0-116洞窟は続くよとか
『アイギス』のメンバーは森林部での最後の夜を過ごし
次の日、各自の装備を整え洞窟へと荷馬車を進める
リウは『光源』を唱え、洞窟内を明るく照らす
「それじゃ、荷馬車の御者と助手はノノとココでお願い」
「「はい」」
「クラシスとリズは荷馬車を『浮遊』で浮かせてみて」
クラシスとリズは『浮遊』を唱え、荷馬車を浮かせる事に成功する
2人は『浮遊』の魔法に使用継続とMP軽減をカスタマイズし
長時間の魔法持続を可能にしていた
昨日の夜に『浮遊』を修得し、2人は魔法を自分の物し
それ以上に使いやすいように作り変えてしまったみたいだ・・・
「後で『浮遊』のコツを教えてね~」
リウがそう言うとクラシスとリズはニコニコしながら
「ん~」と、思案し「了解~♪」と言いながら荷馬車の屋根に上がっていった
荷馬車の屋根は林で薙ぎ倒した木で作成した薪が積んであったが
それでも4人くらいは座れるスペースは確保できていた
「クラシスとリズは『浮遊』を持続使用してるから、『光源』はジャンヌかアライズが唱えてね」
「はい」
「任せて」
どうやらジャンヌとアライズも荷馬車の屋根で『光源』の準備をしているみたいだった
荷馬車の中も『光源』を使い明るくしている
それは洞窟移動中、荷馬車の中が暗くては気持ちが滅入るという理由と
荷馬車の中に鉢植えを置き、リラックスする為と
気分的に明るくする為である
荷馬車の中の『光源』はシルキーとミルキーが担当し
持続時間も短いので交互に唱え、魔法の修練になるとし2人にお願いした
洞窟内に荷馬車が完全に入り、200m進んだところで
「洞窟の入り口を封鎖してくるから、少しここで待ってて~」
「了解~」
ノノは荷馬車を止め、ココは馬達を撫でながら周囲を警戒していた
リウは荷馬車を降り、自分の周囲に『光源』を唱え、洞窟の入口へ向かう
魔力を纏い、入口付近にかけて行く
リウは土魔法で地面と同じ高さで土壁を作成する
入口から10mを土壁で塞ぎ、3mを石材で壁を作成し、入口の封鎖を終える
「これで洞窟は10mの土壁と3mの石材で完全封鎖完了」
リウは封鎖が成功した事もあり、ゆっくりとした足取りで荷馬車へと戻る
荷馬車に戻ると、アリサやアンナが荷馬車から下りて
歩いてくるリウの帰りを待っていた
「おかえり~」
「もういいの?」
「あぁー、これで僕達の後から入ってくる冒険者はいないんじゃないかな?」
「そっか、少し残念だけどね~」
「新大陸への道がまた閉ざされた~」
「これが新大陸への道だとして、安全だとはまだ言えないし、安全なら入口を開放しても好いかもね~」
リウはそう言うと、アリサとアンナと一緒に荷馬車へと戻る
荷馬車に乗り、リウは御者のノノに
「それじゃ、ノノ、荷馬車を走らせてみて~」
「了解、行きます~」
ノノが鞭を振り、馬が走りはじめる
クラシス達の『光源』を頼りに荷馬車が洞窟内を進んでいく
リウはMAPを展開し、洞窟内の通路を確認している
通路は広さは荷馬車が2台並んでも大丈夫なほどになっていた
通路には赤マーカーも黄色マーカーも存在してなかった・・・
ただ、通路が伸びているだけで比較的真っ直ぐな道が続いていた
リウはあえて通路の先を確認する事無く
洞窟の中を進む事にしていた
それは、洞窟での生活をメンバーと同じに感じる為でもあった
「そう言えば洞窟内では時間の感覚が無くなるけど・・・どうする?」
「それは馬達の状態を見て休憩しようかなと~」
ノノは荷馬車を操縦しながらリウに答える
馬達の状態は『白銀龍』が声をかけ、いつでも馬達を休ませる体制にした
馬達は回復系薬草入りの餌を食べおり、通常の馬よりも走行距離などが向上していた
屋根の上ではクラシスとリズが『浮遊』で荷馬車を浮かせ
アライズとジャンヌが『光源』で荷馬車の前方と周囲を照らしていた
荷馬車の中はシルキーとミルキーが交互に荷馬車の中を照らし
リウとアリサとアンナは荷馬車の隅で仮眠をとっていた
荷馬車の後ろ半分に仕切りをつけ3人は布団で寝ていた
一応、洞窟内では時間の感覚は無いが
寝ずに荷馬車を停めるのには抵抗があったからである
今夜はリウとアリサとアンナが夜の徹夜組となっていた
御者のノノは『光源』を頼りに荷馬車を走らせているが
変わり映えない風景に早くも滅入っていた
「『光源』で明るいけど・・・いつまでたっても同じ風景ね~」
「それりゃ、洞窟内だし・・・」
「周囲は何の反応も無いの?」
「んー、今のところ何も感じないね」
「安全だからリウが荷馬車の中で横になってるんじゃ?」
「それもそうか~」
ノノは前方を見ながら荷馬車を走らせ
ココは周囲を警戒しながら『浮遊』の修練をしていた
『浮遊』の修練と言っても、手元の林檎をたえず浮かせているだけであったが
ココは『浮遊』の持続時間ではクラシスとリズの次に長く
MP軽減の効果こそ無いが、『アイギス』の中では魔法を熟知していた
暫らく荷馬車を走らせ、シルキーとミルキーのMPが枯渇すると
洞窟での初めての休憩をする事になる
洞窟内という事もあり、メンバーのだれも時間の概念が無くなっており
休憩の感覚を2人のMP枯渇した時になる
休憩の時は『浮遊』を解除し、クラシスとリズもMP回復の為に休む事になる
「リウ達3人は仮眠中だっけ?」
「そだよ、今日は夜の番だからね~」
「そういえば、リウはダンジョン内でも時間を把握していたけど、普通はどうやって時間を計るの?」
「普通は時間を計るのは無理よ、それこそ体内時計で計るしかないわ」
「それで今の時間は?」
「んー、まだ、昼までには時間があるかも~」
「それじゃ、今は紅茶のみの休憩でいいかな?」
「それがいいわ、荷馬車の移動時間を考えると、もう2度ほど休憩したら昼ご飯にしましょ」
「了解、走行30分の休憩30分でやってみましょ」
『アイギス』の荷馬車は、その後何事も無い様に夜を迎える事になる
仮眠をしていたリウ達3人は、ぐっすりと寝ていた為
夜の番の時には、土魔法で簡易陣地を作成し
リウはアリサとアンナと共に、魔法の修練をして過ごすのであった
『アイギス』は海底洞窟を3カ月かけて走り抜ける事になる
洞窟内は野獣などの出現も無く、毎日のように『光源』と『浮遊』を使用し
『アイギス』のメンバーは、全員魔力の向上に努める事になる
洞窟突入3カ月後、まだ、脱出はしてません




