1-118出口の先は神殿とか
『アイギス』のメンバーが洞窟の入り口の石材の前で一泊している頃
洞窟の向こう側では、洞窟の向こう側から移動する反応を感じていた
洞窟の先は神殿のような場所であった
お伽噺の時代の建造物と言われた神殿は、今は数人の神官たちが管理していた
そして、神官たちが洞窟を移動するリウ達に気がついたのは2か月前・・・
確かに微かに移動するリウ達を捉えはしたが
誰一人リウ達に適切な対応をする者はいなかった・・・
まして、洞窟の入り口は石材で塞がれており
石材の解除をする者は神殿には存在してはいなかった
破壊するにもぶ厚い石材な為、物理的にも魔法的にも破壊は無理であった
「それで神官長、洞窟の先の者は石材を超えて現れるでしょうか?」
神官の中で比較的若い神官のダウトが、神官長のアランに聞いていた
アランは洞窟の石材を見つめ、難しい顔しながら
「多分、石材を超えて現れるだろう・・・」
「2か月前から少しずつ、ここへ近づいて来ている」
「やはり伝承通り、この先には新大陸があるのでしょうか?」
「それはわからん、野獣などの反応では無いから、危険は無いと思うが・・」
「危険は無いにしても、洞窟前に神官たちが陣取っては・・・逆に警戒されるのではないですか?」
「それは洞窟の向こうの者も気が付いているのだろうよ、だから石材の前で一泊し万全の状態で石材を超えようとしている」
「それと向こうの反応は13個ありますが・・・10個は人だと思いますが・・・もう1人は何だと思いますか?」
「人以上の存在かも知れんな・・・」
洞窟の向こうの神殿では、20人以上の神官が洞窟前で『アイギス』が現れるのを待っていた
問題は誰も洞窟入り口の石材を超えるとは思ってはいなかった
神官20人の内、『アイギス』の12人と『白銀龍』の反応を感じていたのは
全体の3割もいなかった・・・
洞窟の先は新大陸というお伽噺は、神官でなくても知っていた
そして、新大陸という未知の大陸から、こちら側へのやってくる・・・
それが人であるか、何であるかは誰も知りはしなかった
知らない者への恐怖で武器を構える者までいたが
明日には石材の向こう側からこちらへ
1000年以上の時間を超え、新大陸からの客人を迎えるべく
神殿の中は神官たちが緊張した表情で夜を迎える事になる
その頃リウ達は、石材の向こう側で
洞窟での最後の夜を迎えていた・・・まぁ、通常通り晩酌なんだけどね
リウ達も出口付近という事もあり、シルキーとミルキーも果実酒を頂いていた
みんな、明日は地上に出れる喜びもあり、いつも以上に飲み笑い食べていた
ジャンヌも今日だけは飲んでも寝ないようにリウに寄りかかり
静かに飲んでいた、シルキーとミルキーもちびちび飲み
ノノとココは焼串を齧りながら、果実を飲み、石材の向こう側を見つめていた
アリサとアンナは果実を取り出し、2人は果実の皮をむき『白銀龍』へ食べさせていた、『白銀龍』は嬉しそうに食べていた
クラシス達は酒を飲み、好きな肴と一緒に美味しそうに食べていた
リウは3カ月にも及ぶ荷馬車の旅の終わりを感じていた
暫くするとジャンヌはリウの膝枕で寝始めていた
シルキーとミルキーもリウに寄りかかり
ノノとココも少しだけ眠そうにしていた
アリサとアンナも雰囲気で眠そうな感じだったので
クラシス達3人を残し、リウ達は荷馬車で眠る事になる
リウは寝る前に『白銀龍』に監視をお願いし眠る事になる
クラシスとリズとアライズは、石材の向こう側を見つめながら酒を飲む
「この向こう側は新大陸らしいけど・・・」
「まぁ、お伽噺くらい昔の話だから1000年単位の来訪かもね・・・」
「それで向こう側では警戒して私たちを待ち構えていると・・・」
「リウが言うには野獣では無いらしいけど・・・戦闘は避けたいわね」
「もしもの時は荷馬車全体に『イージス』を展開して逃げましょ」
「それと向こう側は『白銀龍』の故郷があれば嬉しいね~」
「そうね、最初はそれがこの旅の始まりだったしね~」
「私達も『白銀龍』の言葉がわかればいいんだけどね・・」
「感情としては理解できるし、それに好き嫌いなく食べてくれます」
「出来れば『白銀龍』を無事に故郷に連れて行きたいわ」
「そうよね~」
クラシス達の晩酌は酒樽が1つ無くなるまで続いていた
3人が荷馬車に戻り寝始める頃、『白銀龍』は石材の向こう側を見つめていた
『白銀龍』も荷馬車で新大陸へ渡るのは初めてだった
それとこの大陸が『白銀龍』の故郷だとしたら・・・
ここでリウ達とお別れか・・・それは嫌だなと思っていた
『白銀龍』はここまでの旅で、空を飛ぶ行為をしないで過ごしてきた
それは『アイギス』に迷惑がかかるのを避ける為と
一緒に旅が出来なくなるのを避ける為でもあった
ここに故郷があっても、『白銀龍』はリウ達についていく気でいた
次の日の朝は、キッチリ朝ご飯を食べ、食後の紅茶を飲み
いつも通りに荷馬車に乗り込み、移動を始める・・・
御者と助手にノノとココとし、荷馬車の屋根にはクラシスとリズが待機し
荷馬車にはアリサとアンナ、シルキーとミルキー、ジャンヌが待機していた
リウは荷馬車から降り、『光源』を唱え荷馬車の周囲を照らす
荷馬車のメンバーには、いつでも魔法障壁を展開できるように言っていた
それとノノとココには馬達に「身体強化」と「速度強化」を唱え
もしもの時は馬達にも魔法障壁を唱え、怪我の無い様にする事を伝えた
『白銀龍』はノノとココの後ろに待機し、馬達にノノとココの言葉を伝えるようにした、それと「リウ達を信じろ」と伝え、馬達はそれを忠実に守るのだった
リウは自身に「身体強化」速度強化」を唱え、魔力を纏い、目の前の石材の解除に取り掛かる
石材の厚みはリウがいつも作成している者よりもぶ厚く
それに荷馬車の広さに石材を解除するという事で
リウは土魔法で入り口を覆っていた石材を時間をかけ解除していく
時間にして10分足らずでリウは石材を解除し
入り口を通り新大陸へ向け荷馬車を進める
リウは荷馬車を先導し、入口を先にくぐる
リウと荷馬車が入り口をくぐり、そこで見たものは入口を囲む神官たちだった
それと地上に出たと思われた場所は、建物の中の様だった
神官の中には武器を構えている者もおり
ノノとココは馬達に魔法障壁を張り
クラシスとリズも荷馬車に魔法障壁を展開した
リウは左手に『イージス』を展開し、神官たちを見つめ話しかける
「そこを通してもらえますか?」
リウのその一言で、神官たちに緊張が走り
武器を構え、魔法を唱える者もいる
リウは強行突破しかないか・・・と思っていると
神官の中から1人の衣装の違う神官が現れる
すると、他の神官は武器を収め、魔法を解除した
「1000年ぶりの客人、新大陸へようこそ」
その言葉で周りの神官たちその場で頭を下げている
その一言でリウ達は緊張を解き荷馬車を進める
入口を完全にくぐり、荷馬車は建物の中に停車する
「それで僕達はこのまま通ってもいいのかな?」
洞窟を抜けたら神殿だった




