1-162街へ帰還①とか
ダンジョン調査6日目、冒険者達は朝ご飯と昼ご飯と一緒に1人3個のポーションを渡し、数台の荷馬車で街へ帰還していった
新人冒険者達はポーションを喜んでくれたが、中堅冒険者は食事と一緒にポーションを渡された事が無く、最初は受け取りを拒否していたが、初心者冒険者達が収集した薬草をポーション作成し、しかも、ポーションとしての質も低めという事で渋々受け取ってもらった
冒険者達がダンジョン前から出発し、リウ達は『アイギス』の簡易陣地での最後の食事を楽しんだ
「そういや、何で最初ポーションの受け取りを拒否したのかな?」
リウは野菜スープを飲みながら今朝の事を考えていた
リウの隣のノノとココは、サンドイッチを食べながら今朝の事を考え
「ポーション代を請求されると思ったとか?」
「せっかくクエストも終わったのに追加でポーションは欲しくなかったとか?」
ノノとココの意見に、リウを始め他のメンバーも「それはあるかも・・」と思いはじめ
「それに各自何本かクエスト時にポーションを購入してたから、冒険者達からしたらクエストの報酬が減るのは嫌だったのかも・・・」
クラシス達も同じ考えなのか頷いていた
「今回のクエストでは報酬よりも、ここでの食事処と薬草採取とポーション作成が出来たのが大きいかな?」
「ダンジョン前でのお食事処?」
「なかなか出来るもんじゃないけど、需要があるかは今後のギルド次第かな?」
「前に学校行事の時に新人冒険者達には野営料理を教えたけど・・・」
「彼らがダンジョン前で食事を提供すればいいんだけどね」
リウ達は食事後の紅茶を飲みながら、今回のクエストの事を考えていた
冒険者たちへの食事の提供、数日のポーション販売、リン達の育成・・・
リン達は魔力操作の修練と薬草採取にポーション作成、今回のクエストで多少は魔力操作の向上になったはず、もう少しで魔法操作も上手に行えるはず・・・
「それじゃ、僕達も街へ戻ろうか~」
紅茶を飲み終え、リウ達はカップを綺麗にし、簡易陣地内を掃除し、荷馬車に乗り込む
最後にリウは簡易陣地を解除し、ダンジョン前を最初の状態に戻し、街へ帰還した
荷馬車へ乗り込んだリウは2Fの隅に布団を敷き仮眠を始めるのだった
なぜかリウの両脇にはシルキーとミルキーが一緒に寝ていた
街へ戻る間、御者はノノがココとジャンヌは助手を担当し、リン達はクラシスとリズと一緒にポーション作成を始めていた、アライズとアリサ・アンナは交代しながら荷馬車を『浮遊』で浮かせ、馬
達に負担を減らす事を考えながら街へ移動していった
その頃、2Fのリウは『白銀龍』を抱きしめながら仮眠をしていた、荷馬車の2Fは風通しも良く、仮眠にもかかわらず街へ到着するまで爆睡するのであった
その為、リウと『白銀龍』は昼ご飯の時も目を覚まさなかったので、宿屋で提供された食事以外にも焼串や焼鳥もぱくぱく食べる事になる
『アイギス』の面々は街へ到着したのが夕方という事で、ギルドへの報告は簡易的な物とし、次の日改めて今回のクエスト報酬について話し合う事になった
リン達も街へ到着し、リウ達と同じ宿屋へ泊り、明日一緒にギルドへ向かう事になる
宿屋の食堂で晩ご飯を食べ、今回のクエストについて一度メンバー全員で相談する事になった
『アイギス』とリン達はリウ達の大部屋集合し、クラシス達はアイテムボックスから酒や果実酒・焼串や焼鳥・果物などを取り出し、各自飲みはじめる
リン達も一緒になり果実酒を飲み、焼串に齧り付きながらリウ達の話に耳を傾けていた
「そういえば今回のクエスト用に配布された食材は全部消費したの?」
リウは果実酒を飲みながら、調理担当のアライズに声をかける
アライズはアリサ・アンナと今回の食事で使用した食材について相談し
「食材は全部消費したね、一緒に渡された調味料は・・・多少残ってるかな?」
「それ以上に森の中で大猪や野うさぎを何匹か討伐したので、食材は豊富にあるよ」
ココがアイテムボックスの中にある食材に解体前の大猪・野うさぎがある事を教えてくれた
「そういえば解体前の大猪とかはギルドに納品しなくていいの?」
「んー、ギルドランクを上げる必要は無いし、食材としてストックしてていいんじゃない?」
「その前に解体しなきゃ・・・」
「今度森へ行った時にでも数匹一緒に解体しようか~」
話し合いよりも飲むのに忙しいクラシス達は、部屋で静かに飲んでいるリン達を見つつ、これからの彼女達をリウがどうするかニコニコしながら見ていた
「そういえばリンさん達はこれからどうするの?」
いきなり話を振られリン達は慌てながらも答えてくれた
