンナとヘンリーが仮眠から目覚める前にリウはアリサに1つ質問してみた
「ねね、アリサはポーション屋になるのは嫌なの?」
そう言うとアリサはニコニコしながら
「みんなと一緒なら嫌な事なんかないよ」
「そっか、僕も好きなみんなと一緒ならどんな事でも大丈夫」
リウはそう言ってアリサの頭を撫で撫でしていた、アリサは嬉しそうにしていたがアンナやヘンリーが起きそうになり、慌ててリウから離れるのだったが、顔が真っ赤になっていたのでアンナとヘンリーは「何かあったの?」とアリサに聞いたのだが、アリサは「何でも無い~」と仮眠を始めるのだった
街を離れ5日後、あんまり街から離れてませんが、修練ばかりの毎日です。




