1-161ダンジョン調査⑨とか
ダンジョン調査5日目深夜、明日は街へ帰還するという事でリウのみが起きていた
明日は朝ご飯後にはダンジョンから街へ一斉に帰還するという事で、冒険者達も晩ご飯後には身体を癒すかのように早めに就寝をしていた
その中でもリウだけは連日の徹夜で目が冴え、コンロ焚火の前で周囲を警戒しつつ、魔法の修練をしていた
手の中も魔力の塊を圧縮し、どれほど魔力を注げるかを試していた
魔力の塊を放出する無属性魔法の「ボルト」は、リウはMP1程度で撃つ事が出来るが、MPを5から10に増やす事が可能かを試行錯誤しながら修練をしていた
MPを増やすと魔力の塊の維持が難しくなり、圧縮から維持まで時間がかかりすぎる・・・、「これは要練習かな・・・」と呟きながらリウは焚き火の前でMP枯渇するまで魔法の修練を行うのだった
1時間の修練で30分の休憩をし、MPを回復しながらぼんやりとし、MP2消費の「ボルト」を撃つ事が可能になった、流石にMP1消費の「ボルト」よりは溜めが必要になるので、魔物の湧きには不向きな気もするが、MP消費が増えた事により、飛距離と威力向上で遠距離での狙撃用でなら「ボルト」消費2は活躍しそうな雰囲気だった
重要なのは魔力の塊を維持する時、魔力の塊の維持時の回転速度を上げる事、それと「ボルト」を撃つ時の反動が少しばかりある事、ノノ達に教える時はその点を注意すれば大丈夫そうだな
リウはそれと同時に複数の「ボルト」の作成も考えていた、元々1つずつ撃つのでは集団戦では効率が悪いので、意識して複数の「ボルト」の使用を考えていた、MAPと「ボルト」の同時使用で追尾型の「ボルト」を使う事が出来たが、一度に複数の魔物を撃つ事は『アイギス』のメンバーでも誰も成功していなかった・・・
ココやクラシスも魔法の同時使用に関しては不可能と言っていなかった、違う魔法の同時使用は可能なのでリウは同じ魔法の同時使用も可能であると考えていた、「身体強化」「速度強化」を2つ同時で使用し、「ボルト」で討伐する事が可能な為、同時に「ボルト」も最低でも3つは使用出来ると考えていた
「同時使用するとして、どうやればいいんだ?」
リウは手の中の魔力の塊を見ながら呟いた、両手の中の魔力の塊は静かに高速回転し、圧縮し維持していく
「この魔力の塊を2つに分けるのは・・・無理だな」
2つに分けそうとすると、ぶれて不安定になり小さくなっていった
2つにするのが無理なら、最初から2つの魔力の塊を作るしかないか・・・
リウは手の中の魔力の塊を空に撃ち、試しに片手で魔力の塊を作成していく・・・
「右手の魔力の塊は右回りで・・・、左手の魔力の塊は左回りで・・・」
何度か魔力の塊を作成していくうちに、短時間ながら魔力の塊を維持する事が可能になった、ただ手の中での作成という事で無く、指のくるくる回しながら魔力の塊を維持していた、右手の指をくるくる回し、左手の指をくるくる回し、2つの魔力塊を作成し、リウは同時に「ボルト」として空に撃ち上げた
「同時に撃つ事は出来た、発動までの時間が問題だな・・・、これも要練習か・・・」
魔法の修練は徹夜の時間帯でやるのは無理があるな、このクエストが終わったら森の中で修練するしかないか・・・、それとノノやクラシス達にもアドバイスを求めよう、もっと効率のイイ修練を教えてくれるかもしれないし
魔力の修練、魔法の修練、リウは一人の徹夜の時間を自己修練の場とし、これからの魔法の可能性を考えていった
リウは他の冒険者たちと違い、無属性の魔法を精力的に極めていった
リウの使える属性魔法は、土魔法の「土壁」と「落とし穴」くらいだった・・・
「土壁」は簡易陣地を作成するのに何度も使用し、数分足らずで簡易陣地を作成可能になっていた
「落とし穴」も討伐で使えると思って修練したが・・・、未だにクエストで使用した記憶が無く、これで森の中での野営用の罠としてしか使った事が無かった・・・
それ以外の魔法は「魔法障壁」と「身体強化」「速度強化」はリウが冒険者になってから何度も使用し、今ではクエスト時では移動時から戦闘時まで常時使用し、それが原因かリウ達は他の冒険者たちよりも魔力が増加し、ランク以上に魔力=MPも増え冒険者というよりも魔法使いの様な感じになっていた
もっとも今は『アイギス』のメンバーは冒険者ギルドの一員じゃ無く、商業者ギルドの一員になっていて、自給自足が出来るポーション屋になっていた、違うか料理屋もできるポーション屋かな?
リウはコンロ焚火の側に立ち、硬まった身体をほぐすように身体を動かし、アイテムボックスから果実酒と焼串を取り出し、のんびりと夜空を眺めながらぼんやりとしていると、荷馬車の方から『白銀龍』がトコトコとリウの側にやって来て、リウの膝の上に座ってきた
「焼串と焼鳥、どっちがいい?」
『焼き鳥!』
『白銀龍』は即答で答えた、リウはアイテムボックスから焼鳥を取り出し、串から外して『白銀龍』に一口ずつ食べさせていく、小鳥が親鳥から餌を貰うかのように食べていた
数本の焼鳥を食べ満足したのか、リウの膝の上で眠りそうだったので、抱きしめるように『白銀龍』を撫でていった
空が明るくなる前に『白銀龍』を荷馬車の寝床に戻し、みんなが起きる前に簡易陣地の周りを少しだけ掃除し、朝ご飯と昼ご飯の準備を始める、冒険者達も各々の馬車で戻るので食事は移動時でも食べれるように弁当にした方がいいのかな?
パンに焼き肉と野菜をはさんだ大きめのサンドイッチを一人四個あれば大丈夫かな、その辺はアライズさん達と相談してみよう、店売りのパンは在庫も少なくなてきたので、コンロ焚火でも調理できるナンみたいなパンでも作っておこうかな~
『アイギス』のメンバーが起きだす前に、人数分のパンを作り、焼き肉や野菜を準備し、味見として一つぺろりと食べてしまった、塩コショウのみ焼き肉であったが中々おいしく出来上がり、一人四個では足りない気がしたが・・・食材も少なくなってきたのでこれ以上の食材の消費は防ぎたかった
「街へ戻ったら、食材の買い出しと調味料の買い出し、後は着替えなども追加で購入かな?」
そろそろメンバーが起きだしてきたので、完成したサンドイッチはアイテムボックスに保管し、『アイギス』恒例の朝錬を始めるのだった
なお、リウの調理したサンドイッチはアライズ達からも美味しいと言われたが、野菜が少ないという事で、野菜増量のサンドイッチを一つ調理し、一人五個サンドイッチを朝と昼の食事として提供する事になる
『アイギス』の食事は、リウのサンドイッチとは別にアライズ達が特製のスープがあったり、野菜サラダがあったり、果物の盛り合わせがあったり、クエスト最終日にふさわしい食事が提供された
ダンジョン調査もなんとか終焉、次回は街へと戻ります
街へ帰還したらクエスト報酬やリンさん達の指導の今後について話し合います
初心者冒険者が収集した薬草で作成したポーションを冒険者達へ配るつもりです




