1-138森の奥に蠢くモノ⑥とか
次の日の朝、リウはクラシス達の監視塔を訪れ、昨日の事を報告していた
「森の奥からアントの群れが20~30匹の集団で移動していた」
「それで攻撃は受けたの?」
「いあ、監視塔を補強してたし、こっちからの攻撃はしなかった」
「なら攻撃をしないなら危なくないと?」
「それはどうだろ」
「ダンジョンでもアントは目の前の僕らを襲ってきただろ」
「今回は隠れていたから襲われなかった?」
「それもあるかもしれないね」
「もう2日間は監視を続行して危険が無かったら森を離れようと思う」
「アントを討伐しないの?」
「地上に出現したアントは20~30匹だとして、地下には何百のアントがいたらどうする?」
「それは・・本当なの?」
「多分ね、地下が騒がしい気がするし、こっちから攻め込むのは止めた方がいい」
「そっか、それで2日経ったら森を離れると・・・」
「そうだね、この森を離れ次の街へ向かおうと思う」
「了解、今日は塔の補強をし、アントの群れには攻撃を仕掛けない」
「うん、それでいい」
塔はアリサとアンナが土魔法で1Fを石材に加工し、アントの襲撃に備えるのだった
クラシスとイズは仮眠をし、夜に備えていた
リウは監視塔の外装を補強し、簡易陣地へ向かう
簡易陣地にはアライズ達4人が待機しており、食事はアライズが担当し、シルキーとミルキーの2人には馬達の世話をしてもらい、『白銀龍』は簡易陣地全体の警護をお願いしていた
「おはようさん、ナニカの正体がわかったよ、ダンジョンで出現するアントだった・・・」
「アントですか・・・、個体では弱いけど、群れだと強さが倍増する」
「昨日はこっちから攻撃しなかったから・・・助かったのかも」
「この簡易陣地は安全かな?」
「こっちから攻撃を仕掛けなきゃ大丈夫」
「僕らも後2日間は監視を続行して、安全を確認したら3日目に森を離れる予定です」
「アントは倒さないの?」
「アントは野犬や大猪みたいに、いきなり襲ってくる事は無いでしょ」
「それで3日後には森を離れるのは?」
「この森は『白銀龍』の住処でないとわかったし、次の街へ向かいアント事をギルドへ報告するつもりだよ」
「3日間ここでみんなを待っていればいいのかな?」
「うん、馬達とシルキー・ミルキーの事お願いね」
リウは『白銀龍』に昨日の事を話し、攻撃せずに防衛をお願いし、馬達が騒がないようにお願いした
「みんなの事をお願いね」
『おう、任せろ』
リウは『白銀龍』を撫で、シルキーとミルキーの寝ている部屋を訪ねる
シルキーとミルキーは夜の為に仮眠しており、リウは2人を撫でてから監視塔へ向かうのだった
「クラシスとアライズに昨日の事を報告してきたよ」
「クラシス達のところは大丈夫でした?」
「あぁ、向こうはアントが近づいてはいなかった」
「それとアライズ達も心配してたから大丈夫だと伝えたし」
「向こうはアライズとリズが、『白銀龍』がいるから安心だね」
「後2日間は監視を続行で、アントの攻撃の禁止をお願いし、塔と陣地の補強とお願いしてきたよ」
「そっか、私達も夜に備えて仮眠しましょ」
リウとノノは夜に備えて仮眠をする為、2Fの就寝部屋に向かい、リウはノノと一緒に仮眠をするのだった
リウ達が仮眠する時、ココとジャンヌは監視塔の補強とし、1Fの外装を厚く堅甲とし、塔の周りに土壁で囲み、補強を完了した
リウは寝ぼけていた事もあり、隣に寝ていたノノを抱き枕の湯に抱きしめて眠っていたのを、ココとジャンヌに発見され、明日から交代でリウと一緒に寝る順番を決められるのだった
それから2日間は、アントの接近はあったものの、監視塔に危害を加えられる事も無く過ごす事になる
クラシス達の監視塔にもアントは接近したが、攻撃せずに監視をしていた為、攻撃を受ける事無く2日間を過ごした
3日目には監視塔を解体し、土魔法で大きめの岩を作成し、アントを見かけた場所して、地図に書き込みギルドで散策しやすいようにした
クラシス達の監視塔も同じく解体し、大きめの岩を作成し、簡易陣地へと戻るのだった
簡易陣地に戻り、メンバーの無事を確認し、徹夜組は仮眠と取り、他のメンバーは陣地周辺で薬草採取をし、または、料理を作り森での最後の食事を豊かにするのだった
その日の夜は、テーブルに並べられないほどの料理があふれ、最初から果実酒を飲み、夜遅くまで騒ぎ飲み食べて過ごした
この簡易陣地の周辺にはアントが接近しないのはわかっていたが、リウはMAPをたえずチェックし、1人で警戒していた
「それで今回のクエストは失敗なのかな?」
「どうなんだろ?行方不明者は発見できなかったけど、アントの群れは確認できた、散策という点ではクエスト成功なのかな?」
「まぁ、成功うんぬんよりも森の奥にアントの群れがいた事自体問題です」
「アントが集団で襲ってきたら、ダンジョンの『氾濫』と同様の被害があると思います」
「それが街・村・ギルドでアントの怖さを認識できたらの話ですが・・・」
「この大陸に来てからダンジョンの話を聞かないし、アントの討伐もクエストとして無かった、アントの事を報告する前に資料室で、魔物の事を知る必要があるのかもしれません」
「アントは野獣や魔物じゃなく、亜人扱いなのかもしれないし・・・」
「その可能性はあるね、自分の知っている事が全てじゃない、この大陸の事は僕らは何も知らないんだから・・・」
「街へ戻ったら、ギルドの資料室で調べ物をするとして、また、露店をやるの?」
「んー、販売するだけのポーションが無いし、街は4日間の滞在で、次の街を目指そうと思う」
「2日間だけでいいの?」
「街へ戻るのにも4日くらいかかるし、4日間で今回の疲れを取るのを優先しましょ」
「それがいいねえ、今回は宿屋でゆっくり休み、たまにギルドの資料室で調べ物をする」
「食料の買い出しもしつつ、露店の焼串や焼き鳥も補充する」
「野菜や果物も補充よろしく~」
「酒と肴もね~」
「クエストを失敗しても、今回の森での監視は楽しかったし、いい経験になったと思うよ」
「「「だね~」」」
「馬達には苦労をかけたと思うけど・・・」
「心労かな?」
「5mの高さで宿泊は馬達は結構疲れていると思うよ」
「街への走行はゆっくり行きましょ」
『アイギス』の晩酌は夜更けまで続き、みんな囲炉裏を囲みながら横になるのだった・・・この日はリウの隣にはジャンヌとココが眠り、リウは2人の抱き枕になりながら朝を迎えるのだった
森の奥のアント編終了です
アントの群れをパーティーで討伐なんて・・・そりゃ無理ですよ