「明日は一緒にギルドへ行って・・・5人でも大丈夫そうなクエストでもする?」
リンは他のメンバーを見ながら話していたが、ライムとジルは
「出来たらもう少し魔力操作をご教授して欲しいです・・・」
「私ももう少し教えてもらえたら・・・」
2人の話を聞きクラシスとリズ・アライズはニコニコからニヤニヤしながら話を聞いていた
ライムとジルがリウ達に修練をして欲しいと聞き、リン・アイズ・ヘンリーの3人も
「それなら私もお願いしたい」
「「わ・わたしも・・」」
リンが元気よく応え、アイズとヘンリーは控えめに手を挙げながら主張してきた
5人とも追加でリウ達に魔力操作などを教える事になった・・・
さて、この街に長く滞在するつもりは無いんだけど・・・どうしようか
「教えるのはいいけど、僕達は旅の途中でこの街には長期滞在しないけど・・・」
「旅の途中でしたか・・・どこへ行くんですか?」
リンはリウの話にテンション下げながら、近場への旅行なら着いていきたいと考えていた
アイズや他のメンバーもあまり遠くなければ着いていきたいと思っていた
「あぁー、その事なんだけど目的地は見つかって無いんだ・・・」
「見つかって無い?」
「それは行きたい場所はあるけど、どこにあるかわからない?」
リンとアイズが首を傾げながら聞いてくるが、ヘンリーやライム・ジルも首を傾げながら「「「?」」」という表情をしていた
リウはそんな5人の表情をニコニコしながら見つめ
「その事でヘンリーさんに聞きたい事があるんだけど、いいかな?」
「はい?」
突然リウに話しかけられ、ヘンリーはびっくりしつつ座りなおしながら
「何を聞きたいんですか?」
「『アイギス』は龍の住まう森を探している」
ヘンリーは龍の住まう森と言われ、最初は何の事かわからずにいたが、リウの言葉の意味を知り、どう答えていいか悩んでいた
冒険者ギルド員じゃないリウ達が龍の住まう森の場所を知るのはなんでだろう・・・
ヘンリーはその事が分からず、思い切って聞いてみた
「あのどうして龍の住まう森の事を聞きたいんですか?」
「あぁー、今から聞いた事見た事は秘密でお願いします」
リウはそう言って隣の部屋で休んでいる『白銀龍』を迎えに行く
『白銀龍』はベットの上で丸くなりながら眠っていった、リウは『白銀龍』にそっと近づき声をかけ、背中を撫でていく
「『白銀龍』ちょっと起きて、リン達に紹介するから・・・」
『いいの?秘密じゃないの?』
「ヘンリーから龍の住まう森に事を聞こうと思ったんだけど、森の事を聞く理由を知りたいみたいでね・・・、説明も面倒だし『白銀龍』の事を紹介しようと思ってね」
『白銀龍』は不安そうにリウを見上げている、ニコリと微笑みながら抱きしめながら撫でていく
「大丈夫だよ、何があっても『白銀龍』や『アイギス』もみんなは守るから」
『ん、リウの事信用してるから』
リウは『白銀龍』を抱きしめながら、みんなのいる部屋へ向かう
『白銀龍』は緊張しているみたいだったが、「ぎゅー」と抱きしめ部屋へを入る
ノノやココはリウが『白銀龍』を連れてくるとは思っていなくて焦っているのが分かる
ジャンヌは果実酒を飲み壁に寄りかかって寝ていた
クラシスとリズ・アライズはニコニコしながらリウを見ていて
アリサとアンナはリウの抱きしめている『白銀龍』を羨ましそうに見つめ
シルキーとミルキーは『白銀龍』に手を振り、焼串を串から外し『白銀龍』に食べさせていた
リン達はリウの連れているのが龍だと最初は気がつかず・・・
ヘンリーが「その子は龍・・・?」と、呟いたのを聞いたリン達は最初こそ驚いたが、話で聞いた龍と違い可愛らしい容姿に、撫でたいけど失礼かもしれないと考え、リン達は『白銀龍』をガン見していた
そんなリン達5人の様子を見て、驚きこそあれ批判的な視線は感じられないので、リウは『白銀龍』を膝にのせ、リン達に話しかける
「この子は『白銀龍』、旅の途中で迷子になっていたので、龍の森まで一緒に旅をしている」
「龍が迷子?」
「そういうことがあるの?」
「見つけた時に『白銀龍』は記憶喪失っぽくてね、どこから来たとかどこにいるとか覚えてなかったんだよ・・・」
リウの膝の上でシルキーとミルキーから、焼串と焼鳥を交互に食べさせてもらい、『白銀龍』はご満悦な様子でいた
「それでさっきの話だけど、ヘンリーは龍の住まう森を知ってるかい?」
ダンジョン調査終了、ヘンリーから森について聞けるとこまで進みたかった・・・
リン達5人はリウと一緒に旅に出るのか、次回はギルド報告と旅再開について。




